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「2年目のジンクス」があろうとも… FC東京U-23 2017シーズンプレビュー

FC東京U-23 FC東京 FC東京U-18

難敵相手に開幕2連勝と最高のスタートを切ったFC東京。その勢いを追い風に、いよいよU-23も開幕を迎える。3/12(日)14時キックオフ。場所は新木場、夢の島競技場。相手は浮氣哲郎率いるカターレ富山である。

新人選手6名を迎えた今季の選手編成について、以前いつぞやのFC東京魂において選手の誰かが「今年の東京は人数が多い」と率直な印象を語っていた。

U-23保有クラブとして、登録選手数が増えるのは仕方の無いことではあるが、ではその適正人数は果たして如何程なのか?東京は多いのか少ないのか適正なのか、選手の感覚値は正しかったのか。その解は未だに、各U-23クラブそれぞれで試行錯誤が続いている状況である。

実際のところ、FC東京の登録選手数が多いかと言ったらそうでもない。

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東京に比べてガンバ・セレッソ保有人数はハッキリと一回り多い。ACLがあるガンバであればまだ理解もできるが、セレッソに関しては条件的には東京と同じであるにも関わらず40名もの選手を登録。GKなんて5人もいる。加えてU-18選手10名を二種登録済みのため、それらを含めたらGKは6人体制となる。そんないらねえだろ強化部長よ。あぁセレッソに所属しているGKはなんて不幸なのだろう!


これほどの人数の差は、各チームの取り組みの違いによるところが大きい。特にガンバにおいては、昨シーズンのやり方から大きく方針転換をしている。その内容が興味深い。

昨シーズン。トップチームとセカンドチームの区別をあえて付けなかった東京に対し、セレッソはスケジュールも練習も明確に分ける形をとり、ガンバはその中間の様な位置づけで運用がされてきた。今回ガンバが発表した内容は、それを一気にセレッソ方式に舵切った事を表す。「オーバーエイジ枠の未使用」まで明言しているから驚きだ。

何故そうなったのか?それは想像するに宮本恒靖の存在が大きい。

FIFAマスターを取得していた関係もあるが、現場でのコーチ経験はわずか1年だった宮本に、ガンバは2016シーズン前にユース監督という「要職」を授けた。迎えた16シーズン、プレミアWESTを5位で終えると、年末にはユース監督を早速退任、わずか1年で今度はU-23監督へと”昇格”となる。その際に行われたのが、今回の方針変更である。トップとU-23を完全に切り分け、スタッフ陣もU-23専用としてヘッドコーチに山口智、GKコーチに”あの”松代直樹を揃えた。ガンバのオフィシャルサイトでの選手紹介ページでは、トップとU-23で明確な線引もされている

これほどまでにすさまじいツネ様バックアップ体制が敷かれ、果たして今年のガンバU-23はどの様になっていくのだろう。ただその前に既に、トップチームが選手固定運用をせざるを得ない状況に苦しんでいる。ACLがありながらトップチーム選手の勘定が(選手紹介ページによると)GK4名+FP20名、加えて井手口が負傷離脱となればその苦労も当然ではあるが…ってのは外野の話なのでさておき。FC東京U-23の話に戻す。


そう、重要なのはFC東京U-23である。今年の編成からU-23メンバーで基本布陣を妄想する。

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ACLも無いのに選手が多いとされてきた今年の東京ではあるが、実はU-23だけでスタメンを組もうとすると既に不足感が強い。U-23サポのみが妄想する事を許されるアヘ夢こと「レフトウイング小川諒也」で帳尻を合わせてはいるものの、実際はトップでスタメン出場している室屋がU-23に落ちてくる事はあり得ない。カッコの選手は負傷中もしくは別メ中とのことで、台所事情が厳しいのには今年も代わり無かったりする。開幕戦では柳をCBに回してやりくりするものと思われる。

最低限のベンチメンバーを確保する意味でも、OA・U-18・特別指定選手の常時フル活用は今年も必須となりそうな中で、しかしOA起用には慎重さが求められる事は以前に書いた通りだ。

U-23に多く貢献してくれたOA、圍、水沼、林は他クラブ移籍が決まった。U-23全クラブをみても、1,000分以上出場のOA7名(小椋祥平内田達也岡崎建哉、小谷祐喜、武田博行、圍謙太朗、林容平)は全て、16シーズン限りでクラブを退団する。サポが想像する以上に、選手にとって「トップではなくU-23に出場する」事は嫌だったということだろう。考えてみれば当たり前かもしれないが、それを改めて実感した格好となった。これは事実を基にした所詮妄想ではあったが、方や先ほどのガンバU-23方針変更において「OA起用の原則禁止」が明言されているのは、妄想を肉付けする材料として興味深い。やはり、OAの積極起用は、自重したい理想はあるということだろう。

”本気のクラブ”と戦った29,700分が若き青赤戦士の養分となった FC東京U-23 2016シーズンレビュー

とはいえ、我々はそうも言ってられない。都城キャンプや小平でのTMから察するに、今年もOA起用はフルフルで行っていく雰囲気はある。そうせざるを得ないのだろう。

結局、アタマ数としてのU-23選手層は、去年に引き続き決して多いとは言えない状況に変わりは無い。今年も多くのU-18選手が二種登録される予定で、ひとまず高円宮杯プレミアリーグEASTが開幕する4/8(土)まではU-23に積極参加していく形となるだろう。しかしそれ以降となればまた”融通”は求められるし、昨年「クラ選の夏」で起きた問題は、恐らく今年も発生するということだ。うっちー居なかったらどうなってたんだよコレ。


もちろん、チーム補強で優先されるべきはトップチームなのは当然だ。むしろ今年に関しては現状、補強がドンズバでヒットしていると言っていい位でもある。

その上で今後の理想を考えていくのであれば、もっと先行投資的な選手獲得を、U-23保有クラブというメリットを軸に打っていければ理想かなとは思う。U-18年代であれば他クラブの至宝と呼ばれる様なアカデミー選手だとか、他国有望選手の発掘(現在行っているタイU-23選手の練習生受入)、大学リーグ所属選手の「転籍」や、OAでもJFL等の下位Div.からピックアップした遅咲き選手(OAだけどU-23出場も「ステップアップ」となる位置づけの選手)など。

U-23を持つことで、選手獲得にあたっての理屈となる「意図と幅」は広がったはず。例えばプレミアWESTで2年連続得点王だったヴィッセル神戸U-18米澤令衣をセレッソが獲得し、レンタル移籍やU-23を通して育てていく様な方針は、まさに自分が理想とするところだ。この様なチャレンジの積み重ねでU-23の層が自然と厚くなり、U-23においても適度な競争が生まれていけば理想的ではないだろうか。


そんな陣容で迎えるFC東京U-23の2017シーズン。個人的に気になる箇所を3点ほど挙げる。

  

U-23ラストイヤーのインス、J3で圧倒的な結果を残せるか?

