ユース応援企画ありがとうございました

今年もユース応援企画を無事、行うことが出来ました。

最近、多くの他クラブのサポーターと関わりを持てるようになってきた中で、多くの方に仰っていただけるのが「ユース応援企画が成立することの凄さ」についてです。時には敵としてゴール裏で対峙する様なサポの方からも「うらやましい」と言っていただけることは、参加者の一人として非常に誇りに思います。

改めて、企画趣旨に賛同いただいた皆様方、本当にありがとうございました。

ただ、当の自分は今回、当ブログでの事前告知みたいなこともする余裕もなく、企画の周知に殆ど貢献することも出来ずとなってしまいました。ただでさえ、企画に関わってるフリをしつつ実は何もやっていないっていうのに、今回は本当に何もしなかった…

なので、その申し訳なさもあって、いや今となっては何故こんな図々しいお願いに至ったのか全く覚えていませんが(笑)今回の企画のTシャツ送付時に、今年のU-18の中間報告的な原稿を同封してもらいました。本来は事前告知のためにと書きかけで残っていた原稿でしたが、せっかくなのでとこちらからお願いして、どうせならU-15についての文章もaoaka-noteさんからいただいて一緒にドンと、です。

とは言え、この原稿は元々はブログに載せる予定だった文章。それもあって、結構ストレートな物言いで原稿を仕上げてしまったことは、「もっとちゃんと媒体を考えた書き方をすればよかった」と今でも後悔する所ではあります。しかもその原稿が、主催のkulさんのいきなりの思いつきで、選手の親御さん宛のTシャツにも原稿を同封しよう!みたいな展開になってしまい、「いやいやさすがに親御さんはアカンやろww」とあたふた…

ただ、kulさんにはそんな不安を簡単にねじ伏せるだけの美しい装丁もしていただき(自分の原稿がこのような形となることに素直に感動)そのおかげもあってか、親御さんなどから頂いた感想はどれもが嬉しいものばかりでした。本当に書いて良かった読んでいただけて良かったと、今では心から思います。

まぁ、何より本音は親御さんに怒られなくてよかったなと(笑)


そんな今回の原稿ですが、元々自分は企画に賛同してくださった方だけに…と考えてたんですが、これまたkulさんのお達しにより、当ブログでも公開させて頂きます。だって「公開しないならわたしのところ(可楽blog)で勝手にうpするからな!」との脅迫も受けましたからね!ね!!(ここ強調) 自分としてはあの紙を直に手にとった形で、貴方だけに読んでいただきたかったところですが、それは企画に賛同いただけた方の特権ということでいいのでしょう。

この原稿を書いたのが、H青森山田戦前日の8/22、朝の6時ぐらいまでかかったかなぁ。そこから今日この日までだけでも、U-18にはいくつかの試合と様々なドラマがありました。ひと月足らずしか経っていないのに、今この原稿を読み返すとかなり古い内容だとすら感じてしまいます。

それほどに、U-18は今も、歩みを止めずにガシガシと進んでいます。

明日9/23 11時からはホーム深川グランドで宿敵ヴェルディYに『挑む』東京ダービーです。彼らの『サッカーのチカラ』、是非後押ししに来場宜しくお願いいたします。

2011 FC東京U-18前半戦総括

  • トレンドは揺れている?

 宇佐見・宮市などの機動力とドリブルのキレが目立ったプラチナ世代から、徹底したポゼッションサッカーで世界を相手につなぎ倒した94JAPAN。
 たったひと世代の違いでこうも真逆なサッカーになるものか?と考えると、アンダー年代のトレンドは確かにブレも大きく、変わりすぎだろとも思わなくもない。しかしその裾野をサボらずに観察してみれば、そこには揺るぎない傾向がハッキリと浮かび上がる。
 昨年のJユース杯決勝で我がチームとの激戦の末に2年連続のタイトルを獲得した、マリノスY。近年毎度のように我々の前に立ちはだかっては激戦を繰り返す、広島Y。そして夏の全国大会クラ選を連覇した、我々の最大のライバル、ヴェルディY。
 結果を出せるチーム、勝敗を分ける最後の要素を熟知したチーム、それぞれ「勝てるチーム」に共通して備わっているもの、いわばサッカーにおける『絶対の部分』もまた、ひとつの揺るぎないトレンドと捉えても構わないはずだ。

