力蔵トーキョー定点観測その2 なのに答え合わせがもう終わっちゃったよ

こんな感想を持てている程度には、今年のFC東京を『線』で楽しめそうな気配は感じている。

アカン、既にもう『線』が途切れそうや!!!

いやいや、この時の自分の感想には今でも嘘偽りはなくて。その証明が、前回記事のタイトルに「定点観測"その1"」とつけた部分。それなりに意味のあることが続いていくと思っていたんだよマジで。

ということで恐らく今回が最終回です。え〜。

 

FC東京フットボールフィロソフィーとして掲げている「+1 Goal」の理解を、表に出ている情報や当事者の想いみたいなものが皆無なまま無理くり妄想を試みつつ、かつ自分が求めている「J1リーグ優勝」をかけ合わせてみた結果、『1試合平均 2得点前後/1失点以下』を目標の基準値としてみたのが開幕前。

それが最早、そんな基準で観察するのが馬鹿らしく申し訳なくなる状況に陥っているのは言わずもがな。むしろJ2降格ラインを基準値として持ち出すべき状況に。悲しくなるので基準値の試算はまだ行わないでおくけど、まだ。

 

まず自分のサッカー観として、最低限の守備が出来ていないチームがすこぶる嫌いだっていうのがある。そしてここ数年の東京はまともな組織守備を表現できておらず、その点での不満が継続して強くあった。

それが力蔵トーキョーでは、初陣からマンツーマン3バックを採用。所詮、人を割いて何とかする思想に過ぎないが、それでも相手スカウティングを通じて「相手はこう来そうだから、それに対して誰が誰にアタックして守っていくのか」が事前に明確化されている様子もピッチ上では伺えたのもあって、今年の東京からは少なからず守備への想いを個人的には感じられていた。

その好感もあったからこそ、その1ではああいう書き方をしていた訳である。守備に意識を持ってくれたことは非常にありがたいので、じゃあ今後は組織守備をより洗練させ、それにより確保した余力を今度は攻撃に割いていくことで、+1 Goalを引き続き目指していきましょうね、という「次の過程」への期待である。

それが結局、湘南戦をピークに以降は一気に失われてしまった。湘南戦までの5試合で4失点だったのが、直近5試合では10失点と倍以上に跳ね上がっている。

力蔵トーキョーとしては今後、まずは安定的に守備を基準レベルに保っていけるのかが直近課題となるだろう。

そしてそれが当たり前になり、ようやく次の話に進めるとなった時に、次は「守備への注力カロリーを下げつつ、しかし同等の基準レベルを保ち続ける」事を求めたい。

そのために、果たしてどういった手段を取ってくるのか。組織で解決するのか、人で解決するのか。これは現場の問題であり、クラブの問題でもある。

もしくは次なんてものは実はなく、今見えているここまでが既に頂点であり限界だったりする可能性だってあるだろう。力蔵さんの引き出し的にも、近未来に訪れる賞味期限的にも、そしてクラブのカネ的にも。それはその時に蓋を開けてみないと分からない。

ただまぁ、どちらにせよ蓋を開けるところまでは出来そうな状況ではある。そこまで進められそうなだけ、まだいい。近年に比べたら、相当いい。

「+1 Goal」のために必要な『洗練された守備組織』 力蔵トーキョー定点観測その1 - 「やってみるさ」

結局、これの答え合わせが済みましたねって話だと理解している。湘南戦で見せた守備の「次」があるかどうか。それが無かったよねと。あれがピークでしたよと。早ぇよ。

 

ということで反省会。

振り返ってみて、自分が見誤っていたなと思うのは「そういう見識の人は、位置づけも分析も対策も、所詮そういう見識な内容になるんだな」って部分。

つまり「人を割いて何とかする3バックを採用している」ような人なのだから、守備というのは人が割かれていれば何とかなると思っているし、だから人が割かれている状況に到達できていれば組織としては良くて、後は選手個々の些細な差の話になるよねと。それを力蔵さんらしいワードで言えば「最後の一歩」「ツメの甘さ」となる。力蔵さんの守備に対する考え方を恣意的に解釈すると、こうだと今の自分は理解している。

