「やらなければならないプレー」を何回出来たか? J3リーグ第3節 AC長野パルセイロvsFC東京U-23

AC長野パルセイロvsFC東京U-23戦を観に行った。

三月としては異例過ぎる寒さ、そして雪。軽井沢など道中はまさに「トンネルを抜けるとそこは…」状態だったが、通り過ぎて長野Uスタジアムに着いてみると、雪は舞うものの積もりはせずで試合は無事に開催された。もちろん、ゲキ寒なのには変わりないけど。

そして試合は0-1で敗戦。前半は互角以上にやり合えたていたが、後半に相手のシュータリングによって長野が先制。その後、相手の退場により東京が数的有利となったが、そのビハインドを覆す事は出来なかった。これで開幕3連敗。これまでの過去2シーズンの開幕時に比べれば内容はだいぶ良いものの、気になる部分が無い訳ではない。

 

FC東京U-23の絶対値。

前節YSCC戦を受けて、新高2コンビの木村誠二・バングーナガンデ佳史扶のコンビは変化を示したと思う。誠二は相手の高さにも負けず、裏のカバーもそつなくこなせる様に。カシーフは守備はまだまだ改善できてはいないものの、ボールを持って仕掛けるといった本来の長所が多く発揮できた。またこの日はジャキットが出色の出来。運動量と前への推進力が相手を苦しめ、対面である河合の退場を誘いもした。YSCC戦のジャキットはイマイチに映ってただけに、予想を超える活躍だった。

総じて、U-23の絶対値は前節に比べて確かに高まったように伺えた。

対する長野。肌感にはなるが、強さで言えば長野<YSCC。長野の守備強度には緩さを感じ、東京としては「奪われる感覚」はさほど無かった。攻撃においてもYSの3人目動線の複雑さは見事で、動線が単純だった長野とは差を感じた。

せっかくFC東京U-23の絶対値が高まった感をうけたのに、長野の程度をもって割り引いて見ないといけないのが、むしろもったいなく感じた位。だから退場により相手が10人とはなったが、試合としては11人vs11人だろうと「勝つべき試合だった」という印象だし、それが相手に一人退場が出たのであればマストに近い。

勝つならばここだったと思う。しかし勝てなかった。その結果にとやかく言うつもりは無いけれど、しかしそこに「勝利に導くプレー」があった感じはしなかった。そこは気になる。


個人的に感じた潮目は、後半立ち上がりの48分。前半の相対差そのままに、いきなり迎えたまぁまぁなチャンスの場面もシュートまで繋げられなかった。

よく「ゴールから逆算したプレーを…」とは言われるが、その一連において個々がどの様に関わるか?という問題がある。例えばゴールからの逆算をと個々が真剣に考え実行しようとも、その結果、前線の2人がどちらもラストパス役を担おうとすれば、そのチームプレーは「ゴールからの逆算」とはかけ離れたプレーとなる。ラストパサーもシューターも、役割としては1枠のみであり、役割や状況に応じてフレキシブルにその席が埋まることが本来の理想であろうか。

もちろんシステム上で役割を固定するか、もしくは当人の気質の問題によって自然と決まるのであれば話は早い。U-23では開幕から原大智がシューターを担っていた。YSCC戦の終盤では、あまり角度の無い位置でも無理目にシュートを打ち切った場面があり、ゴールとはならなかったが自覚を感じる素晴らしいプレーだったと思う。

しかし長野戦は代表活動により大智は不在。誰かがシューターを担わなければならなかった。しかしその席に座ろうとした選手は果たして誰がいたか?

それは終盤のピッチ上では、品田愛斗と途中出場の寺山翼程度だった様に思う。

 

この場面において主体的に名乗りを上げて欲しかったのはもちろん、2トップのリッピヴェローゾと内田宅哉である。

リッピはYSCC戦同様にカットインからの左足ミドルを狙ったが、どちらも枠を大きく超えてしまう。パワー不足でボールに抑えが効かない、2戦ともに同じ様な外し方だったので、その型ではゴールの期待値がそもそも低い。

内田に関しては本来であれば、唯一のルヴァン組としてこのメンバー内では攻撃を引っ張っていかねばならない立場。平岡リッピの機動力をどう押し出すのか、どう関わって、自らが結果を残して、再度ルヴァン組として出場機会を狙うのか?そういう意欲が「シューターの席取りゲーム」において全く見られなかった。

皮肉なのが、途中からFWに入った寺山のプレーが非常にFWらしく効いていたことである。相手DFライン上を泳ぎながら、まずは裏抜けで前にベクトルを示す。それによってDFラインを下げた上で、ギャップに降りてボールを受けようと示す。それは内田リッピがDFラインの駆け引き無いまま、降りた位置に「居続けて」ボールを貰おうとする姿とは大きな差があった。


サッカー選手にとって「やりたいプレー」と「やらなければならないプレー」のバランスが重要なのは言うまでもない。

トップチームにまずはお客さんとして混ざろうとしている岡崎慎をはじめ、新しくチームに入ってくる若手選手には、まずは「やりたいプレー」を出し惜しみ無く発揮してもらう事を求められる。

しかしその裏で、他の先輩たちが「やらなければならないプレー」でフォローをしているのは言わずもがな。だからいつまでも新人は「やりたいプレー」ばかりをしていられる訳ではなくて、徐々に「やらなければならないプレー」でも貢献できる事を示していく必要がある。それが途中出場止まりの選手と、スタメン11人に名を連ねる選手との大きな違いの1つだと自分は思う。

