マリノスの試合前ウォームアップが、非常に気になった。
ピッチに登場した「変なユニフォームの人達」に(いや、どっちも変ではあるんだけど、この場合はマリノス側ね)、ちょっと違和感に気がついてから、注目してみるとどうもバラバラ。この時間においての、やるべき事が全く決まってないんだよね。ボールを持ってる選手。持ってない選手。蹴る選手。ドリブルにもならない程度にこねてる選手。ポスト役を置く訳でもなく、順番があるわけでもなく、ダラダラと枠にとりあえず蹴り込むシュート練習。暇そうなGK。そんなのに見向きもせずに、勝手に、長いボールを蹴ってもらってはヘッダーで跳ね返す確認をしている代表選手様。
ピッチ半分に、法則無くバラバラに点在するマリノスの選手たち。こういうのって、地味に気になるんだよね。
今や立派なウォームアップルームを備えているスタジアムだってもちろんあるし、これだけ雨が降っていれば、ウォームアップの95%は既に室内で済ませてて、ピッチに出る事が殆ど「顔見せ」の意味合いしかない可能性だってあるわけでね。一概に突付く話じゃないってのは分かってるんだけどさ。ただ例えば、この前日の金曜の小平練習で、我らが東京は練習前ウォームアップとしてこの日味スタのピッチ上で行う「いつもの」試合前ウォームアップそのままを行うことで、いよいよ始まる「革命の城福東京3年目」に向けてメンタル部分の呼び起こしも行われていたことと比較するとね。また、部活に明け暮れていた時を思い出してもさ、あったでしょ?対戦相手の強豪校がでっかい掛け声でビッシリとブラジル体操やる姿に試合前からビビる、みたいなさ。甲子園で制限時間いっぱいに美しくグラウンド練習された時の、「おぉーっ感」というか。これは全然関係ないか。
また、思い出されるのはガーロ時代の東京。この時期も、試合前ウォームアップの様子はまぁ酷かった。「試合前にシュート練習するなら、ポスト役のコーチくらいしっかり置け!しゃんとしろ!ダラダラと試合に臨むな!」って、東京のHPから文句の投書もしたくらいだから。個人的な話として、気になるんだよ意味もなく。
「これで勝った暁には、ここを弄ってやろう。フハハ」って別に、元々試合を見ながらブツクサと文句垂れてるのを文章化してるだけの当ブログなんで、ブログのネタ探しに躍起になって試合を観ている「責任感」みたいなものは一切無くて。でもこのネタも、イマイチ使いづらい試合内容になってしまったもんだから、まくらの部分で強引に使ってみるっていうね(笑)
さてさてですよ。
思ったよりもマリノスが良かった、という「想定」をしていたので、「思った以上」だった事が「想定通り」って感じで。何たって、開幕戦の相手が決まってからここまで、ご丁寧に「キクマリ」を録画してしっかり見続けた1ヶ月ですから。「ちゃぶって、ちゃぶって〜」を何度聞かせられたことか?マリノスクイーンはどうしてこうなった?と所長として遺憾イカンが積もっただけでもありましたけど。
東京DFラインに既に4枚並んでいる位の、予めかなりの前傾がスタートポジション。その形から、縦の出入りでポストプレーを前線選手が名乗り出て、それに遠目からクサビを当てる形。ワンタッチで落として、それを拾いに上がった選手がサイドに展開しながらそのままゴール前の厚みとして参加もする。形としてはこれが理想だし、恐らく和司監督がやりたいことなのでしょうよ。
それが、出来てた。ってのは見てた人誰もが思えた感想なのでは?
ただ、やはり今のところはそこまでだったのがこちらとしては助かったわけで。
「出来てた」って部分が、例えばこの場合だと攻撃という一連の流れのどの部分なのか?ってのが重要な話。ボールを奪った直後が、その流れの「始点」として。得点を奪う、ってのがその流れの「終点」だとして。
やっぱりあれだけセカンドも拾われ、ウチもボールを相手に簡単に与え続け、データで言えばどんだけポゼッション率渡してたんだ?って展開でも。「あれ、でも向こうもシュートあまり無くね?」っていうパターン。その事実が何を示しているのか?