FC東京はもはや、要のポジションにおいては"育成"よりも"獲得"が求められるクラブ規模となってしまい、選手育成においては他クラブへのレンタル武者修行しか術が無かった。
(中略)
そこで、U-23という存在が活きてくる。ストライカーなり、司令塔なり、DFの要なりと、チームの軸となる選手をFC東京の中で育てられる環境がついに整った。かつ、サポはその過程を手元で見守る事も出来る。

例えばユ・インスがU-23に常時出場することによって、ストライカーとして”2,248分試され続けて”きた経験は、これまでのFC東京ではあり得なかった。「今後、インスが青赤の誇るストライカーとなれるのか?」サポにとって、この期待に代わるモノは無いはずだ。

選手としてのインスのイメージは、当初は正直パッとしなかった。スピードは確かにあるが、相手を出し抜ける程に圧倒ではない。ボールは競れるが、高さがある訳ではない。ボールを持たせても、特別上手いとは感じない。

しかし、確かにゴールは取れる。

彼が選手として特別だなと感じるのは、まずシュートで振る足の速さ。相手がブロックで出す足よりも早く、もしくはタイミングをズラしつつ振りぬくシュートは、ボールが相手の脇をスルリと抜けてネットを揺らす場面が多かった。また、嗅覚に従った位置取りの精度はもちろんのこと、その箇所に到達するためにフィジカル的な無理が効くことも大きい。相手を出し抜き、また身体もねじ込める。限定された局面においての、DFとの相対的な優位性。プレーヤーとしての資質は岡崎慎司に非常に近いものがあると思う。

だから、彼を選手として測る指標は単純に「ゴール」のみでいいと考えている。

  • 2014年:鈴木孝司 19得点/33試合
  • 2015年:岸田和人 32得点/36試合
  • 2016年:藤本憲明 15得点/30試合

昨シーズンのインスはJ3で11ゴール。今シーズンは、個人的にはノルマ20得点。

大久保嘉人、そしてピーターウタカとエースストライカー候補となる選手を積極的に獲得したFC東京。それによって今シーズン、インスがトップで出場する機会は限られてしまうかもしれない。その中で、不貞腐れて結果も残さずに外へ移籍するのか、誰もが頷かざるを得ない結果を残すのか。J3で獲りまくって、圧倒して、周囲を納得させてこそだろう。そうすれば、インスの未来は自然と開けていくはずだ。

 


●波多野vs廣末のGK争いと、2ndGK大久保が水を差す頻度について

東京五輪の守護神を当事者として争う、波多野豪と廣末陸。両者の加入は、東京にとってはこれ以上ないリクルートだった。2人の成長をU-15深川・むさしから今までそしてこれからも見守る事が出来るのは幸福でしかなく、U-23において果たしてどんなスタメン争いが見れるのか、楽しみにしているファンは少なくないはずだ。
(とは言え個人的には波多野を即レンタル武者修行が理想だった。外を見て学び、成長して戻ってきた陸の様に、波多野にもどこかで外に学ぶ機会があればと願っている)

しかし東京には2ndGKの大久保択生がいる。既に実績十分とは言え、トップ事情を考えればそれなりに出場機会は与えておく必要があるだろう。

さて、U-23において果たして起用すべきは2ndGKなのか、それともより若手の選手であるべきなのか。

昨シーズンの東京は、その点では圍謙太朗で満場一致だった。2nd GKでありながら、大卒加入から実践経験もまだ足りない若手という立ち位置。圍と対するは、経験豊富なベテラン榎本と、U-18から二種登録の波多野・高瀬。選択に困ることは無かった。

それが、ガラリと総入れ替えした17シーズンのGK陣容だと、そうはいかないのである。

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16シーズンのガンバU-23セレッソU-23を見てみると、わりと均等に出場機会を分けていた様に伺える。東京もこの様な振り分けに恐らくなっていくだろう。

1stGKの林彰洋はトップで圧倒的な結果を残し、たった2戦で既に揺るぎない信頼をファンから得たと言える。しかしもし彼が日本代表として離脱する機会が増えるとなれば、その穴を埋めなければいけない機会は生まれてくる。

小平の日常においてジョアン・ミレッコーチから多くを吸収し、少ないU-23での打席数でも確実に打率を残していく。シビアなGK争い、まずは開幕戦のゴールを守るのは果たして誰であろうか。

 

 

●「お客さん」から「当事者」へ U-18戦士4名の『振る舞い』を問う

29,686分のうちの、8,151分。昨シーズンのU-23、27.5%はU-18が支えた。

その中から4名の選手がトップ昇格を果たす。前述の波多野豪。最多出場の岡崎慎。中盤の底で幹として存在感を示した鈴木喜丈。そして複数ポジションをこなすマルチロール内田宅哉。

ファンからすれば昨シーズンから既に勝手知ったる選手たちではあるが、その見る目は今シーズンからは当然、大きく変わる。アマチュアの高校生の立場から、プロサッカー選手へ。これまでの様な「お客さん」の立場では許されない。

「途中出場で自由にやってこい」と、「スタメンとしてチームビルディングに背骨を通す」のとでは、求められる役割は大きく異なる。そしてクラブがトップチーム保有のみとなると、どうしても前者の機会しか創出しづらい。U-23があるからこそ、後者の機会を選手に与えることが出来る。もちろん、U-23選手に求められる振る舞いは後者だ。

昨シーズンのU-23選手には、この部分が著しく欠けていた。

立ち上げ当初のバタバタの中では仕方がない。しかしある程度チームも形作られ、悪い意味での”慣れ”も出てきた終盤では、言い訳は許されない。OAの選手たちとU-23選手とで見られた大きな違いは、鮮やかなプレーや鉄壁の守備などではなく、こういった振る舞いの部分だった。必要な指示や連携の声は出ず、失点時に味方を鼓舞も出来ず、試合後にはダラダラと挨拶に回る。そんなU-23の選手たちを叱ってきた水沼宏太や圍謙太朗はもういない。