小川諒也が2016年にスタメンを奪い切れなかったのは、まさにこの点が問題だった。2017年には太田宏介の再加入によってU-23に出戻りとなってしまったが、U-23では持ち前の兄貴肌が(意外にも)良い方向に転がって「やらなければならないプレー」の経験値がだいぶ積めた様に思う。いまマコと共にトップチームに食い込もうとしているが、あの時とは違う経験値を携えた殴り込みは、個人的にも楽しみだ。方や久保建英は逆にU-23でもっと「やらなければならないプレー」を問う立場で経験を積ませたかったのが正直なところだが…まぁ、ああもチーム唯一な活躍をされたら仕方が無い。

こういった「やらなければならないプレー」を重く要求される環境こそが、U-23J3で戦うことで得られるメリットでもある。これがサテライトリーグもしくはTMでは、位置づけ的にも環境的にも「重さ」がどうしても伴わない。

ここまで整理してみて思うのは、自分がU-23で観たいのは各選手の「やりたいプレー」よりも「やらなければならないプレー」なのかもしれない。そして長野戦においては、特に内田の「やらなければならないプレー」が見られなかった事が不満だったのだろう。彼がそういうプレーヤーでないことは分かっているが、逆に彼の格ではそれはもう許されないとも思う。


日曜日はホーム西が丘でカターレ富山を迎える。

J1リーグはインターナショナルマッチウィークにより中断期間となるが、FC東京は土曜にTM流経大戦を予定しており、そのためトップチームの選手がU-23に出場するかは長野戦以上に不透明だ。またU-18は高円宮杯プレミアリーグ開幕に向けて最後の総仕上げとなるドイツ遠征に向かったが、それを欠席してまでも西が丘で「現場待機」を強いられる選手も多いだろう。

引き続きメンバーが揃わないことが予想されるが、であろうともU-23選手たちには、長野戦では少なかった「勝利に導くプレー」を求めたい。特にシューター不在で誰かが絶対に担わなければならない中で「じゃあ俺がやるよ」と名乗り出るプレーを多く見たい。

そういった「やらなければならないプレー」を数多く積み重ねる事が、チームを引っ張るという事なのではないだろうか。そんな姿が板につくくらいでないと、U-23卒業はまだ遠い。

未来を感じれるのは分かった。だからこそ今年は未来を”具現化”して欲しい FC東京U-23 2018シーズンプレビュー

2018JリーグYBCルヴァンカップGS第1節を、画面越しながら観戦した。

J3リーグ開幕までにこのU-23シーズンプレビューを書こうと思っていたのに、その前に大部分のU-23戦士たちが今シーズンの公式戦初出場が果たされる恰好となった。

トップチームの実情が反映されているのは間違いない。ひとつは5月中旬頃まで週2~週3ペースで試合が続く「J1-ルヴァン-J3の過密日程」問題。そしてもう一つが、開幕からの2試合で明らかになった「トップチームの人材不足」問題だ。


トップチームの具合については、概ねシーズンプレビューに書いた通りに進行しているように伺える。しっかりと「普通」なサマに、観てる側は昨年比で心地よさを受けるであろうが、大事なのはその先だと。そんな「デトックス効果が消えた先」の景色にフォーカスをしてみたが、既にデトックス効果は薄れつつあり、「先」を迎える日は、思っていたよりも近いのかもしれない。

2戦を終えて、1分1敗の勝ち点1。結果もさることながら、開幕からホーム連戦だったことも相まって、成績がデトックスを早くに消耗してしまったことは間違いないだろう。

長谷川健太監督の思考は、ここまで至って明瞭だ。やろうとしていること。そのための手段。選手たちへ求めること。選手たちの評価。試合においては対戦相手をどう理解し、90分の進行をどの様に捉え、その軌道修正を「采配」としてどう行うか。細かい説明を受ける必要も無く、見る側としても非常に理解がしやすい。

ベガルタ仙台戦での采配はそれが顕著に表れた。失点を食らい、さあ反撃をとなった際に健太監督は、まず米本を下げ、最後には室屋を下げた。そこから透けて見える「選手評価」もまた、やはり明瞭だろう。

それらが監督にもサポーターにも認識が共有されているからこそ、このルヴァン杯第1節の布陣が蓋を開けてみても、その事情を理解し、また期待もしたはずだ。人材不足を救ってくれる、新たな選手の台頭をと。

しかし試合はマリノスを相手に0-1敗戦。今年のマリノスらしいスタイルに守備で動かされ続けたものの、それでも瞬間の勝利の芽も見えただけに悔しさの残るものとなった。ここで結果を掴めれば、チームとしても個人としても得るものが大きかったが…


試合中に散見されたミスだったり、試合後の選手コメントでも言及されていた「精度」の部分にフォーカスを当てて、分解してみる。いわゆる決定力不足と呼ばれるものに対しては、その解決策として「焦るな」だとか「一拍落ち着け」だとか「アイデアを」だとか、所詮中身の無い概念的な事ばかりが外野から指摘されることも多かった。そうではなく、まずはチームとして抱えてしまう「精度の負債」に目を向けるべきだろう。

「精度の負債」を説明する。

例えば9本のパスが連続して成功し、10手目のフィニッシュでゴールできなかったとする。そこでフィニッシュの精度、もしくは9手目のラストパスにだけフォーカスして「決定力不足」としてしまい、ゴールまでは進捗率90%、残りたった10%足らずだから後もうちょっとだなぁ〜さてどうしよう?とはもちろんならない。

