武藤嘉紀はFC東京でこれ以上Market Valueを高める事が出来るのか問題を考える

サッカーは振り子の様に左右に行ったり来たり。河野システムで3枚で攻めたからこそ、昨年の失点数減を生み、また得点数減ともなった。そして今年はその振り子を逆に傾けるのならば…と、そのまま振り子に自由にさせていてはまた繰り返すのみ。強いチームとは、振り子に逆らい実現させるもの。そんなチームに、FC東京がなれると願いながら…

少なくとも、よっちがFC東京にいるまでに何とか!(切実)

前回記事でそんなことを書いてみたら、まさかチェルシーとは…

騒ぐなという方が無理がある。そんな、よっちのチェルシー移籍報道に誰もが驚き、日刊ゲンダイに焼き土下座をし、けどフットボールチャンネルはウンコだからマジ潰れろよと思ったことでしょう。

そして、喧々諤々の大論争。一期一会のオファーを大切にすべき、レギュラー出場が見込めないのであれば移籍しない方がいい、だれもが「よっちはワシが育てた、そしてこれからも…」と言わんばかりの苦言の嵐。事が事だけにしょうがないのだけれど…

自身の苦言を述べさせてもらうと、こういう時はいつも「いい値段で売れるときに売っとけ派」だったりします。それが、高校時代から観てきた思い入れ強い選手であるよっちですらそう思うのだから、この傾向はホンモノなのでしょう。

ただ、そんな意見を抱える自分が所詮、チェルシーから提示されたカネに目が眩んでいるのも確か。だって、300万〜400万ポンド、どう考えてもこれは日本的には破格。これ以上の値段は、J⇒欧州移籍ではつくことは直近ではもう無いでしょう。


http://www.transfermarkt.com/ というサイトがあります。ここでは世界の各選手のMarket Valueを調べることが出来、その信ぴょう性は眉唾ながらも、統一された信ぴょう性の程度の下で、世界の選手のValueが並べて見渡せるというのが中々面白いですし、大枠の傾向を掴むのにはちょうどいいサイトであると思われます。

こちらのサイトでじゃあ例えばFC東京の選手ではどうかというとこのような状況だそうです。

1 Shuichi Gonda 1,25 Mill. €
13 Tatsuya Enomoto 150 Th. €
31 Kentaro Kakoi 50 Th. €
24 Wataru Sasaki 50 Th. €
25 Ryoya Ogawa 50 Th. €
3 Masato Morishige 1,50 Mill. €
30 Michele Canini 800 Th. €
33 Tatsuki Nara 500 Th. €
29 Kazunori Yoshimoto 400 Th. €
6 Kosuke Ota 1,25 Mill. €
5 Yuichi Maruyama 400 Th. €
50 Riku Matsuda 200 Th. €
2 Yuhei Tokunaga 650 Th. €
4 Hideto Takahashi 1,00 Mill. €
7 Takuji Yonemoto 1,00 Mill. €
37 Kento Hashimoto 300 Th. €
10 Yohei Kajiyama 400 Th. €
34 Hideyuki Nozawa 100 Th. €
38 Keigo Higashi 700 Th. €
8 Hitotaka Mita 500 Th. €
28 Shuto Kono 300 Th. €
22 Naotake Hanyu 200 Th. €
19 Tasuku Hiraoka 75 Th. €
14 Yoshinori Muto 1,25 Mill. €
17 Hiroki Kawano 700 Th. €
39 Shoya Nakajima 250 Th. €
18 Naohiro Ishikawa 200 Th. €
20 Ryoichi Maeda 1,00 Mill. €
9 Sota Hirayama 400 Th. €
23 Yohei Hayashi 150 Th. €

よっちは果たしていくらかと言うと…1,25 Mill. €。W杯に出場しているモリゲの1,5 Mill. €に次ぐ、また権田と太田に並ぶValue。肌感として、大きく外してはいないのではないでしょうか(どれも2015年2月時点)。

いや、よっちの価値はそんなもんじゃない、低すぎるだろ!と荒ぶる人もいるかもしれません。その気持ちはよ〜く分かる。けど、よっちがJリーグにいることでこれ以上のValueが付くことがあるのか…transfermarket.comを回遊してみて思うに、それは『絶対無い』。


