守備の嗅覚を レビュー -札幌戦

オフを挟んで、半年ぶりの味スタ勝利、ですか。ならばこの結果を何より優先して喜ぶべきなんでしょう。
スタメンは自分の希望通りのツリーシステム。現状、監督とサポーターが求めているmoving footballとやらはこのシステムが一番やりやすい。FW陣に良さと厚みを期待しづらい状況な今は、この選択はベターだと。しかしそれより驚いたのはサブメンバー。MFゼロ。どうも攻めに行くにも守りに行くにも、パンチに欠けるサブメンバー構成だと言わざるを得ない。もちろんベンチに置かれた選手の能力値の問題ではなくて。
その後半ぶりで印象が薄まって、総じた内容に不満を感じる方向にも行きかねないけど、しかし悪くない前半だったかと。後方から大きく展開する梶山と、前方でゴールに直結する大竹とでバランス良くポゼッションが出来ていた。大竹は高値安定中だが、梶山、他に何度も素晴らしい展開パスや広い視野での縦くさびをしっかり打っていたのに、数本のパスミスで大きな怒号にすぐ直結してしまうんだからこれはもうもって生まれたモノとして諦めるしかないのか。パスは出し手と共に受け手も関係してくることであり、その場面受け手がこう動くべきであるところが動けて無く結果パスミスという場面だって少なくなかった。それをすべて梶山に文句ぶつけられたらたまったもんじゃない。
・・・カジヤマニアを自称する自分ですから、自分の目を信じてその部分、徹底擁護させてもらいます。梶山が本当に悪いと思う時は、新潟戦の様なボールキープが出来ない時だと思ってますので。むしろこの日はパスミスだ何だよりも指摘されるべきは守備でのアリバイチェックの部分でしょう。水曜日に引き続き、守備での貢献は非常に低かった!何だか意地になってるな・・・
閑話休題(?)。
カボレ・大竹・羽生の3人ならば、オフの動きで相手を崩せる。前半10分の場面に象徴されるように、有機的な運動量である程度カウンターも成立させれてしまう。何よりプレビューで指摘していた「カボレのフリックオンの、裏へ入る動き」を羽生中心に2人が徹底してくれていた事がまず嬉しい。カボレのフリックオン率がこの日はあまり良くはなかったけど、コレが連携ですよ。コレが観れただけで、水曜日より進歩。故に前線、特に羽生の運動量消費は感覚以上に激しいモノがあったと思う。
それもあっての後半。システムを4-4-2に向けたのは、後半途中の選手交代をスムーズにするための「慣らし」の側面もあったと思う。ベンチ要員がFWとDFのみとなれば、選手交代時にシステム変更がされるのは目に見えているから、ならば後半立ち上がりから、と。
しかしその懸念通り、選手交代で躓いた後半だった。まずカボレ→赤嶺。ケガ明けの赤嶺は自身の状況なりに良くやってくれたが、先週に比べればやはり精彩は欠いていた。また長友の起用は、いつぞやの岡田ジャパンの安田のアレ。せっかくの長友は安田的に赤嶺のこぼれを狙わせるよりかは素直に、リスキーに3-5-2気味にしてきた札幌の両翼をケアする役割をこなして欲しかった。何より長友投入以降の東京のシステムの宙ぶらりんぶりは恐ろしかった。ある程度の意図は勿論あっただろうが、羽生が左右に頻繁にケアに顔を出す場面が増えたことがその不安定ぶりの証明だろう(羽生にはホント助けられた・・・)。札幌のシステム変更に対応できるだけのベンチメンバーも策も揃えられなかったことが、この日の東京を苦しめた。
ハッキリ言って、札幌はJ2レベルを抜け出せていなかった。アイデアはあるのかもしれないがそれを具現化させるだけのプレー精度は根本レベルで厳しいものを感じたし、守→攻への切り替えも遅い。素早くスローインしてリスタートされれば東京的に苦しかった場面でもノロノロとやってくれた。そんな札幌のプレーぶりに東京は大いに助けられた。しかし、東京は札幌のプレーぶりに、付き合いもした。切り替えの遅さ、意識のエアポケットはボランチ、CB陣に多く観られ、「行くべき所」の嗅覚に鈍感だった。つまらないことで失点しなくて良かったと、いまはただただ思うばかりなのが正直な感想でもある。

個人評。
大竹は引き続き素晴らしいプレー。故に早く点を取らせてあげたい。例え内容的に周囲が納得するプレーをし続けられているとしても、この日のポスト直撃のようにゴールに嫌われるパターンが重なってしまえば、恐らく大竹自身プレッシャーになってしまっているような気も。早くゴールという結果で楽にさせてやりたいなぁ。しかしこの日のキックフェイント成功率は異常。独特の間で楽に相手をかわして自分の間を作れるのは大きい。ただ友人が「アウェイユニは30番買う!」と意気込んでた場面でふと思ったけど、コレ多分、来年『14番』背負うよなぁ。チャントだけでなくて、空位の背番号も来年すんなり受け継いでしまうことに、このままだったらなるよね。30番で買うことを良しとするか、14番になってから満を持して買うことにするか、友人には大いに悩んでもらいたい、あわよくば買うタイミングを逃してもらいたいもんだ(笑)ココを見て頂いている、感謝な皆様はそんなことの無い様に。
梶山とはうって変わって、個人的に厳しめの評価が多い今野。多分、「今野が目立つ試合は内容悪い」ってイメージがあるからかもしれんけど。ただそうだったら、後半劣勢の厳しい時にもっと目立って欲しかったな。あと「今野を攻撃的に」っていう采配がキライ。今野の良さは守備能力と得点力であり、攻撃能力ではない。攻撃能力の中の得点力っていう要素が突出しているだけ。だから別に今野の位置がどうであろうと現状の今野の攻撃能力は出せると思ってるんだけど。例えCBでも。ってこれは東京では禁句ですかね。えぇえぇ。オレは今野とブルーノは現状、位置入れ替えても良いと思ってます。
そんな初登場ブルーノと佐原のCBコンビ。ここ最近は東京守備の問題は個人能力の組合せ以上に阿吽の連携不足だと感じているので、この日の無失点で安泰だとはこれっぽっちも思っていない。佐原は危険なミスも多かったし。けど佐原は前節に引き続きフィードに対する空中戦ではガツガツ行けてたし、ブルーノと共にフィードキックは意外な高精度を見せていた。何だかんだで結果も出して、当分はコレで行くでしょう。次節はフッキだし。
そう、次節はフッキ。ホントイヤなタイミングでフッキ。まいった。けどそんな参った東京ダービーを「味スタで勝ててない状況」で迎えてたらもっと参ってた。J2な相手に助けられた面も勿論あるけど、課題は重々承知しているはず。気持ちはダービーに向けましょ。
ヴェルディだけには負けられない!