読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

FC東京の人気低下を、観客動員数6,000人減よりも「FC東京魂の盛り上がらなさ」に実感した話

あんな鳥栖戦の後だったからと、すごい久しぶりにFC東京魂を見た。

 制作側も最高の煽りで番組を盛り上げるww

 

しかし、その番組にサポが一向に盛り上がらない。不気味なほどに静か、全くの「無」のまま番組が終わってしまった。まるで、FC東京魂だなんて番組など元から無かったかのように。そもそも誰もFC東京魂を観ていない。

確かに、これ以上ない失望と怒りを覚えた鳥栖戦ではあった。あんな試合、もう忘れてしまいたいとは誰もが思っただろう。しかしそれでも忘れられない、悔しさが消えることがない。不満やら文句なりの、いわゆる炎上的な表面化が金曜23:00にまたされるものだと勝手に思っていた。何せあのインパクトだったのだから。

しかし、サポは忘れた。最高の週末が待っていることを忘れ、「金曜夜にはFC東京魂があるよ」という習慣すら忘れ、何事も無いままに、いま淡々と土曜の朝を迎えている。

FC東京、人気やべえな」

表層的な部分だけでなく、芯喰ってやべぇを実感した瞬間だった。

 

今年に入って、FC東京のホーム"味の素スタジアム"の観客動員数6,000人減は、J1全チームを比較してワーストの下げっぷりだ。その理由として語られる項目はどれも正しいものだろう。

そんなもっともらしい理由を持って、その数字にサラッと納得していた部分が自分にもあった。そら6,000人減にもなるよねと。けど、定性的に「芯喰ってやべぇ」を実感した今、改めて丁寧に振り返ると「いやいや、ホントにそこまでなるの?」と思い改めた。つまり、

6,000人減のうち、果たしてSOCIOは何人いるのだろうか?

そう考え始めた時に、背筋がゾッとする思いが生まれた。元々自分の様なアンチ城福が「味スタ行かねーよ」とか程度であれば、元々見込んでいた範囲なので問題無い(どうでもいいとも言う笑)。しかしそうではない、ごくごく普通のSOCIO達が、2016シーズンを追いかけていくことで態度変容があったのであればそれは大きな問題だ。結局、こういう人が想像以上に多かったのでは?というのが、改めて立ち止まって考えたことだ。

 

以前、ブログでこの様なことを書いた。

愛するクラブを追いかけ続けるサポーターのみが得られる極上体験にはいくつかあるが、そのうちの1つとして「応援し続ける選手の成長加速度にしがみつく楽しさ」というのがあると思う。

応援する選手が「いま凄いかどうか」も大事ではあるが、サポーター観点での楽しみに限定すると、選手の今の絶対値の大小よりも、短期間でグッと「凄くなっていく」その加速度こそが重要になってくる場合が多い。選手の成長に、サポーターが振り切られてしまいそうな感覚。1試合1試合、追いかけ続けるごとに増す楽しみ。FC東京であれば、それは長友佑都であり、武藤嘉紀であり、今シーズンでは橋本拳人などになるだろう。選手の加速度にしがみつきながらも、さらなる後押しでそれを促していく。好循環の疑似体験を重ねることで、サポーターはその選手をさらに「特別な存在」へと高めていく。 

選手にフォーカスして書いたものではあるが、そのままクラブにも当てはまる話であろう。

興行であるその試合が、その試合一つだけで意味を成すものではなく、リーグ戦の中の1つとしての意味も備えている以上、興行としてその試合に魅力を持たせるのは「過程」であるという部分だ。「優勝を目指す」過程、または「J1残留を目指す」過程。何よりそのチームが「強くなっていく過程」「成長していく過程」。長友やよっち、拳人がサポから人気なのは、彼らがすさまじい「過程」を見せてくれたからに他ならない。

 

2016年のFC東京が(試合の内容がとかではなく存在として)ビックリするほどにつまらないのは、彼らの試合に「過程」を感じないからだ。

試合を重ねても、別に強くなっていくわけではない。何かの最終形に向かって進んでいる感じもない。そして、秋ごろに試合を見に行っても恐らく変化は無いと予測してしまう。であれば、FC東京の「今」を見る必要は別にない。そしてその理由は「今」だけでなく「未来」にも当てはまる。

変化が無いものに魅力が備わるわけがないのである。今もそしてこれからも、FC東京を見ておくべき理由が無いのであれば、サポーターにとってFC東京という存在が消えていくのは当然だろう。FC東京U-23の方が、現時点においてはまだ変化がある分だけ「強くなっていく過程」を感じられるだけ、魅力がある。FC東京U-23の観客動員数平均が約2,500人。魅力を天秤にかけた結果、はここにも現れているのかもしれない。

 

FC東京に「変化」が必要なのは明らかだ。アンチ城福である自分はこれまで、アンチ城福らしく「監督交代」をもって変化を主張してきた。

しかし、それだけで事が済むとは思えない情勢に、FC東京は既になっていたのかもしれない。

FC東京U-23においての、選手編成の大失敗。

ギャンブル起用をもってしてでも選手のコンディショニングを高められなかったスタッフ陣。

そして何より、プアな判断と集中力をもって鳥栖戦のあの敗戦劇のメインキャストを担った、主力と呼ばれる選手たち。

 