  • スロースターターの苦悩

 新シーズン。未知の1年に挑む我らがFC東京U-18に、ひとつの不安があるとすれば…
 例年、メンバーをしっかり固めた上で熟成を『待つ』チーム作りを行う倉又U-18には、その方法ゆえにある種のスロースターターな部分が確かにあった。しかしそれでも、プリンスリーグ関東1部3連覇の偉業も手伝って、シーズン最初の3月・4月には昇格したてのチームとの対戦が組まれる等ラッキーな面もあった。多少の甘さが試合中に覗こうとも、おかげで勝利という結果だけは何とかついてきた。実践で得る経験に結果が加味され、それにより選手は自信を掴み、チームは熟成され、迎える夏に堂々と挑んできた。

 このサイクルが今年は大きく変わった。
 ご存知、高円宮杯の通年全国リーグ化という大改革の関係で、年間カレンダーが大きく変わった今年のU-18年代。これまでのような優遇の無いカード編成によって、最初から全国の強豪と容赦なく組まれる日程。初戦の浦和Y戦こそ逆転で勝利を収めたものの、勝ち点3を得たのはこれが最後。続く清水Y戦・東京ダービーの前座に行われたヴェルディY戦に連敗、以降は流経柏・静岡学園・尚志・三菱養和と4連続でドロー。中断前のアウェー札幌Y戦は1-3での完敗だった。

 スロースターターなチームが、スローなままに結果を出せないとどうなるか?
 今年の倉又東京は結果が出ないどころか、メンバー編成すら固まらないまま夏を迎える非常事態となった。

  • 激流の夏、クラ選GL

 立て直しの兆候はこれまでにいくつもあった。
 特に、クラブユース選手権の関東予選は、マリノスY・柏U-18・甲府U-18そして東京U-18と全国級の強豪クラブと2/4の椅子を争うという、誰もが認める『死のグループ』であったが、この予選を堂々の1位通過で決めた過程は素晴らしかった。個々の良さが無理せず発揮される中で、「上手さ」以上に「強さ」で相手の心を折る。これぞ倉又東京!の「勝ち方」がいよいよ身についてきたか?という期待を抱く予選だったが…

 続くクラ選全国大会は1勝1敗1分の勝ち点4、2年連続のグループリーグ敗退で終わる。その一連は昨年とは全く違うものだった。
 躊躇がありつつも、その葛藤を越えてあえて言い切ってしまえば、GL第2戦の札幌Y戦、アウェーでの1-3完敗の翌週に偶然にも仕立てられたこのリベンジの舞台で、青赤の戦士たちは、間違いなく心が折れた。
 数手先の未来を予測し、限定するといったサッカーの基本を怠り、出足は全て相手に遅れ、それを挽回する気持ちも表に出てこない。空中戦は落下点に入ることも出来ず、まともに競りにいけたのは数度もあったかどうか? 各選手がやるべきタスクを怠り、『諦めていた』。主力と呼ばれていた選手たちが次々と交代を命じられ、ベンチ脇でタイムアップの笛を聞くこととなる。0-1。為す術もなかった。
 完全に崩壊したチームが迎えたGL第3戦では、キャプテンがスタメンから外れ、昨年からレギュラーを張り続けてきた選手たちがベンチからも外される事となった。思い出される2006年トップチームのホーム最終戦、対浦和レッズ戦では土肥から塩田にスタメンGKを変えるという大鉈を振るった倉又監督だが、それ以来もしくはそれ以上の荒療治が、このタイミングで執行された。迷いと自信の無さがありありと出ていた選手たちに代わり、虎視眈々と主役を狙う下級生たちが躍動し、チームは1ヶ月ぶりの公式戦勝利を掴み、大会を去った。

