足りない「何か」 レビュー -京都戦

毎度の遅筆で、プレビューばりのタイミングでレビュっていて申し訳ない限りです。これだけ間を空けてても、じゃあ見方に寝かせただけの何かが生まれているかとなると、そんなことは全くなくて。実際は当日の感覚、もっと言えば試合見ながらブツクサ言っている内容と全く変わりないことをぶつけているに過ぎないです。
現地で受けた感覚は、引き続き悪くない内容を見せ続けているなといった印象。浦和戦で落ち込んで、しかし以降の鹿島戦ガンバ戦は内容自体はあまりネガティブな印象はあまり無い。鹿島戦は気持ちの切れた終盤が後味を悪くしてしまった部分はあったし、ガンバ戦はゴール裏が適切なチャント選択をしていれば勝てた試合だった(と無根拠な主張は一応しておく)。強豪の鹿島・ガンバ相手での内容の良さ、それが引き続き京都戦でも見れた感はある。
前半は劣勢に見えたかも知れないが、派手さはどうあれ両者共に良さを出しながらの攻防を見せれてたはず。京都の中心はやはり柳沢。フェルナンジーニョとのシンクロ率も高く、何よりヤナギの個人MOVINGはやはり何度見ても一級品。あの出来を続けれるなら、獲得を狙って良い選手。対する東京は大きな動きは少なかったが小さい動きで確実に繋ぎフィニッシュまで持ち込めていた。
MOVINGしろよ!もっと動けよ!それも確かに正解。けど動けないなりに、暑さなりにアジャストせざるを得ない状況の中でも質はどうあれフィニッシュ傍まで進められて、そこに賢さと成長の跡を感じられた部分を評価したいところ。キツい事を言っておけば、あの場の暑さを実際に感じていた人から「動けよ!」って檄(野次?)が出るセンスは信じられない、こういう人らは一生、勝てない原因を太陽だの夏だのに求めるが良いと思う。BS-i中継では相馬氏始め動けてない時の崩しを問う声は多かったが、そんな壁はとっくに迎えていて、そこの改善の兆しが既に出てきているんじゃないか、というのが自分の見立て。その点で東京はのこの日の内容は、過程としては一定の評価はしたい。

評価としては更に、監督采配。ここ数試合の中では抜群の采配ピタリだった。強烈なサインである2枚替え、大竹・エメでキープで間を作りながら裏を狙うサッカーへの転換、この試合不調だった浅利と代え時のサインを発していた石川を下げた決断といい、ドンピシャ。城福サッカー内で期待している浅利・石川がコンスタントな好調さを出してくれないもどかしさもあるが、この采配は断然支持。素晴らしい出来だった。
特に大竹は復活の兆し。センセーショナルな川崎戦で第1タームが終焉し、迎えた第2タームではかなり苦戦を強いられていた。小平ではボランチを始めとした中央のポジションで執拗に起用され、まさに中央で揉まれながら苦しい壁を大竹は感じていたはず。そこからの脱却の兆しが。
サイドに起点が生まれた時に、爆発的なダッシュでその前方に流れるのはいつも大竹だった。中央で受けていたプレッシャーに対処するために、まず中央からサイドに流れる動きの質で、プレッシャーから上手く逃れる形でサイドでボールが持てる様になった。そしてそれでもプレッシャーで厳しい時でも、相手の意識の逆を細かく突くことで狭いエリアの中でも彼独特の間を作れる様になった。恐らくプロのプレッシャーを厳しく体感する中で、その早いタイミングにもある程度慣れてきたのかもしれない。その判断の速さの集大成が、あの赤嶺へのドンピシャクロスか。復活の手応えを掴んだ第2タームを経て、逆襲の第3タームはもうすぐ始まるかもしれない。
これだけ内容を褒めた。この気持ちには偽りは当然無い。しかし、現実ラストワンプレーで赤嶺が掴んだのは『同点ゴール』であった。決して『逆転ゴール』ではなかった事は忘れてはいけない。内容の良さを前述通り感じていただけに、それは逆転ゴールであって欲しかったし、何故逆転ゴールじゃなかったのかと悔しさも募る。
ここまで練って、やっと『フィニッシュの質』『ラストパスの質』を問うことが出来るのではないだろうか?

「流れの中からで、最後、キーパーに当てたり、バーに当てたりというのは、よりそこに近い選手というのは責任を感じなければいけないところで、僕らがやらなくてはいけないことは、そういうチャンスを幾つも幾つも作ることだと思いますし、作れていないとは僕は思っていないですけど、それを逃し続けると苦しくなるというのは責任を感じなければいけない選手は何人かいると認識しています」

城福監督のコメントを自分は支持したい。
内容に一定の評価は与えているものの、実際に勝ち点3を拾えていないここ最近を考えれば、「何か」が足りないのは自明の理。ゴールを奪う為の「何か」。スパイラルを断ち切り、勝ち点3をもぎ取る為の「何か」。
何が足りないのか?「何か」とは何か?
それは責任を感じることを求めている城福監督も、赤嶺祭りを絶賛しながらも最後はキッチリと「シュート打て!」で閉めた現地サポ達も、その「何か」は明確に分かっているはず。
さて、選手は?
それぞれがそれぞれの立場で、「何か」を明確に見せる事が求められる。そんな今度の横浜戦である。