ロンドン五輪のCBマジどうすんべ?問題から見る、日本のCBの現在とこれから

こんな時に先の話かよ!と怒られそうではございますが、まぁ暇ならでいいので付き合ってください。

アンダー年代の大会として、よく名前を聞く大会のひとつであろうトゥーロン国際大会が先週、ひっそりと開催された。島国日本として国際経験を積む場を重視する姿勢を打ち出すJFAにとっては、トゥーロンはもはやおなじみレベルにお世話になっている大会だと言える。今年もコートジボワール・フランス・コロンビアという組に入り、特にフランスは国内2部リーグのレギュラーを多く揃えた、なかなか面白い対戦相手だった。

今回のトゥーロンはU-21大会、つまりロンドン五輪世代による大会。日本も、ロンドン五輪世代の有望選手を選出。が、世間はJリーグは中断中ながらもナビスコカップは続いている。そしてナビスコカップといえばまさにロンドン世代の若手にとってチャンスが巡ってくる場だ。ということで、今回は「ナビスコカップ予選が無いACL参加チーム+学生」という基準でチームが組まれた。そして監督は、ロンドン五輪世代を率いる監督がまだ決まっていないので、暫定として西村昭宏氏が務めた(メンバーはこちら

そんな注目の大会なので、ジャス…(もごもご)で視ち…(もごもご)させてもらった訳ですが、まぁびっくりするほど酷かった。

初戦、いきなり情けないミスからの自滅でコートジボワールに0-3でチンチンにやられる。CBとGKがごっちんこ☆無人のゴールに流されたりと、情けない失点のオンパレード。

2戦目のフランス戦では開始5分の一振りでいきなり失点を食らい、そこで慌てたのかその1分後にGK原祐太郎はペナ外で1対1を手でセーブして一発退場。CKで一点返すもまたしても不用意なミス一発で結果1-4。

3戦目のコロンビア戦は自分は見ることができなかったが、UEFA CL決勝直前の時間帯ということで見ることが出来た方は多かった模様。結果はこちらも0-3のぼろ負け。感想を巡ると、見てた人ならばすぐにイメージ出来そうなワードが乱発。

とりあえず、初戦のダイジェスト動画はあったので様子はこれで把握出来ます。どれもこんな感じの失点なので、正直この試合のみで全体のイメージを把握しても問題はなさそう。あと大会主催者が作成したらしいダイジェスト動画も。3分50秒辺りからフランス戦のざっくりとしたゴールシーンの他に、大迫のちょっとしたインタビュー、西村監督インタビュー、グレ様の笑顔など、それぞれに興味ある方が、興味あるシーンを暇な際に見ていただければいいでしょう(笑)

で、さて…というわけです。下はアンダー年代から、上はこの前の韓国戦まで。「世界に対峙する日本」という構図で、この大会でもかなりショッキングな負け方をしてしまい、そのせいで沸々と湧き出てくる不安感。


問題点としてはいくらでもどころか全てが問題だったわけだけども(笑)まず今回はテーマとして守備に関してのみに絞ってみます。いや次回があるかは分からないけど。

そして守備に絞ったところで、前提としてこのチームがそもそも即席チームであった事実をしっかりと考慮しなければいけない。どんだけ適当にボール奪いに行くんだよ!みたいな、いわゆるチーム熟成的な部分についての文句は、言っちゃいけないんだと思う。招集して、1日練習して、即試合ぐらいな代物だったでしょう。

しかも、監督がよりによって監督も西村昭宏さんだったからね。管理がされていない、まぁしょうもない代物でしたが、その裏づけ・説得力としては高い方だと言えるかも。

それでも、だからこそ見える事もあったりするわけで。

チーム力による補正が無い中で、個が、何を考え何をすべきかっていう「身につけてきた技術・思考・サッカー観」がモロに晒される感じとでも言うか。ポジションごとにやるべき事として。誰かが上がってるのに気づいたなら自分はカバーに徹するだとか。周りが危険なくらいに高い位置取りをしてるのにセンターラインでボランチがしょうもない危険プレーを「選択」しないだとか。片方のSBは空気読んで自重しとけやだとか。前向けよだとか。ビビって広すぎる間合い取ってんなよだとか。そういう個人レベルで備えておけよってものすら、ボランチにもSBにも、いや出場選手全てが実際は備えてなかった。知ってるはずだよね、貴方たち「エリート」なんだからと嫌味の一つも言いたくなるほどに、サッカーを知らないもしくは知ってるのに発揮出来なかった。

状況なんて、相手もウチと同じ程度の急造ぶりだったと思う。だからこそ今回においては、ぼんやりとした言い方をすれば「ツボとして心得ておくこと」みたいなものの差が如実に出てたような気がしてならない。


