FC東京から消え失せた積み重ね そして未だ生まれる気配の無い「やりたい事」

主力の選手は入れ替わり、代わりに経験値が既に備わった、実績のある選手が入ってきた。新しいサイクルを用意しつつ、かつ種まきの時間をカネで解決した印象は強い。

篠田監督のキュレーションは青赤を悲願へと導けるか FC東京 2017シーズンプレビュー - 「やってみるさ」

クラブとして積み上げてきた、ひとつの選手サイクルが2016シーズンに終わりを告げ、そんな中で迎えた2017シーズン。新たな選手サイクル構築のために、まずは新しく種をまき直し、芽が出るのを耐え忍ぶシーズンがこれから始まる…と思いきや、実績のある選手を積極補強することで、そのフェーズを省略してみせたプレシーズン。ある意味、サイクル構築の時間をカネで解決した様な理解だが、それはそれで解決策の一つであり、アリだと考えていた。

しかしその結果は見ての通り。まずは、こんな楽観的な己を反省するところから始めなければならないだろう。

とは言え、いま振り返っても補強施策自体は大きく間違っていなかったと、今でも思う。高萩は今や精神的支柱すら担うオーガナイザーとして君臨。大久保嘉人はあれだけチームとプレーが合わなかろうとあの得点数はさすがの一言。途中加入組でいえば、ピーターウタカはチーム内得点王だし、チャン・ヒョンスは最終ラインでレベルの違いを見せている。林にしろ択生にしろ永井にしろ、復帰した太田宏介にしろ。この実績の質量を見て、補強が失敗とはさすがに今でも言えない。

ただ、間違いとは言い切れないが、その代わりに露呈された事実その大きさ・ドス黒さ・空虚さによって、FC東京というクラブを取り巻く事態はより混沌を迎えたのだと思う。


平易な言い方をすれば「やりたい事」の問題だろう。

4バックなのか、3バックなのか。カウンターなのか、ポゼッションなのか。古き良き日本に染み付いた土着的発想なのか、欧州で持て囃される新概念なのか。それらをどう選び、もしくはどうミックスさせるのか。

本来は、こういったやりたい事が各自にあるのが前提で、それが出揃ったのを受けて初めてその是非が議論されるものだ。どの選択肢についても、基本はもちろんフラットな立場であるべきだろう。だがこれまでの経緯や積み重ね、選手構成の具合、もしくはアカデミーが既に策定している方針など様々な要因によって、実際にはどうしても取り得る選択肢が狭まってしまうものだ。そんな外的要因に素直に従うのか、もしくは抗う手段まで伴っているのかをもって、「やりたい事」の是非が定まっていく流れが殆どだろう。

こうして是非がしっかりと定まれば、後はそれに向かって一丸となって進むのが組織というものだ。いわば、よく言うところの「クラブフロントと現場の両輪が噛み合っている」状態だろうか。正しく噛み合えば、クルマは自然とスムーズに目的地に向かって進んでくれるだろう。逆に、もし左右のタイヤが別の方向を向いてしまっていては、クルマが正しく前に進む事など当然無い。


例えば「篠田監督の意向に沿った補強がなされていないフロント」という切り口を考える。

確かに、両輪が噛み合っている状態とは言えなかったかもしれない。だかしかし、じゃあ篠田監督に「意向」「やりたい事」などという崇高なものが果たして、そもそもあったのか?と自分は疑問に思う。

今までも、篠田監督の「中身の無さ」「具体の無さ」は気になっていた。まずは元気に頑張る。プレスに走る。そして頑張る。最後は気持ち。負けたらみんなで考える。声の大きい人の意見に全乗っかりして、じゃあ今度はそっちにしてみよう。なのでまずは元気に頑張る…の無限ループ。具体も、そこに至るプロセスもまるで無かった。

唯一、具体的な話が出てきたのは篠田監督最終戦となるHセレッソ戦直前。3-1-4-2移行後からずっと守備面の問題としてあった「サイドに構えたボールホルダーへのアプローチ」について、急に「つるべの動きでDFラインが対処するのが方針」って話が出てきて驚いたレベルだ。

何がしたい。こうしたい。その為にはああであって欲しい。そんな類が一切見えない中で、クラブフロントがどうやって、有りもしない意向に沿った補強が出来るのだろうか。

そんな中でもクラブフロントが獲得してみせた選手は前述の通り。言うなればそれは、上等なたまねぎであったり、超高級魚であるノドグロだったりと、名の通ったブランド銘柄ばかり。これらは、意向もクソも無い中で行える最大限だったと今でも思う。元々冷蔵庫にあった素材も含めて、名前だけ見れば充実したラインナップになっただろう。

しかし、肝心のシェフである監督がそれをどう調理したら良いのかが分からない。

材料を見て、どんな料理が作れるのか?そもそもどんな料理が作りたいのか?それどころか、そもそも俺は和の料理人なのか、中華の鉄人なのか、それともフレンチのシェフなのか?篠田監督本人ですらも分かっていなかったのではないだろうか。

その状況だけでもかなりの問題だが、それはむしろ以前から外から見てても知っていたことだ。今回露呈したのはそれだけではない。そもそも、この店は何を食わせてくれる店だったのか?料亭だっけビストロだっけラーメン屋だっけ?それが実は、お店のオーナーであるクラブフロントもまるで定めていなかったのが露呈したことだろう。

このチームで見てきたものは、思えばいつも「現場の監督のやりたい事」だった。

大熊は本質をとにかく求めた。ポポビッチはワンツーがやりたかった。マッシモは美しい守備がやりたかった。城福はムービングのリベンジがしたかった。

もちろんその目的のために取られる手段の拙さによって、結果として残念なお別れとなるのが殆どだった。ただ少なからずこれまでの監督たちには「やりたい事」があったし、だから我々も「やりたい事」に対しての是非が議論出来ていた。

それら監督の「やりたい事」に隠れて、両輪のもう片方であるクラブフロントの「やりたい事」への意図まで、事細かに知ろうとしてこなかったのは、サポーターである我々の責任だろう。

クラブフロントは果たして、我がクラブを何屋だと思ってたのだろう?何屋の看板を掲げているつもりだったのだろう。そして、数年間共に過ごしてきた篠田シェフの事を、何のジャンルの料理人だと理解していたのだろう?そして、上等なたまねぎとノドグロを一緒に仕入れてきて、どんな料理を作ってもらうつもりだったのだろう?

