感謝を繋ぐバトンを握って… FC東京U-18 2017シーズンプレビュー(気が向いたから選手紹介付き)

高円宮杯プレミアリーグEAST最終節での敗戦によって、思い描いていたよりも1週間早く終わってしまった16シーズン。しかしその2週間後には、休む間もなく17シーズンが始まった。

Jリーグが主催するインターナショナルユースカップに参戦したFC東京U-18は、この大会にて新3年生を中心とした新チームをお披露目。海外から招聘した強豪チームと身体をぶつけ合う機会を早々に得る事ができた。特に対フィゲレンセ戦はYoutube上からでも様々な示唆を得られる位に、非常に見所のある試合となり、12月という早い時期にこの機会を得られた幸運を実感する事となった。それもこれも、Jユースカップで優勝という結果を残せたからである。

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昨シーズンのFC東京U-18は、クラブユース選手権・Jユースカップと全国二冠を達成。それによって高まったチームバリューは、プレシーズンに多くの大会に招待頂く形となって表れた。インターナショナルユースカップのみならず、春先には前橋招待・サニックス杯に久しぶりに参加、強豪校に進学したU-15時代の仲間たちと成長を確かめ合う機会にも恵まれた。

これに毎年おなじみイギョラ杯、UMBRO主催のGACH1-TR【ガチトレ】キャンプ、何よりU-23J3参戦シーズン2と、FC東京U-18としては3月はなかなかの繁忙期となった。高校入学前の新1年生選手も含めて、非常に多くの選手たちが質の高いプレー時間を積むことが叶ったが、それらは昨年のチームが遺してくれた財産とも言えるだろう。そして仕上げの最終週にはドイツ遠征へ。マインツ訪問もまた、アカデミーの歴史が財産として活きた例であった。


今年のチームは果たして、次代にどんなバトンを残していけるだろうか?

「結果」という観点となると、引き続きFC東京U-18はEAST他クラブに比べて難しい立場にある事に変わりない。FC東京はEAST唯一のU-23保有クラブとして、昨年に引き続きT1-プレミア-J3の3ディビジョンを戦う事となる。

選手が揃わない事、もしくは選手が揃って”しまった”事といった不安定さが、良しにも悪しにもチームに影響を与える事を昨年大いに学んだ。その波を受け止めつつ、得るものを増やしながら失うものを減らす。勝ち点を掴むための作業は、より精微さを求められることだろう。

その幸せを是非噛み締めて欲しい。どんなクラブよりも細部を求められる環境であると、胸張っていい。真正面からその難しさに向き合った先に、勝負の神様はきっと宿る。次代へと繋がるべきバトンは、こうして自然と形作られていくだろう。

「勝ち点を計算できる相手チームが1つもない」とは佐藤一樹監督も常々口にするが、これは全ての人間が同じ想いだろう。降格と優勝が紙一重の熾烈なリーグ。しがみつくに値する、最高の環境。FC東京U-18はいよいよ本番「高円宮杯プレミアリーグEAST」に挑む。