実際はそこに至るまでに、成功したとされる9本のパスが繋がる毎に「精度の負債」が生まれては溜まっていく現実がある。1手目のパスが0.5mずれ、2手目の受け手はそのズレを吸収するだけの「止める蹴る」を発揮できず、また新たに0.5mずれ…を9本積み重ねていけば、フィニッシュの10本目時点では4.5mのズレが「精度の負債」としてシューターに押し付けられる事になる。

メートル視点のズレもあれば、秒の視点もある。パスの弾道が無駄に跳ね、止めるボールもブレて、1手あたり0.3秒のムダが繰り返されれば、同じくフィニッシュ時には2.7秒の負債がのしかかる。

ましてや昨今は、インテンシティや球際などが持て囃される時代。これらは直接ボールを奪い切る部分だけでなく、相手に精度の負債を背負わせる部分でも機能する。ただでさえ止める蹴るで0.3秒の負債を生みがちな選手にとっては、それが相手のプレッシングによって0.8秒にもなりかねない。負債を生むこと、負債が重なることが続いていけば、フィニッシュを担う選手に求められる「清算量」は計り知れない。シューター自身に清算できるイメージが持てなければ、10手目でもシュートを打とうとはせず、さらに11手目、12手目…と、まるでチーム全体が味方のミスを待つかの如く「先送り」が繰り返される。

FC東京のトップチームが抱えているのは、まずこういった精度の負債だと考える。コミュニケーションの有無や、アタッキングサードの仕掛けだのアイデアだのもあるだろうが、それ以前に1手目から5手目までの序盤(いわゆる「ビルドアップ」)において発生する負債が無駄に多すぎる。それは仙台戦の評価を見れば明らかだろう。


ルヴァン杯マリノス戦に戻る。この試合においても、フィニッシュにかかる際にはなかなかの負債を抱えている様子が見て取れた。しかしここでの負債は、これまで説明してきた精度の負債とは多少、趣が異なる。技術的な上手い下手もあるがそれ以前に、そもそも選手には余力が残っている様には伺えず、それによって精度が適当になっているシーンが多かったように思える。

「疲れた時に1回、変なパスを出してしまったので、精度は疲れた時にも落としたくないというのはありますね」

プレーの際には、インテンシティの名のもとに相手とのコンタクトが当然伴う。その場では当たり負けをしていない様に伺えても、そのイーブンコンタクトのために必要な出力が、10%程度で済むのか常に30%は必要なのかとでは、当然のちのちの消耗度は大きく異なる。8手目~10手目といった1セッションの終盤において、もしくは90分という時間軸での終盤において、いわば「余力の負債」が蓄積され、それが精度と思考を著しく低下させてしまう。

端的に言えば「パワー不足」。そしてそれは、昨年のU-23でも多く見かけられた重大な問題だ。


昨シーズンのU-23を振り返ると、チームとしての堅牢感・重量感を担っていたオーバーエイジの有無で、試合内容は大きく異なった。OAがいる試合においては、たとえJ3のAクラス相手であろうと互角に近い勝負が出来るときもあったし、方やいない試合では球際の地上戦からセットプレーでの空中戦までペシャンコに潰れる場面が多く見られた。U-23選手のパワー不足は明らかで、J1で活躍する以前にまずは、J3を戦えるフィジカルを備える必要にぶち当たった昨シーズンだった。

もちろん根深い問題だし、短期間に解決できる問題ではない。長期的に、計画的に、個々の意識を支えとして取り組まなければならない話となる。しかし、それが容易に解決できる環境にU-23が「無い」というのは、FC東京U-23の構造的欠陥として自分が考えている仮説だ。

つまり、J3で多くの出場機会を与えられ過ぎているのではないか。言い換えれば、所属Div.に適したフィジカル強化を行えるヒマが、彼らに猶予として残されているのか?ということだ。

だからこそ、限られたチャンスであるオフシーズンを利用して、何とか個々で取り組んでもらうしか無いと期待していた。しかしこの試合ではまだ、その兆しは見えてはこなかった。今年もまた、試合に出てはパワーで潰されての経験を繰り返す事で(結果的に)フィジカル強化を進めていくことになるのだろうか?

ここに、個人的には結構な危機感を持ち始めている。


今年、自分がU-23に求めたいのは、端的に言えば結果だ。

もちろんこれは、J3リーグの順位表の話ではない。現行のU-23参戦レギュレーションであれば、2016シーズンの10位・2017シーズンの11位くらいが望んでいいMAXだろう。むしろ、これより上位になれる選手構成はU-23として抱えるべきではない。そんな選手がいるならば、トップチームに引き上げるもしくはJ2にレンタル武者修行に出すべきだろう。それがU-23の「思想」だ。

順位的な結果ではなく、求めたいのはそういう思想的な結果だ。各選手のU-23卒業であり、トップチームでのスタメン奪取だ。

そのためには、少なくともJ3では個として圧倒できる位でなければ、フィジカル的に最低限の順応が果たされていなければ、J1で戦えるはずが無い。

ルヴァン杯では控え中心ながら、J1の横浜Fマリノスが相手だった。J3開幕戦の相手は、昨年ボッコボコにやられたアスルクラロ沼津。J1だったからなのか、J3でもなのか。最高の試金石を楽しみにしたい。