結果的にチーム内で最大派閥になってしまう場面も多かったU-18組にも、残念ながらその気配はあった。U-18で出来てた挨拶が、U-23に来た途端(もしくはトップ昇格した途端)コレかよと、ファンはすぐに気付く。ただそれでも何となしに許されてきたのは、彼らが所詮高校生のアマチュア選手「お客さん」の立場でしかなかったからだ。 

幸いにも、今シーズンの東京には理想的なお手本が身近に出来た。高萩洋次郎。盤面をどう察知して、そのためにどう動くべきか、動いて”もらうべきか”。そのための彼のピッチ上での「振る舞い」から、U-23選手たちはすぐにでも学ぶべきだ。

J3のそれなりなレベル感になじみ、プロ選手”風”な生活を楽しむのは容易い。昨シーズン見ていて実感した事でもあるが、この環境のせいで逆に、選手の能力が小さくまとまって終わる可能性はむしろ高いと感じた。「お客さん」から「当事者」へと変わった、昇格4選手。昨年は頼もしい仲間であった新3年生との違いを、彼らは「振る舞い」で見せつけなければならない。

 

 

各選手にも、U-23というチーム自体にも、今年迎えるのはプロ野球界でもよく言われる「2年目のジンクス」。

やること全てが目新しく、得るものしか無かった昨年に比べて、今年以降はより負の側面がオモテに出てくるだろう。続けていく苦しみが、恐らく観客動員にも反映されると思われる。2017シーズンのFC東京U-23が、それこそ昨シーズン同様に楽しむためには、昨シーズン以上の「光明」が必要だ。

それが、選手たちの成長から感じることが出来るのであればこれ以上は無い。期待を胸に、今年もU-23を追いかける。

篠田監督のキュレーションは青赤を悲願へと導けるか FC東京 2017シーズンプレビュー

FC東京

プレシーズンにおいて、各メディアがこぞってFC東京を持ちあげる様は毎年恒例の催し事なので、そこに特に感想は無い。鍛えられた(いや、鍛えられてしまった)いちFC東京サポとしては「それでもダメだった」病巣を根治しなければ意味が無いことも、これまで学び続けて早や幾年だろうか。

城福政権の失敗を引鉄に、J2降格時から積み上げてきた選手構成サイクルは、2016シーズン途中をもって終了したものだと自分は認識している。なので重要なのは、次のサイクル構築にどう着手していくか。そのためにも未来の話がもっと発信される必要があるというのが、昨シーズンを終えての振り返りだった。

この振り返りの前提には、新サイクルの構築にはある程度の期間を要する、というのがあった。

次のサイクルを回し始めるということは、また新たな”種まき”と”刈り取り”が行われるということ。そこには「種まきなりの、過渡期を耐え忍ぶ覚悟」「刈り取りなりの、勝負の時期の見極め」が求められる。だから一連を堪えるにはそれなりの「共通理解」が必須であり、共通理解としての「未来の話」だと。

そこで今回の選手編成である。主力の選手は入れ替わり、代わりに経験値が既に備わった、実績のある選手が入ってきた。新しいサイクルを用意しつつ、かつ種まきの時間をカネで解決した印象は強い。もちろん「高萩のボランチ換算ホントに大丈夫かよ」「外国人枠埋めろよ」「そもそも守れるのかよ」と言いたい事が無くはないが…総じて、既に”刈り取り”の空気感。こういった事など出来ないと思っていたので、これは正直意外だった。

加えて、それでいてフロント・強化部は未来の話を積極的に「言わない」という姿勢をとった。新体制記者会見ではこっそりとACL圏内と言うに留めシーズンスローガンでは結局「目標」が何かが全く語られていない。何とも腰が引けたポーズではあるが、それは彼らなりの、昨年から得た教訓なのかもしれない。少なくとも、省略した行間を周囲が勝手に汲んでくれて、尚且つその内容も今であれば勝手にポジティブに取ってくれるわけで。その間においては、それは賢い選択の一つとも言える。


かくしてメディアはFC東京をこぞって持ち上げてきたが、その露出の中身と言えば大久保嘉人の主張ばかり。方や篠田監督の話は一向に出てこない。

そんな中、2/17放送のFC東京魂において篠田監督のロングインタビューが放送された。その内容を自分なりに要約すると、

  • 選手時代も、コーチ・監督になってからも、基本は熱くて厳しい人。
  • 「泥臭さ」を特に求める。選手たちが昔から言われてきたものなハズだし、その一瞬が勝負を決める。
  • 2人のコーチ(安間、中村)は信頼している。自分が頼りないので、むしろ助けられているくらい。
  • 就任当初は、まず勝負の世界としてのサッカーを選手に求めた。形から入ったらむしろおかしい。
  • (新加入選手の)良さを出すための、ゴール前へのスピード感についてはアイデアがある。
  • (鹿島・浦和に勝つためには)真っ向勝負。小細工なし。向かっていくことが大事。
  • よりコンパクトに。相手のストロングを抑え、自分たちの良さを出す。引き出させてあげたい。

ワッショイ兄やんの所でのインタビューや、オフィシャルサイトでのインタビューでも、一貫して内容はこれに近い。個人的な印象を言わせてもらえれば、なるほど確かに「中身が無い」。


篠田監督については、これまでも何度も表明してきた通り、元々の印象はネガティブだ。ただしそれが、自分なりに正しく能力を測れてのものではない事も理解している。

誠剛タイムに苦しめられた状況下での指揮が、果たして篠田監督を評価するのに正しいプレパラートなのか?は非常に疑わしい。

そんなポジティブとネガティブと池田誠剛がベッチョベチョに混ざりあったこの状況が、篠田善之の監督としての能力を測る事を難しくしているから非常に困る。

 

短期間で監督を解任する事は悪ではない FC東京の来季監督を考える

篠田トーキョーを測るにあたって、その特殊性としてずっと心に引っかかっているのは、ホーム浦和戦での采配だ。「台本」と「アドリブ」が求められたあの試合で、篠田監督が採用したアドリブは「安間式5-3-2」だった。

