知らない方にとっては「ゴシアカップって何だよ?」「そんな大会に何で行ったんだよ!」という話もあるでしょうが、それらの説明を後回しにしてまず感想を述べれば…とにかく最高でした!みんな絶対に行った方がいいって!!
ということで、来年以降ゴシアカップに参戦しようってクラブ・サポーターの参考となる様、必要そうな情報をWebの海に投げ込んでおきます。これで少しでも、ゴシアカップ遠征行こうかな?って迷っている人の後押しになれば幸いです。
・ゴシアカップとは
ゴシアカップとは、スウェーデンで1975年から続く歴史のある大会であり、育成年代における世界最大規模のサッカー大会(フェスティバル)でもあります。男女それぞれU-11~U-18など各10以上のカテゴリがあり、その大会規模は2018年大会においては…
- 参加チーム:1,731チーム
- 参加国:78ヵ国
- 実施試合:4,424試合
- ゴール:19,506ゴール
と、世界最大の名にふさわしい、とんでもない規模となりました。
この大会に、毎年Jリーグは前年度の最優秀育成クラブを派遣しています。そして今回は、2017年度受賞クラブであるFC東京が”Jリーグ代表”として、大会の最大権威であるBoys17Eカテゴリ(GOTHIA TROPHY)に参戦しました。
ちなみに、2018年度大会においては、Boys15カテゴリにJリーグ選抜チームが、Girls17Eカテゴリに日テレ・メニーナが参戦し、日本からの参加クラブは計3クラブでした。
ということで、そんな大会で戦う彼らを応援したいと、勝手にヨーテボリに行ってきた次第です。
・ヨーテボリにいこう!
ゴシアカップが行われるのは、スウェーデン第2の都市であるGöteborg(ヨーテボリ・イェーテボリ)です。世間的には、名前は知っているけど…程度の認知度かもしれませんが、
と様々な顔がある、歴史の街でもあります。
ヨーテボリへの行き方に関しては、詳細はググって貰えればですが、ここでサラッとポイントだけ記載しておくと、ストックホルムorコペンハーゲンから鉄道で入るのを併せて検討するのがコツかと思います。つまり、選択肢としては…
の3つです。いまいちピンとこないかもしれないですが、それぞれ
って感じの位置関係でイメージするのが分かりやすいかと。大阪に行くのに、関空なのか、東京or博多から新幹線使うのか?っていう。
どれを選ぶかはフライトスケジュールや費用などで都合がいいものを選べばいいとは思いますが、個人的な印象としてはどれも一長一短です。ランドヴェッテル空港自体は大きくはないので、トランジットを考えると時間・費用的にどれもどっこいなはず。
自分はコペンハーゲンルートで行きました。コペンハーゲン・カストラップ空港に直結の鉄道駅にはスウェーデン国鉄(SD)が乗り入れており、ヨーテボリまで電車一本。SDのWebサイトから予約も簡単で、数千円程度で済みました。コペンハーゲン観光も出来て超楽しかった!
・ヨーテボリに向けてこれやっておこう
これも詳細はググった方がですが、キーとなるのは
- 先進国キャッシュレス化No.1スウェーデンは街ナカ屋台もクレカ決済オンリー
- SIM購入はコンビニでサクッとできるので、手順さえ予習しておけばハードル低い
の2点です。自分は1週間程度ぷらぷらしていましたが、結局スウェーデン・クローナを一度も両替する事なく旅行が終わりましたし、現金自体も見ることが無かったですね。旅行に向けて予め現金用意して持っていくかは、もちろん最後は自己責任でどうぞとはなりますが、少なくとも現金を両替するかどうかよりも、VISAカードを用意しとけるかどうかの方が300倍重要かと思います。
SIMに関しては「ヨーテボリ SIM」でググって出てくるやり方を予習しておけばOK。Pressbyrånもセブンイレブンも、コンビニは街中のいたる所にあるので困ることはないはず。ただ、SIMは棚に陳列されてる訳ではない場合が多く、レジの人に話しかけて裏から出してきてもらう必要があるので注意(それを知らずに探し回った…)。
あとは海外旅行共通の、定番の下準備として…
- 利用する空港のフリーWiFi事情を把握しておく
- GoogleMapのオフラインマップ機能は超便利
オフラインマップ機能、知らなかった…超便利だった…
・”ゴシアカップの街”とは
世界最大規模の大会であるゴシアカップともなれば、行われる試合数も前述の通り4,424試合にもなり、それを一週間足らずでこなすためには、それだけのグラウンド数が必須となります。
そのため、会場であるヨーテボリにはなんと、街中や郊外を含めて何と103個ものグラウンドが!正直、これが一番衝撃的でした…
当然、必要なのはグラウンドだけではありません。例えば4,424試合を捌く審判員を用意するのだって労力ですが、方やこれだけのレフェリング機会を男女関係なく創出できているという側面は、スウェーデンのサッカー国力に直結する話でもあります。また約3万人もの選手を受け入れるため、宿泊施設は夏休み中の校舎に布団を敷いて雑魚寝という”割り切り”もみられました。