アンチ城福として城福のことだけ考えていれば済んでいた時期はとうに過ぎ、それどころではない「変化」が必要になっていたFC東京

それに気付かされた、という意味で、だからあの鳥栖戦はより残酷な代物だったのだと思う。

FC東京U-23が迎える"初めての夏"を初めてなりに考えてみた

J3第13節、FC東京U-23vs藤枝MYFCの試合を観に行った。

結果的には1-1のドローに終わった試合だったが、内容としてはFC東京U-23が勝つべきものだったと言える。攻守に相手を優位に進め、これまで7試合を見た範囲内だけで言えばベストの内容であった。

特に顕著だったのが、守備の充実ぶり。相手からボールを奪いに奪い切り、そこからシームレスにチャンスに繋げる速攻も素晴らしいものだった。

思えばDFラインにはOAの吉本に、トップで活躍していた小川諒也。特に小川の空中戦の強さは強烈で、SBであれを出せるのは日本でも数少ない素質であろうことを示した。
FWはユインス・平岡翼の2トップ。当初はまともに守備が出来なかった両者も、2トップでのやり易さなのか各人の成長の賜物なのか、挫けずに相手をよく追ってくれた。
そして中盤。野澤英之と組むのはU-18の鈴木喜丈。そして両翼を生地慶充と内田宅哉が務めた。この守備構成力が、これまでの試合を観てきた中では抜群だった。

そう、この試合はU-23において考えられる「守備の最大値」を導けるスタメン11人だった様に思う。もちろん、これだけのU-18メンバーが居ながらにして、いや、居たからこそである。


…と言い切ってしまうのは、FC東京U-18を応援し続けてきた身びいきがこう思わせてしまったから、かもしれない。しかし…

  • 攻→守の切替や、二度追い三度追いは、所詮当人の意識の問題
  • それがU-18の選手たちは佐藤一樹監督の下、これまでも当たり前にこなしてきた
  • チームがU-23に代わろうと、このメンバーが揃えば、あれだけの守備構成力はむしろ当然な代物だと言える
  • ただ、さすがに「奪い切る」ところまでは難しい。U-18とJ3の体格差は明らか
  • それでも所詮J3レベルだと「プレッシャー程度」レベルで相手が勝手にミスをしてくれるので、奪い切る域でなくとも一定以上の効果は期待できる。

カテゴリー差は消耗度に表れる。故にU-18の選手たちは終盤の疲労度が大きく見て取れた。ただ、それこそが成長の肥やしになるし、それが上述のようにJ3であれば「致命的」にならない。総じて、U-18の選手たちはJ3において「戦力」として良くやれていると思うのだ。

加えて藤枝戦では嬉しいニュースもあった。中島翔哉が戻り、室屋成が戻り。ようやく選手も揃いつつあることで、U-23においてもいよいよ席の奪い合い、待ち望んでいた「競争」が訪れるのか…

いや、事はそう簡単には進まないのである。

試合後にまずもった感想は「U-23でこの陣容、この守備の最大値を組めるのは、今年これが最初で最後かもしれないな…」。

そう、もうすぐ夏が来る。U-18にとっては、全国大会の夏が来るのである。


U-18の年間スケジュールは、主に3つのタイトルを目指す戦いが中心となる。まずひとつは、年間で計18試合を戦うリーグ戦「高円宮杯プレミアリーグ」。ふたつめは夏の全国大会である「クラブユース選手権(通称:クラ選)」そして3つ目は秋〜冬にかけて行われる「Jユースカップ」。大人たちが「Jリーグ」「ナビスコ杯」「天皇杯」と戦うのと同様にU-18のスケジュールも組まれ、クラ選は端的にナビスコ杯(改めルヴァン杯)の様なものと思っていただいて差し支えない。

当然、重要な大会だ。FC東京U-18は今年「3冠」を目標に据えてこれまで戦ってきている。J3なんかに出ている場合ではないのである。

そうなると、気になるのがJ3との兼ね合いだ。自分の整理のために、予定を振り返ってみる。

トップ U-23 U-18 その他
7/23(土) A川崎(1830) リオ五輪直前合宿(22日〜)
7/24(日) H大分(夢の島1500)
7/25(月) クラ選GL(群馬900or1100)
7/26(火) クラ選GL(群馬900or1100)
7/27(水)
7/28(木) クラ選GL(群馬900or1100)
7/29(金) クラ選R16(群馬900or1100)
7/30(土) A新潟(スワン1900)
7/31(日) H鳥取(西が丘1700) クラ選QF(群馬900or1100) ブラジル代表(ゴイアス0430)
8/1(月)
8/2(火) クラ選SF(西が丘 ??)
8/3(水)
8/4(木) クラ選決勝(西が丘 ??)
8/5(金)
8/6(土) H磐田(1900) 総理大臣杯初戦(大学)
8/7(日) A栃木(グリスタ1700)

クラ選が始まったら果たしてU-23はどうなるのだろう?との想定のもとに調べ始めたのがきっかけだったが、リオ五輪が丸被りなのが抜けていた。さすがにJ3のためだけに選手をブラジルから直行直帰させるわけにはいかない。現在の招集状況を一旦当てはめれば、翔哉、室屋、拳人は不在となる。

そして特別強化指定の大学生選手たち(矢島輝一、山田将之、小山拓哉)にとっては、これまた全国大会である「総理大臣杯」が待っている。中央大・専修大・法政大は共に、大臣杯出場を懸けた関東トーナメントに今週から臨む。だから現時点ではこの時期に3人がU-23に出場できるかは分からない。

こうして、7月後半〜8月前半に想定されるU-23メンバーは一番少ないパターンで考えると、ざっとこの様になる。

  • クラ選:波多野・高瀬・岡崎・蓮川・鈴木喜・伊藤・内田・生地・半谷・松岡・鈴木郁
  • 総理大臣杯:山田・小山・矢島
  • リオ五輪:中島・室屋・橋本
  • FC東京U-23メンバー:GK圍 DF小川・柳 MF野澤・平岡・佐々木・インス 計7人+OA3人=10人

