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FC東京U-23が迎える"初めての夏"を初めてなりに考えてみた

J3第13節、FC東京U-23vs藤枝MYFCの試合を観に行った。

結果的には1-1のドローに終わった試合だったが、内容としてはFC東京U-23が勝つべきものだったと言える。攻守に相手を優位に進め、これまで7試合を見た範囲内だけで言えばベストの内容であった。

特に顕著だったのが、守備の充実ぶり。相手からボールを奪いに奪い切り、そこからシームレスにチャンスに繋げる速攻も素晴らしいものだった。

思えばDFラインにはOAの吉本に、トップで活躍していた小川諒也。特に小川の空中戦の強さは強烈で、SBであれを出せるのは日本でも数少ない素質であろうことを示した。
FWはユインス・平岡翼の2トップ。当初はまともに守備が出来なかった両者も、2トップでのやり易さなのか各人の成長の賜物なのか、挫けずに相手をよく追ってくれた。
そして中盤。野澤英之と組むのはU-18の鈴木喜丈。そして両翼を生地慶充と内田宅哉が務めた。この守備構成力が、これまでの試合を観てきた中では抜群だった。

そう、この試合はU-23において考えられる「守備の最大値」を導けるスタメン11人だった様に思う。もちろん、これだけのU-18メンバーが居ながらにして、いや、居たからこそである。


…と言い切ってしまうのは、FC東京U-18を応援し続けてきた身びいきがこう思わせてしまったから、かもしれない。しかし…

  • 攻→守の切替や、二度追い三度追いは、所詮当人の意識の問題
  • それがU-18の選手たちは佐藤一樹監督の下、これまでも当たり前にこなしてきた
  • チームがU-23に代わろうと、このメンバーが揃えば、あれだけの守備構成力はむしろ当然な代物だと言える
  • ただ、さすがに「奪い切る」ところまでは難しい。U-18とJ3の体格差は明らか
  • それでも所詮J3レベルだと「プレッシャー程度」レベルで相手が勝手にミスをしてくれるので、奪い切る域でなくとも一定以上の効果は期待できる。

カテゴリー差は消耗度に表れる。故にU-18の選手たちは終盤の疲労度が大きく見て取れた。ただ、それこそが成長の肥やしになるし、それが上述のようにJ3であれば「致命的」にならない。総じて、U-18の選手たちはJ3において「戦力」として良くやれていると思うのだ。

加えて藤枝戦では嬉しいニュースもあった。中島翔哉が戻り、室屋成が戻り。ようやく選手も揃いつつあることで、U-23においてもいよいよ席の奪い合い、待ち望んでいた「競争」が訪れるのか…

いや、事はそう簡単には進まないのである。

試合後にまずもった感想は「U-23でこの陣容、この守備の最大値を組めるのは、今年これが最初で最後かもしれないな…」。

そう、もうすぐ夏が来る。U-18にとっては、全国大会の夏が来るのである。


U-18の年間スケジュールは、主に3つのタイトルを目指す戦いが中心となる。まずひとつは、年間で計18試合を戦うリーグ戦「高円宮杯プレミアリーグ」。ふたつめは夏の全国大会である「クラブユース選手権(通称:クラ選)」そして3つ目は秋〜冬にかけて行われる「Jユースカップ」。大人たちが「Jリーグ」「ナビスコ杯」「天皇杯」と戦うのと同様にU-18のスケジュールも組まれ、クラ選は端的にナビスコ杯(改めルヴァン杯)の様なものと思っていただいて差し支えない。

当然、重要な大会だ。FC東京U-18は今年「3冠」を目標に据えてこれまで戦ってきている。J3なんかに出ている場合ではないのである。

そうなると、気になるのがJ3との兼ね合いだ。自分の整理のために、予定を振り返ってみる。

トップ U-23 U-18 その他
7/23(土) A川崎(1830) リオ五輪直前合宿(22日〜)
7/24(日) H大分(夢の島1500)
7/25(月) クラ選GL(群馬900or1100)
7/26(火) クラ選GL(群馬900or1100)
7/27(水)
7/28(木) クラ選GL(群馬900or1100)
7/29(金) クラ選R16(群馬900or1100)
7/30(土) A新潟(スワン1900)
7/31(日) H鳥取(西が丘1700) クラ選QF(群馬900or1100) ブラジル代表(ゴイアス0430)
8/1(月)
8/2(火) クラ選SF(西が丘 ??)
8/3(水)
8/4(木) クラ選決勝(西が丘 ??)
8/5(金)
8/6(土) H磐田(1900) 総理大臣杯初戦(大学)
8/7(日) A栃木(グリスタ1700)