選手に体力は無い。攻撃を作れる選手もいない。打ち手もかなり限られ、どれを採用しても率直にあまり効果も期待できない状況。しかしここはホーム。まだ同点。故に、どう「采配」するか?ここは100%アドリブを試される場面だった。

せっかく用意してきた台本を10数分で破棄するのは、シナリオライターとしては難しいところではあったろうが…それを個人的には期待しながら試合を見ていた。その中で、実際に取られた「采配」は梶山→インス。まさか5-3-2とは驚いた。FC東京ではこれまで、安間ヘッドコーチがU-23時代に4試合行っただけの布陣である。

ここ。采配においていきなり安間色が強い打ち手がされた事には正直驚いた。スタッフ間での合議制なのか、はたまた主導権的な内情なのか、透けて見えそうな何かに想いを巡らせながら…結果その安間システムは大失敗に終わる。EURO2016ではコンテ・イタリアも駆使していたこの美しい布陣も、インサイドハーフに移動した拳人・慶悟と2トップの前田・インスが4枚同時ウラを取りに走ってしまえば台無しである。

 

篠田監督が失敗した「台本」と「アドリブ」の潮目 レビュー FC東京-浦和レッズ - 「やってみるさ」

何故あの大事な試合、勝敗を分ける厳しい場面で、安間コーチのアイデアに全乗っかりしたのか。その所以がずっと気になっていた。その中で読んだのが、ワッショイ兄やんの沖縄一次キャンプ記事である。有料記事のため引用は控えるが、中央クサビからサイドに展開し、SBのクロスを中央でシュートする練習が行われたというものだ。

内容としては至ってオーソドックスなものではあるが、これは2016年後期のFC東京U-23で多く見られた、いわば中村忠監督の「型」である。

16シーズンのFC東京U-23では、まず安間監督が前線の選手に「ボールを持ったら絶対に個で仕掛ける」事を強く求めてきた。チームを形作るにあたっての分かりやすいルールとしての側面と、選手育成という本来の目的の側面との両方を満たす方針として。実際にチームにも、その意識はかなり浸透したように伺えていた。

それがミニラ監督に交代になってからは、今度はサイドに展開する意識が途端に強くなり過ぎた。無理して、もしくは技巧的にクサビを打てたとしても、そこからサイドに叩いてしまう流れはこれまでの安間式とは大きく違うものだった。そのギャップが強かったが故に、個人的にはあの型はミニラ式としての印象が強い。

それが1次キャンプで、全く同じ型を、トップチームの選手たち相手に、忠さん自らが指導しているという記事。

この件をどうしても、昨年の浦和戦の件と同じ文脈で妄想してしまう。

つまり、浦和戦の時に妄想した「スタッフ間での合議制でチームを形作っている」説に現実味を補強する事例なのかな、という理解だ。少なくとも、監督がこれほどにコーチのアイデアをピックアップする様子が表に出てくる事例は、過去にあまり無かったように思える。

そうなると、監督:篠田善之としての色の無さも納得できる。むしろ、彼の特色はいわば『FC東京2017制作委員会』議長として、安間・中村両コーチのアイデアを積極的にキュレーションして形作っていくスタイルにあるのかもしれない。

 

選手とコーチをセットとして考える形自体は、サッカーにおいては一般的なものだ。お互いの特長をもって補完し合うのは、特に欧州ではより分業制に近い形で浸透しつつあると言う。FC東京においても、攻撃構築に長けたランコ・ポポヴィッチ監督が、ブラドコーチを招き守備の面を任せていた事例は記憶に新しい。2017シーズンに関しては、この要素がこれまでに比べてかなり強そうに伺える。

この仮説を切り口に、今年のFC東京を追いかけてみようかと思っている。

篠田監督の能力として考えるべきは2つの視点。ひとつは「議長」として、良きを吸い上げてチームを形作るキュレーション能力の部分。そしてもうひとつは、いち「議員」として逆にどんなスペシャリティを議会に与えられるのか。

気になるのは、このメンバーでそもそも議会の俎上に、正しく「守備」はあがるのか?ということ。そしてもうひとつは、篠田監督が場に提出できる様なスペシャリティが果たして、モチベーター的要素以外にどれだけあるのか?ということ。

結局はこの疑問に立ち戻るわけだが。そこに関してはシーズンが明けてから、結果論でじっくり考えていこうと思う。

 

東スポ曰く、

各ポジションに有力選手がちりばめられ、日本代表経験者だけでスタメンを組める陣容は豪華の一言。そんなスター軍団を束ねる篠田善之監督(45)の手腕も確か

【Jリーグ大予想(1)】新指揮官と巨大戦力が融合したFC東京が悲願V

とのことらしい。そんな、優勝候補と呼ばれている今年のFC東京。悲願成就。目標に向けて、2017年のJリーグが今週末いよいよ始まるのである。

 

…で、今年の目標って何なんですかね。

”本気のクラブ”と戦った29,700分が若き青赤戦士の養分となった FC東京U-23 2016シーズンレビュー

FC東京U-23 FC東京 FC東京U-18

端的に言えば、楽しかった。FC東京U-23。やはり新しいチャレンジはしてみるものだなと思うばかりである。

U-23チームのJ3参戦。その激動の1年目が終え、結論として「成功だった」という感覚値は、世間・各クラブ・サポーター共通の認識だと思われる。もちろん、自分もそうだ。

だがその結論に至るまでには、数々の問題が起き、失敗もし、それらは現在においてもまだマイナス要因そのままに残っているものもあるかもしれない。

しかし、世間が華やかな成果ばかりに目を向け続けていくことで、何時の日かそれらが消え去ってしまうかもしれない。そんな不安がよぎった。それでは困る。

起こってしまった問題や失敗は、それらもまた等しく「財産」。1年目だからこそ、U-23創設のチャレンジを行ったからこそ得られた、日本で3クラブしか手にしていない宝物なはずだ。

だから振り返る。そしてWebに残しておく。こういったアーカイブ化は時が経つほどに効いてくる(はずだと信じて…)

 