百歩譲っても、これは破綻だ。


元々、今年のU-23の選手編成は、大失敗もいいところであった。

ガンバは昨シーズンと今シーズンで、11名の新人選手を迎えている。セレッソも偶然か2シーズンで新人選手は計11名だった。これは当時からセカンドチーム参戦に向けた積極施策かと噂もされていた。選手編成を担う人間としては、そのような可能性があるのならば当然の打ち手だろう。方や東京は2シーズンで計3名+室屋のみ。

その結果がこれである。「最低限」すら保てない。

そしてそのしわ寄せは、現実的にはまたしてもU-18の選手たちが被ることになるのだろう。これまでもU-18の選手に無理を強いることで、何とかやりくりしてきた。

J3第13節までにクラブが得られる出場時間は、90分×11人分×13試合=12,870分(幸野志有人の暴言退場は考慮しない)。その内、U-18選手が担ったのが計2,974分。これは全体の23%となる。また、ベンチで控えさせる"拘束時間"も考えれば、U-18が強いる負担はそれ以上だろう。

もちろん、それが選手たちに貴重な経験となっているのは事実だ。正しく得た出場時間であれば大歓迎だし、自分は元々U-23施策には全面的に賛成の立場である。

しかし、あくまでそれは「適度」であるべきだ。少なくとも、4月17日の様に「千葉で試合に出場⇒新木場に移動⇒夢の島で試合に出場」などは絶対に行ってはいけなかった。時間は経ち、移動のために身体も硬くなり、その後に上位カテゴリーの試合に出場。よく怪我をしないで済んだというレベルである。目的には100%賛同するが、そのための手段として、この様な度が過ぎた起用のされ方は決してされるべきではない。

ましてや、これから迎えるのは夏である。

灼熱の群馬で連日行われるクラ選は、ただでさえ大きな問題を孕んだ大会だ。JFAがようやく明確な熱中症対策をもってメスを入れ始めようとしている中でもある。選手たちに蓄積される疲労の具合は、春先とは比べるまでもない。

その中で、果たしてFC東京U-23は、この破綻する夏において、U-18の選手たちを使ってどう『やり繰り』をしようとしているのか。

少なくとも、二種登録の選手をU-23とU-18で真っ二つに分けるべきだろう。U-23に出場させる選手は群馬に帯同させない、くらいの明確な線を引くべきだ。選手を守るために、「適度」を保つために、決して一線を越えてはいけない。それが今から心配でならない。


二種登録としてJ3を戦っているU-18の選手たちは、チームの戦力としてよく戦ってくれていると思う。そんなプレーがU-23を見に来るサポーターにも伝わり、選手の顔と名前とプレーも徐々に覚えられ、親近感も持ってもらえつつある様に見受けられる。

これは、そんな身近な彼らの「生き死に」の問題だ。


何はともあれ、夏は来る。
U-18にとっては、大事な夏が。
大学生にとっては、憧れの夏が。
そしてU-23にとっては、初めての夏が。

だから、初めてなりに考えてみた。今年の夏は、どうなるだろう?
そして考えてみた結果…今はただ、選手みんなに無事に乗り越えてもらう事を祈るばかりである。

FC東京U-23の先にある、選手たちとの「納得のサヨナラ」

J3第10節、FC東京U-23vs鹿児島ユナイテッドFCの試合を観に行った。

場所は夢の島競技場。観客動員数は2,192人と発表があった。夢の島開催だけで言うとこの数字は、前回のガンバ大阪U-23戦の1,993人より増えているのだから立派なものだろう。そしてこれまでホーム開催5戦での平均は2,698人なので、前回エントリの理屈に則れば、まだまだ儲かる芽は残しているww

とは言え、肝心の試合成績は散々たるもの。鹿児島戦でも結果はスコアレスドロー。試合を終えて湧き上がる勝ち点3への未練は、東京側よりもむしろ鹿児島側に強く残ったであろうと想像できる、そんな内容であった。

 

第6節アウェー鳥取戦での勝利によって、U-23が一皮剥けたのは明らかだ。圍の指示の声は開幕戦に比べればハッキリ堂々としたものとなったし、U-18から"出向"しているCB岡崎慎のプレーぶりたるや、もはや「借り物」の域を越えた存在感を放っている。

何より、チームとしての背骨がようやく出来つつあるのが見て取れる。当初は本当に酷かった。チームになっておらず、そのくせ選手がチームを造ろうとしている過程感がまるで無かった事には、観ていて絶望しか無かった。

それが、幾人ものオーバーエイジ達が、限られた中でチームをどう造っていくのかという「振る舞い」を示してきた事で、ようやくチームには背骨が通り始め、鳥取戦での勝利によってようやく形作られた。

ただし、それが成績に繋がるとは限らないのがサッカーでもある。古今東西、チームの熟練度は成績とはそう簡単には比例しないものだ。特にFC東京U-23においては、数少ない機会の中でコツコツと形作ったものであるが故に、その出自である、所詮「トップチームに出場できない、何かしら課題・不足を抱えた選手たち」の色がベースとなって出来上がった背骨でしかない。そんな背骨にどの様な価値があるか?第10節経過時点で、J3リーグ最下位。価値を示す、1つの指標であろう。

チームですら無かった状況から、輪郭が徐々に付きつつあるのだから、それは大きな進歩だ。しかしだからこそ、FC東京U-23としては言い訳が効かない状況も出来つつあるとも言い換えられる。シンプルにただ弱い。相手と同じ土俵に立って比較できる様になっただけに、露呈しているその問題は根が深い。

