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苦くて不味くてしょっぱくて クラ選決勝 -セレッソU-18

FC東京U-18

育成年代、特にユースの試合を観ているとこんなことをよく思う。激闘経て、結果負けてしまったチームが、しかし負けたことで「あぁこのチームはまた一つ強くなるのか」と。負けて得る悔しさをカイバとして、ムシャムシャ喰らっては即座に血肉とする高速の新陳代謝。FC東京U-18のファンとして、苦しい中で掴んだ勝利の裏で、あぁマリノスユースは、あぁ湘南ユースはこれで成長し、さらに巨大化した強敵として、また改めて戦わなければならないのだろうと。それは、その場の勝利に喜びながらも未来を見据えたときには恐怖というか心配が増してしまうというか。それがプロサッカー観戦とはひと味違う恐ろしさであり、面白さなのかもしれない。
プリンスリーグ開幕と共に始まった今年の年代の公式戦で、彼らは結局プリンスリーグを無敗で駆け抜けた。公式戦に於いて負けたのは、消化試合の関クラ1位トーナメントでヴェルディユースにPKで負けたのみ、実質、負けるということしないままに、開幕からここまでを一気に突き抜けた。
そんな彼らに『負け』が必要だったのは間違いない。それは分かっていた。カイバが不足していた感じは確かにあった。けど、それがここで、この舞台であの相手でとなると、予感はしていたとしてもそれを受け入れるのは難しい。


5扇原7杉本らの大ゴマをひっきりなしにポジション巡らせて戦うセレッソU-18。チェスの様に、またはもっと大きな合戦で戦国武将を動かす様に。U-17日本代表、宇佐美世代のエース格7杉本をFWだけでなくCBにも使う様に、5扇原もCB、SB、ボランチ、トップ下まで務めさせられた。
選手も替われば、戦術も変幻自在。準決勝の京都U-18戦は某エライ人に「インベーダーゲームの様なディフェンスだ」と言わしめたほどの、狭くコンパクトに、そして横へのスライドが綺麗に効くディフェンス。そしてこの日はある程度前目からチェック早く、そこからさらにもう一歩踏み込む厳しさを見せていたと思う。
どちらのパターンにおいても、その守備の出来は良かった。事実この大会で対ヴェルディユース、対マリノスユース、そして対東京U-18に対して、セレッソは全て無失点で切り抜けた。東京U-18とは全く違ったアプローチではあるが、セレッソセレッソのアプローチで強固に守備組織を築いてきたことは間違いない。それは今大会の実績が証明している。


結果としてその守備にやられた感覚は確かに強い。長いボール短いボール、入れども入れども立ちはだかるのは6夛田であり、何よりGKの1一森だった。不安定厳しい気候の中でキャッチング然りパンチング然り、ハイボール処理は非常に安定していた。個人的にMVPは7健勇なんぞではなく1一森にあげるべきだったと思う。
シュート本数は東京16本に対してセレッソ3本。健勇が2本に、9永井に1本しか撃たれていない。延長後半は一本もシュートが放たれていない。それでも延長後半にスコアは動き、0-1。これが全てを表している。ペースは常に一進一退、通して言えばセレッソのゲームだったと言っても過言ではなかった。3試合連続の延長戦を戦い抜きながら、攻撃ではすり足の押し相撲から足で手でクロスを入れ続け、守備であのクオリティを作り上げたセレッソをアッパレというべきゲームだったと思う。客観で言うならば。


東京としては枠に当てた3本を振り返り、悔やみたくなるところだけど、「ツキもなかったが結果が全て。これもサッカー」という倉又監督の言葉が全てだと思う。ツキはなかったが、そのツキを引き込む所作に関してはセレッソに劣っていた。
だからといって彼らの頑張りに嘘はない。あれだけ悪質に削られ続けても、エースとしての自覚と意地に歯を食いしばり、立ち上がり続けた10重松健太郎の7本放ったシュートは、三ツ沢に足を運んでくれた全ての青赤サポの心に深く刻まれたに違いない。13武藤の跳躍力が、高さのあるセレッソに対してずっと頑張り続けてくれていたことだって、オレ達は知っている。


セレッソに勝てねぇなー」とは昨年のクラ選MVP我らがタマがこぼしていた言葉。そう、タマはじめ昨年の優勝メンバーが多く応援に来てくれていた。後半途中から、ある人はずぶ濡れになりながら、ある人は遠くで傘さして見守りながら、またある人はちゃっかり誰かのカッパを勝手に使いながら、「ふがいないぞ!」とスタンドにいる後輩を弄り、そして一緒に肩組んで応援してくれた。今回の負け、そして何より青赤で育った仲間たちの応援に、思うところがなければ男じゃない。前キャプテン畑尾と現キャプテン8年森との力強い握手(バトンタッチ)は、この先への決意表明に足るものだったし、タマと挨拶する10重松の目が潤んでいたのは決して雨のせいだけではないはず。
大きなカイバを喰らうことになった東京U-18。そのカイバはけど苦くてパッサパサで、「もう喰いたくねぇ!」と思ったんじゃないかな?負けて得る味は、やっぱり苦くて不味い。
高円宮杯では、Jユース杯では、今度は勝利の美酒を。美味いものに目がない我ら青赤の同志だが、やはり勝利の味に勝るものはないのである。


あの場にいた全ての皆さん、お疲れさまでした。セレッソサポよ、風邪引くなよ!!