FC東京U-23の2016年を、時系列でざっと振り返る。

  • 3月:J3開幕。諸々の革命が起きる。開幕戦はボロ負け、観る者が嗚咽するくらいの酷い出来。
  • 4月:おいちゃんダブルヘッダー事件。第6節A鳥取戦で念願の初勝利!インスポーズ爆誕。
  • 5月:ムリキ志願のU-23出場。OA積極参加の先鞭に(その後めっちゃ使い倒される)
  • 6月:翔哉・室屋のリオ五輪組がU-23で脚光。メディア露出が増え始める。
  • 7月:城福解任により、U-23監督が安間さん→ミニラに。
  • 8月:U-18がクラ選優勝!世間にU-23効果として謳われ、世間のテノヒラクルーが始まる
  • 9月:U-23として初の味スタ開催+ナオ復帰戦を水沼ゴールで劇的勝利!
  • 10月:2勝2分と初の月間負けなし。富山県でのはじめしゃちょー人気がバカいかちい
  • 11月:平川怜に続いて久保建英J3初登場、最高動員を記録。最終順位でセレッソを逆転。
  • 12月:U-18最終節に多くのU-23ファンが来てくれて小平大盛況。その裏でU-23が嫌だった選手たちが続々と退団

良い事も悪い事もたくさん並ぶ、このバラエティ豊かな年表を見るだけでもU-23が「面白かった」事が十分に感じられるだろう。


もちろん、単にサポが外野的に面白かっただけではない。クラブとしても得られるものは非常に大きかった。

その最たるものは言うまでもなく「実戦でのプレー機会」。

J3という「プロの有料試合」で、昇格を目指す百戦錬磨の「プロの選手たち」を相手にし、周囲を「敵意むき出しでかかるサポーター」が囲う環境の中で得られた、11人×90分×30節=29,700分。それは他クラブで復活したサテライト戦とは質量共に雲泥の差だった(サテライト戦はクラブ都合で簡単に中止になったり、選手のモチベーションを高めようが無くて効果が期待できない等と、そもそもまともに機能しなかったと聞く)

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みんな大好き!SOCCER-DBより引用した出場記録を生年順でソート

FC東京はもはや、要のポジションにおいては"育成"よりも"獲得"が求められるクラブ規模となってしまい、選手育成においては他クラブへのレンタル武者修行しか術が無かった。丸山祐市然り、橋本拳人然り、中島翔哉然り。近年で台頭した選手の殆どがレンタル帰りの選手となり、外部レンタル無く主力に位置している選手は、近年では小川諒也・室屋成くらいではなかろうか。

そこで、U-23という存在が活きてくる。ストライカーなり、司令塔なり、DFの要なりと、チームの軸となる選手をFC東京の中で育てられる環境がついに整った。かつ、サポはその過程を手元で見守る事も出来る。

例えばユ・インスがU-23に常時出場することによって、ストライカーとして”2,248分試され続けて”きた経験は、これまでのFC東京ではあり得なかった。「今後、インスが青赤の誇るストライカーとなれるのか?」サポにとって、この期待に代わるモノは無いはずだ。


他方で、問題も多くあった。その最たるものが「編成の失敗のしわ寄せが選手に向けられた事」である。例えばU-23の選手不足がために、U-18所属の生地慶充に、同日別会場で開催された公式戦にハシゴ出場するというダブルヘッダーを課した。

もちろん、それが選手たちに貴重な経験となっているのは事実だ。正しく得た出場時間であれば大歓迎だし、自分は元々U-23施策には全面的に賛成の立場である。

しかし、あくまでそれは「適度」であるべきだ。少なくとも、4月17日の様に「千葉で試合に出場⇒新木場に移動⇒夢の島で試合に出場」などは絶対に行ってはいけなかった。時間は経ち、移動のために身体も硬くなり、その後に上位カテゴリーの試合に出場。よく怪我をしないで済んだというレベルである。目的には100%賛同するが、そのための手段として、この様な度が過ぎた起用のされ方は決してされるべきではない。

FC東京U-23が迎える"初めての夏"を初めてなりに考えてみた

少し前のFC東京魂において、渡辺一平が「彼らは若いんだから何も問題ないよ!強豪校ならどこもやってること」と何度も口にしていたが、冗談じゃないふざけんなと言いたい。彼がイメージしているのは所詮、選手が試合中に大量に入れ替わる様な練習試合や、オフシーズンに合同でTMを開催するフェスティバルなどでの連戦に思われるが、今回は「U-18年代最高峰リーグ」と「第1種プロリーグのDiv.3」の同日ダブルヘッダーであり、位置づけも強度も負荷も全くの別物だ。土日での連戦の場合でも、ただでさえクラ選や国体、冬の選手権においてその過酷なスケジュールが問題視されている状況でもある。

渡辺一平の無責任な言動よりも、こういった親御さん方の切実な悩みにこそ意識を向けたい。親御さんのサポート無しにU-23は成立しなかったし、改めてこういった過剰な負荷は決して良しとはしたくない。


そして編成の失敗の影響は、オーバーエイジにも及ぶ。

吉本一謙・ムリキをきっかけに、水沼宏太林容平などがU-23で正しく振舞ってくれた事には感謝しか無い。試合後にサポーターの元へ挨拶に行く際にも、先頭を引っ張るのは圍謙太朗や水沼ばかりで、方や後ろでダラダラと歩いてしまうU-23勢が先輩に怒られる姿は、多くの観客が何度も見かけた光景だ。先輩たちが、無形のU-23を「チーム」として形づくり、ビシッと背骨を通してくれた事は全てのサポが知っている。

ただそんなOAの選手たちとしても、まさかクラブからここまでU-23へのコミットを求められるとは思っていなかったのではないか。自身のコンディション調整のために、もしくはU-23の惨状に一肌脱ごうとある意味男気をみせて手を挙げてくれた彼らではあったが、クラブはそれ以上の出場を求めざるを得ない状況。林容平に至っては、人数合わせ・勝利優先のCMF起用といった”被害”も受けながら、結果としてU-23クラブでOA最多出場時間を記録してしまう。

U-23に多く貢献してくれたOA、圍、水沼、林は他クラブ移籍が決まった。U-23全クラブをみても、1,000分以上出場のOA7名(小椋祥平内田達也岡崎建哉、小谷祐喜、武田博行、圍謙太朗、林容平)は全て、16シーズン限りでクラブを退団する。サポが想像する以上に、選手にとって「トップではなくU-23に出場する」事は嫌だったということだろう。考えてみれば当たり前かもしれないが、それを改めて実感した格好となった。

