「東京フクダ電子アリーナ」への小旅行

まずは定刻通りに起きれた自分を褒めたいと思う。前日の忘年会をしっかり楽しみきりながら終電でキッチリ帰り、サクッと寝る、ススッと起きるとここまでは完璧。ダラダラして結局出る時間は少し遅れたが、許容範囲内。スムースに、向かうは「東京フクダ電子アリーナ」。
道中の電車で、自分の前に座っていたおばあちゃんがスゴイ印象に残った。品のあるファッションに身を包んだ出で立ち、夏目漱石の『こころ』を読み切って、うっすらと流れる涙を拭う様子は非常に美しかった。この年でも存分に人生を謳歌している。その姿は自分も死ぬまで見習いたいものだった。羨ましい。
昨年の千葉戦以来のフクアリ。歩道橋を登った途端にドンとそびえるフクアリの姿を見た時にはやはりワクワクが。この「スタジアムへと向かうワクワク感」がやはりたまらない。自分の人生、恐らくこの気持ちを大切にしていくのだろう。キックオフ2分前に着席。

  • お互いの見せつけあい 柏-東京V 前半

「来年はもっと黄金世代だから」と評判の柏と、「ウチは毎年黄金世代」とでも言いたげな東京Vの試合。共に予選を一位通過、代表選手を数多く抱えるチームと、好ゲームの予感は開始のロックアップな攻防ですぐに確信へと変わる。
東京Vはユースのチームを観ると、悔しいけどやはり歴史を積み重ねた名門なんだなと痛感させられる。徹底的な個の力はもはや「思想」。松木安太郎が解説で時々口にする「相手をおちょくる程に個人技でボールを回す・抜く」っていう姿勢が、ボールを持った時・相手と対峙する時の絶妙な間というか落ち着きに昇華する。パスサッカーではあるんだけど、それもあくまで個人技の延長上というニュアンスに感じてしまう。元FC東京の柴田峡が監督をやってもこれなんだから、確かにこのチームには「緑の血が流れている」と言われても納得してしまう。まさに名門・読売な伝統は今もここに根付いている。
対する柏もパスで崩すスタイル。個人技の高さは勿論しっかりあるけど、こちらはどちらかというとあくまでも「チームとしてのパス回しの中でのアクセント」的なニュアンスに感じた。4-1-2-3で3トップは基本は最前線にベタ付き。2列目の6番畑田8番仙石が上下に動いてボールを受けたのを合図に張り付いていたトップが数歩下りてきて、そこを起点にくさびと運動量で相手ゲインを突破していくスタイル。終点としてはパスサッカーな訳だけど、その思想の根っこには明確な違いがある様に見えた。
共に落ち着いた立ち上がりの中でも、最初の得点は意外と早くに訪れる。左サイド浅い位置からのFK、キッカー10番河野のインスイング(@クラッキー)のボールに、頭でチョンと軌道を変えた15久保木がゴール。1-0。
基本的にスタイルは近く、実力は拮抗。なので揺れ動く流れの奪い合いといった様相を呈す。東京Vのゴールからは東京Vのペースが続くが、前半終了が見えてきた頃にやっと柏がスタイルをやり切る姿も見え始める。柏は少しダメだと思ったら後ろに戻して、何度でもやり直してやろうという姿が段々プレーに現れ始める。息の長い攻撃が続き、柏の流れかと思った後半40分に同点ゴールが。右CKキッカー8番仙石からニアで誰か(20番島川?)がヘッドで逸らして最後は9番工藤が丁寧に押し込む。ここにいるのが仕事!とでも言ったかの様なゴール。面白い展開のままに、面白いスコアで前半終了。

  • 腹が減っては戦は出来ぬ

HTに入ったところでウルトラCの荒技。あまりの寒さで何か暖まりたい→暖かい物が喰いたい→スタには喜作のちょろっとした売店しかない→となると松屋の豚汁が食いたい→松屋の豚汁しかない→けど試合終わった後じゃあ松屋は激混みしそうだ→やるなら今しかねぇ!!。
前半途中から始まった雑念が、ハーフタイムのホイッスルで頂点に達する。
前半が終わった直後に急ぎ足でスタジアムを去り、松屋へ。店内は予測通りの適度な空き具合で、欲望通りに昼メシに松屋の豚汁を腹に収める。あぁ、なんて素敵なんだろう松屋の豚汁は。こんな値段以上に心体を暖めてくれる、ハートウォーミング率の高い食事が他にあるだろうか?つかの間の幸せを体内にため込み、また急ぎ足でスタジアムへ戻る。試合が動いてないと良いなぁ・・・

