SBSカップ国際ユースサッカー2009 U-18日本代表 - 静岡選抜

今日はSBSカップを観戦しに、18きっぷでてくてく草薙へ。

U-18のフランス代表とメキシコ代表を、U-18日本代表と地元静岡選抜が迎え撃つ伝統の国際大会であるSBSカップだけど、もちろん自分は初観戦。大会運営も中継態勢もそして何より観客も、静岡の「サッカー王国」たる威厳を示すエッセンスが随所に散りばめられた、さすがな大会ぶりだった。何より静岡選抜はジュビロY・静岡学園を中心にU-18日本代表候補や元候補らをズラリと集めた、なかなかに豪華なメンツ。また、U-18代表候補に予備登録されていた静岡組は、あえて静岡選抜の方に回されたような構成になっていた(事実、日本代表候補最終27名の中に、今回の静岡選抜の選手が何名も連ねていた)し、都市伝説チックな風間兄弟も総体に続きここでも堂々のお披露目。発表当初から静岡選抜チームもかなり楽しみだった。

対する日本代表も、個人的に観てきたクラ選組を中心としたメンツで馴染みの選手が勢揃い。何より我らが東京U-18からは、常連の阿部巧と、つい先月に代表初招集されてからことごとく結果(=ゴール)を残し続けてきた我らがKING重松健太郎が…
…ってだ・け・で・な・く!鉄壁東京を支える「オーバーエイジ平出涼に、まさかまさかの山崎直之まで!招集されちゃった〜。…と、最多4人の出向が命ぜられることになった。

元々18キッパー的には当然、仙台カップよりもSBSカップだったこともあって、これによりテンション上がりまくりに。オレに風が吹いてきた!ってことでいろんな楽しみを抱えて観戦した。

スタメンのみ一応列記。交代その他は公式リザルトや他のブログさんを参照。

静岡選抜 4-2-3-1
FW 森田隆廣
OMF 和田直己 深澤大地 戸高弘貴
DMF 風間宏希 上村岬
DF 小川大貴 永井鷹也 藤原賢土 鈴木隆太郎
GK 大杉崇仁

パンフによると小川・風間宏希・深澤そしてベンチの加藤は日本代表候補27名の中に含まれていた様子。前線4枚は全て静学組となり、高円宮杯で当たる身としては気になるセットに。キャプテンは上村。

U-18日本代表 4-4-2
FW 重松健太郎 永井龍
OMF 清武功暉 大崎淳矢
DMF 六平光成 山崎直之
DF 阿部巧 扇原貴宏 磯村亮太 田中優
GK 中村隼

キャプテンは扇原。練習試合から色々な組合せを試していたし、実際にメンバーを観てもパターンの種類は多そうだとは思っていた。それに清武が追加招集されたことでさらに拍車がかかったと考えていたが、初戦のスタートはこちらに。個人的にはまさかの山崎ナオ先発(笑)そして六平との「東京U-15深川の先輩後輩コンビ」が復活、両者がボランチに構える。

しかしこれが微妙。攻撃時にボランチがハッキリと縦関係になるんだけど、六平が前でナオが後ろの関係になってしまい、ゆらりとストライドのキレ鋭いドリブルが特徴であるナオが活きない。それどころかさすがに代表初戦の気後れで堅さが抜けないのか、試合に入りきれずにミスが目立つ。六平センパイ、気ィ使ってやってくれよと。前後代わってやれよと。


そのおかげか立ち上がりは静岡が掴む。上村が目立つキープ力で前にボールを供給し、受ける静学組がゴールに迫る。静学を気にしてしっかり初めて見るけど、やはりアイデアをプレーに乗せる為の引き出しというか、鍛錬はしていそうだな、って匂い。両サイドの和田・戸高、特に戸高は加えてスピードも操りながらのプレーで非常に目立つ存在に。
しかし立ちはだかる扇原はさすがなもんで、試合勘タップリに冷静にフィジカルをぶつけてゴールを守った。扇原・磯村に独り挑む1トップ森田は厳しい戦いが強いられた。
何よりその補佐に回るべき深澤が目立たない。ボールが足に着かないし、ボールが引き出せない。イケイケ感を戸高に奪われる格好になる。

そんな静岡選抜のターンも終わり、先制点は日本代表。右サイドの田中(?)からのボールを、流れる形でDF裏で受ける永井がGKとの1vs1をチョン気味に流し込むのを、重松が身体ごとで押し込んだ。遠目には手に当たってしまっていた様に見えたから、TV中継で観てた人にはもっとハッキリ見えてたかもしれない(笑)しかしそこのジャッジがどうかよりも、静岡選抜の選手達が誰1人抗議に行かなかったことの方が気になった。思えばここに今後の展開の匂いがあったのかも…

続けて日本代表。右サイド深い位置からのFKをキッカー阿部が左足でペナ内に放り込む。弾かれたボールを受けた阿部がもう一度中に入れると、今度は中央フリーの清武が教科書通りのヘッドをズドンと決めた。


前半が2-0で終了。この後トータルで6-1にまで差が広がることになるんだけど、結果急造DF陣が典型的な崩れ方をした格好に。オレでも名前を聞くような選手がズラリと並び、実際に永井鷹也辺りはDFとして相手に身体を当てる分にはいい仕事をしていたように思えた。しかしDFラインの機微がズレて、そのギャップを狙われたし、また守備面でボランチのサポートが非常に少なかったのも良くなかった。

