高円宮杯を振り返りながら、あした国立での観戦課題を

Jの無い週末。けどあしたは国立では高円宮杯準決勝、日立台ではトップの練習試合があり、なかなかの青赤日和となりそう。どちらかしか選択できないところが勿体ないけれど、それぞれがそれぞれの場所で青赤愛に浸る週末になりそう。自分はあしたは国立に出没なので、日立台に行かれる方は是非その様子をレポって頂きたいところッス。
ってことで自分はあしたの国立に向けて、レポを書いてない試合を簡単に振り返りながらあしたの展望をば。とは言っても、自分のあしたの宿題課題発表にしかならないですけど。

  • 正攻法で戦いきったグッドチームが GL第3戦 桐光学園

もう随分前の話になりますわ…けど非常に多くの方々に見に来て頂けたので、この試合のキモであった「桐光の素晴らしさ」というものは共有してもらったかと。良かったでしょ?桐光は。
振り返るとその前のガンバ戦・広島戦、そしてその後あった流経柏戦・前橋育英戦と比較しても、一番正攻法で2トップが抑えられたなという印象。屈強な2CBが厳しく重松・岩淵の2トップにつき、お互いに持ち味である前を向いたプレーもしくはその前の「前を向けてしまえるプレー」が全く出せなかった。これは桐光のCB稲川・岸本の出来を褒めるべき所。いや、高さも強さもあって素晴らしい選手である。
勿論こうなった要因の一つとして、両者のコンディションの問題はあった。中一日の厳しい日程の影響がいちばん出たのはこの2トップ。しかし両者共に前節懸命に走り回ってくれたのを知っているだけに、責めることは出来ない。特に重松なんかは、初めて見た時と比べたらホント懸命に追ってくれるようになった。
いや、むしろ責めるどころか重松は貴重な2ゴールをゲットしたわけだからこれ以上ない称賛を浴びるべき。どちらも素晴らしい嗅覚から、均衡をぶち破る素晴らしいゴールだった。ユースに君臨するキングにハハァー!と平伏したいところ。さすがキング!
高円宮杯ではとにかくサボらずに身体張ってくれる2トップが個人的に目立っている。いつもの友人曰く「つーか、あれじゃあサボれねぇ。少しでもサボったらすぐ見つかって怒られる」と言わしめた、倉又監督の厳しい目がこの大会では非常に助けてくれている。「守備の出来ねぇヤツはプロでも通用しねぇよ!」とした倉又監督のユース育成哲学が、厳しい苦境に立たされた東京U-18を大いに助けている。個性とアイデアを各選手が強烈に輝かせながら、徹底した守備意識で全員が90分サボらない意識を植え付けた。この辺りの手腕は改めて素晴らしいと唸らされるところである。
桐光もこの厳しいGLを見事にかき回してくれた素晴らしい活躍ぶり。冬の選手権で改めてその集大成を見てみたい。瀬沼からの逆算がより密度濃くなってくれば、ビッグタイトルは近づいてくるはず。総体では残念な成果だっただけに、「今年の桐光は良いチームだ」というところをもっと世間に広める活躍を願うばかりである。