 

 

前回エントリで、この様に書いた。

野球で一流の打者になる為にはバットを振り続けるしか無いし、一流のピアノ弾きになりたいのであればピアノを引き続けるしか無い。試合で活躍する選手へと成長したいのであれば、試合に出続けるしか無い。悩み、苦しみ、負け続ける事に心の底から悔しがり、それらを覆さんと腹括って日常を生きる。その積み重ねしか無い。

彼らには試合が必要だ。だから自分は、この施策のリターンに確信を持っている。 

羽生直剛が選手として如何に価値のある選手なのか?それを考えれば、サッカー選手としての価値には様々な観点がある事が良く分かる。そういう意味では、サッカー選手における「成長」とは、身体的・技術的な要素だけではなく、頭脳的・精神的な要素においても伸びる余地があると言える。そして成長する機会というのは、何も若手選手のみに限られた特権ではなく、どの年齢どのような選手においても等しく有するチャンスであるということだ。

選手とは"小平での練習"に、"試合での経験・体験"をかけ算していくことで成長していく。どんな選手においてもだ。至って普通の話であろう。

しかしこれをまた言い換えてみると「じゃあ試合という機会がありながら成長できない選手って何なの?」ともなってしまう。FC東京U-23が誕生したおかげで、言い訳の効かない状況は選手においても生まれたということになる。

 

言い訳の効かない状況において、それでも成長できない選手がオフシーズンにどうなるのか?それは言うまでもないだろう。そしてそのカウントダウンは、この淡々と勝ち点を落とし続けている現在においても確実に進んでいる。

制度的な話で言えば、U-23での出場時間はA契約・B契約移行への条件として算入される事になっている。J3では1350分、15試合フル出場相当の出場時間を得ることで、選手は次年度以降に契約移行が必要となる。アカデミー出身選手が多いFC東京においてはA契約25名枠(今シーズンはACL出場で27名枠)にゆとりがあるのは確かだが、C契約なのかA・B契約なのかが契約更新の際に要素・制限となるのは間違いない。

しかしそれ以上に現場で観戦していて思うのは、「こんなプレーしていたら、そりゃあトップで出れないわ」であり「これだけ経験させていても変わらないのであれば…」という『納得感の醸成』だ。

観客は得てして、選手の「知らない部分」に過剰な期待を込めてしまいがちだ。脳内に「伸びしろ」を勝手に創ってしまう。しかしそれが試合を重ねていくだけ、選手の「知る部分」が増えていく。「コイツもっと凄くなるな」もしくは「割とそうでもねぇな」と理解する。

FC東京U-23が試合を重ねていくことで、選手は「成長してトップチームで出場機会を得ていく」かもしれないし、もしくは「大した成長も見込めないから…」となるかもしれない。どちらにしてもその結果に伴うのは「周囲の納得感」だ。

 

今のFC東京において、分かりやすい例は平岡翼か。

これまでもJ-22でそれなりに出場時間と結果も残してきたが、その際の出場時間はこれまでのルール上、A契約締結条件にはカウントされていない。それが今シーズンのU-23の戦いはカウントされていくルールとなった。例えば今日であれば柳貴博が不在だったためSBでの出場もあり得たわけだが、そんな「数合わせで仕方なくSBで出場する試合」も確実にカウントを進めていく実績となってしまう。

元々C契約は3年限定なので、どちらにしても来季契約の際にはB契約以上の締結更新が必要ではあった。ただその際には当然、第10節時点で703分という出場時間も判断材料となる。これはU-23が無ければ得られなかった材料だ。

その結果として、果たしてどう判断となるのか?少なくとも、そこには出場時間だけの「納得感」が伴うことになる。

そう考えると、所詮まだ20歳の平岡に果たしてFC東京でどれだけ時間が残されているか?

U-23枠に居られるのは再来年まで。個人的な意見を言えば「悠長なことしてる余裕は無い」と思っている。

もっと言えば、幸野志有人U-23枠に居られるのは今年までなのだが。

 

 

来季は恐らくACLにも出られない。良かれ悪かれ、選手編成は大きく変わる。現在のFC東京U-23の酷い選手編成も、今オフには是正に着手するだろう(でなけば立石は馬鹿だ。いや、既に馬鹿だが)

その中で、現在U-23での戦いにおいて「こればっかりは仕方がない」とされている、例えば攻撃における連携や意思疎通、味方同士の理解の欠如によって、ただ淡々と不甲斐ない結果を続けているわけだが、そんな彼らに今オフ待ち受けているのは果たして何か?

ちなみに高橋秀人は、既に"シーズン中"に「納得のサヨナラ」を果たしている。選別は既に進んでいるということである。

FC東京U-23はもしかしたら儲かるかもしれない、というざっくりマンデー

FC東京 FC東京U-23 FC東京U-18

FC東京U-23でチームを結成しJ3リーグ興行を行うにあたり、クラブスタッフ的には「チケット代金は500円でもいい」とも考えていたらしい…なんて話をチラッと伺った。それが結果的に¥1,700(ホーム大人前売)というプライシングとなったのは、周辺クラブ運営への配慮が要素として大きかったとのことである。

適当にクラブをピックアップし、チケット最安値を並べてみた。ここからは様々な示唆が得られそうではあるが、本題に沿ったものだけに絞ってみると「平均チケット価格は所属Div毎で大体の傾向がある」。ざっくりとJ1は¥2,500、J2は¥2,000弱、J3は¥1,500で、JFLになると¥1,000を切る。