ヨーテボリという街自体はそれほど大きくはなく、市内を走るトラムに乗って数駅行けばすぐに丘陵地帯といった、こじんまりとした印象です。
ただ、そんな街がホストシティとしてこの世界最大規模の大会を、ある箇所では豪華に、またある箇所では質素にと、メリハリをつけながら完璧にオーガナイズされている様子には大変驚きました。
メイン会場のひとつであるHeden地区は、中央駅から徒歩数分程度の場所にあり、大会本部に加えて、1つのメインスタジアムと4つのピッチが集合していました。そう言うとJヴィレッジのような立派なフットボール施設を想像しがちですが、実際はだだっ広い空き地に人工芝マットを敷いた程度のものに過ぎませんでした。
またメインスタジアムであるSKE Arenaなんかは、人工芝マットの周囲を仮説で足場を組んだに過ぎない代物。それが常設なのか、都度壊しているのかは不明ですが、実際にその会場で観戦してみた感想としては「必要十分」。
もちろん、これが日本でそのまま容易に実現できる訳ではないでしょう。法律も気候も土地事情も、スウェーデンと日本では大きく異なるであろうことは想像できます。
ただ、日本はガッツリと全部盛りを最初から求めすぎてるのかな、それによって機運とスピード感が一気に遅くなるのであればもったいないな…そんなことは思いました。
そういう意味では、これほど規模が大きいとは言えど、大会自体の印象は「牧歌的」なものだったと言えるかと思います。
・絶対に参加すべき!世界中の火力高めサッカー好きが集う「開会式」が超楽しい
牧歌的、と表現してからほんの数秒足らずではありますが、第1日の試合終了後に行われる「開会式」はそれとは真逆の様相。とにかくカネがドバドバつぎ込まれ、化学調味料を山盛りぶち込んだ様な演出てんこ盛りでとにかく最高すぎたんだ!!
会場のUllevi Stadiumは、中央駅から徒歩10分程度の都市ど真ん中にある4万人収容のスタジアムで、まるで長居陸上競技場のような佇まい。そこに約3万人の選手と、チームに帯同するスタッフたち、あと自分の様な物好き一般客とで、スタンド+アリーナ席は超満員札止め状態。
まず入場前のスタジアム周辺の喧騒から面白い。W杯に現地参戦した事のある人であれば、あの会場周辺の多国籍な幸福空間は想像しやすいかと思いますが、それがW杯以上の「78カ国」で構成されるわけだから、単純にW杯の倍以上に楽しい。
加えて、W杯イヤーの開催にたまたま行けたことも非常に良かった。ゴシアカップの大会自体がW杯決勝のちょうど翌日からだったため、いたる所でW杯ネタがイジられまくってる!
例えば…ブラジル選手団が歌って踊っている横で、ガーナ選手団がネイマール痛がりいじりとか。
例えば…イングランド選手団を見つけたクロアチア選手団が、敢えて目の前を無理矢理に横切って、イングランドにバチボコブーイングされたりとか。
けどフランス選手団入場の際には「2018W杯チャンピオン!」として紹介され、ビジョンには決勝の様子が映し出され、スタンドみんなから祝福されたりとかも。
こうして見てると、これほどの様々な国の人が同じものを見て、同じく熱狂して、言葉が通じなかろうとそれを前提にコミュニケーションが図れるサッカーって、改めて凄まじいなと。しかもいる人間の殆どが、強烈なサッカー好きであり、かつ人生50年で一番火力が強い10代の少年少女だから、バチりあいが大艦巨砲同士すぎる。
開会式ではその火力が最大限に放出され。また煽る開会式演出もコッテコテにベタ極まりない。
韓国選手団が入場する時は江南スタイルだし、南ア選手団のときはシャキーラだし、ブラジル選手団はサンバデジャネイロだし。アイスランド選手団のときは、あえて曲を止めてバイキングクラップ煽ってからのマッシュアップ。何たるベタ。
しかも謎に生歌生バンド主義で、どれも歌手がゴリゴリに歌いあげる。絶対あいつシャキーラじゃないのに。つまりカラオケ。でも関係ない。火柱はガンガンあがるし(しかも天然芝の上に養生無しで設置)、最後にはWWE並みのファイアーワークス(しかも天然芝ry
Amazing opening ceremony for the Gothia World Youth Cup #gothiacup2018 #GothiaCup #gothenburg #sweden #football pic.twitter.com/xxxtTX4Tem
— Rita Gupta/ co-owner LGFL Ltd (@LGFamilyLawyers) July 16, 2018
たぶん、本チャンのW杯とかオリンピックとかだと、開会式にある程度の土着感とコンテンポラリーを強要されるところがあるけど、ゴシアカップはそんなの知るか!とニンニクマシマシで超サイコー!!ゴシアカップに行こうと思う方がいれば、開会式には200%絶対に参加した方がいいぞ!!
