「向こう側」を目指して Vプレミアリーグ1年目を終えて?

先週末の入れ替え戦を戦ったのをもって、今シーズンの活動を全て消化したFC東京バレーボールチーム

念願の1部「Vプレミアリーグ」への昇格によって、新しいステージを歩み始めたバレーボールチームは結果、レギュラーラウンド初年度は4勝24敗、大分三好と並ぶもののセット数で最下位に終わった。下位リーグ「Vチャレンジリーグ王者」ジェイテクトとの入れ替え戦(チャレンジマッチ)に進むことになったが、その2戦を共にストレートで下しVプレミア残留を決めた。

この記念すべきシーズン、タイミングが合えば是非早いウチに観戦したかったところだったが…開幕シリーズは広島開催、続いて高松開催とは、何とも壮絶な「プレミア・サーカス」。逆に近場での開催がガクンと減ってしまった。それは自分みたいな一見さんサポにとって、足を伸ばしづらい形になってしまったのは多少、皮肉的でもある。

それでも2月には2週続けての東京開催!6日7日は町田体育館(ペスカドーラ町田のホームアリーナ)、そして13日14日は東京体育館とあった。この機会を逃す手はないと、初めてのプレミアリーグデビュー(オレが、ね)は予定的にじっくりとバレーボールに向き合える2月13日の豊田合成戦を初観戦にに狙いを定めた。そしてその後のチャレンジマッチは小田急線の湘南台とこれまた行ける範囲での試合だったので、先日の4月3日の対ジェイテクト戦の1戦目も観戦。今シーズンは計2試合のみだが見ることが出来た。


素人らしく、くだらない事が分からなかったり、疑問に思い始めてしまう。

例えば、席割り席種が分からない。

それをいざ調べようとVリーグのオフィシャルサイトを眺めてみても、一目にどこにチケット情報があるのかが全く明記されてない!これには困った。真剣に、ホント色々と巡ってしまった。

結果的には、チケット情報はVリーグオフィシャルサイトの試合日程、今後の試合のところをクリックすることで、その試合のチケット情報は載っていた。答えが分かれば非常に単純な事だったのだけど、それに気付けずにそれなりの時間右往左往していたのは事実。最も、明らかにFC東京側の人間として観戦(というよりむしろ応援)に行くわけだから、素直に東京のサイトに出たリリースを信用して、それを見ての情報「のみ」で行けばよかっただけなのだけれど。

ただ、それに加えて自分の検索能力の貧弱さを認めた上で、文句を言わせてもらえれば、チケット情報が非常に分かりづらいのは何とも不便だ。Vリーグオフィシャルサイトのトップページにチケットのチの字も無いというのは不親切だ。もっと言えば、「応援」ではなく「観戦」で行く人は一体どうしているのか?

興業・競技組織的な事が気になる自分は、ここでいろいろ調べてみた。Vリーグにおける、チケットとは?

まず前提として、Vリーグは巡業式に国内あらゆる箇所にて興業が開催される。使用される体育館はアリーナ席や、二階席三階席の有る無しも千差万別だ。体育館の形、もしくは開催を担当するであろう都道府県協会の思惑によって、毎度席種も値段も変わるのだろう。プレーをする上で「ホーム」があるサッカーとは、その点でまず大きく違う。選択肢が違いすぎる、その事情はまず考慮しなければならないだろう。

では、チームごとではチケット情報はどう扱われているのか?モデルケースは、我らがFC東京と、調べた時点で首位だったパナソニック、そして何となく堺。この三パターン。

FC東京のHP事情は、改めて身構えなくても既に知ってたので特に驚きは無い。間借りしている形の様なHP運営で、チケット情報は無し。ヘッドラインニュースとして、SOCIO優待販売(チケットノルマ?)がある際に告知がある形。そして、バレーボール組織としてはFC東京よりも実績も規模もあるであろうパナソニックも、何とトップページにチケットの文字は見当たらず。結局チケット情報は見つからなかった!え?まさかパナソニックはシーズンパスで既に売り切れで、一般販売してないの?いや見つけられなかった自分の責任ですが。これでは引き下がれないので、堺のHPを覗くと…あった!トップページ分かりやすいところにチケット情報のリンクが!!ここまで長かった…いや安心しました。

その時点で、そもそも思ったのが「観たい試合のチケット情報を知りたい際には、観たいチームのHPを頼るだけでなく、リーグ組織のHPに頼る」という自分のパターンの『存在』が発想として抜けていたこと。チームを見たいのではなく、競技を見たいときに。競技を見たいということはつまり、「リーグ戦(興行)」を調べる。そしてリーグのサイトで調べようとする。この流れ。確かにありうる流れであろう事が、自分の発想から抜け落ちている。事実、自分はVリーグのHPを確認したことで言いがかりのような文句を無駄に展開しているわけで(笑)