 

U-23というチーム・施策に対して、何となくぼんやりとでも未来を感じてくれているサポーターは、この2年間で非常に増えた。観客動員は減少したかもしれないが、その分「濃度」の高まりも感じられた。FC東京U-23が追いかけ甲斐のある面白いチームなのはこの2年間で示すことが出来た。

だからこそ、そんなサポーターに向けて、U-23戦士たちには今度は、より明確に”具現化”した未来を、プレーで示して欲しいのだ。

デトックスの先にあるのは「学習の成果」か「繰り返される過ち」か FC東京 2018シーズンプレビュー

今年のFC東京について周囲と話をするにつれ、事あるごとに「普通だよ。ホント普通だよ。」と口にしている気がする。しかし伴うのは比較的ポジティブな空気感。実際には続けて「まずはそれでいいんだよ」とも添えている。

キャンプもTMも、情報としては人並みには追いかけていた。その答え合わせの様に、画面越しにインドネシアでの試合を、そして味スタでPSMを現地で見ることが出来た。

そこで見たのは、シンプルな4-4-2に、奇をてらわない人員配置。PSMでは執拗なビルドアップからサイドを徹底して攻略しようとするマリノスに対して、地道に横スライドを繰り返しながら、まずはあくまで中を閉じる基本姿勢。相手サイドにボールが入ってから初めてSBが強烈な守備アタックを仕掛ける優先順位。

至って丁寧。至って普通。まずは守備面の意識づけということで、第1段階の進捗としては順調に伺えた。

と、こうしてあるべき守備のスタンダードを示してもらえると、逆に「あの2年間は何だったんだろうな」とか考える自分が、女々しくて嫌になる。至って普通なフォーフォートゥーに、自分は何故こうも普通以上に沁みているのだろうかと。むしろこの2年間でどんだけ毒されていたのか、奇をてらう事がスタンダードだと慣れきっていたか。蓄積した毒素が徐々に消えていく体感が伴う観戦体験が、逆に去年・一昨年をフラッシュバックさせる。

ただ、実際にはそれがデトックスと呼べるものなのかは分からない。

みんな大嫌いな大久保嘉人は、少なくとも昨年リーグ戦においてはウタカと並ぶチーム内得点王だった。コスパの観点や、内外での言動による悪影響はあったにせよ、彼が毒素の一要素だったのは間違いないにせよ、少なくとも(FC東京程度のクラブのモノサシにおいては十分な)目に見える結果を残した選手に対して、自分は攻撃的な言葉を投げかける気にはなれない。

そんな嘉人が出て行くことも確かにデトックスの一種ではあろうが、じゃあその悪役に対して「東京はそうじゃない」と謎のイキりセリフで追い出したお局様が、恐らく未だ青赤戦士として今年もユニフォームを着ているであろう状況は、果たしてどうなのだろうか。

向き合っていないだけで、毒素が毒素のままである状況には、他方においては変わりないのである。体感しているデトックスは、当然ながらすべての毒素を対象にしているわけではないのだ。

失われた2年間で個々が受け取った最悪な光景が、必ずしも全てが解決された訳ではない。監督が変わり、立石が去り、2017年が2018年になっただけで、あの明らかに根深さが伺える問題が解決されたと思えるわけがない。同じ問題が再度晒される機会を、次に迎えた時にどうなるかは現時点では誰も分からない。自覚的に向き合い戦っているのは、吉本一謙以外に果たしてどれ程いるのか

それでも「なんとなくの仕切り直し感」と、加えて結果まで伴えば、ただのプラシーボもホンモノの特効薬に成るかもしれない。

そういう不安定な意味で、開幕戦の結果は例年以上に重大な意味を持つ。


面白かったのは、開幕前プレビューのひとつとしてリリースされたワッショイ兄やんの記事。

界隈に漂うポジティブな空気感、に対するカウンターもしくは逆張りと言ってしまえばそれまでだが、今の時点でこの点を匂わせておく事には、番記者としてそれなりの勇気が必要だったと思う。裏を返せば、これは書き手としての「醍醐味」でもある。

個人的には、もっとザワついて良かった記事だったと思う。ワッショイ兄やんとしてはそこそこ渾身であろうに、賛も否も反応が薄くてガッカリしているんじゃないかなと勝手に汲んでしまう。

兄やんの肩を持ってしまうのは、その事象に納得感があったからだ。つまり、ある程度少数の「スタメン+α」とそれ以外の選手とでのパワー差は、見た2試合でも明らかだった。

拳人・永井・敬真あたりの、インドネシア→PSMの「差分」選手たちは、2試合それぞれを見るに確かに「差」を感じる要因にも見て取れた。ただこの位置にいる選手はまだいい。ここにも食い込めていない選手のが数多いのが現状だ。

新任監督の開幕前なのだから、選手個々への浸透にバラつきはあって当然だ。一般的に、原因としてはまずここを疑う。

しかし長谷川健太監督が発するメッセージ「コンセプト」「課題」「評価」「目指すもの」などは、メディアから読み聞く限りでは至って明瞭だ。元々実績のある監督、指導力に問題があるとも思えないし、そもそも難しいことをやっている訳ではない。浸透具合に問題は起きにくいタイプと考える。

そこでリリースされた、兄やんの記事。それらの要因をメンタル切り口で表明するのだからセンセーショナルだ。いわば、デトックスされ損なった毒素とは別の、新たに生まれた毒素となるかもしれない。