(とは言え自分から見ての言い分としては、彼らの想いが叶わなかったのは単純に「選手自身の実力不足」もあったと思う。林にしろ水沼にしろ実力的には「J1に短し、J3に長し」だったし、圍に関しては秋元への信頼が揺らぎ絶好のチャンスであったH長野戦において、非常に不安定なパフォーマンスに終わってしまった。サポからすれば、彼らがU-23止まりである理由もまた、何となく察していたし納得感もあった。このU-23の場で彼らもまた”改善”し”成長”してくれる事で…しかしそれは叶わないままに、圍も水沼もクラブを去ってしまった。この手の問題は、一生相容れないものと割り切るしかないのかもしれない)

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選手の出場時間を、U-18、U-23、OAで割合を出してみると上記となる。参考にJ3首位の大分、世界2位の鹿島も並べてみたが、若手年代への出場機会創出という意味ではその実績差は明らかだろう(ただ、所詮目的の違うトップチームとセカンドチームとの比較であること、特に鹿島に関してはそもそもJ1公式戦のみを抽出対象としたデータだったりと、色々と恣意的な比較ではある…)

U-23の3クラブ内で比較した際に、FC東京U-23がガンバ・セレッソに比べて、U-18・OA選手に多くの出場時間を割いていた事がよく分かる。実際、FC東京は組織変更でU-18の所管を変更する等、U-18選手を積極活用する意図が元々強かったのは間違いない。

しかし実際は前述2例の通り、本来あるべき以上の無理を、選手に強いた結果も含まれていたことを忘れてはいけない。改めて欲しいのは、編成の失敗を選手に、特に所詮アマチュアな高校生選手に「身体的に無理を強いる」という構図の気持ち悪さだ。

その気持ち悪さが改まった結果として、引き続きU-18に多くの出場機会が巡ってくるのであれば大歓迎だ。H秋田戦では、平岡翼とのスタメン争いの末に内田宅哉がスタメンを掴んだが、この様な健全な形がより増える事を願ってやまない。

失敗をしてしまう事は仕方ないし、過ぎた今となっては何事も無くて良かったとして次に改善出来れば構わない。逆にいえばこれを「良い失敗」と出来るかどうかは今後次第だ。

と、これだけ振り返った上で始まる、2017シーズンである。


U-23J3参戦とは、年間で得られる出場時間(=経験値)を、選手にどう振り分けるか?のサクセスモードとも捉えられる。

16シーズンからの改善も意識しつつ、さて今後どの様な意図でU-23を戦っていくか?出場機会の割り振りをU-23側に厚くするべきか、引き続きU-18に振るべきか。

FC東京の場合はU-18に多く配分された事がユース2冠へと繋がったが、方やU-23組がそれだけ経験値を得られていない事のマイナス面もあるはずだ。

確かな解は恐らく今後数年は見い出し難いだろうが…そうこう言ってる間もなく2017シーズンが、U-23の2年目がもうすぐ始まる。意図と改善が見える、2年目らしいチャレンジが見られる事を楽しみにしたい。

そんなFC東京U-23 2017シーズンプレビューは、いつか気が向いたときにでも。

「コバショー来年もヨロシク」のお話

FC東京 サッカー

2016年J1リーグ最終節、名古屋グランパスvs湘南ベルマーレの試合はスカパーLIVEで観ていた。同時キックオフでFC東京の試合ももちろん放送されていたけれど、それをセカンドスクリーンに追いやってまでこの試合を優先したわけだから、そこに「FC東京サポとして」以上に「他人事なスケベ心」が上回った事実は否定できまい。実際、そのスケベ心は結果としては十分に満たされたわけだけど。

湘南の2点目に目がいった。

心と身体が機能せずに硬直する名古屋のプレーぶりに既視感を抱きながら。前半の早い時間帯にまず湘南が1点。そして37分の2点目は、名古屋にとっては既にトドメと言っていいものだった。右からのクロスに、左サイドから突っ込んでくる高山薫。右SBを引きずりながらも、上手く出し抜いて前でボールに触る事に成功した、見事なゴールでもあった。

その応対した相手選手、つまり高山薫に出し抜かれた右SBの選手が、他ならぬ古林将太だった。湘南アカデミーの顔であったコバショー。この2点目に、クラブと選手とサポーターそれぞれの運命を感じずにはいられなかった。

そして試合後。

J2降格が決まった名古屋グランパスは、試合後にピッチを一周しサポーターへ挨拶に回った。成り行き上、アウェーゴール裏の前を通り、湘南サポにも挨拶をするグランパスの選手。そこで、TVカメラはゲーフラを掲げる湘南サポーターを映した。 

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色んな事が頭をグルグルしながら、どうこれを咀嚼すれば良いのか一瞬困った事を覚えている。

そして、それと同じ様な事がつい先日また起きた。タマこと三田啓貴FC東京退団、仙台移籍。グルグル。明日は我が身とはまさにこの事なのかもしれない。

 

グルグルと、少し前の事を思い出した。

U-18で全国制覇、大会MVPを獲得したタマは、しかしトップチーム昇格は叶わずに明治大学に進学する。当然「卒業したら戻ってこいよ」とタマを送り出したのだが、それがいつしか「卒業した時に果たして戻ってきてくれるのか?」と不安になる時期があった。

明大サッカー部で輝かしい活躍を見せるタマには、ジュビロ磐田からも誘いがあったらしく、FC東京と磐田とでのタマ争奪戦になった。しかしその当時FC東京はJ2に所属し、沼にハマりかけていた時期でもあった。

タマにとっては、J1ジュビロ磐田に進む方がよっぽど彼の価値に見合うわけで。彼の事を思った時に、ベストな選択肢がFC東京だぞと言い切れない事への、苛立ちというか、観念というか。すごい複雑な感情をあの時は強く抱いていた。

だから、タマが東京を選んでくれた時には、嬉しさ以上に安堵の思いが勝っていた様に記憶する。

そんなタマが、今度は移籍で東京を出ていってしまう。あの時とは逆というか、複雑な感情の通りというか。彼にとって、FC東京が「ステップ」になってしまった事への整理は、正直未だにし終えれていない。

 

コバショーにしろタマにしろ、彼らが湘南を、そして東京をそれぞれ愛し、憧れていてくれた事には間違いない。それはむしろ今もそしてこれからもそうだろう。そこを疑うつもりは一切ない。

