何だかんだで、土曜日の勝ち点3は相当安心した。おかげで、気分が良かったんだろうな。Jリーグタイムをバッチリ視聴して(山本浩サン登場にビビった!)プレミアでユナイテッドの逆転フルボッコを視聴した後も、この日amazonから届いたDVDを見始めるという死亡フラグに手を出してしまった。おかげで大分→小平直行並みのしんどさで迎えた午前11時。オレのせい以外の何物でもねぇな。
- 全国屈指の切り替え合戦
東京は18山崎の所で収まった後の展開、7星のカットインと3阿部のぶち壊し、さらに15佐々木の仕掛けで突破を計る。養和はターゲットの9木村にまず収める得意の形から、全国屈指のテクニカルな中盤が厚みを付ける攻撃。しかし両者その得意の形が実らない。
前半は終始互いを潰す展開に。そんな相手の良さを両者が消し合う展開、というと面白味に欠けるものを想像するけれど、その為に両者こなしていたタスクはユーストップレベルと言っていいモノだったはず。
行われていたのは徹底した球際の厳しさ、やらせてたまるかといった気迫をビシバシ感じるぶつかり合い。そしてその一つ前での共通認識である「切り替えの速さ」。これが両者凄い。互いにチーム力が攻撃<守備だからどうしてもお互い攻撃でミスをしてしまうけれど、バチンと切り替えて即座に奪い潰してしまう。その応酬。めまぐるしい展開に息もつけず。
得意な形に入ってしまえば、即危険なフィニッシュにまで持ち込まれる。前半、9木村に綺麗に入った形は恐らく1本のみだったが、その一本で惜しい形にまでしっかりと作りきってみせた養和。だからこそより、それ以外の場面では平出・松藤の両CBがこれでもかと厳しく潰しにかかる。周囲のサポートも迅速。危険な選手、危険なプレーに対しての警戒レベルがかなり高い。
これらは倉又監督の日頃の鍛錬の成果とも言えなくもないが、しかしこの日この試合に限っては少し違ってくるのだろう。東京の選手が身をもって知っている相手の実力が、自然とさせたプレーだったのではないだろうか?
- ライバルへのリスペクト
所詮エリートな両者である。東京でサッカーをしていれば大会の上位に進むほどいつも顔を合わす顔ぶれである。東京という器の中でずっと争ってきたライバルである。
それでいて、国体では同じ釜のメシを喰い、同じ目標に向かって突き進む仲間でもあった。危険であったライバルのプレーが、今度は味方となって己を助けてくれる。その繰り返しを何年もしてきた間柄、同年代に生まれた宿命。
そうして自然と生まれるのはリスペクト。「キム(9木村)のキープじゃ負けるはずがない」「祐輔(1原田)のキャッチングはさすが」初戦前橋育英戦の勝利後、第2試合に登場した養和の選手達に真剣な眼差しを向け続けていた東京の選手達。その様子はリスペクトに満ちている様に見えた。
良い部分も悪い部分も知りつくしているライバル関係。ヤツにアレをさせてはいけない、本能に染みてるんだろうな。だからそれが危機察知を敏感にさせ、こういった試合展開を生んだ。いわゆるトップのダービーとはまた違うダービー、これが育成年代のダービーなのかもしれない。
- 強風が生んだドラマ
拮抗した試合を動かしたのは、試合開始時から強く吹く風だった。風上・風下の生まれない、右から左へ横断する様な強風に両者恩恵を受け、また苦しんだ。
先制は養和。左SBの2早川はかなり浅い位置から豪快に左足を振った。この超ロングシュートは向かい風に逆に綺麗に乗ってグングン伸びて東京ゴールのバーを直撃、これを8田中豪が詰めた。さらにその後の東京CK、養和のクリアボール処理をハーフラインでもたついたところを養和にかっさらわれて独走される。ファウル覚悟で止めた26松藤は1発退場、東京は10人になる。
数的不利が生まれた。拮抗が崩れる。しかも東京は0-1で負けている。しかしここで絶好調の男が個人技を魅せる。
18山崎は前半からキープは出来ていたが養和の守備意識とブロックの分厚さに、その後の叩きパスがことごとく取られていた。それが67分、バイタル左寄りでボールを受けると中央にスライド、キックフェイント数発でタイミングをずらしてドカンとミドル、これがスルスルッとゴールに収まった!またしてもナオのミドル!Pick up playerでこの前書いといて良かったぜ、つか書いてなかったらタイミングを逃すところだった(笑)ホント3月のナオと4月のナオが全然違うんだよ、逆に3月のナオを観て欲しかった。人数少ない東京にとって価値ある同点ゴール。
こういった展開になり、両者のゲームプランとその遂行が問われ始めるか、と思ったところで東京はCK守備でファウルを取られて養和がPKを得る。このジャッジは外野には全く意味が分からなかったが、キッカー10玉城はサクッと決めた。1-2。
これで一気にゆとりを持った養和は、数的優位を有効に使いパスを回し始めた。この試合初めての、明らかな劣勢が東京に続く。ボールを奪えても攻撃はすぐにガタイの良い養和DF陣に弾かれる。そんなこんなで追加タイム4分の4分目、90+4分経過の東京ラストプレー…
とにかく強引にでも中央に入れて行かねばならなかった東京は、ロスタイムに入ってからずっと、人のいないサイドに振っては浅い位置から放り込んでいた。それがこのラストプレーでは人混みが残っている左サイドにボールが来る。しかし狭いエリアの中で受けた3阿部は、虚を突くタイミングにフェイントを交えて、相手DFに囲まれていながらセンタリングを上げきった。中央待ちかまえている養和DFからすれば、ブラインドから想像していないタイミングで放り込まれたセンタリングに、併せるのは…青赤!ヘディング一発、綺麗な弧を描いてネットに吸い込まれた。
うっしゃー!
喜ぶ選手。喜ぶ外野。みんな喜びすぎてて、誰が決めたか分からねぇ!
試合再開と同時にFT。結局最後、殊勲ヘッドを決めたのは梅内だったらしい。ラストプレーでの同点劇で2-2に終わった。
- オレよりも養和戦を楽しみにしていた人がいたんですよぉ〜
東京としては当然、人数も少ない中での負け試合を劇的同点に持って来れた。逆に養和は勝ち試合を落とした様なモノ。試合後の両者の表情は対照的だったけれど、観客への挨拶後には選手両者が混じり合って談笑しながらピッチを後にする姿も見られた。ラグビーじゃないけど、ノーサイドの精神。育成年代でのダービーはこうである。
前日の大分と同じ、ラストプレーでの劇的ゴールにやっぱり彼等は青赤の血が流れているんだなぁと、しみじみ思うしかないよね。
しかしそれ以上に、やはり養和戦は鉄板なのである。養和が良いチームなのは言わずもがな、両者気持ちよく、しかし必死に勝利を目指すぶつかり合いも間違いないから絶対面白くなる。そんな養和戦が、自分はいつも楽しみだし、世間でもかなり上位にはいるくらいに楽しみにしてる人間だって自負してる!と胸を張りたい思い。
けどやっぱり、この人には負けるかなぁと認める人もいる。この人の愛情にはかなわないわ、ってさ。
今日もご来場ありがとうございました、畑尾様。今回は楽しめたでしょうか?またのご来場、いつでもお待ち申し上げております、キャプテン!