 

消え去る毒素と、残る毒素。そして新たな毒素。

開幕戦では結果がどうであれ、いくらかのデトックスの成果を見ることが出来るだろう。昨年に比べてしまえば、何を出されても「ありがてぇ…」と美味しく食いかねない我々からすれば、それは久し振りの心地良さとして評価が容易に上振れかねない。

だが勿論、その心地よさはゴールではない。デトックスが進んでいる事には間違いないが、所詮それはマイナスがゼロに戻ったに過ぎず、大事なのはその先だ。

よりデトックスを進めるだけではなく、上手く毒素と付き合うこともしつつ。

その先に生まれる結果は果たして、失われた2年間で手にした、せめてもの学習の成果なのか?はたまた「いつものトーキョー」が如く、過ちを繰り返し、更なるどん底に向かうのか?それを決めるのは、今日の結果をどう見定めるか?にある。

 

それでもまずはまぁ、ようやく『普通の』シーズンが始まることを祝うべきなのかな。あらゆる人にとって「取り戻す」シーズンとなることを願って…

かわさーより先に始めちゃおうぜ「湘南ベルマーレU-23」

クラブユース選手権。Jユースカップ湘南ベルマーレユースの躍進は、2017シーズン国内アカデミー界隈のトピックだった。

恐らく多くの湘南サポが(そして対戦相手として戦った我々含めて、全国のアカデミー好きが)彼らの活躍を活字でもしくは直接足を運んで受け止め、心を動かされたはず。

そんな今だからこそ、湘南サポは本気出して「湘南ベルマーレU-23」を検討し始めるべきだろう。これまで考えてこなかったであろうU-23創設を、他人事ではなく「湘南ゴト」として。

湘南ベルマーレ Advent Calendar 2017。今回は湘南ベルマーレU-23を考えてみる、いわば取説的なエントリ。

 

U-23実施のためにクラブが用意しなければならないものは、シンプルに言えば「カネ」と「場所」だ。

パッと見、ハードルが高く感じるのは「カネ」の部分だろう。

しかし、思ったほど何とかなるのでは?というのが、以前個人的に行ったどんぶり勘定で受けた印象だ。

セカンドチームのJ3参戦を狙っていたサガン鳥栖が、説明会でサポーター向けに発言されたものらしい。J3クラブの平均財政規模が3億円弱なことを考えれば、運営費1.4億円はある程度妥当な目安かなと思う。

chono.hatenablog.com

FC東京U-23で言えば、2年目のシーズンということもあり観客動員数も前年平均2,797人に対して、今年は平均1,933人と減少する結果となった。

それでも客単価をざっくりチケット最安値の1,500円とすれば、入場料収入は約4,600万円とそこそこの額。これは2016年のJ3で言うと大分、長野、栃木に次ぐ4番目の金額となる。

U-23の年間運営費を、鳥栖が試算した約1.5億で鵜呑みにすれば、この入場料収入で年間運営費の約1/3を賄える計算だ。

加えて、何よりDAZNマネーである。Jリーグから各クラブに支払われる均等分配金は、DAZNによる放映権料増により倍近い増額となった。

J1 1.8億(2016) → 3.5億(2017)
J2 7000万(2016) → 1.5億(2017)
J3 1500万(2016) → 3000万(2017)

2017年シーズンは各クラブ共に、このポッと湧いた「あぶく銭」をどう活用するかに四苦八苦したシーズンだった。あるクラブは施設環境に堅実に投資し、またあるクラブはただ自転車操業を助けるだけに終わり。またまたあるクラブは豪勢な選手補強に費やしたものの結局リーグ13位に着地し。それらが「活きたカネ」となったのかは、各クラブで大きく異なるだろう。

U-23創設も当然、使途のひとつとして有力な一手となる。単純計算で言えば、J1分配金の増額分だけでU-23の運営は可能だし、J2分配金の増額分+入場料収入でトントン程度は見込める。

2016年シーズン中のざっくり試算でも、既に費用的なリスクは「思ったほどでもないかもしれない」だったのが、2017シーズンになってDAZNマネーの後押しまで加わった。カネの面のハードルはより下がり、大きな問題ではなくなってきたと言えるだろう。

 

方や、それ以上にハードルが高く問題なのが実は「場所」についてだ。J3ホームゲーム全16試合を実施できるスタジアムの確保。こればかりは土地的・政治的事情も絡まり、カネだけで解決できるものではないので、より質が悪い。

ガンバ・セレッソはそれぞれ吹田にキンチョウと、自前もしくはそれに準ずる指定管理制度を受けるスタジアムを保有しているので、会場確保に関しては大きな問題は無い。

方や、自前スタを持たないFC東京はこの点で非常に苦労している。東京都内でFC東京が有料公式戦を行えるスタジアムは駒沢陸上・夢の島・西が丘と限られてしまい、逆に味スタでは大きすぎるキャパを持て余してしまう(こう言うとヴェルディサポに怒られてしまいそうだが…)。加えてこれらの会場は関東大学サッカーリーグなど、他Div.・他競技でも当然使われるスタジアムであり、毎年都度行わねばならない会場確保は容易ではない。

そんな東京都と同程度もしくはそれ以上に困難なのが、何を隠そう神奈川県となる。

神奈川にはそもそもとしてJクラブが6チームもある。つまり、その分だけスタジアム利用も既にされているということ。マトモに残っているのは、恐らく保土ヶ谷公園サッカー場のみ。もちろん関東大学サッカーリーグ主力会場のひとつだ。神奈川が東京に比べて、お金だけではどうしようもないレベルで、場所確保の難易度が高いのは明らかだ。