クラブの財政規模は当然、所属Divによって大きく違ってくる。そして、チケット収入はクラブ収益にとって大きな要素でもあるわけだから、チケット価格はクラブの規模に直結する。その規模感の実態、もしくはクラブとしての自己認識(実態に対する「ポーズ」「見栄」)が透けて見える各プライシングには個人的に非常に納得感があった。

FC東京としては、U-23J3に参戦するとは言え所詮セカンドチームである。U-23に財政の主軸を担わせる訳でもないし、稼ぎのメインは当然トップチームなわけだから、U-23で儲けようと考える必要が無い。前述の「500円でもいい」という感覚は正直ベースな話だろう。

しかし視点の軸を他クラブに据えてみると、話はもちろん変わってくる。トップチームがJ2・J3JFLで稼ぎの主軸を担うとなれば、当然それなりの価格でそれなりな観客をあつめ、財政の安定に努めなければならない。チケット価格としては絶対にこれ以下を切るわけにはいかない、というボーダーがあるはずだし、それを下回ればクラブ消滅となりかねない。

どちらの立場にも事情はあり、故にどちらの考え方も正解だ。そして今回FC東京U-23参戦にあたって、チケット価格の部分で「譲った」のであれば、これも判断としては恐らく正解だろう。価格競争を仕掛け、近隣クラブ同士で泥沼の消耗戦になったところで、最終的に不幸を見るのは選手であり、サポーターだ。これぐらいの「談合」はあって然るべきだろう。FC東京U-23のプライシングの話は、嘘かマコトか適当に聞いた話とは言え、信憑性のある話でもあった。

※ちなみにG大阪U-23C大阪U-23J3参戦に際し、それぞれ¥1,000・¥800とプライシングしている。彼らにとって気にするべき近隣と言えば、京都サンガFC大阪辺りになるのだろうが、そういった事情を乗り越えて着地したプライシングという理解でいいのだろうか。もちろんプライシングの事情はそれだけではないし、特に両クラブ共に自前スタ持ちもしくは指定管理スタ持ちである事も「事情」としては大きいだろう。

こうした末に、いよいよ始まったFC東京U-23J3初参戦である。第2節はFC琉球を迎えての、初めてのホーム戦。西が丘サッカー場の公式入場者数は3,584人を記録した。

この数字を見て、さて貴方はどう思いますか?

自分は「儲けられるかもしれない」と思いました(ようやく本題です)。

 

FC東京U-23のチケットは、トップチームの年間チケット購入者であれば通常より安い¥1,500で購入することが可能だ。これでざっくり入場者数とかけ算すると¥5,376,000なので、ざっくりと500万円のチケット収入があったとしてみる(よく分からないのでサッカー少年団の招待系のお客さんは考慮しない)。さてこの500万円から、いくらお金が残るのか?ということになる。

自分が「わりと残りそうだな」と思う理由を並べてみる。

  1. 適度なスタジアムキャパ。特に西が丘であれば国立だから費用が安そう
  2. J1試合運営とのリソース融通。特にJ3ではスポボラが運営の大きな部分を担っている
  3. 入場者予測がしやすいため、過多な運営コストを事前に準備しなくていい

FC東京U-23は、J3参戦最大の懸念であったホームスタジアム手配問題を、西が丘サッカー場を中心に駒沢陸上競技場・夢の島競技場の併用という形で乗り切った。高価と思われる「味の素スタジアム」を使用しないで"済んだ"だけ大成果と言えよう。1.は言い換えれば、適した規模に対して適した器が用意できたという部分を指す。とは言えもちろん、一番の理想はガンバやセレッソなどの様に、自由が効くスタジアムを保有することがベストではある。

2.に関しては、特に琉球戦で実感した部分となる。普段は業務領域を制限されている「FC東京市民スポーツボランティア」が、J3ではチケットもぎりを務める姿が目に付いた。J1運営で活躍する「黄色いジャケット」が非常に少なく見受けられたのは、J3らしいダウンサイジングな運営の現れだろう。

規模の大小を無視すれば、FC東京というクラブが主催する興行は、J1の17試合にJ3の15試合が足され「32試合」となった。(厳密にはこれにACL+ナビスコ杯が加わる)。ほぼ倍に近い数に対して、それに当たるクラブスタッフも比例にして倍になる、わけでは当然無い。良く言えば「融通を効かせたリソース運用」、悪く言えば…まぁいくらでも言える。J1の片手間で準備されるJ3ホーム興行、その費用効率は、トップチームがJ3で戦う組織においてかかるそれとは変わってくるだろう。

3.が、個人的にかなり重要と捉えている。2016シーズンのJ3では、FC東京U-23はいわゆる「回数券」的な運用を行っていない。年間チケット保有者に対しても、特別価格設定はあれど「チケットを買ってご来場ください」というスタンス。ものぐさ怠惰な自分にとっては、わざわざ毎回チケットを買う行為はすこぶる面倒くさいので何とかならんのか…な仕組みではあるが、方や運営側にとっては動員見込みが立てやすく、それによって無駄のない運営が可能となる。これが「年間チケット保有者は入場自由」としてしまうと、前売券の販売は2,000枚だけどSOCIO9,000人の内の"何人か"が来るかもしれないから、動員は2,000人から5,000人くらいまでを念のため考慮して…と、この振れ幅が何より困る。SOICIO利便を考えたら年チケ優遇もしくは回数券系チケ販売が期待されるところだけど、ここに舵を切るのはそれなりな判断だろう。逆に得られるメリットに、ここではフォーカスしてみた。

長々と書いたが、要は「適度なサイズの器の中で、融通と限定を効かせた運営が効率よくされている気がした」ということになる。もちろん、それを実現したクラブスタッフに、何よりスポボラの方々には頭がさがるばかりだ。 今後もSOCIOとして、J3来場の際にはスポボラを助けるくらいの気持ちで来場したいところである。

 

閑話休題。その結果として、試合運営にかかった経費が果たしていくらか?