  • 厳しい環境でも勝負してみせた、その男気に惚れたんだ ROUND16 流経柏戦

総体王者の流経柏VSクラ選王者の東京U-18。垂涎のビッグマッチを邪魔したのは今年おなじみのゲリラ雷雨…ビッグマッチらしい舞台でがっぷり四つの名勝負が見たかった。
スタンドからも伺えるほどの水溜まり。これだけの雨が降られてしまうと、フクアリの水はけのせいにするのは申し訳なく感じてしまうほどに、とにかく雨は凄まじかった。今年何度も見せられた、雨対応の試合を両者見せなければいけない展開に。こんな時には選手の技術力や工夫などが見どころになるのが恒例だが、この辺りで山浦が意外な遊び心を発揮したのは新しい驚きだった。
何が起こるか分からないピッチコンディション。こういった試合ではつまるところ「いかに事故を起こさせるか」というのが重要になってしまう。試合の質としては悲しい方向になってしまうが、勝ち負けを決める試合であることに変わりないのだから仕方ない。また「事故を起こさせる」といった点でこの日の主審は非常にうってつけの存在だった。選手のチャレンジに審判の笛が挟まることで事故が、きっかけが、そして得点が生まれた。『ゴールエリア付近』の間接FKの延長上から生まれた久場ゴール、江口のPKゲットからの山浦ゴール、それぞれの得点にケチを付ける要素は全くなかったが、あいだに余計な笛があった事実に間違いはない。
だからこそ、こんなピッチで、こんな試合で、こんな主審で(あ、言っちゃったね)、笛が全く挟まることのないゴラッソで試合を決めてくれた岩淵は光り輝く存在となれた。刻一刻のピッチの変化をプレーしながら感覚として刻み、自らのプレーでその慣らしを終えた直後のまさに89分。中央でどうにか持ちこたえてくれた須藤が岩淵に落とす、リターンを受けた岩淵は寄せに来る相手に対して裏街道を切り裂く華麗なドリブル突破!流れるように、美しく。冷静にゴールに流し込み、そしてスタンドは歓喜の大爆発に見舞われた。こんなピッチで、こんな試合で、こんな主審で(あ、また言っちゃったね)、究極に美しいゴールが試合を締めてくれたのはこれ以上ない幸福だっただろう。試合後号泣してしまった前日等々力での勝利に引き続く、感動的な勝利だった。
思えば昨年のJユース杯大分戦、同じフクアリという舞台でハットトリックをやってのけた岩淵。ここで初めて意識的に岩淵のプレーに引き込まれ、そして一目惚れをした。時は経て舞台はまたしてもフクアリ。ここで岩淵を惚れ直した。あぁ、やっぱり俺は「岩淵は俺が育てた!」とロンドンのPUBでかってに自慢して、ギネスで知らないガイジンと乾杯!!したいねぇ。華麗な彼のプレーへの想いを改めて感じた豪雨のフクアリだった。

  • 違う回答を問われ、違う正解を導き出した 前橋育英

二日酔いの最低なコンディションでの観戦は多くの人に迷惑をかけてしまった。チアに見とれまくってたのは二日酔いのせい、ということにしておいて下さい。あはは。すいませんです…けどあのチアの選抜、その審査員がやりたい…!
と、あっち見てこっち見ての市原臨海だったけど、そんな誘惑なんかでは眩まないほどに前橋育英は素晴らしかったのです(おぉ、上手く方向修正できたぞ)。
前橋育英も、これまた関東プリンスで強豪達の中で揉まれてきた、歴とした名門高校。プリンスでの最終戦は観戦することが出来なくて今回が初観戦だったけど、なるほどこちらも素晴らしい。クサビパスを中心としたパスワークのチームだろうけど、そこからどう散らすか、はたまたそのクサビパス自体に360度の自由度が非常に高い。ただでさえ「パスを回す」ということがどれほど難しいかは、J1、トップカテゴリーを通してイヤと言うほど味わってきている自分達。それでしかし、難しいことをせずに自由度高く回していく前橋育英は、チームとして称賛に値するかと。
(また、こういうのを見続けるごとに、我々が求めているMoving Footballがいかに小難しくポゼッションを行おうとしているかも透けて見える。あえてシンプルではなく、ああしなければ行けないのがトップカテゴリーなのかは、もしくは余計な小難しさなのかは、実は議論の余地があるかと)
こういうチームと対峙してみると、しかし何だかんだで東京U-18の選手達は個も強いし、厳しい選抜を経てきたエリート達であることも考え直される。岩淵が、またしても「自分のみが届く位置」にボールを置きながらのドリブル突破で鮮やかに先制し、途中交代初出場の星が追加点を流し込み結果を出してしまえること、そしてキャプテン畑尾がその腕章に偽り無くチームが厳しい時に頼りになる決勝点を叩き込んでくれたこと。チームを整備した両者ならば、その後問われるのは個の強さ。やられながらも結局東京は強さを発揮しきってスコア上は完勝をして見せた。
そう、チーム整備素晴らしい高体連3連戦は、チーム作りの素晴らしさで拮抗した上での個の強さが光った3連戦だった。それは、東京サイドがクラ選ほどの華やかなチーム内容を示し切れて無いとも言える。高円宮杯は、FC東京U-18の違う強さの面が非常に際だった大会だと振り返れるだろう。要因としてはケガ・累積によるメンバー構成もあるし、チャンピオンチームとしての「追われる立場の苦しさ」もある。スカウティングによる東京対策がしっかり為されているなぁと伺える場面も非常に多い。
ユース3冠の初回・クラ選を制したことで、そのままトントンと次も!と行きたいところだったが、その状況の違いによって、クラ選とは全く違う強さを求められる大会となった高円宮杯。クラ選と高円宮杯の、見た目の試合内容に違いも、そう考えれば納得もつくし、高円宮杯では高円宮杯での要求に東京は応え切れての準決勝進出だったのじゃないだろうか?
そして、それをこの先答え続けることが非常に難しいことも、現時点で容易に想像出来る。聖地・国立での名古屋U-18戦は、勢いに頼れない、厳しい準決勝になることは間違いない。