 


…と、これまでの前提を基に、神奈川県JクラブのU-23創設の可能性を考える。

マリノスは歴史も予算規模もアカデミーの充実ぶりも、本来は一番U-23に相応しいクラブ。だがとにかく場所が無い。会場としてあの要塞・横国を使うのか?という問題以前に、そもそもマリノスタウンを手放したことでトップチームの練習環境すら定まらない状況だ。知り合いサポに聞いても「U-23の試合場所の前に、まずはトップの練習場所が最優先」と言われてしまえば元も子もない。

小野瀬・高丘など要所で優秀な選手を輩出し、U-15も含めて安定的な強さを誇る横浜FCも、アカデミーの充実ぶりに反して場所に困るクラブの1つだ。三ツ沢は既にYSCC(とマリノス)との共同利用。加えて関東大学サッカーリーグでも頻繁に使われる人気会場だ。特にYS横浜が同カテゴリのJ3である以上、共用はほぼ不可能だ。

 

本来であれば、神奈川で一番U-23創設に近いのは川崎フロンターレとなるだろう。

トップチームは安定的に上位の成績を収め、17年のリーグ優勝によって総額20億円以上をゲット。子供が通いやすい好立地もあり、近年では有力選手がアカデミーに集まり、U-18も2年連続クラ選ベスト4と好成績を残している。

しかし、ここでもネックになるのはスタジアムだ。等々力競技場は公益財団法人が指定管理者となっており、クラブは等々力をまだ完全には握り切れていない。加えて、メインスタンドに続く第2期スタジアム改修が、現状まだ基本方針の策定中。どこかのタイミングで発生する改修期間中にJ1とJ3を並行稼働出来るかは疑問が残る。

さて、そうなると残すは湘南ベルマーレのみとなるわけである。御存知の通り、ある程度の本気度で新スタジアム建設を検討している湘南ベルマーレ。「U-23創設」の現実感を、他クラブに比べて果たしてどう感じただろうか。

 

FC東京:45億 ガンバ:51億 セレッソ:30億 鳥栖:28億 湘南:16億

2016年度のクラブ営業収益で並べてみれば、確かに湘南は鳥栖よりも劣る。U-23運営費とされる1.4億も、営業収益に占める割合の大きさによって「たかが」とも「されど」とも見え方は変わってくるだろう。

しかし、そうして得られる成果は「11人×90分×32試合=31680分のJ3リーグ経験」だ。もしくは曺貴裁監督の講義のコマ数が増える、という考え方も出来るかもしれない。

舐めんなよ、ガキのくせに、こんな奴らに負けてたまるか。J3クラブからU-23に向けては、選手から相手サポから会場の空気感から、ありとあらゆる感情を込めて選手にぶつけられる。しかしこれら全ての感情が、我々にとっては格好の養分となって選手の血肉へと消化されていくのである。

U-23興行単体で収支をトントンにせねばとなると、確かに難しさはある。ただ「有力選手を獲得する」のではなく「育成しなければならない」クラブにとっては、この場この経験は多少のお金を払っても取りに行くべきものではないだろうか。

 

他方で例えば、湘南ベルマーレはクラブとして、今後どう予算規模を拡大していくか?という話もある。

平塚競技場のキャパ15,690人に対して、2015年16年と共に収容率は80%付近と、Jクラブ全体で2位のパンパンぶり。ある程度キャパの限界まで集客が叶っている状況は、見方を変えれば予算規模が既に頭打ち状態とも言える。更なる規模拡大となれば、打ち手は「客単価を上げる」か「興行回数を増やす」しか無い。U-23はその後者に当てはまる施策とも成り得る。

様々な観点から考えても、湘南ベルマーレ「だからこそ」、U-23創設は具体的に検討すべき施策なのだ。

そうとなれば…じゃあどうせだったら「かわさーよりも先に始めちゃおうぜ」。

 

湘南サポーターにとっては、U-23はこれまであまり考えたことも無かった話かもしれない。それは身の丈をしっかり理解しているからでもあり、99年の記憶が邪魔してくる部分もあるだろう。

ただ、せっかくU-18がこうも躍進してくれた。チョウさんのブランド化によって有力な新人選手がスカウトで獲得しやすくなった。そんな彼らを受け入れ、経験を積ませる器として、「湘南ベルマーレU-23」という夢を考え始めるべきタイミングではないだろうか。

野球で一流の打者になる為にはバットを振り続けるしか無いし、一流のピアノ弾きになりたいのであればピアノを引き続けるしか無い。試合で活躍する選手へと成長したいのであれば、試合に出続けるしか無いのである。

幸いにも、FC東京ガンバ大阪セレッソ大阪と「U-23人柱」は揃っている。その実験は現在進行系で来季以降も行われていく。

そんな人柱の浮き沈みを片目でニュースとして覗きつつ、「じゃあもし、湘南ベルマーレU-23があれば…」「神谷優太をレンタルではなくU-23で、手元で育成できていたかもしれない…」「福島ユナイテッドFC vs 湘南ベルマーレU-23J3リーグ公式戦が…」

