我々はオーストラリアという「民族」を知らな過ぎるのだと思う

本日は、J中断ということでずっと狙いを定めていたU-20世界ラグビー選手権を観戦。準決勝を早い段階から狙い打ち、ニュージーランド×オーストラリア、イングランド×南アフリカ戦を行う秩父宮ラグビー場へ行ってきた。

好きではあるけど大して知識は持ち合わせていないラグビー。今回もTV中継含めて海外ラグビー初観戦、なんて程度ではあったけれど、そこはしっかりと「オールブラックス-ワラビーズ」を初めてに持ってきますから。U-20とはいえそれはもうとんでもなく面白い試合で、さすがオレのチョイスだと勝手ににやけていた次第。


オールブラックス伝統の『ハカ』も初めて見ることが出来た。ニュージーランド先住民族マオリの伝統舞踊。ウォークライとも呼ばれる様に、戦闘の前に相手を威嚇し自らを鼓舞する意味もあるこのハカを、オールブラックスは試合前に踊るのである。

2003年ラグビーW杯では、オールブラックスのハカに触発されてトンガ代表がハカを被せて始めてしまった。「ハカ・バトル」なんて事で有名になったこの事件も、しかしハカの持つ本来の意味合いを考えれば当然の事件だったのかもしれない。

そんな本物のハカに触れることが出来て、これは身体の芯から震え上がる体験だったわけだけど、それと同じくらいに感動したのが、それを受け止めるワラビーズ、オーストラリア代表だった。
秩父宮ラグビー場の大型ビジョンに映し出されるワラビーズの面々。その表情はハカに気圧されることもなく、こちらもそれこそ異様な表情でハカをじっと睨みつける。トンガの様にハカは持ち合わせては居ないのだけれども、ハカ・バトルに匹敵する様な異様な空間が秩父宮ラグビー場には生まれていた。あのオールブラックスのハカを受け止めきったワラビーズの民族的闘争心も、並大抵のものではない。
「血が騒ぐ」という表現が全く比喩ではないほどに、彼等民族が放つ異様な闘争心。これを観ただけでもチケット分の価値があった。決勝が行われる21日も、秩父宮で本物のハカが観られるチャンスなので、自分は行けないけれどもし興味を感じた人がいたら是非観て欲しい。あれで燃えない男はいないのである。



と、そんなこんなのせいもあって全く観ていないのがサッカー日本代表×オーストラリア代表なのである。結果を聞けばまたしてもティム・ケーヒルにやられてしまったとのこと。ヤツの凄さは散々に知ってはいたが、さすがにもうこれ以上は知りたくもなかったんだが…

しかし、今日この日に強烈体験をしてきた自分としてはある種、別の部分で納得出来てしまう部分もあるのである。
あのハカを受け止めきってしまうオーストラリアという民族的部分。オーストラリアの民族構成がどうなってるのか何かはまるで知らないのだけれど、あのワラビーズと共通の素地を持っている代表(サッカルーズ)なのである。もっと言えばティム・ケーヒルがあの刺青が示す様にサモアの血を継いでいるのは有名な話で、代表でも、そしてイングランドでもあぁいった「ここぞの活躍」をしている事実の裏付けを、彼の持つ「血」に結びつけてしまう事を今日の自分は何のとまどいもなく行えてしまう。


彼等は、そういう国の、そういう「民族」である。
その事実を、我々「民族」は果たしてどれだけ考え、理解しているのだろうか?


アジアではない、南半球オセアニアから来た新しいライバル。サッカー的な部分はもちろんだけど、まず彼等オーストラリアとはどういう民族なのか?彼等の持つ血、その理解が無い限り、我々は『またしてもティム・ケーヒル!』と悪夢を繰り返すのではないだろうか?