  • 長くなってきたのでインターバルを

これを書きながら見ていたサラリーマン金太郎、どうでも良い作りだったが青山倫子が出てるとなりゃあ話は大違い!うわー「おりん」がミニスカ秘書させられてるよ〜!ばんざぁ〜い!!この人も、制作側に困らされて威力を発揮する人。このキャスティング一点でこのドラマは生き残るんでしょうね。おりんはもっと評価されて良いよ。

さてさて、前述通り難しい準決勝。チームとして整備された上での個の強さ、がこの試合でも問われることになりそうだけど、それには非常に厳しい材料が揃ってしまった。
まず出場しないのが廣木・三田啓・山村・重松、それにサテでフル出場の藤原も出場しない、ということなのだろう。さらにケガが微妙な大貫・岩淵。そうそうたるメンバーが出場出来ないのを、改めて確認してみると気が滅入る。
スタメンを予想してみると、井上・阿部・平出・畑尾・久保田・江口・大貫・山浦・梅内・三田尚・岩淵か、これにケガが分からない大貫・岩淵を抜くとなると、山口・笠原辺りが入るのか。どちらにしても、厳しい。実にスタメン7枚抜き。まずこの時点で「チームとして整備された」が難しいことがよく分かる。
相手の名古屋U18はクラ選で8-4と大量得点で勝利した相手。しかし、大量得点後に取り返して見せた4点を見ても分かるように簡単に気持ちを切らすチームではない、不屈な素晴らしいチーム。何より静岡勢を退けきったプリンス東海優勝は伊達ではない。今年は去年の花井のような強烈なタレントが居るようには見えなかったが、安定して結果を残している近年の名古屋は、そもそも簡単な相手ではない。悔しい敗退を経て更に強くなった名古屋は、ベスト4にふさわしいグッドチームに、更なる成長をしたということでしょう。

これまで個の強さで勝ち進んできた東京も、今度は「今までベンチを温めてきた選手達の個の強さ」を求められる事態となった。当然、非常に厳しい状況であることには間違いない。しかしこの厳しい状況も、視点を変えればニュースターが「化ける」には絶好の舞台が整ったとも言える。高円宮杯で問われている事って言うのは、つまりはそういうことである。違う強さを求められてきた高円宮杯の集大成がここにある。
東京がもう一皮剥けるための、大切な経験。是非それぞれの意思表示で、オレ達のFC東京U-18の後押しをしてあげて欲しいです。
個人的には三田尚央に期待します。ここで化けなきゃオトコじゃねぇぞ!頑張れヒサオ!!