そんな思考実験だけでも、U-23実現に向けた大きな一歩と言えるはずだ。

2017ユース応援企画御礼と、FC東京U-18であり続けてくれた感謝と

哲学において有名なパラドックスとして「テセウスの船」というものがある事を最近知った。例えばギリシャ神話においてはこういったエピソードがあるらしい。

テセウスアテネの若者と共に(クレタ島から)帰還した船には30本の櫂があり、アテネの人々はこれをファレロンのデメトリウスの時代にも保存していた。このため、朽ちた木材は徐々に新たな木材に置き換えられていき、論理的な問題から哲学者らにとって恰好の議論の的となった。すなわち、ある者はその船はもはや同じものとは言えないとし、別の者はまだ同じものだと主張したのである。

 

このエピソードを引用したプルタルコスは、全部の部品が置き換えられたとき、その船が同じものと言えるのかという疑問を投げかけている。また、ここから派生する問題として、置き換えられた古い部品を集めて何とか別の船を組み立てた場合、どちらがテセウスの船なのかという疑問が生じる…

と、ここまでWikipediaからのコピペではあるが、なるほど確かに面白い思考実験だろう。

そして、サッカーファンがこういうエピソードに触れると、恐らくこんな事を考え始めてしまうはずだ。「私があの時に愛したクラブチームは、今もなお同じチームであると言えるのであろうか」と。


歴代最高の成績を収めた昨シーズンの体制そのままに、今シーズンを迎えることが出来ないのが育成年代の常である。多くのカップを掲げた達成感と、最終戦で目標が潰えた悔しさとを背負った高3生は卒業し、方や沢山の夢を抱えて高1生が新たに加入。こうして毎年ざっくりと、1/3 の選手の入れ替わりをU-18は繰り返す。

もちろんそれは、チームとして決して小さくない変化である。しかしだからと言って、昨シーズンの成績と比較してしまう周囲の目から、逃れられる訳ではない。ましてや2冠という偉業ともなれば尚更だ。その比較により生まれる期待、もしくは受け止めざるを得ない重責とは、所詮外野の人間からは計り知れないものがあっただろう。

それ故に、日本クラブユース選手権連覇を達成した事は非常に価値が大きい。昨年以上に難しいことを今年は達成したのだと、全ての選手スタッフたちは胸を張っていい。


ただその道のりは、改めて振り返ると苦しいものだった。

高円宮杯プレミアリーグEASTが開幕するより4週間も早くに、3月上旬には一足先にJ3リーグが開幕。昨年に比べてOAの起用を減らしていく大方針が加えられるも、開幕時には既に多くの怪我人が発生していたU-23は、人数不足を補うために早速U-18から8名の選手を加えて挑む事になった。

遅れて開幕したプレミアEASTでは、そんなU-23で既に数試合の経験を積んできた選手たちがズラリとスタメンに並ぶ。パッと見は豪華に見える布陣ながら、結果はATの失点で清水ユース相手にショッキングな敗戦。その後のU-18は勝ち点3の獲得が続いたものの、その内容はハッキリと芳しくなかった。当時は「今年のチームは大丈夫なのか?」と心配する声の方が多かったくらいだろう。

この時期には、欠けた 1/3 の偉大さを感じる場面も多かった。進級によってT1、プレミア、J3と戦うDiv.をそれぞれ上げた選手たちは、スピードやフィジカルのレベルだけでなく、試合自体が持つ意味も一気に大きくなる状況において、思った様なプレーが出来ずに苦しんだ。またチーム造りに重要な春休みシーズンに、U-23とU-18とでスケジュールが分かれてしまった事も大きかっただろう。

単純な実力不足だけでなく、多忙なスケジュールという要因も重なり、苦しみ続けたU-18。その苦しさは、クラ選が始まった7月下旬にもまだ続いていた様に伺える。


そんな欠けた1/3が埋まってきたと感じたのが、クラ選R16セレッソ大阪U-18戦。

競技場としての水捌け設備が施されていない、まるで田んぼのような会場に、前日に降った局地的大雨。水たまりの域を越え、転がったボールがすぐ止まる劣悪ピッチ。加えて相手は、同じくU-23で貴重な経験を積んでいる強豪セレッソ。そのようなシチュエーションに対し、若き青赤戦士たちは、技術で気迫で走りで、泥まみれになりながらその環境をねじ伏せた。2-1での勝利。タフに戦ってみせた選手たちの姿は、シーズン当初にそれぞれのDiv.でペシャンコに潰されてきた苦しさを乗り越えて、掴んだ逞しさそのものだった。

だからこそ達成できた連覇…だったのかと言えば、それだけではない。クラ選決勝、浦和ユースを相手に披露されたのは、むしろチームとして元々目指してきた「ひたむきさ」や「一体感」、「球際」に「ハードワーク」。昨年から続く、変わらないU-18の強みの方だった。

それは言わば、欠けた 1/3 ではなく、残された 2/3 の方。たとえ毎年 1/3 が代わり続けようとも、3年経てばすべての選手が入れ替わろうとも、これまで10数年とFC東京U-18として変わらずに積み重ねてきた「2/3」の歴史の価値だ。

元々、この日出場した多くの選手たちは、昨年のクラ選決勝ではスタンドでピッチ上の仲間を見守る側だった。カップを掲げる仲間たちの晴れやかな姿を、共に喜び、もしくは貢献できなかった悔しさを西が丘で噛み締めた、言わば 2/3 の「受け手」側だった。