具体的にそれを感じたのが、まず柏戦。

中に折り返されてしまうことと、その前で触られているというところで、人がいるけれども最後のところでやられてしまう。組織的にはある程度狙いを持った行動はとれているが、 これまでも最終的に1対1のところであったり譲ってはいけないようなところをどうしても譲ってしまう。 そのタイトさというものをなかなか出し切れなかった。

4/11 柏戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW | FC TOKYO FANZONE | FC東京

この失点を分析するのにあたって「人はいたけど…」は、自分の理解だと有り得ない。確かに「DAZNの画角内」においては味方は居た。しかし意味のある位置に、意味のある人数が揃っていたかと言えば決してそうではない。攻略されたボールサイドでは味方守備者は不足しているし、MFラインの選手たちは位置的にもアンテナ感度的にも無力化した状態。その上で、最終局面だけ切り取れば、確かに木下康介が目の前の木本恭生を出し抜いて前を取った事で生まれたゴールではあったけど。そもそもで言えば、これはスローインのリスタート直後。再開した時点で既にこの状態が起きていたことになる。

近藤直也氏の分析の方が自分は納得感が強い。力蔵さんは「人は揃っていたけど…」と捉えているけど、そもそも人は揃っていない。

力蔵さんが同じ様な発想で失点シーンを解釈する場面は、別箇所でも散見される。

ただ、会場のエネルギーを圧力としておそらく少しは感じて、一歩、一手が少し遅れたのかなと。とはいえ、会場のボルテージということはなんの言い訳にもならず、やるべきことをしっかりやる、寄せるところはしっかり寄せる、たとえクロスボールを上げられたとしてもそこでしっかりタイトにつく。これは当たり前のことで、そこができなければ、どんな戦術を持ってしても守ることはできない。そこをしっかり詰めていかなくてはいけないと思います。

5/17 浦和戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW | FC TOKYO FANZONE | FC東京

 

ただ、それが最後に試合の勝利に繋がらなかったことは、まだまだ我々に甘さがあったからです。甘さとは、そこでしっかりとボールを通せるか通せないか、しっかりと寄せ切れるか寄せ切れないか、そこで打たせないかとか、そのような小さなことをどれくらい90分間のなかで完璧に近付けられるかだと思います。

5/21 湘南戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW | FC TOKYO FANZONE | FC東京

最後の詰め、些細な小さな差を埋めきれないという意味で「甘さ」と表現している。言ってることは間違ってないが、それはあくまで最後の話。それよりもっと手前の段階からの、守備に対する認識自体というか、より上位レイヤーな段階で既に大きく深い「甘さ」もある、というのが実際だと思う。

 

規定のピッチサイズがあり、あの位置にゴールが1つずつだけ置かれている。

それを11人同士で、いかに集団的にゴールを奪い、集団的にゴールを守るか。これが、サッカーの競技性。

だから、人をかければ、その局面での成果は確かに期待できる。

しかし、ある局面での数的優位とは、同時に別の局面において数的不利が生じているに過ぎない。

ボールサイドに人をかければ、その分だけ逆サイドはがら空きになる。ビルドアップをしたいと後方の枚数をプラス1確保しようとすれば、前方ではマイナス1となってしまう。

味方の人数は有限であり、かつ相手と同数。そして11人では簡単に埋めきれない程にピッチは広い。行き当たりばったりでは、得られる成果は中途半端になるし、体力も削られるばかり。

だから集団戦術が求められる。どこで数的優位を作るのか、どこで数的不利が発生するのか。その数的不利をプラマイゼロにするために灰になるまで走れなのか、マイナスのままアダイウトンで何とかしろなのか。そもそも数的優位を作ろうとしてしまうこと自体が良くないのではないか??