参考になりそうな資料は、2014年度J3クラブの経営情報開示資料くらいしか無かった。12チームによる3回戦制、計33試合でホーム開催は18試合。

SOCCER DBによれば、2014年のJ3において観客動員数が平均3,000人を越えたクラブAC長野パルセイロFC町田ゼルビアツエーゲン金沢SC相模原ガイナーレ鳥取の5クラブ。その5クラブの「試合関連経費」は平均2160万円。18試合で割れば、1試合あたり120万円となる。

この120万円が、ざっくり平均3,000人のサッカー興行にかかる経費とすれば。J3の5クラブがかかっている試合関連経費120万円に比べて、FC東京U-23の試合関連経費は多いのか少ないのかを定性的に妄想してみれば。そして、琉球戦のチケット収入を500万円と考えれば…

この数字を見て、さて貴方はどう思いますか?

自分は「儲けられるかもしれない」と思いました(話はたらたらともう少し続きます)。

 

話を現実に戻すと。

サッカー興行を成り立たせるために必要な支出は当然、試合関連経費だけとはいかない。2チーム運用のために選手の保有人数はより多く確保しなければいけないし、その単価はJ1基準での契約額が中心だろう。逆にクラブ運営費や管理費などは2チーム運用故に吸収できる箇所があるかもしれない。様々な増減要素を考慮しはじめると…結局は、1回の興行単位では無くて「クラブ全体」で収支を見なければ意味が無いとぶちあたる。

上記の引用Tweetは、同じくセカンドチームのJ3参戦を狙っていたサガン鳥栖が、説明会でサポーター向けに発言されたものらしい。J3クラブの平均財政規模が3億円弱なことを考えれば、運営費1.4億円はある程度妥当な目安かなと思う。

 

ホーム開幕vsFC琉球戦の観客動員数3,584人が、FC東京U-23にとってピークとなることはほぼ間違いないだろう。勝てない。つまらない。端的に下手。所詮「居るべくして居るメンバーで揃えられたチームの試合」だ。様々な要因によって今後、動員数が右肩下がりとなることは予測として当たり前だ。

それでも、SC相模原戦のアウェーに駆けつけたと言われるFC東京サポが約2,000人だったとの話を考えても、最終的には平均2,000人は越える位で着地するのでは…と見積りたくなる。そしてそれがチケット単価¥1,500で叶うのであれば、平均2,000人ホーム試合15回で、およそチケット収入が5000万円。

もちろん、運営費1億4000万円を賄おうとすると、その額ではまだまだ足りない。むしろ、チケット収入だけで賄うのは構造的に不可能だろう。本来のクラブ経営観点で考えるのであれば、チケット収入だけでなく例えば今回の琉球戦におけるアミノバイタルの様にJ3開催独自のマッチスポンサーを引っ張ってくる等の、あらゆる手段で相当の底上げが必要だろうし、それは長い期間をかけて解決すべき困難なタスクだ。J3のセカンドチーム参戦において、一番のリスクは、元々はこのコストの部分にあった。

しかしこれが当初想定していたリスクよりも、ふたを開けてみたらポジティブ寄りに着地したのでは?というのがここまでの話だ。年間でのチケット収入が5000万円、これは先ほどの2014年度J3経営情報開示と照らし合わせれば、長野パルセイロガイナーレ鳥取とほぼ同額、J3クラブ平均の倍の数字だ。そう考えれば、このチケット収入はかなり立派な数字に見えてくる。ハイリスクだと換算していたコスト部分が、想定していたよりも「がんばり様がある」かもしれないと思えてくる。

そうなると、期待されるリターンはより輝いて見えてくる。選手は育ち、J1で優勝し、賞金をゲットし、ACLでの活躍で欧州の目が注がれ…億単位で選手がバンバンと欧州クラブに売れていけば!

ホラぁFC東京U-23は儲かったと言えるじゃないですか!(これがオチ)

 

元々自分は、今回のセカンドチームJ3挑戦には全面的に賛同する立場にある。

それは、一足先にU-18年代で始めていたセカンドチーム運営を観てきたからであり、それによって得られたリターンを実感してきたからである。

強制的に代替わりが発生する特殊性がある2種リーグ戦においては、それこそチームの主軸であった武藤嘉紀太田宏介がチームから去る様な状況が毎年毎回繰り返される。その中であっても、U-18トップチームがトップチームとして強さを保つためには、よっちやコースケに代わる選手が下から常に台頭してくる様な「体制づくり」が不可欠だ。FC東京U-18が、壮絶な昇格争いを勝ち抜いた世代がごっそり抜けた後でも、翌年プレミアリーグで堂々と戦ってこれたのは伊達ではない。セカンドチームで選手が既に鍛えられ済みであったことが、年代最高峰リーグにおいても強さを保ち続けられた理由の全てだ。

野球で一流の打者になる為にはバットを振り続けるしか無いし、一流のピアノ弾きになりたいのであればピアノを引き続けるしか無い。試合で活躍する選手へと成長したいのであれば、試合に出続けるしか無い。悩み、苦しみ、負け続ける事に心の底から悔しがり、それらを覆さんと腹括って日常を生きる。その積み重ねしか無い。