ただただ、彼らが選手としての「次」に、愛するクラブは適さなくなってしまった。相応の価値を提示する事が出来なくなってしまった。

そこを例えば、選手が違約金を置いていかなかったからと、ドライに選手を突き放す切り口は簡単だろうし、確かにそれも正しい。それが湘南ベルマーレの財政規模であればより切実だ。

それでもここは一旦堪えて、原因の矢印を自らに向けるとするならば…

愛し、憧れてくれる選手たちの期待に、能力的にも経済的にも応えてやれるクラブとなれる様にと、クラブの歴史を膨らませていく決意を新たにしていくしか無いのだろう。

 

皮肉と自虐が絶妙に効いたあのゲーフラ。2017シーズンは、湘南サポはコバショーにどんな反応を向けるのだろう。「お望み通り、湘南では得られなかった成長を手にしてますかねぇ?」と伺いつつ。願わくば心の底に「あの時よりも憧れを受け止められる位に湘南ベルマーレも大きくなったから、何時でも帰ってこいよ」くらいな想いを抱きつつ。

二冠達成 それでもFC東京U-18は「勝ち続ける」 ユース応援企画 御礼に代えて

FC東京U-18 FC東京U-23

「今」が「未来」の何を保証してくれるのだろう。クラ選優勝を果たす1か月前の「今」では、こんな「未来」は到底予測できなかった。

2016年7月2日、高円宮杯プレミアリーグEAST対横浜F・マリノスユース戦。この試合はまさに、2016年のFC東京U-18の景色を強く映すような試合となった。
前半には、そのポジティブな面が随所に発揮された。FC東京U-18の選手たちは、必要な箇所で相手を圧するパワーを発揮し、またある箇所では相手を俯瞰した冷静さも見せてくれた。個で相手を上回る様子はまさに、今年ならではの特徴と言えるだろう。
方や後半はそんな様子も姿をひそめ、一気呵成のマリノスユースに逆転負け。前半が個で相手を上回ったのであれば、後半は組織で相手に上回られた格好。“チーム”としての脆さ。これもまた、今年ならではの特徴であった。

◇ ◇ ◇

FC東京は今年、クラブとして新たな試み「U-23」を創設した。このことに関して、細かい説明や意義は今さら説明の必要はないだろう。この施策によって、FC東京U-18の景色は大きく変わった。
U-23としてJ3リーグを。U-18として高円宮杯プレミアEASTを。そしてU-18Bチームとして東京都1部リーグ(T1)を。重なり合う階層のそれぞれのタフな環境において、40名の所属選手たちがこれまで既に55試合もの公式戦に臨んできた。
フレキシブルに選手が上下に移動する編成の中で、ある者は1階層上での試合経験を得、それを埋めるようにまたある者が新たなチャンスを掴んでいく。各人の置かれた環境で、選手たちはある意味「出稽古」を重ねてきたと言える。その効果は確実に表れ、それぞれの経験を通して成長した様子が発揮されたのが、マリノスユース戦の前半であった。
しかし、出稽古が増えるということは、他方で選手たちがチームを留守にする時間も増えることを意味する。マリノスユース戦後半に見せたチームとしての脆さ。そこで見えたのは、劣勢に立つFC東京U-18というチームに対し、どこか「他人事」のように振舞う40人の選手たちの様子だった。

そう、クラ選優勝の際に選手も監督も要因として語っていた「一体感」は、この時点ではチームにまるで存在しないように見えた。あの時の「今」、チームとして脆く敗れる彼らからは、クラ選優勝なんて「未来」は到底見えてはこなかった。

それが、むしろ「一体感」で掴んだような夏の戴冠である。
確かに「未来を変える兆し」はその後いくつかあった。それらの兆しに向かって、選手たちが主体的に取り組み、戦いながら成長を続けてきたことは間違いない。もどかしいスコアレスドローのスタートを乗り越えて、ある時はスコアで相手を圧倒し、またある時は関東予選の雪辱を果たしもした。たった1か月でチームとして大きく変わった結果、手にした新たな武器。FC東京U-18の「一体感」は見事だった。

◇ ◇ ◇

しかしそんな、全国制覇してみせた誇らしい「今」ですら、「未来」の何を保証してくれるだろう。彼らが目標に据えた“3冠”を目指す資格は、確かに得ることができた。だが、3冠を達成できるかどうかについては、「今」は残念ながら大した保証をしてくれないのである。
この文章が届く頃は、既にクラ選優勝から1か月以上が経過した後の「今」だ。カップを掲げたあの時に想像した「未来」の通りに、結果が進んでいるのかもしれないし、もしくは真逆に陥っているのかもしれない。ましてやプレミアリーグ再開初戦は、日本で一番「負けた悔しさ」を蓄えたクラブが相手だ。その後には、我々と同じく“3冠を目指す資格を持ったチーム”との対戦も控えている。

果たして、FC東京U-18は「今」も「勝ち続けている」だろうか。

◇ ◇ ◇

「勝つ」ことと「勝ち続ける」ことは大きく違う。
勝つだけであれば、トリッキーな奇襲作戦でも、相手の攻撃を阻む神風でも、その可能性はいくらでもある。10回やって1回しか勝てない相手だろうと、その1回を決勝で掴んでしまえば優勝だ。
しかし「勝ち続ける」となると、そうはいかない。研究し尽くされ、あらゆる対策を施した相手に対し「10回やって少なくとも8回は勝ち続ける」ためには、相手を見極めて己が柔軟に対応するだけの、受けの広さが必要となる。自身の調子の波は、限りなく凹みを作らないように整えなければならない。試合中の思考や心構えも、ただ「勝つ」だけの場合とは段違いだ。何となくぼんやりと試合に入って、そのまま90分を過ごして「あー今日は負けちゃったなー」では、勝ち続ける域には程遠い。
過去、様々な競技においてこの「勝つ」ことと「勝ち続ける」ことの違いに、選手たちは悩まされてきた。自覚的に勝ち続けた選手。気づくことすらなく、ただ無自覚に勝ったり負けたりした選手。それらがリオオリンピックでは特に顕著に表れた。福原愛は卓球女子団体の銅メダルを、前回大会の銀メダルよりも尊いとインタビューに応えていた。それは、ロンドン大会で「勝った」銀よりも、ロンドン大会からリオ大会まで「勝ち続け」て得た銅の方がより重みがあることを実感し、自然と口から出た言葉だろう。それほどに「勝ち続ける」とは、ただ「勝つ」こととは違って、何より苦しいものなのだ。