っていう葛藤に向き合うこと。これが集団競技の本質であり、サッカーの本質である。

 

この葛藤に向き合うこととその苦労を、今後リーグ戦を進めていく中で力蔵さんと一緒に味わえるのだろうと、あの時の自分は期待していたのだと思う。最終的には「守備の組織化・洗練化が、きっと+1 Goalとやらにも繋がるはずだよ」と。

という段階に、力蔵さんの能力は到達していない。多くの失点シーンを「ちゃんと人数を揃えてるのに、なんでや…!」と解釈している。人数を揃えただけのその先に向かう気が無いし、それ以前にそもそも人数は揃っていない。あの場面を観て、どうしてこういう理解になってしまうのか。

何故ならば、そういう見識の人だから。「そういう見識の人は、位置づけも分析も対策も、所詮そういう見識な内容になるんだな」とは、こういう事。

そういう見識の人には、例えば「個人に見受けられる甘え(とされているもの)」を是正することなんて無理でしょう。そして「これをどう打開していくかというところで、ゲームの総括というよりも、次にどうしていこうかというところに頭が向いている」と言ったとて、捻り出した結論なんて所詮たかが知れてるでしょう。

 

相手スカウティングを通じて「相手はこう来そうだから、それに対して誰が誰にアタックして守っていくのか」が事前に明確化されている様子もピッチ上では伺えた

少なくとも自分が観たA鹿島戦とH湘南戦はこれが伺えたのに、今となっては見る影もなくなった。

川崎戦のタイミングで、力蔵さんはこれまでの流れを断ち切るかのように「思い切り針を振った」としている。

これはコメントを読む限りだと「ボールを握る方向へ」という意味と取れる。しかし時間とトレーニングセッションは有限。針を振った分だけ、逆に捨てられたものも当然あったはず。

力蔵さんは果たして何を捨てたのか。さらに言えば、そうまでして振った針を今でもブレずに継続できているのか。

自分の嗜好サイドから指摘をするならば、「その甘い見識によって捨てたもののせいで、守備だけでなく、時計の針を振って進めようとした『ボールを握った攻撃』すらも自信が壊れてしまったのが、今なのではないですか?」と。

という意味で、力蔵さんは明らかにチーム作りを失敗したと判断する訳です。

ホント、冒頭に戻るけどこれでも「その1」と付けた程度には期待してたんだよ?ww

(ここで言うチーム作りの失敗とは「監督という立場内でやるべきことをしっかりやる」ことを意味し、言い方を変えると「監督は悪くない、やるべきことをやってない他要素が悪い」という状況まで持っていくことを指しています。)

 

今後の話を少しだけ。

同等に大きな問題を抱えている、フィジカル・メディカル部門。ギレルメは当然として、今年の出来を観る感じだと力蔵さんが連れてきた安野さんも最早、信用していないです。けど昨年は出場できた選手についてはよく動けていた印象があり、なので昨年フィジカルを担当されていた早川さんは引き続き信用しています。

今年の早川・安野フィジカルコーチ2頭体制ってどうするんだろう?と思ってたけど、A鹿島戦・H湘南戦を観る限りでは、試合前ウォームアップは安野さんが任されているし、キャンプ動画でも安野さん主導だったので、恐らく安野さんが1stと想像します。で、早川さんは試合に帯同してないっぽいので、2ndとして小平居残り組なのでしょう。すごいね、長年JFAの頂点を務めてきたフィジカルコーチを小平で干してるんだから。

なので「監督解任ブースト」は無くても、力蔵さん解任にぶら下がって安野さんも解任となることで、早川さん復権による「フィジカルコーチ解任ブースト」はあると望みたいです。フィジコ解任ブースト!新概念!!まぁ、このタイミングで今からフィジカル面で出来ることがあるのかは大いに微妙だけどww

なので、期間を少しでも早川さんに与えることで、フィジカル改善的な望みがミリでも高まるのならば…という観点で、力蔵さん早期解任派です自分は。指導者としてのレベルも十分に知れたし、もういいでしょう。

こうしてまた、監督ノーマルガチャを回すのですね。まるで成長してねえな。

力蔵さん総括は、やはり次の機会にも改めて行うかも。その3が最終回になるかなぁ。