  • 組合せの妙、組合せの恐怖 柏-東京V 後半

後半15分頃に到着。
点が入ってるorz11番山崎が決めたらしいです。2−1。
何というか、前半から終わりまで通して、お互いの良さを発揮し出し切った試合であったと思うので、正直前半に両チームの特徴を言い切ってしまったら後半は余り言うことがなかったりする。拮抗な中で流れをつかみ合う、カラーを発揮し合う展開は頭からケツまで続いていた。
ではそれでも東京Vが結局欲しい時間帯で点が取れなかったのは、う〜ん何でだろう?個人技に頼ると言えども、けどそれでもベクトルはしっかりゴールに向かっていた。サッカーの本分を忘れない中で個人技を発揮しまくるのが読売の伝統、と個人的には思ってるんだけど、それはしっかり出せてはいた。では何故か?例えば、予選リーグの得点ランキングを確認すると東京Vの選手は一人しかいなくて(3得点の河野)、そのデータだけを見たら確実なストライカーがいなかったと言う予想に辿り着くんだけどどうだろうか?少なくとも確実に分かるのは、その河野という選手は、まさに「読売の10番」と言うにふさわしい技巧派レフティーであったと言うことだ。
対する柏にはストライカーがいた。最後88分にスローインからキープ、落としで抜け出した11番山崎がこの日2点目を決めて3−1とするが、ストライカーはこの山崎ではなく一点目を決めた9番工藤。3トップのセンターとして、収めどころとしても展開の合図としても、そして自らゴールを狙う仕掛け人としても高いレベルで揃っている好選手。技術があって、それも発揮するけどFWとして得点もキッチリ獲りますよ、って。予選リーグ8得点の実績も納得。つかまさか2年か?
ロスタイムに東京V9番征矢が意地のゴールを決めるも時既に遅し。ボールを戻して試合終了。3−2で柏の勝利。
お互いに強さはビシバシ感じたが、やはり柏。徹底的にやり直してポゼッション攻撃を続ける様は、よほど高いレベルで諸々が揃ってないと結果を出すのは厳しいと思うが、それを見事に成し遂げている。今回の東京V戦に続き、次は広島を破ったガンバユースとの対戦と、とんでもなく厳しい山に混ざってしまったが、ここで揉まれてそれでも乗り越えて決勝まで行ってしまったらこれはもう優勝候補筆頭でしょう。つーかこれ、前目の選手のほとんどがまさか2年か?3年も3人が他クラブで内定を勝ち取っているというのに・・・2年の比嘉・酒井が来年トップ帯同が決まっているし、確かに「来年はもっと黄金世代」と言うことなのだろうか?あぁ。
あと、レッツゴー柏!の出囃子(?)がフルートだったのには驚いた。何という音楽隊。こうなったら太鼓もツーバスドラムを持ち込んでやる姿が今度は見てみたい聞いてみたい。チャントが一周した後にムダなドラムソロとか入れて欲しい。

  • 地獄インターバル

メシを喰ってしまったので、やることがない。日陰のメインスタンドで、段々と風が強くなってきたせいで、体感温度までもが今年イチの究極ぶりに。ワンセグで「笑いがいちばん」を観ながら時間を潰す。何という。
何だか通しで試合を見ている人があまりいないのかも知れない、ってのは驚いた。どちらも面白いカードが続いてたから当然両方観るだろ、と思う人はあまりいないみたいで、2試合目なんかはほとんど東京ファン、少し大分サポ、どちらでもっていう人はあまりいなかった様な気がする。
スタンドには城福次期監督の姿が。初めて間近で観たけど、あのナイスミドルぶりは何だ?46歳とはちょっと思えない見た目の若さ。イケメン。2丁目的に言えば「ガチムチ系」(笑)(以降このネタは封印します)。福西退団で淋しい思いの福西ファンが全て流れそうな、そんな魔力が。城福監督には期待だな!他にも専務と、あと千葉SCの子もいた。千葉SCの前で、恥ずかしい試合は出来ないぞ東京!
ってことで、東京の試合は別項で。ダラダラと書く分にはいくらでも書けるなぁ。