そういった諸々が、蓋を開けてみたら「どちらにも何もなかった」のである。

「2017年のFC東京」で起きた事とは何だったのか?

それは、篠田監督もクラブフロントも、お互いに「やりたい事が無い」という稀有な地獄だった。両輪にはタイヤすら無く、ステアリングも無く。どちらを向いているのか、どちらを向きたいのかすら示されず。クルマを推進させていく気があったのかすら疑わしい地獄だった。

こうして冷蔵庫で調理されずに眠り続けていた素材は、いつしか賞味期限を迎えるのである。そして一度腐った素材が、採れたてのあの時の鮮度を取り戻すことはもちろん無い。腐ったミカンを冷蔵庫に残し続ける訳にはいかないのである。

 

クラブフロントをどう評価するべきか?ピッチ上の出来事について、査定されるべき人物が立石GMなのか石井強化部長なのかは分からないが、より上位の役割・立場である事を踏まえて、それを立石GMとすれば。

上等なたまねぎを仕入れてきた点に関しては、もちろん評価すべきだろう。たまねぎであれば、和であろうが中華だろうが融通の効く万能食材だろうし、さぞかしお安く仕入れる事も出来たのであろう。

ただ、GMという役職は(クラブによって役割や位置づけは細かく異なるものの)少なくとも上等なたまねぎを仕入れるだけが役割の全てでは無いはずだ。このお店は中華屋なのか牛丼屋なのか?そういったより上段の「やりたい事」を定めるのがGMの役割であるはずだ。

だから立石GMを「上等なたまねぎをお安く仕入れてきた人だからGMとして評価しよう。」とは、なる訳がない。もしそれが本人が嫌だと言うのならば、たまねぎの部分を評価してくれよと言うのならば、いま身につけているGMという肩書はすぐに外して、より本来に沿った肩書であろう「CTO(チーフ・たまねぎ・オフィサー)」とでも名乗ればいい。

そしてそんな立石GMもしくはCTOに、正しく役割を定め、その役割に対して正しく評価すべきなのは、果たして誰なのか?その人の評価はどうあるべきなのか?という至ってシンプルな話だ。

 

報道によれば、来年度の監督候補として長谷川健太に正式オファーを出したらしい。クラブに携わる人間自らが積極的にマスコミにリークしていくスタイルでおなじみのFC東京なので、恐らくこの報道は実際に進んでいる事実なのだろう。特に、森保一東京五輪代表監督に決定した直後のリークなので殊更、信憑性は高い。

ただ、それでいいのか?それだけでいいのか?それよりも重大な何か、欠けているものについては何もないのか?リークを受けての、ファン・サポーターの反応は正直だ

「そういう事じゃねーんだよ。やりたい事は何なんだよ?ウチは何屋なんだよ?たまねぎとノドグロでどんな料理作れっつんだよ!」

ノドグロ たまねぎ」で検索した結果
http://www.sakaiminato.net/site2/page/suisan/conents/report/resipi/nodoguro/

そうかカルパッチョを作ればいいんだな!次の監督は長谷川健太じゃなくて、イタリアンのシェフがいいんじゃないですかね!(超適当)

 

DAZNマネーによって、リーグと各クラブは一時的に大きく潤った。そのお金を、各クラブがどの様に使うのか?また「それ以上の金」をどう掴みに行くのか?急に降って湧いた、重要な立ち回り課題に、各クラブが右往左往する今シーズンだった様に思う。

FC東京においては、選手人件費を上げることにあぶく銭を割き、加えて新選手の仕入れも積極的に進めた。その意図自体は、個人的には「良いギャンブル」だと思っているが、その結果と振り返りは前述の通りだ。

そう、ギャンブルはもう終わったのだ。負けて、フィロソフィーまでオケラになった。

そんな何も残っていない更地に立ち、今この状況に及んでも「やりたい事」が監督次第な事に変わりがないFC東京というクラブ。片輪を担うべきクラブフロントから「やりたい事」が出てくる気配は、未だ皆無だ。

それが定まるまで我々は、6ヶ月程度先の未来にすら当てが無いままに、ただ「有料のJ1公式戦で行われる安間塾」を眺め、目の前の試合の勝敗が何も意味を持たない状態のまま、石川直宏の引退という日を死んだ心で待つしか無いのである。

篠田トーキョー総括 ノーマル監督ガチャに失敗したFC東京が得た教訓と失った1年半

これまでもこれからも、東京が勝てば嬉しいし、負ければ悔しい、その思いが揺らぐことはありません。しかし、その一喜一憂の起伏の無さと言いますか、「勝った?そりゃ何より。負けた?あ、そう。」と、思いのリアクションがどこか他人事のようになっている

Pañuelo blanco - 続々々・メガネのつぶやき

 そうなった原因は2つある。

1つは、組織力が極めて小さく、属人的なチームに高値安定のパフォーマンスなど望める訳が無い中で、試合ごとの出来不出来に一喜一憂することが馬鹿らしくなったこと。

そしてもう1つは、事態が変わるタイミング、つまり解任の時期がどうせ今すぐにとはならないであろう事が分かりきっていること。やはりパワーのかかる一大事、動くためにはそれなりのきっかけが必要になってしまう。

じゃあそれなりのきっかけが果たして何時なのかとなると、一般的には「夏場の連敗で最大瞬間風速を記録する」か、もしくは「シーズン終了後に淡々と…」位しか無い。そして今回の東京であれば、その時が来るまでは恐らく個の能力で相手を局面でちょいちょい圧しながらポツポツと勝ち点を拾っていけるのだろうし、そもそもその内容も所詮、属人的な乱高下によるものだから真に受けても意味がない。

こうして、勝とうが負けようが粛々と”その時”を待つばかり。そりゃ、こうもなると思う。

 

問題は「続投か、解任か」から「いつ解任させるか」に、もはやフェーズが移行した様に思える。

個人的にはその時は夏まで待つしか無いと思っていた。コンディションが摩耗し、頼みの個が弱まるであろう夏場を迎えた時に、果たして篠田東京が如何ほどの瞬間最大風速を記録してしまうのか?それとも堪えられるのか?が次のヤマかと思っていたのに。それが想像よりも早くに訪れた。言ってしまえば”下方修正”だ。

 

篠田監督を振り返る。

「議長」として安間・中村両コーチから良きアイデアを拾い編み上げるキュレーション力と、「議員」として監督自身が提供できるスペシャリティ。いくらコメントを漁っても「中身が無い」篠田監督だったので、さてどう能力を測ろうかと設定した仮説としてこの2点をシーズンプレビューとして設定してみた