そんな彼らが、今度は自ら西が丘のピッチに立ち、欠けた 1/3 を埋めてみせた成長だけでなく、2/3 の受け手として譲り受けた歴史をもピッチ上で表現し、掴んだ連覇。

そういう意味では、2017年クラブユース選手権優勝というのは、今年のチームが手にしたタイトルなのには間違いないが、これまでの全ての世代において関わってきた全ての人による、あくまでFC東京U-18という船が辿り着いた偉業だったのかもしれない。

歴史の積み重ね。思想や精神の継承。

ここに、FC東京U-18における「テセウスの船」というパラドックスの、ひとつの解がある様に思えてならない。


これからは受け手の戦いが始まる。今年の西が丘で何を受け取り、そしてそれをどう表現できるか。勝手に空いた席にただ座ったことに価値など無い事を、周囲はみんな分かっている。堂々と、その席が自分の席だと言える様に。そして歴史の体現者となれる様に。

方や「出し手」となった選手たちにとっても、自らの成長だけでなく、FC東京U-18という船に何を残していけるか?が問われてくるだろう。もちろんそれはピッチ上にいなければ出来ないもの、だけではない。それを選手は、トップチームの「18」から既に学んでいるはずだ。

こうして一歩ずつ一歩ずつ、出し手と受け手とでパスを繋ぎ、繰り返す。2/3 の積み重ねからでしか、強いチーム、強くあり続ける船は造れない。

これからもずっと、FC東京U-18という船が、FC東京U-18であり続けることを願って。船の航路はキミたちにかかっている。

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FC東京アカデミーを勝手に応援する企画に、寄稿した原稿を今年も例によって公開いたします。企画にご賛同頂いたみなさま、本当にありがとうございました!

とは言え9月にお渡しして、今はもう12月。気を抜いてたら、いつの間にかこの時期に。高円宮杯プレミアリーグEASTも最終節を残すのみとなってしまいました。


今回も例年同様、夏のクラ選を見届けてから書き始めました。2017年を戦うU-18の立ち上げ以降を見てきて、チームの夏の結果を受けて。9月のお渡しまでに何とかせねば…と悩んでいた時期は、奇しくもトップチームでも激動を迎えていた時期でした。

8月末にはルヴァン杯川崎Fにボコボコにされ。9月アタマにはセレッソにボコボコにされ。そして9/10には篠田監督が解任され。

トップチームとU-18はあくまで別物なので、比較したり感情を引きずったりはしないようにと、自身心がけて観戦してはいますが…正直なところ今回の原稿について、それぞれの感情を遮断して書けているか?と言えばそれは否です。やっぱり無理でした。その結果が上のものです。今改めて読んでみてどうですか?悪くねぇんじゃないっすかね?(いつものように自画自賛


今年ほど「積み重ね」の大切さを実感した年はありません。クラ選連覇を達成した西が丘で真っ先に浮かんだのは、これまでFC東京アカデミーで戦ってくれた選手たちへの感謝でした。

ある人は昇格が叶い、ある人は他クラブで高校で大学でサッカーを続け、またある人は選手としての第一線からは卒業し。

多くのOBたちが、西が丘に集まって、もしくはSNS等で気にしてくれて。そしてみんなが今のU-18を応援してくれて。そんな彼ら越しに、クラ選連覇を祝う事が出来たのが本当に嬉しかった。

思い起こすのはあの時の、例え結果が出ようが出まいが、外的要因が邪魔をしようとも、自らをモチベートし、その場その時を懸命に頑張ってくれた歴代の青赤戦士たちの姿。FC東京にとっての「当たり前」な光景。

その積み重ねがあって、迎えた今なんだなと。説得力を伴って感じる次第です。おかげで、今もなおFC東京U-18という船は、FC東京U-18という船であり続けている。これまで歴代戦ってきてくれた全ての選手・スタッフで掴んだ連覇だったと、改めて言いたいです。

もちろんその感謝は当然、いま懸命にその船を守り、次に繋げてくれようとしている現役選手たちに・チームスタッフの皆さんに向けても然りです。それを改めて、最後にチームに直接伝えに、最終節の小平に向かおうと思っています。

 

高円宮杯プレミアリーグEAST、2017年度の最終節を整理します。

◯プレミアEAST順位表 

 

◯最終節試合情報

 第18節 2017年12月10日 13:00 KickOff

 

FC東京U-18 優勝条件

  • FC東京U-18自力優勝は無し。逆転のためには、まず東京の勝利はマスト
  • その上で、清水ユースが引き分け以下の結果の場合のみ

そもそも我々は今年、首位である清水ユースに1分1敗と一度も勝てませんでした。もっと言えば最終節の対戦相手である青森山田とは、今年含めて3年間一度も勝ったことがありません。

FC東京U-18が他チームに比べて、相対的に強さがあるのは事実でしょう。それによって優勝候補だとか期待を受けるのも当たり前だと思います。しかしこうして並べてみると、自力優勝できる立場には無いのだから当然ではありますが、我々に何かを言える権利など無いということが分かります。

やはり、青森山田に勝てていないチームが「優勝」を口にしたらダメでしょう。勝たなければノーチャンス、至って「正しい」と思います。

そう、高円宮杯プレミアリーグEASTは今年も非常に正しく、白熱した最高のリーグでした。いち観戦者として、本当に楽しかった!

そんなリーグも今週末でラスト。FC東京U-18のみならず、青森山田も清水ユースも、全てのチームが、全力プレーで出し尽くせる事を願います。