クラ選が始まったら果たしてU-23はどうなるのだろう?との想定のもとに調べ始めたのがきっかけだったが、リオ五輪が丸被りなのが抜けていた。さすがにJ3のためだけに選手をブラジルから直行直帰させるわけにはいかない。現在の招集状況を一旦当てはめれば、翔哉、室屋、拳人は不在となる。

そして特別強化指定の大学生選手たち(矢島輝一、山田将之、小山拓哉)にとっては、これまた全国大会である「総理大臣杯」が待っている。中央大・専修大・法政大は共に、大臣杯出場を懸けた関東トーナメントに今週から臨む。だから現時点ではこの時期に3人がU-23に出場できるかは分からない。

こうして、7月後半〜8月前半に想定されるU-23メンバーは一番少ないパターンで考えると、ざっとこの様になる。

  • クラ選:波多野・高瀬・岡崎・蓮川・鈴木喜・伊藤・内田・生地・半谷・松岡・鈴木郁
  • 総理大臣杯:山田・小山・矢島
  • リオ五輪:中島・室屋・橋本
  • FC東京U-23メンバー:GK圍 DF小川・柳 MF野澤・平岡・佐々木・インス 計7人+OA3人=10人

百歩譲っても、これは破綻だ。


元々、今年のU-23の選手編成は、大失敗もいいところであった。

ガンバは昨シーズンと今シーズンで、11名の新人選手を迎えている。セレッソも偶然か2シーズンで新人選手は計11名だった。これは当時からセカンドチーム参戦に向けた積極施策かと噂もされていた。選手編成を担う人間としては、そのような可能性があるのならば当然の打ち手だろう。方や東京は2シーズンで計3名+室屋のみ。

その結果がこれである。「最低限」すら保てない。

そしてそのしわ寄せは、現実的にはまたしてもU-18の選手たちが被ることになるのだろう。これまでもU-18の選手に無理を強いることで、何とかやりくりしてきた。

J3第13節までにクラブが得られる出場時間は、90分×11人分×13試合=12,870分(幸野志有人の暴言退場は考慮しない)。その内、U-18選手が担ったのが計2,974分。これは全体の23%となる。また、ベンチで控えさせる"拘束時間"も考えれば、U-18が強いる負担はそれ以上だろう。

もちろん、それが選手たちに貴重な経験となっているのは事実だ。正しく得た出場時間であれば大歓迎だし、自分は元々U-23施策には全面的に賛成の立場である。

しかし、あくまでそれは「適度」であるべきだ。少なくとも、4月17日の様に「千葉で試合に出場⇒新木場に移動⇒夢の島で試合に出場」などは絶対に行ってはいけなかった。時間は経ち、移動のために身体も硬くなり、その後に上位カテゴリーの試合に出場。よく怪我をしないで済んだというレベルである。目的には100%賛同するが、そのための手段として、この様な度が過ぎた起用のされ方は決してされるべきではない。

ましてや、これから迎えるのは夏である。

灼熱の群馬で連日行われるクラ選は、ただでさえ大きな問題を孕んだ大会だ。JFAがようやく明確な熱中症対策をもってメスを入れ始めようとしている中でもある。選手たちに蓄積される疲労の具合は、春先とは比べるまでもない。

その中で、果たしてFC東京U-23は、この破綻する夏において、U-18の選手たちを使ってどう『やり繰り』をしようとしているのか。

少なくとも、二種登録の選手をU-23とU-18で真っ二つに分けるべきだろう。U-23に出場させる選手は群馬に帯同させない、くらいの明確な線を引くべきだ。選手を守るために、「適度」を保つために、決して一線を越えてはいけない。それが今から心配でならない。


二種登録としてJ3を戦っているU-18の選手たちは、チームの戦力としてよく戦ってくれていると思う。そんなプレーがU-23を見に来るサポーターにも伝わり、選手の顔と名前とプレーも徐々に覚えられ、親近感も持ってもらえつつある様に見受けられる。

これは、そんな身近な彼らの「生き死に」の問題だ。


何はともあれ、夏は来る。
U-18にとっては、大事な夏が。
大学生にとっては、憧れの夏が。
そしてU-23にとっては、初めての夏が。

だから、初めてなりに考えてみた。今年の夏は、どうなるだろう?
そして考えてみた結果…今はただ、選手みんなに無事に乗り越えてもらう事を祈るばかりである。