いざ開幕してみるとシーズン序盤は、中央をキッチリ締める守備の硬さにマッシモ譲りの匂いを感じた事もあったし、それが篠田議員のスペシャリティに成り得るかも…と思ったこともあった。しかしそれも両CBのコンディション低下でクオリティは落ち、守備偏重のチーム方針に造反した嘉人に舐められて結局無かったことに。

「議会」に響く選手個々のやじを、主体性が無い議長が逐一拾っては方針を翻し、やれまずは守備的だ、やれ次は中央突破だサイド攻撃だと。しかもその決議を、実働する選手たちに全く徹底できない。選手たちも決議されたものを遵守する気はサラサラ無く、終いにまた議会で迷走し、また翻し。

この状態から立て直していくにはどうすればいいのか。
髙萩洋次郎は「それは監督がやってくれると思う。監督がやるサッカーに、選手が忠実についていけばいいと思います」と言う。

【有料記事/J1第16節】レポート◆得点源の大久保嘉人が負傷離脱。混迷するチームにさらなる痛手(2017/06/25) : 後藤勝公式マガジン トーキョーワッショイ!プレミアム

そんな中での高萩のこのコメントを、果たして外野の我々はどう受け止めるのが正解なのだろう。

 

ただ自分の嗜好だけで言えば、スタメン構成的にバランスが取れない監督は正直好みではない。梶山・草民・河野・翔哉という攻撃的な選手のみを並べた中盤構成は、自分からすれば狂気じみていると感じるし、「その割に守れる」わけでもなければ「それだけ並べただけあって点が取れている」わけでもない。

短期間で監督を解任する事は悪ではない FC東京の来季監督を考える - 「やってみるさ」

去年の10月ごろにぼんやり思っていた事が、結局今になって納得感が増してきた。誠剛ファクター等の要素が篠田監督の評価を邪魔して困るとかも思っていたけど、結果論だけで言えばそんなに間違っていなかったなと振り返る。

 とは言え、だからじゃあ昨シーズン末に篠田監督とキレイに非更新と出来たかと言えば、やっぱり難しかったのかなとも思う。当時は勝率が良かった監督だっただけに、結果という「筋」は強かった。それでも石井監督を解任した鹿島の様に、リーグ7位であろうと胸張ってクビ飛ばせるなら良かったが、さすがにそれを求めるのは酷なのかもしれない。少なくともあの時、それを望んでいた(顕在化された)サポーターは極少数だった。当時は自分もかなり懐疑的ではありつつも、読み返してみると保険をかけながら書いているなぁと反省せざるを得ない。

 

今回の件でつくづく思うのは、「監督のシーズン途中解任は、未来の1年半を担保に取って回すノーマルガチャである」という事だろう。

監督の程度は測れても、現実問題その計測結果をもって決断まで出来る様なきっかけは、1年の中でどうしても限られてしまう。今回の夏場城福解任→年末篠田留任→次年度困るパターンは一般的によくある流れだった様に思うが、そんな今回の例を取ってみても、このまま年末まで引っ張るのであれば7月以降の半年を無駄に過ごすしか無いのが確定となるし、夏場に解任したとしても今回同様にまた次回の決断に困る瞬間が来年に訪れるのは明らかと、共に失う期間は大体1年半くらいと言える。こうして考えると、質草として1年半という期間は改めてかなり大きい。

加えて、失われた1年半という時間も大きいが、それだけでなく影響範囲はこれから選手編成にも徐々に及んでいく事にもなる。

元々今年は選手補強だけで言えば現状「成功」と評価していいものだった。高萩と林は今季のチームの軸となっているし、嘉人も何だかんだゴールは残している。DAZNマネーを狙った積極補強は、FC東京にしては珍しく「いいギャンブル」だったと今でも思う。

しかし、だぶついた戦力はシーズン末に反動がやってくる。天皇杯敗退で来季ACLの道がひとつ閉ざされたこの状況で、残ろうという選手が果たしてどれだけいるか。前田。阿部。河野。田邉。小川。他クラブの強化担当だったら、ほっとかない様な選手はいくらでもいるし、出場機会が少ない中では出ていく方が本人のためになりそうな選手も少なくない。

クラブが求める選手層の厚さは、選手にとっての幸福とは決して重ならない。だから、選手編成が今年のまま来年へ…など決してあり得ない。今年でなければならなかったのだ、そういう編成をしたのだから。その観点で言えば、途中解任というイベントは1年半を過ぎた来年以降にも、引き続き影響を与えていくことになるかもしれない。

それ程に大きな、監督交代というイベント。その影響(延焼)範囲を今回の件をもって痛感するに、それは解任ブーストの有無といった短期的な話だけではなく、長期スパンでのリスク・リターンで見ても分が悪いバッドイベントなのだなと思うばかりである。

ただ、これは決して「あの時、城福監督を解任しなければ…」という話ではないという事は、当たり前ながら念のため付け加えておきたい。問題なのは、

「短期間で監督を解任」する事が悪なのではなく、「短期間で解任しなければいけない程度の監督を選任」する事が悪

短期間で監督を解任する事は悪ではない FC東京の来季監督を考える - 「やってみるさ」

ということなのである。

 

今回の件からサポーターが得るべき教訓は「監督の”程度”を測るモノサシはサポが持つべき」ということだろう。”その時”を生むような瞬間最大風速が基本、サポーターから発生するものである以上、監督を測るモノサシの精度はサポーターが保証しなければいけない。また、その判断スピードも大事な要素。分からないから、もしくは就任してまだXXヶ月だから…と判断を避けて先送りにする事は、質草となる期間を無駄に伸ばすだけの絶対悪である事を、今回自戒した次第である。

 

さて、篠田以降は果たしてどうなるだろう。

願わくば何時でも回せるようなノーマルガチャではなく、キラキラ輝くレア監督ガチャを回したいものである。ただ問題は、課金するだけのカネがあるかどうかと、それ以上にレアガチャ引ける選択肢を立石GMが持ち合わせているかだろう。

立石GMの目の前にあるのは果たして「中身が空に近いノーマルガチャ」なのか、もしくは「ドイツ遠征ついでに回すワンチャン謎ガチャ」なのか。逆に言うと、それ以外にドイツ遠征に行く理由が全く無い。そんなことを言ってしまうのは、日頃お世話になっているDMM様には申し訳ないのだが…