次に日本人選手のMarket Valueランキングを観てみましょう。

1 Keisuke Honda 14,00 Mill. €
2 Yuto Nagatomo 10,00 Mill. €
3 Shinji Kagawa 10,00 Mill. €
4 Atsuto Uchida 9,00 Mill. €
5 Shinji Okazaki 8,00 Mill. €
6 Maya Yoshida 5,00 Mill. €
7 Hiroshi Kiyotake 4,50 Mill. €
8 Hiroki Sakai 3,50 Mill. €
9 Mike Havenaar 3,00 Mill. €
10 Gotoku Sakai 3,00 Mill. €
11 Makoto Hasebe 2,50 Mill. €
12 Takashi Inui 2,50 Mill. €
13 Yoichiro Kakitani 2,50 Mill. €
14 Eiji Kawashima 2,00 Mill. €
15 Hajime Hosogai 2,00 Mill. €
16 Takashi Usami 2,00 Mill. €
17 Junya Tanaka 2,00 Mill. €
18 Yuya Osako 1,60 Mill. €
19 Masato Morishige 1,50 Mill. €
20 Takayuki Seto 1,50 Mill. €
21 Yosuke Kashiwagi 1,50 Mill. €
22 Hotaru Yamaguchi 1,50 Mill. €
23 Ryo Miyaichi 1,50 Mill. €
24 Hiroki Yamada 1,50 Mill. €
25 Yuya Kubo 1,50 Mill. €

Jリーグ所属選手最高値は、宇佐美貴史の2,00 Mill. €となっています。まぁ、宇佐美の価値は分かるけど、同年齢のよっちとそこまでValueがかけ離れるもの…なのか?さらにランキングを見渡すと…、ハーフナー・マイク3,00 Mill. €、えっ?宮市亮1,50 Mill. €、えっ?えっ?

もうお分かりでしょうが、彼らの共通点は「欧州Marketに一度でも陳列された選手たち」ということ。一度でもMarketに載ることで、その選手の認知度は大きく変わってくる。認知度はイコールValueにつながってくるわけで、そんな現実がこのランキングには生々しく反映されていると言っていいのではないでしょうか(あくまでサイト自体の信ぴょう性は眉唾

20位には瀬戸貴幸が1,50 Mill. €でランクイン。高卒後、世界各地を転々としてきた苦労人と言うと響きは泥臭いですし、日本での知名度はかなり低いがためにこのValueは一瞬驚いてしまうけれど…実際に各地で確実にキャリアを積んでいき、欧州Marketの中で認知度を高めValueを上げていったのは確かであり、世界からみればむしろ「驚いてしまう」事こそがドメスティックなズレなのかもしれません。


と、このようにtransfermarket.comをイジイジしていると痛感するわけです、日本人選手がJリーグ内のみで積み上げられるMarket Valueには限度があるし、よっちは既にその上限に到達しつつあるということを。これ以上のValueを考えるのであれば、例えローンという扱いであろうと何らかの形で欧州Marketに陳列される必要があるわけです。長友パターンの様に権利を保有しておくことで金銭を得るのか(入金されるとは言っていない)、納得せざるを得ない金額である程度の権利を渡してしまうのか。今回のチェルシーからのオファーが、形態がどれにあたるのか詳細不明だけど、今回は恐らく後者なのでしょう。そしてそのオファー内容はMarket Valueに照らし合わせてみると、FC東京が頷いてもいいくらいの「誠意」があると、自分は受け取っています。

その上で、じゃあ今回のオファーをどうすべきか…

それはそれぞれの立場によるそれぞれの想いの中で、どちらかに、もしくは間のどこかに着地させるしか無いのでしょう。クラブの理想と選手の理想は、絶対に一致しないわけだし。

自分はこういう時には「FC東京の理想」を優先して考えちゃう人なので、売ってやむ無しと考えますが。もちろん、よっちが所属している事でのパブ効果とか諸々を考慮すると7億でも安いと考えちゃいもするし、「FC東京の理想」として7億でいいのかという議論はあるだろうけど。

そして結局、最後はよっち自身の判断でしか無いというか、所詮FC東京側でどうにかなる問題でもないし、そういうものだしなぁというのも。今回のタイミングでなくても海外移籍が時間の問題なのには変わりないわけで、遅かれ早かれであれば…よっちが好きに決断すればいいのではと。

よっちであれば良い決断が出来るだろうし、そうするための努力が出来る選手だし。どっちにどう転んでも、それが「良い決断」になるのでしょう。

それでよっちも大きく成長して、いずれは黒田博樹の男気復帰じゃないけどFC東京に戻ってきて念願の初優勝!リーグ戦が楽しみだ!!なんていう未来予想図を今から描いて楽しむのも悪くないのではないでしょうか(よっち帰ってくるまでFC東京優勝できない前提)(広島東洋カープ、4/9現在セ・リーグ6位)