プレーの幅が、チームの幅 JFL 横河武蔵野-流経大

ムサ陸にて観戦。高校サッカーも気になったけど、こちらを。
流経大は明日の関東大学リーグ×明大戦のために、DFラインを中心にチームとしての体をなしてなかったのが実情。流経40番の西井は緊張か「うしろの目」が全く機能せず、飛び出しに全く感づけないプレーが続いてしまう。そこをカバー・指示する連携も少なく、そこを横河が突く格好。相手をいなしてボールホルダーが前を向く技術は横河に分があり差があった。流経DFラインのコンビネーションは急造の様にバラバラだったので、前が向けてギャップを突く横河はやりやすかったと思う。
流経は後半から3-5-2に変更してきたが、システムの熟成と3-5-2にした「意味」をチームが共有できてない事もあり、やってやられてみたいな展開に。ここでも横河はサイドの数的有利を上手く作り、3バックの弱点を知的に突くプレーを見せ続けた。数字としては3-2だが、チームの出来としてはスコア以上の差があった事は確実と言える。

ってところで簡単なゲームレポートは終わり。流経を通して思う事を徒然と。
流経はやはり直近の他カテゴリの試合を中心に、選手拘束の面で影響の受けやすい体制なのは間違いない。JFL組としてのチーム熟成が見込めない事情は確かにあり、今日はそこが特に出た試合だったと言える。ただ、それを思えば今の「49得点46失点」と言う成績はむしろ立派なのでは?とも思った。それは大学チーム、JFLチーム共に一貫したチームコンセプトを練習で選手に叩き込んでいる賜物だろう。流経の試合を見るたびに感じる「よくトレーニング積まれているな」という感想はこの日も感じた。
ただ、そこに忠実すぎてチームの幅が狭くなっているかも、という懸念もこの日は同時に感じた。
たゆまなくトレーニングの成果をピッチの上で出し続ける事も美徳だが、そこに一瞬の「ギャップ」を生み出すプレーが出来れば。流経にとっての定番プレーを、たまに崩してみる発想がプレーに出れば。
「流経らしさ」の中で「流経らしくない」プレーをしてみれば、それは結果として「流経らしさ」の『幅』が広がる事にはならないか?
くさびのボールに対して、ワンタッチで後ろに落とすのが流経らしいプレーであり、この日もMFもFWも、ピッチ中央でもゴール前でも、それは繰り返されていた。そこで相手の慣れた意識を逆手にとってスッとワンタッチで前を向くプレーを「試してみる」。そういった選手の幅、そこから生まれるチームの幅、これが今の流経全体で、狭い。
この日後半から見せた流経の3-5-2には、自分はなかなかの可能性を見た。バイタルエリアに攻撃的な選手を配置して、中盤の数的優位を生むこの形は、横河相手になかなかの成果を見せれていた。両サイドハーフを中心としたサイド守備は、その熟成度の差からか何度も数的不利に陥っていたが、それはやむを得ない。トレーニングで何とかなる。それ以上にバイタルに人を配置した事で明らかにボールが繋げられるようになった事の方が面白い。そこで流経らしくないプレーが挟めれば更に面白くなる。そこがなかったからこの日の流経は2点止まりだった。
「実験的なJFL組」らしいが、本格的に3-5-2も熟成させてみるのもいい気がする。中央で捌く、力を発揮する選手があまり目立たない流経の中では、このシステムのお陰でのびのび成長する選手も出てくるだろうし、良い効果を発揮するかもしれない。そして流経にとってはイレギュラーかもしれないこの布陣が、流経の「幅」を広げる事に大きく貢献するだろう。
流経大という組織の規模はあまりにも巨大で、そのハードさが関東5位という現在の結果に影響はあったかも知れない。しかし巨大だからこそ、他大学にはない「ラボの広さ」がこの大学にはある。「チャレンジ」がある。そこをこれからどんどん活かし、規模に見あったクラブの幅が今後生まれてくる事を期待すれば…
流経大はなるほど、面白い。