感謝を繋ぐバトンを握って… FC東京U-18 2017シーズンプレビュー(気が向いたから選手紹介付き)

高円宮杯プレミアリーグEAST最終節での敗戦によって、思い描いていたよりも1週間早く終わってしまった16シーズン。しかしその2週間後には、休む間もなく17シーズンが始まった。

Jリーグが主催するインターナショナルユースカップに参戦したFC東京U-18は、この大会にて新3年生を中心とした新チームをお披露目。海外から招聘した強豪チームと身体をぶつけ合う機会を早々に得る事ができた。特に対フィゲレンセ戦はYoutube上からでも様々な示唆を得られる位に、非常に見所のある試合となり、12月という早い時期にこの機会を得られた幸運を実感する事となった。それもこれも、Jユースカップで優勝という結果を残せたからである。

www.jleague.jp

昨シーズンのFC東京U-18は、クラブユース選手権・Jユースカップと全国二冠を達成。それによって高まったチームバリューは、プレシーズンに多くの大会に招待頂く形となって表れた。インターナショナルユースカップのみならず、春先には前橋招待・サニックス杯に久しぶりに参加、強豪校に進学したU-15時代の仲間たちと成長を確かめ合う機会にも恵まれた。

これに毎年おなじみイギョラ杯、UMBRO主催のGACH1-TR【ガチトレ】キャンプ、何よりU-23J3参戦シーズン2と、FC東京U-18としては3月はなかなかの繁忙期となった。高校入学前の新1年生選手も含めて、非常に多くの選手たちが質の高いプレー時間を積むことが叶ったが、それらは昨年のチームが遺してくれた財産とも言えるだろう。そして仕上げの最終週にはドイツ遠征へ。マインツ訪問もまた、アカデミーの歴史が財産として活きた例であった。


今年のチームは果たして、次代にどんなバトンを残していけるだろうか?

「結果」という観点となると、引き続きFC東京U-18はEAST他クラブに比べて難しい立場にある事に変わりない。FC東京はEAST唯一のU-23保有クラブとして、昨年に引き続きT1-プレミア-J3の3ディビジョンを戦う事となる。

選手が揃わない事、もしくは選手が揃って”しまった”事といった不安定さが、良しにも悪しにもチームに影響を与える事を昨年大いに学んだ。その波を受け止めつつ、得るものを増やしながら失うものを減らす。勝ち点を掴むための作業は、より精微さを求められることだろう。

その幸せを是非噛み締めて欲しい。どんなクラブよりも細部を求められる環境であると、胸張っていい。真正面からその難しさに向き合った先に、勝負の神様はきっと宿る。次代へと繋がるべきバトンは、こうして自然と形作られていくだろう。

「勝ち点を計算できる相手チームが1つもない」とは佐藤一樹監督も常々口にするが、これは全ての人間が同じ想いだろう。降格と優勝が紙一重の熾烈なリーグ。しがみつくに値する、最高の環境。FC東京U-18はいよいよ本番「高円宮杯プレミアリーグEAST」に挑む。

4/8(土)1300KO、味スタ西競技場。相手は昨年のクラ選ファイナリスト、清水ユースとの『再戦』。先代からのバトンと感謝を携え、FC東京U-18が走り始める。


気が向いた時にしかやらないU-18選手紹介。3年生+2種登録選手をご紹介

  • 16 GK 高瀬 和楠 U-15深川時代は廣末陸を、U-18時代は波多野豪と偉大な「兄」の背中を見て育ってきたGK。弟キャラのお調子者は、緊張しいでポカもするけど、後押しする程に頼もしく。そして大舞台でこそ輝けるタイプ。
  • 2 DF 坂口 祥尉 CB、SBを高いレベルでこなす様子は、ワッショイ兄やん曰く「風格を漂わせる職人気質」。しかし実際は衆目集める系のキラキラさを包み隠さない、東京の太陽。総監督を愛し、総監督に愛された?男。サンシャイン祥尉が東京を照らす。
  • 3 DF 篠原 新汰 昨年のクラ選制覇。その始まりは、負傷中の新汰が親御さんを集めて行った円陣からだった。「緊張しているのは親御さんより選手です。選手をほぐしてやってください」親御さんすら纏めたそのキャプテンシーは、腕章の有無関係なしに絶大な効果を発揮してくれるはず。
  • 4 DF 長谷川 光基 昨年、J3と同時進行のJユースカップで一気に台頭してきたCB。ガッシリと成長した体格で相手とボールを弾き返せるパワー系。横からのボールを枠に叩ける能力も高く、CKではゴールゲッターに変貌する「昭和のイケメン」。
  • 5 DF 岡庭 愁人 もはやJ3でもおなじみとなった、青赤サポ好みの弾丸SB。レジスタFC仕込みの「王者のメンタル」が、シンプルなプレー選択で最大の急所を突く。さあみんな、今のうちにオカニのサインを貰っておこう!
  • 6 DF 荒川 滉貴 本人曰く「持ってる男」はクラ選R16横浜FC戦、Jユースカップ決勝広島戦と、要所でのゴールで有言実行。今年はスタートからDF登録でサポを驚かせつつ、けど結局はどこのポジであろうと変わらず「ゲットゴールあらこー」。
  • 7 MF 杉山 伶央 相手の網目をスラロームの様に泳ぐ心地良さと、方や物怖じせず相手とのコンタクトを厭わないプレーぶりが、いつも相手サポの目を惹いてきた。165cmながら誰もが意識せざるを得ない「小さな巨人」。
  • 8 MF 小林 真鷹 やさしい顔立ちからは似つかないプレースタイルは、身体的な無理を効かせつつ相手のボールにリーチする米本系。鷹狩りボランチが目指すべきは、その次の精度。近くと遠くとスキマを見通す「ホークアイ」を掴んで欲しい。
  • 9 MF 吹野 竜司 昨年Jユースカップでのクロージング出場で台頭してきた選手ではあるが、それもT1リーグ14試合をスタメンで戦ってきた賜物。追わせ、ドリらせの活動量が非常に「深川的」な選手。流した汗の量だけ、チームの勝利に直結する。
  • 10 MF 小林 幹 U-12より都内で天才と呼ばれてきたナチュラルボーン。実績乏しい中でゼロックス杯に招集された事実は、大きな期待と重い責任を促すためのもの。それに応えたJ3での2ゴール、待ちに待った覚醒の時は近いはず。幹よ、青赤のベルカンプとなれ。
  • 11 MF 横山 塁 プレーチョイスには成り上がる野心を漂わせ、ピッチ上では味方との衝突も辞さない、強気なやんちゃ大将。しかしそのやんちゃさこそ、真にチームに必要なものなはず。塁のあの、まるで尾崎豊の様な雰囲気が、たまんねぇんだよ。
  • 13 FW 吉田 和拓 強靭なフィジカルで前へと進められる今年のエース。一樹トーキョーの生命線たる「ペナ角」の今年の担い手ではあるが、重要なのはもちろんその先。「カズ」を冠するFWたるもの、求められるのはとにかくゴールのみ。
  • 14 FW 原 大智 元々抜け出しが得意なFWであった彼が、今年は登録187cmまで成長して”しまった”。相手を背負い、空中戦を制する様なハイタワー業務はまだまだこれから。J3でペシャンコにされた経験をまずはU-18でぶつける。小林幹とのあうんの呼吸が凄いの「なんでだろう~」。
  • 18 MF 品田 愛斗 長短のパスは精密機器の様に正確で、それは蹴り姿の美しさを見れば一目瞭然。長期の怪我に苦しんだが、新人戦決勝では復活の狼煙となるゴールも決めた。将軍の復活を今年1年追いかけたい、個人的な想いで言わせてもらえれば「俺はマナトで優勝したい」
  • 15 MF 久保 建英 幼くて小さいタケのイメージは即刻改めるべきだろう。昨年登録から身長は3cm伸び、フィジカルコンタクトではU-18年代でも相手と「戯れる」レベルになった。U-20日本代表でもFC東京U-23でももはや主力級、U-18卒業のカウントダウンは既に始まっている。
  • 23 MF 平川 怜 360°のプレーサークルを駆使し、ボールも相手もコントロール。セントラルでこそ輝く彼の技術、そのルーツは小学生時代のフットサル技術から来たもの。日本の育成メソッドの未来形を示す彼を、特にフットサル系ライターはすぐに取材に行くべき(ただし安藤隆人と六川亨は除く)