・Gothia Cup 2018 FC東京U-18戦記
U-18は高円宮杯プレミアリーグ公式戦とクラ選初戦がちょうど重なる日程、かつU-23も絡んだりと、クラブとしては選手繰りに非常に苦労をしたかと思います(U-23が絡む問題なのであくまで自己都合)。結果的にはU-17カテゴリながら2年生+1年生+U-15深川むさしからも3名を加えた、幅広いメンバー構成に。ただ同行スタッフは中村忠・右田聡と躊躇のないものともなりました。
また、Jリーグからの派遣という扱いなのもあって、日程もかなり余裕のあるスケジュールに。大会初日から数日早くに現地入りしミニキャンプを実施。調整試合もこなしてから大会に臨めるという好待遇でもありました。
それもあってか、はたまた忠さん右さんの性格上もあってか、初戦からわりと妥協のない本気スタメン編成でこの大会を進めていた様に伺えました。外国の選手を相手に、やれるメンバーやれないメンバーはハッキリと分かれましたが、それが出場時間にも反映されていた。
ただそれが最終的に、準決勝での敗退に繋がるわけで。
単純に相手の戦力としては、準々決勝のBK HÄCKENの方が強かった。あの体格で止め蹴りの角度の作り方とか完璧だったし、あえてのコンタクトで剥がせもするからボールが奪えない。相当に強烈だったけど、相手が2位抜けの当日2戦目だったから終盤で体力がガクッと落ちて、それでウチがPKで勝てた。
それに比べれば準決勝のIFK Göteborgの方が弱かったけど、今度はウチの蓄積疲労が火を吹いた。純カラで技術も何もあったもんじゃなかった。
ひとつは、優勝するのであれば6 or 7試合を6日間で連続して戦う必要があるわけで、準決勝であれだけ純カラになってしまったら、そもそも優勝する資格が無いということになっちゃう。単純な話をすれば、W杯優勝したい!って口にする選手がいたら「じゃあ7試合戦う準備できてますか?」ってこと。優勝できる選手になるための体力、技術ってのが身に沁みたと思う。
加えてもう一つはその手前の話で、体力純カラな中でも、ピッチ上で「それでもクオリティ踏ん張れるか」。やっぱ体力の減少ととともに、もしくはその下げ幅以上に、クオリティ低下を個々が食い止められなかった。ピッチ上にまだ立っていて、時計の針も動いているのであれば、その中での「それでも」を、個人的にはもっと食い下がる姿が見たかった。
そういった、やれたこと、やれなかったこと、やる機会も得られなかったこと、全てひっくるめて貴重な体験だったことは間違いなくて。もちろん、カネ出してもらったJリーグに対してこの結果がどうだったのかってのはあるかもしれないけど。でも現地の観客からの「コンニチワ!コンニチワ!」って煽りに、FC東京U-15むさし所属ながら参加となった高橋安里がアップしながら「こんにちわ!!!」って観客にアンサーかましてくれる様子とか見てると、やっぱりこういう場と機会は有り難いなと。
この機会を与えてくれた、これまでの先輩たちへの感謝を忘れずに。今後のサッカー人生で恩返しする姿に期待したいと思います。
ちなみに同じく大会に参加していた日テレメニーナは、ウチらと同じ17Eカテゴリで見事に優勝!
ウチとは違って、無駄な摩耗を極力させない位に、技術力で相手と差をつけていたかなと。全体的にはもうちょっと、2秒先の未来を予測して、その逆を突くような感じが増えてくると、より読ク魂を感じられて楽しめそうだけど。それが出来ていたのは18番の選手だったかな。ちょっと気になる。
しかしヴェルディ・メニーナサポはせっかくの快挙なのに誰も来てなかったなぁ〜それで良いのかぁ〜?(急に青赤っぽい煽りスタイル)
・ゴシアカップ絶対に行った方がいいぞ!
ということで、ゴシアカップは最高の環境で最高の体験を得られる、最高の大会でした。行くまではかなり不安もあったけど、サポーターとしてもW杯に行ったときのような体験の連続で、本当に楽しかったです。ヨーテボリ、いい街だったなぁ。またU-14で組まれたJリーグ選抜の選手たちも含めて、選手スタッフにとっても、きっとこれを今後の財産にしてくれるはず。
この様な機会を彼らに与えてくれたJリーグにも、いちサポーターとして感謝を述べさせてください。ありがとうございました!
そして、今年最優秀育成クラブ賞を受賞したトコのサポーターは、来年もゴシアカップ遠征がきっとあるはずと身構えておいて欲しいし、もし派遣されるとなれば是非サポーターも行って欲しい!
ゴシアカップ2019の日程は、既に7/14〜7/20とリリースがされているので、Jリーグアウォーズで受賞が決まったら、そこでもう7月16日〜19日の有給を取ってしまおう(海の日連休なので、有給4日でOK)。
世界にはこんな面白い大会があるんだなぁと勉強になりました。また、せっかくJリーグが数年かけての素晴らしい取り組みなので、大会自体も含めてもっと世間に認知してくれれば良いなぁ。そんな価値が十分ある、今回の遠征でした。