今回のトゥーロンの惨敗によって、賑やかになったのが2ちゃんねるの日本代表板。所詮2ちゃんねるとは言えども、育成年代を見て、気にするような「数奇者」が集まればなかなか面白い展開になる。あれやこれやの文句が多く出ている様でいて、今回は結構面白いデータも出てきた。

その中の一つ。今回の選出選手については、出場機会の少なさが酷すぎると示されたこれらデータが面白い。これは現状把握として、知っておいていい代物だと思ったので。みんなに知っておいてもらいたいなぁと。これが今回のメインディッシュ。

そのデータがこちら。2ちゃんねるがネタ元なのでリンクは貼らないですが、「ロンドン五輪世代part5スレ」にあります。ここでまとめてになりますが、いつも出場データをまとめてくださっている方、そしてそこから面白い抜き出し方をして書き込んでくださった方、皆さんありがとうございます。

905 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2010/05/19(水) 16:50:14 ID:aNHRMGQl0
U−21日本代表 フランス遠征メンバー(第38回トゥーロン国際大会)
                       2009シーズン+2010シーズン
GK
大谷 幸輝(浦和レッズ)          0試合
原 裕太郎(サンフレッチェ広島)     1試合
DF
當間 建文(鹿島アントラーズ)      0試合
吉田 勇樹(川崎フロンターレ)      0試合
比嘉 祐介(流通経済大学)       --------
大野 和成(アルビレックス新潟)     0試合
山田 拓巳(モンテディオ山形)      4試合
菅沼 駿哉(ガンバ大阪)          0試合
牟田 雄祐(福岡大学)          ---------

906 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2010/05/19(水) 16:50:59 id:aNHRMGQl0
MF
清水 航平(サンフレッチェ広島)     3試合
丸谷 拓也(サンフレッチェ広島)     3試合
木暮 郁哉(アルビレックス新潟)     3試合
阿部 浩之(関西学院大学)       ---------
横竹 翔(サンフレッチェ広島)     24試合
大塚 翔平(ガンバ大阪)         4試合
登里 享平(川崎フロンターレ)     8試合1ゴール
FW
山崎 亮平(ジュビロ磐田)        0試合
林 容平 (中央大学)          ----------
押谷 祐樹(FC岐阜)          26試合3ゴール(2部)
大迫 勇也(鹿島アントラーズ)     30試合4ゴール

とにかく後ろの選手の試合経験のなさは問題外レベル
J2クラブへレンタルなりして経験つませるほうが良いよ

905-906の方が言うように、確かに後ろの選手に関しては問題外レベルの出場経験。

ただ今回のトゥーロン遠征に関しては、前述の様に「出場機会の少ない選手のための」大会であったと言っても過言ではない。逆を言えば、トゥーロンでは出場機会のある選手は「呼べない」状況でもあった。今回のトゥーロン組は2軍もしくはそれより下のレベルの選手達が多く選出されたチームであった。来るべき本格始動に向けて、どれだけの選手が残れるか?というのがモチベーションの源であった。

では、1軍候補とされている選手の現在はどうか?ロンドン五輪世代の選手たち全体の「試合経験」は、どうなっているか?ロンドン五輪世代のJ1J2それぞれの出場時間上位15名のリスト、それが以下のデータ。

918 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/05/19(水) 20:55:22 id:enVfkEH/0
集計さんのデータを元にして

J1出場上位15人
権田 修一(GK/12試合、1080分)
香川 真司(FW.OMF.DMF.SB/11試合7得点1アシスト、990分)
村松 大輔(SB.CB/11試合、990分)
酒井 高徳(OMF.SB/11試合1アシスト、838分)
金崎 夢生(FW.OMF.DMF/10試合1得点3アシスト、837分)
横竹 翔(FW.OMF.DMF.SB.CB/9試合、577分)
宇佐美 貴史(FW.OMF/6試合2得点1アシスト、510分)
椋原 健太(SB.CB/6試合、428分)
重松 健太郎(FW/8試合3得点、342分)
山本 康裕(OMF.DMF.SB/9試合、306分)
金井 貢史(DMF.SB.CB/5試合、290分)
中村 太亮(OMF.SB/3試合、236分)
大迫 勇也(FW/8試合1得点、182分)
原口 元気(FW/8試合1得点1アシスト、179分)
宮吉 拓実(FW/7試合2得点、157分)