何より相手は重松・永井龍の2トップである。
組んだ2人を観てみると、永井なんかは守→攻への切り替え直後に即トップスピードで裏に抜ける動きを大きく示してくれるし、重松も流れて受ける仕事をこなしながらもこれまた明確な動作でクサビを受けに降りてくることが出来る。そして両者共に基本、当たりに強いしガツガツと守備にボールを追える。これほど皮膚感覚にハッキリと恐ろしい2トップは確かにそうそう無い。
重松・永井龍はご存じ、先日のクラ選決勝で豪雨の中で優勝を争った両者。さらに昨年のJユース杯準決勝の因縁もあるが、いざ組んでみると何というか「気」が似たもの同士であり、なかなか面白い2トップになっていた。試合後に2人で仲良くじゃれ合う様子も見られ、いやぁどうも因縁(怨念?)を感じていたのはオレだけだったのかもしれないな(笑)

まさかの相棒を手にしたからか、もしくは本来のふてぶてしさなだけかは分からないが、新参者・重松は堂々たるプレーぶり。裏街道などの果敢な突破はあまり実ることはなかったけれど、観客の小さなどよめきを多く挙げさせた選手のひとりだった。つまり、多くのチャレンジを仕掛けていたということ。「ホラ龍、走れよ」と言わんばかりの無茶ぶりメッセージパスを出してみたり、どこに行っても重松は重松なんだと苦笑い級の活躍だった。カボレ並みの「疲れたサイン」を発して途中でお役御免。とんでもない暑さだったから仕方ない、その中でフル出場した龍がバケモノなんだ。2人ともお疲れさん。


後半はまず相手の不用意なパスをカットした六平がすかさずダイアゴナルなスルーパス、受けた龍が確実に流し込んで3-0に。その後の給水タイム明けの立ち上がりで、受けた鍋田(エスパルスY)が扇原をスピードで振り切って左足でゴール。3-1と反撃に狼煙を上げたかに見えたが、その直後に途中出場の菊池大介(湘南Y)や住田貴彦(大分)のヒールを混ぜたワンタッチパスから3人目の動きでナオがペナ内フリーで受けて右足ドンの初ゴール。4-1とされていよいよ静岡選抜の気持ちが切れたのか、今度は住田がGKとの1vs1を弾かれたのを拾い直して左サイドからクロス、ファーに飛び込んできた古田寛幸がこだわりの左足でダイレクトでズドンと沈めて5-1。DFのパスをかっさらった龍が住田にゴールをプレゼントしトドメの6-1。結果、ミスが非常に絡んだ上での大差勝ちだった。

静岡選抜としては、まず中央で存在感が示せなければ厳しい。前述の深澤も然り、風間宏希もこの日はあまり目立たなかった。加えてディフェンスの部分で急造感が否めない出来で、せっかくのメンバーだと思うだけにもうちょっと練られたチームが観たかったのが正直なところ。目立った選手は筆頭が戸高、続いて鍋田のゴールシーンと和田と中に入ってきたときの鈴木。都市伝説チックな1年生、風間宏矢は数分の出場で、ボディバランスが優れていることはとりあえず分かった。

逆に日本代表は、想定通りの内容というか。連携やチーム的なことは最低限出来てて、当然先の伸びしろは感じたし、色々な組合せ+総体組が加わってでこの先さらに競争がありそう。布さんの仕事ぶりは、過程としては良い印象に映った。けどそれは6-1の試合を観させられたんだから当然の印象でもあるけれどね。目立った選手は2トップの他に、ケガから戻れて良かった大崎、サイドMFとして機動力を示した清武、さすがプロを主戦場にしている菊池・古田。特に古田は「自分の間合い・持ち方」が作れるサウスポー、加減速も良さげ。


東京系選手について。
山崎は前半の不出来と7名の交代枠があることから、HTで交代させられると思ってたらまさかの続行。けど後半に代表戦初ゴールを挙げ、結果を残す事が出来た。これがプリンス第1節前育戦のゴールの様に、彼のリミッターを外すことになることを願うし、ゴール直後にはその片鱗を見せてくれた。けどそれまでの不出来を踏まえて5.5。恐らく当落線上の選手だろうから、生き残りのためにも残り2戦は頑張って欲しい。第3戦ではフランス代表をチンチンにして、「トレビア〜ン!」とフランスに拉致されてしまう展開になることを期待します(フランス代表がショボかったので(笑)現実味はあるよ)。
阿部は左SBとして、常連さんなプレー。ナオの機能不全とチーム熟成からか最初は上がりが少なかったけれど、相手がバテ始めた時を見計らって確信的強襲を始めだした。まぁいつもの感じってか。あとは重松が蹴りたがり始める前にプレースキッカーとして盤石な地位を築いておくんだな。
平出は後半途中から出場。ナオと共にまだ緊張というかチームに馴染めてない感じかも。ポジション的な難しさとナオほどに出場時間も多くは割かれないだろうから、ちょっと気張らないと大変かも。安心のオーバーエイジぶりを早く代表で観たい。
ついでに六平は、角はないけどハイアベレージな選手。永井へのパスは見事だったし、あぁいう配球をナオと上手く縦関係をチェンジしながらやって欲しかったんだけどなぁ。


ということで静岡選抜を今回はステップとした日本代表は、日曜日にU-18メキシコ代表、火曜日にU-18フランス代表と対戦する。このメヒコ・フランス両者の対戦がこの日の第2試合にあったが、見事に退屈な、見事に乱闘寸前に荒い、目安としてスタンドの少年達がDSを始め出すような試合内容だった(笑)ハイレベルの拮抗だった可能性もあるが…いや無ぇな。恐らくトントンと勝つと思いますし、反動も加味して静岡にもチャンスがあるはず(と期待したい!)。ただ当然、フィジカル差を体感する試合になるはずなので、ここで世界を感じて、更なるステップアップした姿を、両者共に、高円宮杯では楽しみにしたいと思います。


あーマジでもうスーパー暑かった。早くメロンまるごとフローズンソーダーで冷やされたいわぁ