煽りVも無しに観客動員数が増えるワケがないじゃないのさ!

私には、仕事のイライラをFC東京HP「ご意見箱」にぶつけるという酷い習慣があるのですが、先日久しぶりにそのご意見番に、馬鹿みたいに長いご意見をぶっ込んでやりました。それをこちらにも転載しておきます。パッと見ただけでも、あぁコイツ馬鹿みたいに長いご意見ブッコミやがったなということがよく分かるかと思います。

試合開始前に「煽りV」を流して下さい。


その試合の勝敗に関係なく、ライト観客に「面白かった、また来たいな」という印象を残すことが安定的な集客向上に必要なことは、既にご存知のとおりです。その対策として、ボールパーク構想的に青赤横丁の充実を行っているのは非常に正しいと思います。

しかし、本来の「その試合の勝敗に関係なく」にフォーカスすると…

「勝敗に関係なく」SOCIO等のヘビー観客が満足しているのは何故か?そしてライト観客が何故「負けたからつまんない、もう見に行かない」となるのか?という話です。

それは、我々ヘビー観客が「その負けの意味を理解しているから」です。


その試合に勝たなければACL出場の芽が無くなる、だとか。
昨シーズンのあの遺恨を打ち破る機会だったのに叶わなかった、だとか。
このカードは7年負けなしだったのに、だとか。
でも大怪我から感動のカムバックが果たせた選手がいたから、だとか。

「負けの意味を楽しめるから」と言い換える事も出来るでしょう。
しかし、ライト観客にはそれが出来ない。

目の前で繰り広げられる90分のエキサイティングフットボールマッチ、その意味を教えてくれる人がいない。もしくは誘ってくれたヘビー観客の説明が下手くそ。マッチアップがどうとか、オフサイドのルールはだとか、どうでもいい。いま理解する必要なんてまるで無い!大体この試合、何でこんな盛り上がってるの?この試合に勝ったから何なの?あ、負けちゃった。ふーん。つまんない。もう来なくていいかな。

当然です。その人は、その試合の意味を知らないのだから。

じゃあ何故説明しない?

「説明は興行側がする領域ではない」「説明しなくても、スタジアムの熱気雰囲気が…」と考えているのならば、それは興行側の傲慢でしか無いでしょう。成功している興行主はその辺り、手を抜きません。ももクロだって、例え濃ゆいモノノフばかりの会場であろうとも、何故西武ドームで興行が出来るのか、出来たのか、それが彼女たちにとって何を意味しているのか、その意味を煽りVに込めてこれでもかと丁寧に伝えています。

方や、その意味を伝える事を放棄している側は…観客動員数は横ばいもしくは微減。これは結果として、負けを楽しめる要素が無いまま「負け=つまんない」でリピート候補を手放している事態が、起こっているのではないでしょうか。そう自分は考えます。


Youtubeチャンネル 新日本プロレス
https://www.youtube.com/user/NJPW


新日本プロレスでは大会オープニング並びに各試合にて煽りVを会場にて流しています。この試合が何故こうも盛り上がっているのか、これまで何があったのかを、時には歴史も交えながらこれでもかと丁寧に説明します。ここまでやって初めて、何も知らないライト観客でも「この試合に負けてしまうと…」「あぁ負けてしまった、ということは…」と、負けを味わえる様になるわけです。

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新日本プロレスの興行形態はビッグマッチ型なので、試合に意味をもたせるがために必要な「作為的な積み上げ」がし易い、というのはあるでしょう。地方巡業での出来事や当日のマッチメイクで、意味合いをもたせやすい。かつ、ビッグマッチ仕様に煽りVを準備すればいいだけというのは、かなり都合がいい。これは、ほぼ2週に1度「日常」としてやってくるJリーグ公式戦では、頻度もボリュームもこうはいかないかもしれない。

しかし、前回対戦を受けて臨むこの試合の位置付けというのは必ずあるはずです。十数年Jリーグで戦い続けてきた歴史が、過去の因縁を生み出しているはずです。対戦相手の地域出身の選手だっているかもしれません。過去には所属選手の中に「子供の頃から憧れていた鹿島アントラーズ…」といった選手もいたはずです。

1分の映像でいいんです。1分の映像で、その試合の意味付けが大きく変わるのです。

そのために、もしJリーグメディアプロモーションに中々の映像利用料を支払わなければいけないのであれば、支払えばいいのです。SOCIO向けに送るダイレクトメール費用(大体年5回くらい+追加でお詫び訂正ダイレクトメールが平均年イチ)を、少し削ってでも、1分×17試合分の利用料とそれらを制作する映像作家雇用料を捻出すべきです。それによって少しでも効果が出るのであれば、その時に「利用料もうちょっと安くしてよ、早くデジタルアーカイブ化を終わらせてよ」と実績携えてイマジカにお願いすればいいのです。


ヘビー観客は、その負け試合も「ストーリー」として楽しんでいるのです。それが負け試合を楽しむスパイスの一つであるならば、それをライト観客にも丁寧に伝えていくべきです。それを実現するのが、1分の煽りVです。

本気で検討をお願い致します。

一部ではもはや当然の認知である煽りVの効能を、自分なりに分解してみるとこうなったといった感じです。上記にも何度も出るように、煽りVはとにかくライト観客に丁寧にストーリーを伝える行為に他ならなくて、しかしヘビー観客向けにも100%で楽しめるコンテンツとして、両方に刺さるというのは非常に大きいと思います。ライトもヘビーもある程度の認識レベルに引き上げ揃えられるというのも武器と言えるでしょう(使い方次第では良くも悪くもとなりますが)。

この観点で新日本プロレスを見ると、もちろん煽りVの積み重ねが昨今のV字回復を…とも言いながらも、やはり煽りV自体のクオリティも非常に高い。引用の中邑真輔vs鈴木みのる戦の煽りVなんかは、編集だけでは補えない『カメラワークの巧みさ』が特に表れている。詳しくないから説明しづらいけれど、キレイな画と荒い画を上手く編集で使い分けているし、そのためにそもそも素材としてちゃんとカメラが撮影をしてある。しっかりお金をかけている印象。

思えばレイン・メーカーことオカダ・カズチカを本物にまで仕立てた要因の一つも、このカメラワークがあったと思います。おなじみのレインメーカーポーズの際のあの引きアングルは、ザ・ロックのピープルズ・エルボーと同じ手法。他にもジャンルが大きく変わるけれど、日本ハムの「稲葉ジャンプ」も、不可抗力ながらカメラワークが箔を付けた好例でしょう。それ程に、映像の威力とは強いものなのです。

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そういう意味ではFC東京制作の煽りVが、希望する効果を発揮する「クオリティ」にまで引き上がるのは、それこそ何時になるのかとも思わなくもないですが…それでもまずは、投書にも書いた「傲慢さ」を捨てる一歩として新たに試みて欲しいと願うわけです。

成功している興行はどこも、煽りVにチカラ入れてますよ。そこに意味を見いだせるFC東京であることを、プヲタ兼アイドル大好きSOCIOとして願っておる次第でございます。