  • 成果をまとめるもの

 ある日の小平グランド。
 トップチームが天然芝グランドでTMに励む横で練習を積むU-18。トップチームに「レンタル出場」している仲間を気にしつつも、練習に取り組む姿は真剣そのもので、それは球際にもよく表れていた。方や、スイッチがオフになると、先輩後輩関係なくとにかく仲良くみんなでじゃれ合う姿も目立った。青赤に憧れ、青赤を愛し、青赤の下に選手たちが最高の日々を過ごせていることは間違いないし、それを伺える些細な所作様子しょうもないイタズラに、見てる側も顔が綻んでしまう。
 それらがピッチ上に反映されない現状が、もどかしく、つらい。
 ただその葛藤は当然、選手自身こそが抱いているはずだ。これほどに勝てなかったことは、今までの選手生活の中でも無かっただろう。だが、些細な掛け違え、小さなきっかけからついにここまで来てしまった。近年無いくらいに選手は悩み苦しんでいる最中である。

 しかしこの苦悩は、近年のU-18には与えられることのなかった、成長のための格好の養分でもある。
 個々に目を向ければ、既にこの激流を経た『成果』の芽が出てきている。揺るぎない自信からチームの中心の座を奪ってみせた選手もいれば、この状況だからこそ味方にチーム全体に試合中に恥ずかしげもなく「愛」を伝えるコーチングが冴えてきた選手もいる。倉又監督に大鉈振るわれた選手たちも、当然このままで終わるはずがない。この状況が選手をどう育てることになるのか? その可能性はあまりにも大きすぎて正直見当もつかない。
 あとは、それがチームとしていかにまとまっていくか?
 そのために必要な第一歩は、言わずもがなだろう。倉又東京を見続けてきた我々が、倉又東京で戦い続けてきた選手が一番知っている、倉又東京の『絶対の部分』。

 走ってばかりで、フィジカル重視の、没個性な部活サッカー。

 倉又東京へ向けられていたこれらの意見が間違いであったことが、奇しくも他チームによって世間に証明されつつある。マリノスYも、広島Yも、そしてヴェルディYも、今では各チームともよく走り、ボールを追うことをサボらない。
 また、それらを求めることが決して没個性にはならないことも各クラブは証明した。ブロックの中でも相手の逆を取る技術が光るヴェルディY、スピード豊かにサイドを切り裂くマリノスY、両チームの伝統は、泥臭く走ることを徹底したおかげでさらに輝きが際立つ様になった。

  • 絶対の「土台」の上に

 相手よりも走り、仕事をサボらず、徹底してボールサイドで厳しく勝負する。これらは個性を潰すことには決してならない。むしろサッカーを支える土台に過ぎない。勝てる選手になるための、サッカーにおける『絶対の部分』のあくまで一要素。その事に気付き、チームに徹底させてきたチームのみが近年、タイトルにまで手が届いている。これこそが、今のアンダー年代のサッカーのトレンドだ。

 FC東京U-18にはこの状況であえて、第一歩だけではなく二歩目三歩目を求めたい。
 いまのU-18は、第一歩目の『絶対の部分』を取り戻すところからの状況であるのは確かかもしれない。しかし、それは倉又監督にすればこれまでも続けてきたことではあるし、倉さんにとっては造作もないことのはずだ。それを求めるのは、改めて言う必要がないだろう。
 ではその土台の上に何を築くか? 確かな土台によって輝く、FC東京らしさとして何を見せてくれるのか?
 例年、倉又監督は攻撃に関しては選手にかなりの自由を与えてきた。よって、その世代その世代の特徴が攻撃にもよく出ていた。中盤の創造性が活きる時代もあれば、中学から2トップとしてコンビを組み続けてきた阿吽が活きた時代もあった。他方で、今までのようにスロースターターで待ち続ける方法が、今のカレンダー制度では塩梅が難しいことは、現時点でも重々学習したことだろう。チーム作りとして、世代ごとの多彩さと共に、クラブとして共通する骨格を。倉又監督自身の変化を、次を、進化も見せて欲しい。
 その上で、選手たちが存分に暴れまわる姿が是非見たい。まだ、秋がある。冬もある。シーズンは折り返したばかりだ。

 心が折れたGL第2戦、札幌Yに完敗を喫した試合後に撮影した集合写真はタイミング上、最悪のものだった。ぶんむくれた表情が記録として残されたのだろう。その写真を笑いながら振りかえれる時は、きっとくる。最高の表情で、冬にはみんなで写真を撮ろうぜ。
(文:CHONO 編:kul)