「2年目のジンクス」があろうとも… FC東京U-23 2017シーズンプレビュー

難敵相手に開幕2連勝と最高のスタートを切ったFC東京。その勢いを追い風に、いよいよU-23も開幕を迎える。3/12(日)14時キックオフ。場所は新木場、夢の島競技場。相手は浮氣哲郎率いるカターレ富山である。

新人選手6名を迎えた今季の選手編成について、以前いつぞやのFC東京魂において選手の誰かが「今年の東京は人数が多い」と率直な印象を語っていた。

U-23保有クラブとして、登録選手数が増えるのは仕方の無いことではあるが、ではその適正人数は果たして如何程なのか?東京は多いのか少ないのか適正なのか、選手の感覚値は正しかったのか。その解は未だに、各U-23クラブそれぞれで試行錯誤が続いている状況である。

実際のところ、FC東京の登録選手数が多いかと言ったらそうでもない。

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東京に比べてガンバ・セレッソ保有人数はハッキリと一回り多い。ACLがあるガンバであればまだ理解もできるが、セレッソに関しては条件的には東京と同じであるにも関わらず40名もの選手を登録。GKなんて5人もいる。加えてU-18選手10名を二種登録済みのため、それらを含めたらGKは6人体制となる。そんないらねえだろ強化部長よ。あぁセレッソに所属しているGKはなんて不幸なのだろう!


これほどの人数の差は、各チームの取り組みの違いによるところが大きい。特にガンバにおいては、昨シーズンのやり方から大きく方針転換をしている。その内容が興味深い。

昨シーズン。トップチームとセカンドチームの区別をあえて付けなかった東京に対し、セレッソはスケジュールも練習も明確に分ける形をとり、ガンバはその中間の様な位置づけで運用がされてきた。今回ガンバが発表した内容は、それを一気にセレッソ方式に舵切った事を表す。「オーバーエイジ枠の未使用」まで明言しているから驚きだ。

何故そうなったのか?それは想像するに宮本恒靖の存在が大きい。

FIFAマスターを取得していた関係もあるが、現場でのコーチ経験はわずか1年だった宮本に、ガンバは2016シーズン前にユース監督という「要職」を授けた。迎えた16シーズン、プレミアWESTを5位で終えると、年末にはユース監督を早速退任、わずか1年で今度はU-23監督へと”昇格”となる。その際に行われたのが、今回の方針変更である。トップとU-23を完全に切り分け、スタッフ陣もU-23専用としてヘッドコーチに山口智、GKコーチに”あの”松代直樹を揃えた。ガンバのオフィシャルサイトでの選手紹介ページでは、トップとU-23で明確な線引もされている

これほどまでにすさまじいツネ様バックアップ体制が敷かれ、果たして今年のガンバU-23はどの様になっていくのだろう。ただその前に既に、トップチームが選手固定運用をせざるを得ない状況に苦しんでいる。ACLがありながらトップチーム選手の勘定が(選手紹介ページによると)GK4名+FP20名、加えて井手口が負傷離脱となればその苦労も当然ではあるが…ってのは外野の話なのでさておき。FC東京U-23の話に戻す。


そう、重要なのはFC東京U-23である。今年の編成からU-23メンバーで基本布陣を妄想する。

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ACLも無いのに選手が多いとされてきた今年の東京ではあるが、実はU-23だけでスタメンを組もうとすると既に不足感が強い。U-23サポのみが妄想する事を許されるアヘ夢こと「レフトウイング小川諒也」で帳尻を合わせてはいるものの、実際はトップでスタメン出場している室屋がU-23に落ちてくる事はあり得ない。カッコの選手は負傷中もしくは別メ中とのことで、台所事情が厳しいのには今年も代わり無かったりする。開幕戦では柳をCBに回してやりくりするものと思われる。

最低限のベンチメンバーを確保する意味でも、OA・U-18・特別指定選手の常時フル活用は今年も必須となりそうな中で、しかしOA起用には慎重さが求められる事は以前に書いた通りだ。

U-23に多く貢献してくれたOA、圍、水沼、林は他クラブ移籍が決まった。U-23全クラブをみても、1,000分以上出場のOA7名(小椋祥平内田達也岡崎建哉、小谷祐喜、武田博行、圍謙太朗、林容平)は全て、16シーズン限りでクラブを退団する。サポが想像する以上に、選手にとって「トップではなくU-23に出場する」事は嫌だったということだろう。考えてみれば当たり前かもしれないが、それを改めて実感した格好となった。これは事実を基にした所詮妄想ではあったが、方や先ほどのガンバU-23方針変更において「OA起用の原則禁止」が明言されているのは、妄想を肉付けする材料として興味深い。やはり、OAの積極起用は、自重したい理想はあるということだろう。

