「守備の文化」のいいとこ取りを レビュー ナビスコ予選 -磐田戦

スマスマのバービーボーイズを心待ちにしながら、溜めたレビューを、自分のために。まずは磐田戦。
守りきるべき試合だった。コレは間違いなく。
ロスタイムに同点に追いつかれる。勝ち点を2つ失った試合となったが、日本でこういう展開になると、やれ「あの時しっかり点を決めてれば」だの「決定力不足」だの「守備的采配が仇となり」だのと、批判されることがしばしばある。こういった時に日本サッカーの論調のスタンス(の理想)が示される訳だが、これは結局は日本人の憧れが投影されただけに過ぎず、諸外国の伝統に憧れて同じ様に口にしているだけ感は否めない。試合には「時と場合」があり、それに併せて適宜のスタンスを取るのが理想。また、多くの選択肢から工夫を併せて選択していくのは、日本の歴史を見ても「伝統」に一番近い思想な様な気もするが。
閑話休題。とりあえず、自分はこの試合をそう受け取った訳だ。
完全ブレーキの平山と、この日ばかりは疲れの見えた大竹。これではこの日の東京ではこれ以上の得点は取れない。交代策も厳しいカードしか残ってなく、当然の守備的采配だった。また何より、磐田が相変わらず力強さの感じられないチームのままだったことも勿論、この策に傾かせた要因。
要所要所で良さは勿論出たかもしれないが、守りきるべき試合でこうなってしまったんだから、守備陣には厳しい注文を付けざるを得ない。茂庭はいつも通りのドタバタ感。ボールカットをダイレクトで前線に送るキックは、ある箇所ではなかなか鋭い狙いに感じられたキックもあった(要するにカボレがそのエリアを狙っていて欲しかった)。しかし、それが「空に向かってクリア」し続けたキックと混ざってしまっては、ブーイングになってしまっても仕方がない。後述になるが、ボールを奪ってから落ち着いて相手の逆を取り、ゆっくりとマイボールにし切っていた日曜日のU-18畑尾・藤原に比べたら何とも情けないところ。ブルーノは高さを見せたが腰高感が少し裏目に出る場面もあったか。前線へのドリブル、またその際のドリブルコースの見つけ方の上手さを考えると、やはり個人的にはボランチなんだよな…そして池上。交代出場後あまり目立たなかったのは、悪い意味でか。読みとポジショニングは小平でも良さを見せてきているだけに、あとはそのポジ取りの良さが生む「相手ボールホルダーとの対峙」の時に、バチンとしっかりボールを奪いきることか。良いところにいてくれた→でも奪いきれないという悔しい循環が、池上はまだ多い。
激勝の後で難しいモチベーションコントロールだっただろうが、東京の良さは個々でしっかりあった事、そして相手が非常に悪かったこともあって、悔しい引き分け。願うは、字面だけでは「劇的」だった同点劇に酔って、磐田が問題点を先延ばしにし続けてくれることだろうか。
個人評を二つ。まずは梶山。
粘着ぶりと高精度のロングボールが冴える、良い梶山がやっと観れた。守備での貢献は確かにもっと欲しいが、及第点だろう。特にこの日はトレスボランチの中央。一番深い箇所から多くのボールを捌ききった。多くの相手の寄せをヌルリとかわしてからパスを散らすことで、多くの場面で金沢がフリーの良い形でボールを受けることが出来た。個人的には前目で梶山を使うことがキライ。大竹との分業でここ最近はハッキリとしてきたはずだが、梶山の良さは、ラストパスよりも展開パス。深いところで攻撃の合図を鳴らし続けることが、最大限梶山の良さを発揮する形だと信じている。今はその理想の形で、梶山がブイブイ言わせ始めてきた事を素直に喜びたい。
そして平山。肯定的平山ウォッチャーのオレから見ても、酷い出来。
巷では城福サッカーとのシンクロ度を問題にしている話題もあったが、そうではないと個人的には見る。フィニッシュに近づくにつれ大きく動く動作を必要とする城福サッカーでは、最初のクサビの時にしっかり収まること、動く時間を作ってくれることは間違いなくアドバンテージ。それを一番やってくれるはずだったのが平山。実際に開幕戦の平山の出来には満足していたし、それまでの練習試合等ではそのアドバンテージがmoving footballに貢献していた。
しかし、今は違う。単純に、コンディションが悪すぎる。
見た目の感覚問題になってしまうが、平山っていうのはああ見えて「あれ、もっさりなのになんか速い」と思わせるときがある。それは一歩目のスタートタイミングの早さだったり、そもそもの一歩目の速さ、またその為の準備の速さ、それぞれが合わさって「見た目以上の速さ」を見せるときがある。個人的にその感覚を「平山の調子の目安」としているが、それが今は全くない。調子が悪すぎる。それだけ。
まぁそれにずっと、一番苦労してるわけだけど。あと、「平山は褒めて伸ばすタイプに決まってんじゃないか!」と平山コールを続けるのはキライ。いや、「褒めて伸ばすタイプ」ってのは間違いないんですが。ホント、小嶺臨時コーチを呼んできて欲しいもんだ(徳永とまとめて、ガツンと)。
平山のグダりぶりを「コンディション不良」と片づけるのは、ある意味肯定派らしい意見だなぁと自分でも思うが。しかし平山のプレースタイルがmoving footballに間違いなく貢献できると信じているから、復活を心待ちにしている訳で。とりあえず平山は「自分の中でのサッカー観」を早く捨てて欲しいところだ。「自分ルール」のボールキープ・パスではなくて、チームに則したプレーぶりを。平山の一番の問題は「戦術理解度」とその表現にあるのかもしれない。
しかし、バービーボーイズのためとはいえ、こんな長時間SMAPを見るなんて、苦痛でしかないんですが…月9の不備を本人が埋める、この茶番ぶりよ。