そうなると気になるのがJリーグJリーグのサイトはさてどうなっているか?こちらを読んでいただけている方の多くはJリーグにどっぷり浸かっている方が多いと思われますが、我々が気にして止まない「観客動員数」に直結する問題として、じゃあ果たしてJリーグのHPはどうなっているか?そしてその質・量は?それは皆さんの目と感覚で判断してみて下さい→「Jリーグオフィシャルサイト

自分は単純に、非常に素晴らしいと思いましたよ。丁寧で、優しいと。ただ、Vリーグがじゃあそう簡単に、同じ様にこのような形に出来るかと言えば、例えば前提として書いたような事情もあるわけで。じゃあVリーグとしてチケットを売るには?競技の発展のための目先の変え方とは?そもそも収入はどうなってるの?フジテレビ?

…と、いろいろな事をムダに巡らすのが大好きなんです自分。


本題に戻って。まずは豊田合成戦。

久しぶりの東京体育館。初めてのVプレミアリーグ

入ってみてビックリ!!何と華やかなのだろうか(笑)

3つだか4つだかのコートを敷き詰めるように並べて、窮屈に試合を行うチャレンジリーグとはもう雲泥の差。広い東京体育館を贅沢に1面のみの使用。アリーナ席を準備し、その「高級価格席」にも十分な人の入り。おまけにドでかい大型スクリーンを入れて、恐らくGAORAで中継されてた映像そのままが流しっぱなし。企業動員の厚みも大きく、機械からいろんな音楽出して、お姉すゎんチアがキャッキャと踊る!!チア!!何と綺羅びやかな世界なのだろうプレミアリーグは。少なくとも自分がバレーボールを見に行った、西葛西だの聖蹟桜ヶ丘だのとは段違いだぜ!(もちろん、チケット価格も…)

だが何より違うのは、当然ながら競技レベル。

プレミアリーグ所属チームの中で抜けて弱いと言える大分三好。その大分三好入れ替え戦で勝てず、勝てず、やっと、やっとその入れ替え戦を突破出来た程度のFC東京。位置付けはこう。元々ウワサには聞いていたし、これまでの成績をざっとなぞってみても、それは素人にもわかり易い形で物語っている。

しかし、百聞は一見にしかずとはよく言ったもので。実際にプレミアリーグの試合を見ると、素人な自分でもその差は一目瞭然。高い・強い・速い・拾う・ミスをしないといったバレーボールの基本要素と思われる部分がチャレンジレベルとは数段も違う。プレミアリーグチャレンジリーグの差はJ1とJ2どころの差じゃないかも、ってのが素人の実感。JFLぐらいまで差は開いてしまうのでは?

それほどに、プレミアの壁は高く、分厚い。それを超えるのに、大分三好も、FC東京も、苦しんでいる。

しかし、大分三好はこの日の第2試合で超えてみせた。1/23に続いてJTをセットカウント3-1で下してみせた。途中から少しだけ見ただけだったが、強気の姿勢が一般客の心を掴み、1プレーごとに温かい拍手をもらっていた。つまり、その成果に然るべきプレーを大分はしてみせたと考えられる。

何より最下位争いの相手が勝っている以上、負けるわけにはいかない。その結果が、スタンドの心構えを熱くさせたのは事実。

結果、豊田合成を何と3-0でストレート勝ち!

その凄さたるや、例えば東京が今シーズンにあげた4勝の内訳は、チャレンジマッチ仲間であった大分三好に3勝とこの豊田合成戦の1勝のみだった。つまり、唯一プレミアチームに噛み付くことに成功した試合だったということ。我ながら凄いタイミングを引き当てたもんだし、なぁんだ案外やれるじゃん!と錯覚するには十分すぎる結果(笑)

もちろんその錯覚を正してくれる結果を最終的には得るわけで。東京に3敗している大分三好が4勝同士で並んでいるということは、つまり対東京戦で挙げた1勝以外に対プレミア勢から計3勝しているという事、その上でセット率で東京を上回って最下位を逃れている。そしてシーズン4勝同士の両クラブの上には、『シーズン14勝』のJTが控えていること。まさに実力差が明確に出ているスタッツであり、城福監督の言葉「リーグ戦の順位はいつも正しい」がここでも適用出来るのではないか?と思わせるものがあった。