J2 上位15人
東 慶悟(FW.OMF.DMF/12試合2得点6アシスト、1061分)
河野 広貴(FW.OMF.DMF/11試合2得点2アシスト、970分)
刀根 亮輔(CB/11試合2得点、966分)
杉浦 恭平(FW.OMF/12試合1得点、956分)
宮澤 裕樹(FW.DMF/11試合、953分)
吉田 豊(OMF.SB/10試合1アシスト、899分)
越智 亮介(OMF.DMF/11試合1得点、871分)
佐藤 将也(FW.OMF.DMF.SB.CB/9試合、803分)
工藤 壮人(FW/10試合5得点3アシスト、758分)
遠藤 敬佑(FW.OMF.DMF/11試合1得点、757分)
中野 裕太(FW/10試合1アシスト、756分)
押谷 祐樹(FW/11試合2得点、744分)
輪湖 直樹(OMF.SB/10試合1アシスト、730分)
鎌田 翔雅(SB/8試合、720分)
柿谷 曜一朗(FW.OMF/12試合2得点、691分)

919 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/05/19(水) 21:36:04 id:enVfkEH/0
J1からJ2で試合に主力としてに出れてるのは
川崎から愛媛の杉浦と名古屋から草津の佐藤
J1J2で見ても上の人も指摘してるけどやっぱりCBの出場経験が少ないね
湘南の村松と大分の刀根くらいかな

上記の30人が「出場経験」のみを踏まえて考えるロンドン五輪世代ベストメンバー候補である。現実的にはこれにプラス、怪我によって出場できていない山田直輝・米本拓司、あと大津祐樹も怪我してるっけ?これらの特例としていい「主力選手候補」達が入ってくるだろう。

以上33人を見ても、恐ろしいほどに守備の選手は出場機会が足りていない。つまり、トゥーロンでなくてもDFラインの出場経験の少なさが問題であることは変わりないということになる。

だが、出場経験の少なさってのはロンドン五輪本大会にどれほど影響があるのだろう?そもそも出場機会の少なさは問題なのだろうか?本番は2012年、2年先の話である。

そこで、同じ方がこんなデータも調べてくれた。過去4大会でのCBは、本番2年前つまり今シーズンと同じ状況でどれほど出場経験をこなしていたか?それが以下のデータ。

920 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/05/19(水) 21:40:52 id:enVfkEH/0
>>919のJ1からJ2ってのはレンタルのケース

あと過去4大会本戦出場&予備登録CBと本戦2年前の出場試合数をwiki元にして調べた

北京 2006年の出場試合数
吉田麻也 ユース
水本裕貴 J1 25試合
森重真人 J1 2試合
青山直晃 J1 29試合

アテネ 2002年の出場試合数
田中マルクス闘莉王 J1 22試合
茂庭照幸 J1 19試合
那須大亮 J1 3試合
菊地直哉 高体連
北本久仁衛 J1 22試合

シドニー 1998年の出場試合数
中澤佑二 練習生
松田直樹 J1 12試合
宮本恒靖 J1 32試合
中田浩二 J1 5試合
山口智 J1 30試合

アトランタ 1994年の出場試合数
白井博幸 J1 14試合
鈴木秀人 J1 0試合
田中誠 J1 0試合
上村健一 J1 26試合
松田直樹 高体連

ここまで流れでデータ見ると、本当に面白い!データは嘘つかないけど、過去と比較することでこうもクッキリと現状把握が出来る。比較元のデータ、つまり過去4大会の「成果」をどう捉えるか?で印象は大きく変わってくるでしょうが(笑)でも、これを踏まえて、さてどんな選手が今シーズン出場経験を積んでくれるだろう?と妄想しながら今年を過ごすことは、数奇者にとってはきっと有意義なはず。

確かに、ディフェンス陣はオフェンス陣に比べて出場機会を得ることは難しい。特にCBならば尚更だ。しかし過去4大会を見ると、思ってた以上に「既にレギュラーを張っている選手」がいたのか…と自分の感覚では思った。それでも、意外な選手がまだレギュラー奪取していなかったり、もしくは吉田麻也みたいにユース昇格即レギュラーみたいなこともあったり。今回のロンドン五輪世代もこればっかりは分からない。

ただ、それでも、これから急速に上げてくる選手が果たしているか…となると、ここ2・3年の育成年代のサッカーや選手はそれなりに見てきたつもりだけど、正直ぱっと思い浮かぶ選手はあまりいない。それは「育成年代で求められているCBが、Jリーグで求められていない」ってのも理由の一つとして考えられ、それがJリーグでの出場機会を阻害していると個人的に考えるが。

またこうして見ると、山村和也に経験を積ませたいとサポートメンバーに選んだ気持ちも、分からなくもないかなぁとすら思えてくる。サポートメンバーとしての同行がどれほどの経験になるのか?って問題はあるにしろね。


って、それらの話は今回はいいでしょう。少なくとも、データと照らし合わせた現状把握。この現状を是非アタマの隅っこに置いておくと面白いかもしれませんね。