”本気のクラブ”と戦った29,700分が若き青赤戦士の養分となった FC東京U-23 2016シーズンレビュー

とはいえ、我々はそうも言ってられない。都城キャンプや小平でのTMから察するに、今年もOA起用はフルフルで行っていく雰囲気はある。そうせざるを得ないのだろう。

結局、アタマ数としてのU-23選手層は、去年に引き続き決して多いとは言えない状況に変わりは無い。今年も多くのU-18選手が二種登録される予定で、ひとまず高円宮杯プレミアリーグEASTが開幕する4/8(土)まではU-23に積極参加していく形となるだろう。しかしそれ以降となればまた”融通”は求められるし、昨年「クラ選の夏」で起きた問題は、恐らく今年も発生するということだ。うっちー居なかったらどうなってたんだよコレ。


もちろん、チーム補強で優先されるべきはトップチームなのは当然だ。むしろ今年に関しては現状、補強がドンズバでヒットしていると言っていい位でもある。

その上で今後の理想を考えていくのであれば、もっと先行投資的な選手獲得を、U-23保有クラブというメリットを軸に打っていければ理想かなとは思う。U-18年代であれば他クラブの至宝と呼ばれる様なアカデミー選手だとか、他国有望選手の発掘(現在行っているタイU-23選手の練習生受入)、大学リーグ所属選手の「転籍」や、OAでもJFL等の下位Div.からピックアップした遅咲き選手(OAだけどU-23出場も「ステップアップ」となる位置づけの選手)など。

U-23を持つことで、選手獲得にあたっての理屈となる「意図と幅」は広がったはず。例えばプレミアWESTで2年連続得点王だったヴィッセル神戸U-18米澤令衣をセレッソが獲得し、レンタル移籍やU-23を通して育てていく様な方針は、まさに自分が理想とするところだ。この様なチャレンジの積み重ねでU-23の層が自然と厚くなり、U-23においても適度な競争が生まれていけば理想的ではないだろうか。


そんな陣容で迎えるFC東京U-23の2017シーズン。個人的に気になる箇所を3点ほど挙げる。

  

U-23ラストイヤーのインス、J3で圧倒的な結果を残せるか?

FC東京はもはや、要のポジションにおいては"育成"よりも"獲得"が求められるクラブ規模となってしまい、選手育成においては他クラブへのレンタル武者修行しか術が無かった。
(中略)
そこで、U-23という存在が活きてくる。ストライカーなり、司令塔なり、DFの要なりと、チームの軸となる選手をFC東京の中で育てられる環境がついに整った。かつ、サポはその過程を手元で見守る事も出来る。

例えばユ・インスがU-23に常時出場することによって、ストライカーとして”2,248分試され続けて”きた経験は、これまでのFC東京ではあり得なかった。「今後、インスが青赤の誇るストライカーとなれるのか?」サポにとって、この期待に代わるモノは無いはずだ。

選手としてのインスのイメージは、当初は正直パッとしなかった。スピードは確かにあるが、相手を出し抜ける程に圧倒ではない。ボールは競れるが、高さがある訳ではない。ボールを持たせても、特別上手いとは感じない。

しかし、確かにゴールは取れる。

彼が選手として特別だなと感じるのは、まずシュートで振る足の速さ。相手がブロックで出す足よりも早く、もしくはタイミングをズラしつつ振りぬくシュートは、ボールが相手の脇をスルリと抜けてネットを揺らす場面が多かった。また、嗅覚に従った位置取りの精度はもちろんのこと、その箇所に到達するためにフィジカル的な無理が効くことも大きい。相手を出し抜き、また身体もねじ込める。限定された局面においての、DFとの相対的な優位性。プレーヤーとしての資質は岡崎慎司に非常に近いものがあると思う。

だから、彼を選手として測る指標は単純に「ゴール」のみでいいと考えている。

  • 2014年:鈴木孝司 19得点/33試合
  • 2015年:岸田和人 32得点/36試合
  • 2016年:藤本憲明 15得点/30試合

昨シーズンのインスはJ3で11ゴール。今シーズンは、個人的にはノルマ20得点。

大久保嘉人、そしてピーターウタカとエースストライカー候補となる選手を積極的に獲得したFC東京。それによって今シーズン、インスがトップで出場する機会は限られてしまうかもしれない。その中で、不貞腐れて結果も残さずに外へ移籍するのか、誰もが頷かざるを得ない結果を残すのか。J3で獲りまくって、圧倒して、周囲を納得させてこそだろう。そうすれば、インスの未来は自然と開けていくはずだ。

 


●波多野vs廣末のGK争いと、2ndGK大久保が水を差す頻度について

東京五輪の守護神を当事者として争う、波多野豪と廣末陸。両者の加入は、東京にとってはこれ以上ないリクルートだった。2人の成長をU-15深川・むさしから今までそしてこれからも見守る事が出来るのは幸福でしかなく、U-23において果たしてどんなスタメン争いが見れるのか、楽しみにしているファンは少なくないはずだ。
(とは言え個人的には波多野を即レンタル武者修行が理想だった。外を見て学び、成長して戻ってきた陸の様に、波多野にもどこかで外に学ぶ機会があればと願っている)

しかし東京には2ndGKの大久保択生がいる。既に実績十分とは言え、トップ事情を考えればそれなりに出場機会は与えておく必要があるだろう。

さて、U-23において果たして起用すべきは2ndGKなのか、それともより若手の選手であるべきなのか。

昨シーズンの東京は、その点では圍謙太朗で満場一致だった。2nd GKでありながら、大卒加入から実践経験もまだ足りない若手という立ち位置。圍と対するは、経験豊富なベテラン榎本と、U-18から二種登録の波多野・高瀬。選択に困ることは無かった。

それが、ガラリと総入れ替えした17シーズンのGK陣容だと、そうはいかないのである。

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16シーズンのガンバU-23セレッソU-23を見てみると、わりと均等に出場機会を分けていた様に伺える。東京もこの様な振り分けに恐らくなっていくだろう。

1stGKの林彰洋はトップで圧倒的な結果を残し、たった2戦で既に揺るぎない信頼をファンから得たと言える。しかしもし彼が日本代表として離脱する機会が増えるとなれば、その穴を埋めなければいけない機会は生まれてくる。