加えて、先日のジェイテクト戦。

まず基準として。自分の素人目にジェイテクトは良かったなぁ、強いじゃんと思えたのは、例えばサーブのスピード。速い。強い。強烈サーブが結構安定してスパスパ入る。そんな、東京よりもミスが少なくまた強烈なサーブを、ジェイテクトが持っているせいか、それがジェイテクトのレシーブ力をも上げているとも穿ってみる。方やの東京が繰り出すジャンプサーブに対して、ジェイテクトはそれは綺麗にレシーブ入ることが出来ていて。セッターに向けてピタリとボールを返せていた(たぶん、これはバレーボールにとっていいこと)。東京のアタックに対するジェイテクトのブロックも、東京セッターが狭い方狭い方に配給したこともあってか、きっちり3枚揃えてブロックにかかれてたりもしていた(これも、たぶんいいこと)。それに対する東京は…って比較の部分において、自分はジェイテクトは良かったと思うし、東京は逆に雑さというか、もどかしさを見てる側に感じさせるバレーだった様に思う。

特に、自分が見ていた3セット目。ジェイテクトに対していい印象が強い流れだったのに、何故かジェイテクトは3セット目に入った段階で既に気持ちを切らしたかの様な、打って変わってなプレーレベルに落ちてしまっていた。これは自分レベルの素人じゃ上手く言語化出来なくて、見てそう思った位の事しか言えない話。けど確かに思った違和感だったんだけど…それを突き放せられない東京がいる。切れた相手のプレーぶりに対してトドメを刺せずに、1セット目2セット目と変わらずジェイテクトリードの立ち上がりを変えることが出来なかった。何でそんなミスが起こるのか?何でそこでアタックをためらうのか?…ってミスが嫌なタイミングで起こる東京。ジェイテクトを突き返せない。

そこはやっぱり、東京がまだまだ甘いクラブなんだろうな、ってのが、プレーぶりから説得力込みで自分には伝わった。

例えば、強烈なパワフルプレーが当然のように溢れているVプレミアリーグの「水に馴れる」って意味での、自らの強化のためのプレミア死守ってのは方向性として当然正解で、2年目の経験を自ら手にした事でそのノルマは達成出来た。プレミアに居座れば居座るほど、我々は強くなれる。プレミア側のクラブに、我々はなれる。その実感もつかめた今シーズン。

ただそれは時間をかけて詰めて行く部分だとして、チームとして別の部分、あのジェイテクト戦の3セットで見られた様なプレーぶりを改善するってのは、直近の目標として、もう来シーズンにでも改善した姿でプレミア2年目に挑まねば!っていう、そんな問題点であり、それが浮き彫りになった3セット目だったんじゃないかなぁ?と。

結局は「規格外」スティーブ・ブリンクマンによる「ブリンクス無双」に近い状態によって、何とかジェイテクトを退けたけれど。チャレンジレベルを超えていたブリンクスの高さ・強さにジェイテクトは全く対応出来ていなくて。そのアドバンテージ大きかった、そんな、始めてのVプレミア残留劇だった様に自分は感じた。


もちろんそれらは、熱心にいつも応援されている方々にとっては百も承知なはずで。シーズン4勝+チャレンジマッチ2勝のウチの2勝「しか」観ることが無かった自分に比べて、「全て」を見てきたあの方々ならば。こんな自分みたいな素人風情に言われなくともね。あの「瞬間最大風速」が吹き荒れた豊田合成戦でも、自分たちの立場を忘れる事無いまま、等身大を踏まえたまま、アツく、誰もが「東京らしい」と思える応援をされていたのだから。

この「東京らしい」って所が、これは実はすごいことで。いわゆる「サッカー的な応援」をバレーボールに持ち込んでいる中での苦労は、非常に多くあるであろう中で、自分みたいな「たまにしか見に来れないバリボ素人東京サポ」なオレですら、すんなりと、「これは我がチームだ!」と心から応援出来たのは、何と言うか既視感というか、それが間違いなく『FC東京の応援』をされていたおかげなのは間違いない。


そんなこんなで、終わるプレミア1年目。そして、始まる2年目。

2試合を見ただけの初心者が、あれ分からないだのこれはこうだと妄想したりだのと、無茶ばかり書いてはきたけれど、それもこれもは何より「面白かったから」であり、加えてFC東京バレーボールチームが、サッカー部門と変わらず「俺の東京」「俺らを熱くする」存在であることに改めて浸れた、その気持ちよさを味わえたからに外ならないのです。

向こう側へ向かって、挑む2年目。

2年目はもうちょっと、多く見にいければいいなぁ。