お出かけ前にちょいプレビュー。
全体練習後に若手選手で集まって、必ずと言っていいほど行われている居残り練習。通称「奥原塾」とでも言うのだろうか。この成果がここ最近、確実に現れ始めているのだから凄い。まさかこんな短期間で面白い戦力達になろうとしているとは。
既に先発済みの吉本・大竹は言わずもがな、だろう。矢野・矢島と高フィジカル系FWに対してぶつけられてきた吉本がもし今日も先発だとしたら、柳沢・パウリーニョの機動系2トップを続けてきた京都攻撃陣とぶつかることになり、吉本にとっては「新しいチャレンジ」となるだろう。もちろん、その後にあろう「田原投入」対策の面のが色強いだろうが、それでも新しいステップとなることは間違いない。大竹に関してもそう、新しいステップ。ここ最近のフィーチャーぶりは嬉しいやら、もうちょっと隠しておきたかったやらでもどかしい、そのプレーぶりはニヤニヤが止まらない。個人的に大竹のプレーの特徴は、去年のサハラ杯大分戦の岡田へのアシストのような「ボールをサイドで持ち、中央へナナメ前へドリブルしてのプレー」だと思っている。がそれが今後近い将来には相手のスカウティングで徹底して封じてくることになるだろう。具体的には、ナナメ前に動けていたのが相手の強引なパワーで押し返されて真横にしかドリブルで動けない事になると思う。こうなった時に大竹は初めてプロの壁を、ちょっとした挫折を味わうことになり、それをどう乗り越えていくかが大竹の今後のポイントになってくると予想している。ただ、プロになれば当然ぶつかってもらわなければ困る壁であり、高校を卒業したばっかりな新人だと思えば、この壁はあまりにも早い登場となりそうなことがとにかく嬉しいではないか。例え壁にぶつかろうとも、現在の強烈な成功体験に餓えることになれば、大竹ならば越えてくれることを信じているし、また本人のその辺の自覚がありそうなのは頼もしいことだ。何より、今まだ壁にぶつかってもいない大竹についてこんな妄想を走らせることが出来ることが幸せじゃないか。
先発出場という結果を出した2人だけではない、他の塾生だって素晴らしかった、木曜日の流経大戦。目立ったのはフレッシュさのまるでない一本目よりも、塾生達が輝き始めた二本目・三本目。
スタメン組抜擢ながらも今回はケガでお預けとなりそうなのは小山。流経大戦では右SBを一本目が藤山に任せ、ベテランの経験で徳永の不在を埋めようという意図が見えたが、これはこのTMだけで言えば失敗だった。スコアを見るだけでも十分なので詳細は避けるが、この日はその後の小山の方が断トツの出来だった。常にオーバーラップのタイミングを見計らう事でのトイメンへのプレッシャー。プロに入って手にしたらしいウェイトアップされたフィジカルを、今は楽しくて弄んでいるかのようにバンバンぶつけていく強烈な(けどちょっと怖い)ボディコンタクト。機を見て上がればなかなか考えの通った強烈な仕掛けで縦への気持ちを強く押し出す姿勢。それぞれが見ていて気持ちよかった。今回はダメだったが、近い将来、むしろ今週の3連戦、ケガが軽傷であるならばチャンスは必ず巡ってくるだろう。
そんな小山よりもこの日イチバンの活きの良さを見せてくれたのが椋原。久しぶりに見たが本当に良くなっていた。小さな身体でも1対1に強いのは、あの脚の出し方の上手さにある。パワーでやられても、相手が強烈な突破を試みても、何故かボールは椋原の足元へ。あのスッと足を出す感覚が抜群に優れているのだろう。またこの日は最初左SBに入っていたが、膨大な運動量で上下動を繰り返し、練習の賜物である左足でクロスも入れていた。また三本目はCBに入り、吉本との嬉しいコンビも。空中戦の競りも、本人の体格差を心得た競り方を繰り返しており、本格的にミスタートウキョウの面影が強まっていた。
スズケンも成長の跡が。正直個人的には評価の低い選手であったが、練習からの意識の高さがこの成果を生んだのだろう事は容易に想像できる。武器である左足へのこだわりに、やっと周囲と「合わせる感覚」と武器を際だたせる「工夫」を備えつつあるかなという印象。昔はその左足の一振りが周囲と全くかみ合わずただの傲慢にしか見えなかったスズケンが大きな改善の兆しを見るところだろう。
同じ左足が武器の森村。スズケンよりも前めのポジションを任されるからか、スズケンとは違う特色が。とにかくボールを受けるための動きが格段に増えた。ボールをもらって初めて輝きを見せる森村が、ボールを受けるための動きに磨きをかけ始めたのは嬉しい変化。姿勢の良さと懐の深さから繰り出される左足は、サイドの陣取る際にはあの尾亦を思わせるような強烈なスワーブの高速クロスを相手の間に狙い、中央では相手とのタイミング勝負に競り勝ちそのスキマを絶妙なタイミングでラストパスを供給する。ミートの感覚がもっと面白くなれば、今週出番もあるかもしれない。
そして下田。いま東京で逆サイドに早くワイドに展開できる選手は、梶山か、もしくは下田か。言いすぎを承知であえて言わせてもらう。相手関係を差し引かねばならないのはもちろんだが、流経大戦での下田には正直、惚れた。短いパスで積極的にポゼッションに貢献しながら、機を見ては長いボールで大きくサイドチェンジをする展開力は、今野にはまだ「無い」。中盤の底で高卒1年目の選手にどっしりとスパスパ展開されたらワクワクしてしょうがない。守備だって面白い。今野ほど機動的ではないが(もちろん今野の機動ぶりが異常なのだが)、相手が中盤でボールを持って前を向くと、「残念そこは下田」が。それが完全にボール奪取にまで繋がりづらいのが現状かもしれないが、ボールホルダーに対して、下田が居れていることに将来を感じる。これからメキメキ伸びて中盤の底で君臨することになったら・・・
と、調子に乗って書き「恥」めたらもう時間が。プレビューも糞もない。まぁシステム変更で相手を抑えることに頼る京都の、思考を混乱させらればいい勝負になるかも、と。もう書く時間がありまへん。ただ、今週の厳しい3連戦が怪我人大量発生中の東京で戦力層が問われることになりそうな中で、強烈なイキの良さでウズウズしている塾生達が虎視眈々とスタンバイしていることを是非、アタマの片隅に留めておいて欲しい。
嬉しい下剋上は、今週から始まる、かも。
では味スタへ行ってきます。