彼らには試合が必要だ。だから自分は、この施策のリターンに確信を持っている。

そのためのリスクとして懸念されていたコスト問題に、こうしてポジティブな光を感じれたのだから、このビッグチャレンジもまずは良いスタートを切れたのではないか。と、相模原・西が丘に足を運んでみて感じた次第である。

 

サポの誰もが、我がクラブの選手に期待する。実際、その才能は疑いないだろう。しかしそれでも時に選手は、様々な要因に邪魔をされ、中途半端に能力燻って小さく着地してしまう場合がこれまでも多くあった。選手を育ててバンバン売れば…と先ほどはドライに書きはしたが、選手が燻り消えていく姿を見させられるのに比べたら、選手が期待通りに才能を開花し、それこそ一気に欧州移籍まで駆け上がるくらいに突き抜けてもらった方が、見ている方としてはよっぽど健康的でもある。そしてそれがFC東京という器からであれば最高だ。

そういう循環の器としてFC東京U-23はこれから徐々に経験を重ね、こうして"FC東京アカデミー"は結実していくわけである。

 

 

シリーズ「セカンドチームのJ3参戦を考える」第1回目はいかがだったでしょうか。観客動員数の、意外なほどの良結果。ガンバサポ・セレッソサポからも、J3数試合やってみてどう思ったか是非聞いてみたいところです。しかし、たった一度のホーム試合興行だけで、これだけ適当に試算して勝手言えるのは楽しいものですね。今年度分の経営情報開示が楽しみになりました。

そんな本シリーズの第2回、次回は「U-23J3参戦だなんて、他のマジメに昇格を目指している他クラブに失礼だろ論者って何なの?馬鹿なの??失礼なのはお前だろってばよ」をお送りする予定ですお楽しみに(適当)

橋本拳人たまんねぇおじさんは悩んでいる、けんてぃのラスポジを

FC東京

U-15深川時代は、トップ下。10番を背負い、攻撃を牽引し全国を制した。
U-18時代は、ボランチ。守備で強度を見せ、足を伸ばしてボールを何度と奪ってみせた。
その後トップ昇格を果たし、経験を積むためにロアッソ熊本へレンタル移籍。
熊本時代は、CB。高さがそこまであるわけでは無かったが、弾き返す強さでチームに貢献。出場機会を重ねた。
FC東京に戻ってきて、J1デビュー戦は左SH。あの鮮やかなつま先ゴールは今さら説明の必要無し。
その後マッシモの下で、セントラルMFとして開花。攻守に関わる大活躍でJ1最高位に大きく貢献した。
そして今年。キャンプでは新たに右SBをやり始めており(イマココ)

…書き出してみたら、思った以上に長くなってしまった。ただ経歴を省略するわけにもいかず、これが真実であるのならばこう書くしか無い。そして書き出して改めて眺めてみると…果たして橋本拳人はどんなサッカー選手なのか、そして、けんてぃ(@岩波拓也)はどんなサッカー選手になっていくのか、何とも悩ましい。


◇◇◇


これだけの経歴故に、各人が抱く拳人のイメージは、出会ったタイミングによってその印象はガラリと違うだろう。

個人的な拳人のイメージとしては、U-18時代のボランチでの姿が一番印象深い。

高2の時に当時の倉又寿雄監督にボランチ適性を見い出され、先輩の佐々木陽次(現:徳島所属)とボランチコンビを組むことに。奔放にボールと戯れるヨウジが攻撃を司り、方や守備ではボールを刈り取る拳人が活躍し、また共に倉又イズムの下でとにかく走り続けて強度を担保した姿は本当に美しかった。

能力的に拳人を観たときに、まず特筆すべきはそのフィジカルだろう。ともすればヒョロっとした見た目のようにも映るが、その中身は骨の太さから筋肉の密度から他の選手とは「詰まり方」がまるで違う。

守備では米本の様に「足が伸びる」奪い方をするが、米本との違いは、その伸ばした先の末端にかけられるパワーの違いにある。たとえ伸びて届いても、不調時の米本だと末端にかけるパワーには限界があり、ボールに触れても奪いきれない場面が多かった。対して、拳人の場合だとその末端で強度を持たせられる。球際勝負になっても体制有利な相手ですら上回れる。これはまさに持って生まれたもの。能力がスピード系に寄っている武藤嘉紀とは別種ながらも、等しくフィジカルエリートであることには間違いない。

他方で、攻撃的センスがあるかと言えば、そういう印象は個人的には正直無い。ボールタッチにオンリーなものがあるわけではないし、正確な止め蹴り技術や、特別なパスコースが見える能力も取り立てて感じない。攻撃的なスキルを求められるポジションでは厳しいのでは…というのが自分の見立てになる。

だから高2の当時、彼が守備的なボランチとして活躍する姿を見たときには「倉又監督はいいポジションを彼に与えたなぁ」と感心した記憶が強い。ヨウジとは強みで互いに補完し合うことで、彼自身の名声も守備能力によって高まっていくことになる。ゼロックス杯でのNEXT GENERATION MATCHでJリーグ選抜として選ばれた時には「いぶし銀の守備的ボランチ」と形容された程だ。ゆえに個人的に印象が強いのは、彼のボランチでの姿となる。

だからこそ、J1デビュー戦となった対松本山雅戦での左SH起用は心底驚いたし、あまりに鮮やかなあの初ゴールでは思わずのけぞった。どういう意図でマッシモがあの起用になったのかも、拳人がそれに応えたあの結果も、自分のこれまでの「先入観」では到底導き出せるものではなかった。