4/8(土)1300KO、味スタ西競技場。相手は昨年のクラ選ファイナリスト、清水ユースとの『再戦』。先代からのバトンと感謝を携え、FC東京U-18が走り始める。


気が向いた時にしかやらないU-18選手紹介。3年生+2種登録選手をご紹介

  • 16 GK 高瀬 和楠 U-15深川時代は廣末陸を、U-18時代は波多野豪と偉大な「兄」の背中を見て育ってきたGK。弟キャラのお調子者は、緊張しいでポカもするけど、後押しする程に頼もしく。そして大舞台でこそ輝けるタイプ。
  • 2 DF 坂口 祥尉 CB、SBを高いレベルでこなす様子は、ワッショイ兄やん曰く「風格を漂わせる職人気質」。しかし実際は衆目集める系のキラキラさを包み隠さない、東京の太陽。総監督を愛し、総監督に愛された?男。サンシャイン祥尉が東京を照らす。
  • 3 DF 篠原 新汰 昨年のクラ選制覇。その始まりは、負傷中の新汰が親御さんを集めて行った円陣からだった。「緊張しているのは親御さんより選手です。選手をほぐしてやってください」親御さんすら纏めたそのキャプテンシーは、腕章の有無関係なしに絶大な効果を発揮してくれるはず。
  • 4 DF 長谷川 光基 昨年、J3と同時進行のJユースカップで一気に台頭してきたCB。ガッシリと成長した体格で相手とボールを弾き返せるパワー系。横からのボールを枠に叩ける能力も高く、CKではゴールゲッターに変貌する「昭和のイケメン」。
  • 5 DF 岡庭 愁人 もはやJ3でもおなじみとなった、青赤サポ好みの弾丸SB。レジスタFC仕込みの「王者のメンタル」が、シンプルなプレー選択で最大の急所を突く。さあみんな、今のうちにオカニのサインを貰っておこう!
  • 6 DF 荒川 滉貴 本人曰く「持ってる男」はクラ選R16横浜FC戦、Jユースカップ決勝広島戦と、要所でのゴールで有言実行。今年はスタートからDF登録でサポを驚かせつつ、けど結局はどこのポジであろうと変わらず「ゲットゴールあらこー」。
  • 7 MF 杉山 伶央 相手の網目をスラロームの様に泳ぐ心地良さと、方や物怖じせず相手とのコンタクトを厭わないプレーぶりが、いつも相手サポの目を惹いてきた。165cmながら誰もが意識せざるを得ない「小さな巨人」。
  • 8 MF 小林 真鷹 やさしい顔立ちからは似つかないプレースタイルは、身体的な無理を効かせつつ相手のボールにリーチする米本系。鷹狩りボランチが目指すべきは、その次の精度。近くと遠くとスキマを見通す「ホークアイ」を掴んで欲しい。
  • 9 MF 吹野 竜司 昨年Jユースカップでのクロージング出場で台頭してきた選手ではあるが、それもT1リーグ14試合をスタメンで戦ってきた賜物。追わせ、ドリらせの活動量が非常に「深川的」な選手。流した汗の量だけ、チームの勝利に直結する。
  • 10 MF 小林 幹 U-12より都内で天才と呼ばれてきたナチュラルボーン。実績乏しい中でゼロックス杯に招集された事実は、大きな期待と重い責任を促すためのもの。それに応えたJ3での2ゴール、待ちに待った覚醒の時は近いはず。幹よ、青赤のベルカンプとなれ。
  • 11 MF 横山 塁 プレーチョイスには成り上がる野心を漂わせ、ピッチ上では味方との衝突も辞さない、強気なやんちゃ大将。しかしそのやんちゃさこそ、真にチームに必要なものなはず。塁のあの、まるで尾崎豊の様な雰囲気が、たまんねぇんだよ。
  • 13 FW 吉田 和拓 強靭なフィジカルで前へと進められる今年のエース。一樹トーキョーの生命線たる「ペナ角」の今年の担い手ではあるが、重要なのはもちろんその先。「カズ」を冠するFWたるもの、求められるのはとにかくゴールのみ。
  • 14 FW 原 大智 元々抜け出しが得意なFWであった彼が、今年は登録187cmまで成長して”しまった”。相手を背負い、空中戦を制する様なハイタワー業務はまだまだこれから。J3でペシャンコにされた経験をまずはU-18でぶつける。小林幹とのあうんの呼吸が凄いの「なんでだろう~」。
  • 18 MF 品田 愛斗 長短のパスは精密機器の様に正確で、それは蹴り姿の美しさを見れば一目瞭然。長期の怪我に苦しんだが、新人戦決勝では復活の狼煙となるゴールも決めた。将軍の復活を今年1年追いかけたい、個人的な想いで言わせてもらえれば「俺はマナトで優勝したい」
  • 15 MF 久保 建英 幼くて小さいタケのイメージは即刻改めるべきだろう。昨年登録から身長は3cm伸び、フィジカルコンタクトではU-18年代でも相手と「戯れる」レベルになった。U-20日本代表でもFC東京U-23でももはや主力級、U-18卒業のカウントダウンは既に始まっている。
  • 23 MF 平川 怜 360°のプレーサークルを駆使し、ボールも相手もコントロール。セントラルでこそ輝く彼の技術、そのルーツは小学生時代のフットサル技術から来たもの。日本の育成メソッドの未来形を示す彼を、特にフットサル系ライターはすぐに取材に行くべき(ただし安藤隆人と六川亨は除く)