小平の日常においてジョアン・ミレッコーチから多くを吸収し、少ないU-23での打席数でも確実に打率を残していく。シビアなGK争い、まずは開幕戦のゴールを守るのは果たして誰であろうか。

 

 

●「お客さん」から「当事者」へ U-18戦士4名の『振る舞い』を問う

29,686分のうちの、8,151分。昨シーズンのU-23、27.5%はU-18が支えた。

その中から4名の選手がトップ昇格を果たす。前述の波多野豪。最多出場の岡崎慎。中盤の底で幹として存在感を示した鈴木喜丈。そして複数ポジションをこなすマルチロール内田宅哉。

ファンからすれば昨シーズンから既に勝手知ったる選手たちではあるが、その見る目は今シーズンからは当然、大きく変わる。アマチュアの高校生の立場から、プロサッカー選手へ。これまでの様な「お客さん」の立場では許されない。

「途中出場で自由にやってこい」と、「スタメンとしてチームビルディングに背骨を通す」のとでは、求められる役割は大きく異なる。そしてクラブがトップチーム保有のみとなると、どうしても前者の機会しか創出しづらい。U-23があるからこそ、後者の機会を選手に与えることが出来る。もちろん、U-23選手に求められる振る舞いは後者だ。

昨シーズンのU-23選手には、この部分が著しく欠けていた。

立ち上げ当初のバタバタの中では仕方がない。しかしある程度チームも形作られ、悪い意味での”慣れ”も出てきた終盤では、言い訳は許されない。OAの選手たちとU-23選手とで見られた大きな違いは、鮮やかなプレーや鉄壁の守備などではなく、こういった振る舞いの部分だった。必要な指示や連携の声は出ず、失点時に味方を鼓舞も出来ず、試合後にはダラダラと挨拶に回る。そんなU-23の選手たちを叱ってきた水沼宏太や圍謙太朗はもういない。

結果的にチーム内で最大派閥になってしまう場面も多かったU-18組にも、残念ながらその気配はあった。U-18で出来てた挨拶が、U-23に来た途端(もしくはトップ昇格した途端)コレかよと、ファンはすぐに気付く。ただそれでも何となしに許されてきたのは、彼らが所詮高校生のアマチュア選手「お客さん」の立場でしかなかったからだ。 

幸いにも、今シーズンの東京には理想的なお手本が身近に出来た。高萩洋次郎。盤面をどう察知して、そのためにどう動くべきか、動いて”もらうべきか”。そのための彼のピッチ上での「振る舞い」から、U-23選手たちはすぐにでも学ぶべきだ。

J3のそれなりなレベル感になじみ、プロ選手”風”な生活を楽しむのは容易い。昨シーズン見ていて実感した事でもあるが、この環境のせいで逆に、選手の能力が小さくまとまって終わる可能性はむしろ高いと感じた。「お客さん」から「当事者」へと変わった、昇格4選手。昨年は頼もしい仲間であった新3年生との違いを、彼らは「振る舞い」で見せつけなければならない。

 

 

各選手にも、U-23というチーム自体にも、今年迎えるのはプロ野球界でもよく言われる「2年目のジンクス」。

やること全てが目新しく、得るものしか無かった昨年に比べて、今年以降はより負の側面がオモテに出てくるだろう。続けていく苦しみが、恐らく観客動員にも反映されると思われる。2017シーズンのFC東京U-23が、それこそ昨シーズン同様に楽しむためには、昨シーズン以上の「光明」が必要だ。

それが、選手たちの成長から感じることが出来るのであればこれ以上は無い。期待を胸に、今年もU-23を追いかける。

篠田監督のキュレーションは青赤を悲願へと導けるか FC東京 2017シーズンプレビュー

プレシーズンにおいて、各メディアがこぞってFC東京を持ちあげる様は毎年恒例の催し事なので、そこに特に感想は無い。鍛えられた(いや、鍛えられてしまった)いちFC東京サポとしては「それでもダメだった」病巣を根治しなければ意味が無いことも、これまで学び続けて早や幾年だろうか。

城福政権の失敗を引鉄に、J2降格時から積み上げてきた選手構成サイクルは、2016シーズン途中をもって終了したものだと自分は認識している。なので重要なのは、次のサイクル構築にどう着手していくか。そのためにも未来の話がもっと発信される必要があるというのが、昨シーズンを終えての振り返りだった。

この振り返りの前提には、新サイクルの構築にはある程度の期間を要する、というのがあった。

次のサイクルを回し始めるということは、また新たな”種まき”と”刈り取り”が行われるということ。そこには「種まきなりの、過渡期を耐え忍ぶ覚悟」「刈り取りなりの、勝負の時期の見極め」が求められる。だから一連を堪えるにはそれなりの「共通理解」が必須であり、共通理解としての「未来の話」だと。

そこで今回の選手編成である。主力の選手は入れ替わり、代わりに経験値が既に備わった、実績のある選手が入ってきた。新しいサイクルを用意しつつ、かつ種まきの時間をカネで解決した印象は強い。もちろん「高萩のボランチ換算ホントに大丈夫かよ」「外国人枠埋めろよ」「そもそも守れるのかよ」と言いたい事が無くはないが…総じて、既に”刈り取り”の空気感。こういった事など出来ないと思っていたので、これは正直意外だった。

加えて、それでいてフロント・強化部は未来の話を積極的に「言わない」という姿勢をとった。新体制記者会見ではこっそりとACL圏内と言うに留めシーズンスローガンでは結局「目標」が何かが全く語られていない。何とも腰が引けたポーズではあるが、それは彼らなりの、昨年から得た教訓なのかもしれない。少なくとも、省略した行間を周囲が勝手に汲んでくれて、尚且つその内容も今であれば勝手にポジティブに取ってくれるわけで。その間においては、それは賢い選択の一つとも言える。