その際に考えを改めたのは、全般的な攻撃的スキルへの評価は変わらないものの、得点を獲るという限定的な能力に関しては、長所として高水準にあるのでは?ということ。スキルが高くないのは、彼の得点パターンである「まずファーストタッチでブレる」ことからも未だ明らかだが、それを補うほどのシュート精度・威力の高さもまた、明らかだということ。加えて、彼の得点能力の最たる部分である「点の取れる位置にいること」それを嗅ぎわける嗅覚があるのだろう。ただし、ボールの置く位置がブレようとも、それをリカバリしてねじ伏せられるその根拠は「フィジカル」による姿勢制御力のおかげだし、点の取れる位置に入っていける馬力もまた、「フィジカル」の賜物だと考える。

その後の活躍ぶりは言うに及ばず。4-3-1-2のマッシモ布陣における、最重要な「3センター」のポジションを彼は堂々と掴んだ。守備に長所を発揮しつつ、そのフィジカルをもって「点の取れる位置」に入っていける拳人にとっては、セントラルMFは天職。まさに「10番」の働きを果たしたと言える。
こうして迎える勝負の2016シーズン。キャンプ地から漏れ聞く情報は「橋本拳人、SBに挑戦!」WHY!!城福浩はアタマおかしいんじゃないか!!出川哲郎状態もしくは厚切りジェイソン状態である。


◇◇◇


明日からいよいよACLが開幕する。FC東京としてはACL、J1、J3という過酷なシーズンの幕開けとなるが、引き続き心許ないのはDFの陣容となる。

太田宏介が抜けた代わりに駒野友一を獲得したのは、打ち手としては現状の日本で考えられる最高形だろう。とは言え、彼がACLとJ1とでフル出場を続けられるとは考えにくいし、それは鉄人・徳永悠平と言えども同様だ。丸山祐市が左SBにスライドする形も考えられるが、CBも等しく層が薄い中では、帯に襷に感は拭えない。

室屋成が怪我で離脱してしまった今、拳人がSBのアタマ数として数えられているのは事実だろう。また聞くところによれば、拳人SBの評判は悪くないらしい。

言われてみれば前述の、自分が想定する拳人の強みとも合致する。守備の強さは言わずもがな。攻撃スキルもSBであれば求められるのは限定的で済む。ボランチであれば蹴れるキックの種類が10は必要であるとすれば、SBは4つ程度で済むだろう。彼の得点能力が発揮しづらい懸念はあるが、トータルで見ればメリットが上回る。伝え聞いた当初は取り乱したが、よくよく考えれば抜擢の理屈は合ってしまうのである。


こうして、彼の「ラスポジ」は本当にSBになっていって「しまう」のだろうか。

何故ならば、今年、恐らく拳人はSBである程度の成果が出てしまう。

FC東京としては、通常のSBスタメンはACLプレーオフの様に左SB駒野・右SB徳永となるだろうが、先日友人が予想していた、対ACL用パワー強化型守備布陣としての「左SB徳永・右SB拳人」は、なるほどと膝を打った。途中からか、もしくはスタートからか。この予想の説得力はかなり高い。腹落ちした使われ方で、拳人が強みを活かした活躍をして見せれば。これはACLでのFC東京の戦いぶりが楽しみになる妄想である。

また、今年はリオ五輪もある。U-23日本代表にとってSBは懸念のポジションであり、かつ室屋の復調次第な状況。これまで(何故か)選考に引っかかってこなかった拳人であろうと、もしSBでの活躍があれば一気に食い込む可能性はゼロではない。またオーバーエイジを抜いた15人という希少枠の中で、彼のポリバレント性に魅力を感じれなかったらそれは嘘だ。

それらを考えると、拳人にとっては今年のSB起用想定は「大チャンス」だ。オリンピックに選ばれるかどうかで、今後の人生も大きく変わってくる。その可能性が、SB起用によって一気に高まる。これを逃す手は無いだろう。

こうして、彼の「ラスポジ」は本当にSBになっていって「しまう」のだろうか。

理屈では分かってしまうのだが、それでも吹っ切れられない自分がまだいる。先入観とは、かくも実体を邪魔する存在だ。しかも、じゃあラスポジの代案は?となっても、素直に守備的ボランチを差し出すのも何か違う気がしてしまっている。最適な案も思い浮かばなければ、現実的な未来予測も見えていない。

彼のラスポジは果たしてどこになるのだろう?


◇◇◇


…と、ここまで読んでいただいたのに恐縮ではあるが、このブログエントリには、その結論が無い。ただただ、自分の感情的な悩みをぶつけただけでこのまま終了する。しかも結論は恐らく、今シーズンに出る事はないだろう。拳人はこのままある程度SBとして結果を残してしまう。リオ五輪でもSBとして拳人は活躍してしまう。イレギュラーに適応する形でSBとして戦った2016シーズンを終えて、世間一般でSB拳人としてのイメージが増した上で、じゃあ2017シーズンのFC東京の戦い方は?陣容は?環境は?その中で拳人はどのポジションで戦うのか?当然だが、現段階ではあまりにも未知数だ。となると、この結論は早くとも来シーズン以降にならないと見えてこない。

橋本拳人の成長は、昨年度の大きなトピックだった。彼の「成長加速度」に振り切られない様にとしがみ付く楽しみたるや、本当にたまんなかった!そんな「橋本拳人たまんねえおじさん」は、今年も彼の衰えぬ加速度を確信しながらも、そのベクトルが指し示す方向に悶々とする日々を、少なくとも1年は覚悟しなければならないな…と腹をくくった、そんな2016シーズン開幕前夜なのである。