最終的には、その出来てた流れを基本として、クサビの入れ方受け方展開の仕方でどう「ちゃぶる」か?ってのが和司監督の理想型なんでしょう。正直、この試合の様にクサビ受ける選手がただワンタッチで落とすだけだったら、究極その選手は「誰でもいい事しかしていない」。例えば、ワンタッチで落と…さない。トラップ一発でターンしちゃう。慌てふためく相手。それを確認してから、けどやっぱりサイドに展開しちゃおうヒョイ。これぞ和司監督が求める「ちゃぶる」なのでは?オーソドックスな流れに対して、オレならこんなアクセントが付けれるぜ!ってなって、初めて「選手起用の意味」が出てくる。選手の特色が出てくる。それをベンチで眺めながら、監督自身もニヤニヤ楽しんでたいんですよ。それを求める段階まで、チーム造りを進めれたら、監督として木村和司は「勝ち」でしょうね。
けどねぇ、その先がねぇ、大変なんだけどねぇ。日曜日に千葉の試合の後半をTVで見れて、その時も思ったけど(流れ弾みたいで申し訳ないです笑)先での迷いが、今まで出来てた部分にまで伝染し始めて、出来てたものすら出来なくなり…あぁ思い出したくないわーわーわー。
つまりは、出来てたって部分をどう見誤らずに把握出来るか?その点で実はマリノスはまだまだこれからだし、初采配なわけだから当然だし、っていう地に足ついた認識。思ったより出来てた、これを4割出来てたと認識するのか6割とするのか?残りの4割こそが大変なんだって事実が、明らかになったのか、見えづらい結果になったのか?あくまでも、正しい認識。最初だからこそ。
逆を言えば、そこまで行ききれてない事で、ちょっと奥に進むことで生まれる迷いにぶつかってない事で、ある意味怖いもの知らずの蛮勇っぽさが、「トマト潰しただけですがこれでも立派に美味いトマトソースです」みたいなフレッシュさが(意味不明)、案外脅威として開幕戦いきなり降りかかってもおかしくないな。ってのがウチ側として恐れる部分だったかと。
何かマリノス側にサービスしすぎたかなぁ。
ってことで東京の話を。
だから、完封してみせたのは素直に素晴らしいことだった。完封の立役者は、いわずもがな今野・森重の2CB。ちょっと次元の違う頼もしさというか。
特にお初なだけに森重のインパクトには誰もが空いた口が塞がらなかったのでは?自分も実はこれまでのプレシーズンでも、イマイチ森重の良さがハッキリ感じれていなかったんだけど、そんな自分の鈍感アンテナを反省。凄まじかった。やる気を100%出していないのは明らかなんだけど(笑)冷静に、軽くコツンと相手を突き飛ばして何食わぬ顔で奪うあの感じ。絶対にファインプレーなはずなんだけど、ファインプレーに見せない感じ。宮本慎也。今野と組むことでの鉄壁の二遊間!
あの磐石さは、ちょっとやそっとじゃやられないよ。プレシーズンで失点数が低かった理由がよく分かった。まだ空中戦では強さはありそうな気配がありつつ、ちょっと落下点予測が怪しいところがあったので、そこは挽回してもらうとして。
ただ、まぁ褒められるのはそれくらいで。それ以外は正直、お話になりませんレベルで。あぁまでも、しょうもないプレーディテールだと何も言い様がない。意思疎通の無いパスから、そもそも一方通行なエゴなパス、もっと進んでそれを丁寧に、本気で具現化してやろうと言う気概も無いパス。結構クラクラするレベル。
組織的に良さが見えなかったわけだけど、その前段階としてのズレが多かった。たぶんマリノスよりも多かった。その点は大いに不満。無失点を目指すのとプレー精度を求めるのは別のベクトルの話。そしてそういうのが失点に直結する。手応えだけでなく、こだわりについては気を引き締め直してもらいたいところ。
形として求めたい攻撃手法。松下にしろ北斗にしろ、ウィークデイでは城福監督に、かなり極端にでも中央に絞ってボールを受けること、顔を出す事を要求していた。北斗が絞ったところで受けて、右サイド椋原に展開すると監督からは「グーだぞ!」と褒める言葉が飛んでいた。相手を広げる受け方ってよりかは、SBを引き出す受け方を求めていたかもしれない。
ただ、パスはあまり通らなかった。受け手側もそうだし、出し手側も問題があっただろう。典型的な、MFゾーンで停滞する形。平山も、無茶精度でも収めてくれちゃうコンディションでは無かったし。何より前述通り、プレーディテールの意識は低かった。
守備のあの堅さは、結構シチュエーションに依らない強固さを感じたので。攻撃での問題点、森重ももっと攻撃に貢献するプレー・指示を求める意味で。そういう意味では、渋く勝ちに行く展開はこの先も続くかもしれない。それまでは、いきなりだけど耐える東京。それが解き放たれる第一段階が、梶山のフルタイム復帰な事は言わずもがなで…
これだけで終わったら余りにも淡泊なので。関連としてボランチについての話も個人的に整理しておきます。
梶山・米本のレギュラーボランチの何が凄かったか?というと、両者が複数の役割をこなせていたからに他ならない。
中盤の底でゲームメイクする重要な役割を担うボランチのポジションでは、攻撃ではボールを収め、散らし、あるいは即急所へと突き、たまには自分で決め切ることすら求められる。守備ではエリアor人を潰すために、走り、当たり、弾き、奪う。ざっと思いつく程度のタスクを並べたこれらの中には、ボランチとしてエクストラな能力もあるにはあるけれど、まぁ単純にざっくりとボランチで何が求められるかと言えば、それは大きく「奪う」ことと「展開」の二つかなぁと考える。
梶山・米本ってのは、両方がその両方を出来る存在だった。もちろん互いには「長所」ってのがあるから、ある程度の分担意識はあったものの、それでも状況とタイミングに応じて、両者は攻守において両方の役割もこなせていた。
これが何より大きくて、何気に恐ろしいことでもある。一時期「汗かき系ボランチ」なんて言葉が流行ったりもしたけど、世にはびこるボランチってのは、その両方が求めながらも結局出来るのはその片方のみだったりする場合が殆どだったりするのだから。特化したボランチなんてのは、本来は止む無く起用しているようなものだ。両方出来る人間が、場面に適した能力を選択し、発揮してくれた方が良いに決まっている。特化ボランチが見劣りするのは当然である。
その両者が欠けた。梶山はこの試合、出場出来たけれども、それが完全復帰でないことは誰の目にも明らか。ブログで相変わらずのほほんと「腫れちゃった。溜まった水抜いてきた」と重要事項を報告する状況。変わらず当分は、両者がいないという想定で臨まざるを得ないと覚悟するのがベターだろう。
そこで、欠けた「奪う」と「展開」を補完しなければいけなくなる。
時系列を改めて。
梶山が治療に専念する影響により、開幕に向けて梶山不在の形を用意しなければならなくなった。これがスタートライン。ヨネの相方として、誰を据えるか?