かくしてメディアはFC東京をこぞって持ち上げてきたが、その露出の中身と言えば大久保嘉人の主張ばかり。方や篠田監督の話は一向に出てこない。

そんな中、2/17放送のFC東京魂において篠田監督のロングインタビューが放送された。その内容を自分なりに要約すると、

  • 選手時代も、コーチ・監督になってからも、基本は熱くて厳しい人。
  • 「泥臭さ」を特に求める。選手たちが昔から言われてきたものなハズだし、その一瞬が勝負を決める。
  • 2人のコーチ(安間、中村)は信頼している。自分が頼りないので、むしろ助けられているくらい。
  • 就任当初は、まず勝負の世界としてのサッカーを選手に求めた。形から入ったらむしろおかしい。
  • (新加入選手の)良さを出すための、ゴール前へのスピード感についてはアイデアがある。
  • (鹿島・浦和に勝つためには)真っ向勝負。小細工なし。向かっていくことが大事。
  • よりコンパクトに。相手のストロングを抑え、自分たちの良さを出す。引き出させてあげたい。

ワッショイ兄やんの所でのインタビューや、オフィシャルサイトでのインタビューでも、一貫して内容はこれに近い。個人的な印象を言わせてもらえれば、なるほど確かに「中身が無い」。


篠田監督については、これまでも何度も表明してきた通り、元々の印象はネガティブだ。ただしそれが、自分なりに正しく能力を測れてのものではない事も理解している。

誠剛タイムに苦しめられた状況下での指揮が、果たして篠田監督を評価するのに正しいプレパラートなのか?は非常に疑わしい。

そんなポジティブとネガティブと池田誠剛がベッチョベチョに混ざりあったこの状況が、篠田善之の監督としての能力を測る事を難しくしているから非常に困る。

 

短期間で監督を解任する事は悪ではない FC東京の来季監督を考える

篠田トーキョーを測るにあたって、その特殊性としてずっと心に引っかかっているのは、ホーム浦和戦での采配だ。「台本」と「アドリブ」が求められたあの試合で、篠田監督が採用したアドリブは「安間式5-3-2」だった。

選手に体力は無い。攻撃を作れる選手もいない。打ち手もかなり限られ、どれを採用しても率直にあまり効果も期待できない状況。しかしここはホーム。まだ同点。故に、どう「采配」するか?ここは100%アドリブを試される場面だった。

せっかく用意してきた台本を10数分で破棄するのは、シナリオライターとしては難しいところではあったろうが…それを個人的には期待しながら試合を見ていた。その中で、実際に取られた「采配」は梶山→インス。まさか5-3-2とは驚いた。FC東京ではこれまで、安間ヘッドコーチがU-23時代に4試合行っただけの布陣である。

ここ。采配においていきなり安間色が強い打ち手がされた事には正直驚いた。スタッフ間での合議制なのか、はたまた主導権的な内情なのか、透けて見えそうな何かに想いを巡らせながら…結果その安間システムは大失敗に終わる。EURO2016ではコンテ・イタリアも駆使していたこの美しい布陣も、インサイドハーフに移動した拳人・慶悟と2トップの前田・インスが4枚同時ウラを取りに走ってしまえば台無しである。

 

篠田監督が失敗した「台本」と「アドリブ」の潮目 レビュー FC東京-浦和レッズ - 「やってみるさ」

何故あの大事な試合、勝敗を分ける厳しい場面で、安間コーチのアイデアに全乗っかりしたのか。その所以がずっと気になっていた。その中で読んだのが、ワッショイ兄やんの沖縄一次キャンプ記事である。有料記事のため引用は控えるが、中央クサビからサイドに展開し、SBのクロスを中央でシュートする練習が行われたというものだ。

内容としては至ってオーソドックスなものではあるが、これは2016年後期のFC東京U-23で多く見られた、いわば中村忠監督の「型」である。

16シーズンのFC東京U-23では、まず安間監督が前線の選手に「ボールを持ったら絶対に個で仕掛ける」事を強く求めてきた。チームを形作るにあたっての分かりやすいルールとしての側面と、選手育成という本来の目的の側面との両方を満たす方針として。実際にチームにも、その意識はかなり浸透したように伺えていた。

それがミニラ監督に交代になってからは、今度はサイドに展開する意識が途端に強くなり過ぎた。無理して、もしくは技巧的にクサビを打てたとしても、そこからサイドに叩いてしまう流れはこれまでの安間式とは大きく違うものだった。そのギャップが強かったが故に、個人的にはあの型はミニラ式としての印象が強い。

それが1次キャンプで、全く同じ型を、トップチームの選手たち相手に、忠さん自らが指導しているという記事。

この件をどうしても、昨年の浦和戦の件と同じ文脈で妄想してしまう。

つまり、浦和戦の時に妄想した「スタッフ間での合議制でチームを形作っている」説に現実味を補強する事例なのかな、という理解だ。少なくとも、監督がこれほどにコーチのアイデアをピックアップする様子が表に出てくる事例は、過去にあまり無かったように思える。

そうなると、監督:篠田善之としての色の無さも納得できる。むしろ、彼の特色はいわば『FC東京2017制作委員会』議長として、安間・中村両コーチのアイデアを積極的にキュレーションして形作っていくスタイルにあるのかもしれない。

 

選手とコーチをセットとして考える形自体は、サッカーにおいては一般的なものだ。お互いの特長をもって補完し合うのは、特に欧州ではより分業制に近い形で浸透しつつあると言う。FC東京においても、攻撃構築に長けたランコ・ポポヴィッチ監督が、ブラドコーチを招き守備の面を任せていた事例は記憶に新しい。2017シーズンに関しては、この要素がこれまでに比べてかなり強そうに伺える。

この仮説を切り口に、今年のFC東京を追いかけてみようかと思っている。

篠田監督の能力として考えるべきは2つの視点。ひとつは「議長」として、良きを吸い上げてチームを形作るキュレーション能力の部分。そしてもうひとつは、いち「議員」として逆にどんなスペシャリティを議会に与えられるのか。

気になるのは、このメンバーでそもそも議会の俎上に、正しく「守備」はあがるのか?ということ。そしてもうひとつは、篠田監督が場に提出できる様なスペシャリティが果たして、モチベーター的要素以外にどれだけあるのか?ということ。

結局はこの疑問に立ち戻るわけだが。そこに関してはシーズンが明けてから、結果論でじっくり考えていこうと思う。

 

東スポ曰く、

各ポジションに有力選手がちりばめられ、日本代表経験者だけでスタメンを組める陣容は豪華の一言。そんなスター軍団を束ねる篠田善之監督(45)の手腕も確か

【Jリーグ大予想(1)】新指揮官と巨大戦力が融合したFC東京が悲願V

とのことらしい。そんな、優勝候補と呼ばれている今年のFC東京。悲願成就。目標に向けて、2017年のJリーグが今週末いよいよ始まるのである。

 

…で、今年の目標って何なんですかね。