◇ ◇ ◇

「勝つ」のでなく「勝ち続ける」とはどういうことか。そこに悩み、試し、少しでも近付いていくこと。クラ選優勝を境に、FC東京U-18が据えるべき新たな目標だろう。

「勝ち続ける」ための方法は、まず「勝ち方を一旦捨てる」ことなのかもしれない。人はどうしても成功体験から外れることが怖い。あの時の、輝かしい「今」を守りたがる。知っている一つの勝ち方にすがり続けてしまうのではなく、どれだけそこから変化して、勝ち方を増やしていけるか。マリノスユース戦以降のあの1か月の様に。

今日も、来週も、来年も。そして2020年までに。チームをより変化させ、勝ち続けるためのカギはむしろ、西が丘のピッチに立てなかった選手にこそあるだろう。来年になって自動的に空く席にただ座るのではなく、いま埋まっている席を奪えるかどうかに懸かっている。その先にしか、求める「未来」はない。

苦しい道なのには違いないが、誰もが進むことができる道でもない。その道こそがNEXT STEPだ。次へと進んでいける事が単純に嬉しく思うし、それは選手も同様であると信じている。何故ならば、その先にしか“3冠”はないのだから。

◇ ◇ ◇

「勝つ」ことはできた。次は、「勝ち続ける」こと。勝ち方を守るのではなく、勝ち続けるための新たなチャレンジを。
J3でプレミアでT1で、その難しさにもがき苦しむ選手スタッフの姿。それこそが、全国制覇を成し遂げたクラブのあるべき姿に違いない。

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今年FC東京U-18はクラブユース選手権を制し、全国を獲りました。それこそ8年ぶりの戴冠となるわけで、それだけを見ても分かる通りこれは凄いことです。

ただそうなると、いつもクラ選の後にこうして文章を選手たちに送っている自分としては苦しくなります。ただでさえ凄い彼らに、伝えるべき事が他に何があろうかと。嬉しい悩みなのには間違いないけど、自分みたいな芸風の人間には実際しんどかった!あぁクソみたいな悩み!!

その中で何とか捻り出したのが、上記の「勝ち続ける」という概念です。我ながら良いのを引き当てたなと思っています(自画自賛)。


この「勝ち続ける」という概念。元ネタというかパクリ元は、分かる人にはすぐピンとくるかと思いますが…有名なプロゲーマーであるウメハラから来ています。

勝ち続ける意志力 (梅原 大吾)

「勝つ」ことと「勝ち続ける」ことの違いと、その上でじゃあ如何にして「勝ち続ける」のか。その違いや重みを鮮やかに明確化してくれたこの本は、競技・年代問わずに大きな示唆を得られる内容だった様に思います。

そしてこの考え方が、夏を「勝った」彼らの今にピッタリだったとも。彼らがシーズン当初に「三冠」をぶち上げた以上、そのためにはただ瞬間的に「勝った」だけで留まるのではなく「勝ち続ける」必要があるわけで。「勝った」ことは「勝ち続ける」ことを保証するものでは決して無いし、これからは「勝つ」から「勝ち続ける」へと、スタイルも考え方も変化が必要なのではないかと。

2016 FC東京ユースを勝手に応援企画!。Tシャツを届ける際に、U-18に向けて上記の文書を同封させてもらいましたが、そこにはこんな想いを込めてみました。

 

夏を終えたFC東京U-18は、再開した高円宮杯プレミアリーグEASTをJ3と並行しながらも何とか戦い抜き、現在リーグ2位。自力で優勝を狙える位置につけられた事は立派だったと思いますし、何よりその道中では勝ち続けるための「変化」を伴えていたとも思います。

Jユースカップに突入し、その変化はより顕著なものになりました。その一部は、例えば選手起用にも表れます。

大会期間中は、1試合で最大7名もの選手をU-18からU-23に渡さなければいけなかった日もありました。それは確かに強制的に求められた変化ではあったとは言え、それに応えた選手がいたのもまた事実。荒川滉貴のSH”帰還”に始まり、長谷川光基がCBとして一気に台頭し、決勝では高瀬和楠がGKとして重責を果たした。他にも出た選手みんなが、東京都1部リーグ(T1リーグ)のシーズンを既に戦い抜いている選手たちでした。

こうして掴んだJユースカップという二冠目のタイトル。ここまで変化してみせた上で獲ったタイトルだからこそ、特別に嬉しいし、彼らにはもう凄いという言葉しか出てきません。

そして高円宮杯プレミアリーグEASTも残り3試合、優勝すればさいスタでWEST覇者とチャンピオンシップ。J3も全日程を終了し、最後のタイトルに向けていよいよ、U-18全ての選手がひとつのチームの下に横一線となります。FC東京U-18はここにきて最後の、そして最大の「変化」を迎えます。

もちろんそれは失敗してしまう可能性も十分含んだ、あくまでも「チャレンジ」となります。ただ自分は、このチャレンジが出来る事自体が既に誇らしいです。そして「(U-23から戻ってくるマコやヨシタケ)のポジションがあるかは分からないよ」というカズキ監督のコメントが頼もしくも感じています。Jユースカップ決勝で既に、U-23から戻ってきた久保建英だけでなく、準決勝MOMの小林真鷹が決勝に出場出来なかった事を思えば、そのゴングは既に鳴っていたのかもしれません。


今年ほどU-18に目が向いた年は無かった様に思います。

U-23で全力で戦う姿がサポーターの眼に残っているからこそ、生地のU-18での活躍に「おいちゃん!」と声が上がるし、交歓会でも「マコー」「よしたけー」「波多野なんかやれ~」とヨソイキ感皆無な声もかかる。小平でのホーム試合では安間さんなどのトップチームスタッフや、水沼宏太などのトップチームの選手たちも見に来てくれました。特にFC東京アカデミー出身では無いのに、それでも様子を見に来てくれたのはこれまでもあまり記憶に無いことです。ホントに多くの方に、U-18を気にかけてもらえた様に思います。

その結果も後押ししてか、今年のユース応援企画は過去最多の賛同を頂く事が出来たそうです。賛同頂きました皆様、本当にありがとうございました。

ラスト4試合。これまでに無いクライマックスが今週末から始まります。是非多くの方に見守って頂きたく思います。