ターゲットととして当然、まずは羽生が挙がる。昨年のレギュラーなだけに、そこからの継続という点もあるし、適性で言っても去年からボランチの穴を埋めてきたのは羽生。この決断には、それほど苦労は無かっただろう。
で、その羽生が何を担うか?となるとそれはもちろん「展開」側になるわけで。「奪う」役割を羽生に与えるってのはさすがに無茶だろう。何よりそれはヨネの専売。特に米本はそのレベルが「奪い切れる」域にまであった。寄せて、相手に当たっても、そこからボールを奪い切れるかどうかは実際は別の話。またそれは、日本代表対世界の話にまで広げても課題とされる部分と言える。プレスで追い込む終着点として、最後にヨネがガツンと奪い切ってしまう姿は、昨シーズン確立された東京の守備の姿。「奪う」と「奪い切れる」この言葉の使い分けにニュアンスを感じてもらえると有り難い。
羽生とヨネのボランチってのは、互いで補完しあう関係としても理想的と言えた。
で、そのヨネが離脱してしまったと。時期にして、開幕1週間前。
改めてパッチを当てなければならなくなってしまった。欠けた「奪う」要素。ヨネの「奪い切れる」レベルを埋めようとすると、それは「守備専ボランチ」くらいの話が必要になってしまう。羽生をまず2枠の内の1枠に収め、残りの1枠に求められるのは、「奪う」ボランチ。ここまでが、開幕に向けた、そして現在の前提になるのかな。
そうなると、候補は自ずと限られてしまう。最終チョイスの徳永に、あとは高橋。実は、それくらいなものなのでは?
開幕戦の徳永。ボール保持時に「一手多い」のなんて、前から分かっていた事。その間に詰められて、競りながら競りながらでボールをやっと離す姿は想定出来ていたはず。それよりも、本来求められていた守備の部分。「奪い切れる」域を求めるならば、徳永のフィジカルに目を付けない訳が無くて。実際その部分は徳永は急造な割にはよくやってくれたと思う。結果としての「失点ゼロ」は誇って良い。ただ、もちろん課題も見えた。それは言わずもがな。
だからこそ、城福監督が改めてここをどう観るか?ってのは次節に向けて面白いポイント。次節、相手は俺たち外野以上に城福監督が嫌う(笑)浦和レッズ。勝ち点3に向けて、この日以上になりふり構わなく行く事になるだろう。その「なりふり構わない」にも種類がある。どんな手段で来るのか?これは楽しみにしておきましょう。妄想は膨らむね。
いよいよの開幕で。いろんな方とスタジアムでご挨拶させてもらって。試合後も、とりあえず勝てばいい、勝てば笑顔で帰れると話し合うわけだけど。ただそうお話させてもらった際に多かったのが、「渋い内容で勝つことこそ優勝の条件だ」って認識。渋く勝てた事、勝ち点3の事実がもつ意味。こんな些細な積み重ねが、12月に重くのしかかるという覚悟。3月の勝ち点3で12月を見据えることが出来るっていう考え方は素晴らしいと学ばせて頂いた気分。
そう、まだ始まったばかりだと考えている今の、その結果が12月に響いてくるんだと。勝ち点1差で惜しくも…その勝ち点1は、11月に得ようが3月に得ようが同じ勝ち点1なわけである。
今回、たまたま勝たせてもらった部分もあるかもしれない。けど、この1勝が、12月の奇跡を左右する。
今シーズンはより、勝ち点の重みを、勝ち点へのこだわりを意識して戦う。それをスタートで気付けたっていう意味では、良い開幕戦だったのではないでしょうか?