決勝翌週の黄金カード Jユース杯予選 浦和Y-柏U18

  • ワーストに近い観戦条件、朝早ぇよ!

所詮は大分に行けなかった負け組サポな自分である。重ねて密かに画策していた山形遠征も断念した自分である。関東を抜け出せていない自分に情けなさを感じつつ、その溜まったものをぶつけてやろうぞ!と勢い付けて向かったはこのカード。このカードならば、一人のチンケなココロも受け止めきってくれるだろう。
しかしこの豪華カードも、遠いさいスタの遠い側のホーム側ゴール裏、そのさらに奥の第4グラウンド(人工芝)での開催であり、何より10時キックオフである。何と苦行、遠いうえに朝が早い。それでもしっかり起きれるんだから期待もひとしおといったところだろう。13時キックオフの高円宮杯決勝には寝坊して行かなかったというのに、「モチベの差」はこんな所にも出てしまう。
新宿で途中下車、BERGで朝飯を食って向かうは田舎。何となく、現地組に負けない朝飯を食ってやる!という、ムダな反骨心。

  • 真っ赤なギャラリーのトピックは…

さいスタの第4グラウンドはホームゴール裏に数段のベンチが備え付けてあるだけの質素な作り。防護ネットがじゃまくさい(柏育成部のブログ写真参照)。そしてそこにはなかなか多くの浦和サポが!前週にあった高円宮杯決勝での強烈なプロモーションと、また前日この場で起きたこれまた強烈なプロモーションも要因か。だからか聞こえてくる話題は「ゲルトがよぉ…」「強化部がさぁ!!」だのばっかり。まぁそりゃそうか、闘莉王泣かしたくらいだからな(しかも時を同じくして大原でとんでもない事態が起きていたわけで)。おかげで目の前の試合についての話題はあまり無し。もったいない。
高円宮杯での抜群のプロモーションによって、ユース観戦のリピーターになった人もいればウワサを聞いて初めましてのサポーターも多かったはずの今日。そんな彼らが次に見れる相手があの柏U18であることは、偶然重なりすぎてスゲェ幸せな事なわけで。リピーターを作る(=魅力の一端を感じてもらう)には抜群のカードであったと言えるわけだ。
…とは言ってみるが、当の自分達もクラ選優勝後の大きな大会という意味ではその次は「宇佐美んガンバY」だったわけで、ウチもそうだったんだけどね。

  • ベストメンバーではなくとも言い訳無用のガチ勝負

浦和Y
_____________ 途中交代
_____18______
_14_______24_ 18→11
____8___10___ 3→19
______5______ 24→2
_6__4__3__25_ 10→12
______1______ 25→13

柏U18

_______9_____
_25_______11_ 途中交代
____10___6___ 
_______5_____  20→2
_14_20__3__12  6→7
_______1_____ 10→17

顔もほとんど覚えていないしJユース杯の背番号登録が分からないので、高円宮杯の登録と照らし合わせて進めます。選手名は間違っている可能性大、あしからず。浦和は高橋峻希阪野豊史が不在。代わりを18葺本?24磯部?が。けど正直、優勝後トップ練習に合流した原口・山田も居ないものと思いこんでいたから、予想以上のメンツで驚き。何より原口が居る事は浦和ユースというチームとしては何より大きい。ちなみに高橋は普通に見かけたし、担架要因っぽかった(笑)情報を巡ってみると風邪だとか。対する柏は仙石がやはり不在、そして酒井が骨折(全治2ヶ月…)してしまった。5橋本?がアンカーで14川尻?が左SBに。両者共に今まであまり印象になかった選手。てか見返してみると高円宮杯でDF登録5人だけかよ柏(笑)。つかこのままやってて本当に合ってるのか?怪しくなってきた…
立ち上がり開始0分だ1分だにイキナリ浦和。左から原口がお得意のストライドで中央にナナメに侵入、ちょこんと後ろに託したらそこからごちゃついてペナ内右サイドへ、受けた磯部は思い切りよく、しかし柔らかい左足シュートでGKのアタマを抜きゴール!先週の勢いがそのまま出た、何とも浦和Yらしいゴール。
ビッグタイトルを取ったからか、当然浦和Yに溢れるのは「自信」。これは浦和の様なサッカーをするチームには抜群の特効薬となる。個人力で目立つのはやはり、どうしても原口元気。赤き血のイレブン、というよりかは「緑の血」の様なチーム、ってのが自分の浦和Yに対する印象。
しかし、柏U18。簡単にはやらせないし、自らもやってみせる。9分頃に同点ゴール。右サイドからパスワークでペナ内10武富に入ると、DFを背負いながらもヒラリと前を向いてかわして見せ、左足でGKとの1VS1を流し込む。赤い人達が邪魔で見えなかったけど、「ベルカンプトラップ」だったかも。とにかくとんでもない個人技だったのは確か。しっかり見たかった…。1-1。
同点になってからは柏タイム。ポゼッション率がガクンと柏U18側に傾いたのは同点以降くらいから、結局試合終了までして見せた。浦和相手にもコレだから恐れ入る。しかしその柏U18スタイルは多少変わっていた。というか知らなかっただけなのか、とにかく自分が持っていたイメージと少し違う。

  • イメージ外の、柏の「攻めっ気」

この日の柏U18には、いつも以上の「攻めっ気」があった様な気がする。14川尻は、その前の25指宿に近づく形でお互い非常に近い距離感で強気なポジを取る。そこで指宿に入れば必ずと言っていいほどにガンガン追い越すし、サイドチェンジのボールが指宿を追い越してハナから川尻に入る場面もちらほら。右サイドも初期位置は異なるものの、茨田?こちらもかなり積極的に追い越す。
こうして強気の両SBで高い位置に起点(この時点で既にペナ角手前くらい)が生まれると、それをさらに中央に当てる。柏のパス技術でここまで繋いで中に侵入しても、更に「サイドに叩くか」「ポストを追い越す選手に落とすか」の多彩な選択肢がまだ残る。かなり危険度の高いフィニッシュまで、高度に崩したうえでやり切ってしまう。
やりきってしまう、っていうのが自分の印象枠の「外」の話で。柏U18といえばかなり深くまでボールを運んでみても、ダメならアンカーまでボールを戻す、そんな徹底した焦らしボールポゼッションなイメージだけど、今日はその印象よりも結構前への意識が強い。『戻さない』。
現地で絶賛されたスペイン流ボールポゼッション、というよりも日本で現在美徳になっている様な日本的ポゼッションに近いか。あんなにガンガンに追い越して、個人技絡めて崩しきる印象があまり無かったからかなり驚き。超ぶっきらぼうに言えば「柏U18がMovingしている」。まぁ冗談半分に聞いて下さい。むしろ元々そういった気があるチームだったのかも知れないし。
柏のCK、中央で味方(分からなかった)が逸らして、3飯塚が押し込んで逆転1-2とした柏。そして決勝点の柏の3点目。コレが凄かった。縦に当てたボールは、トライアングルにショートパスを繋ぎ右サイドを追い越す茨田?に。まさにFC東京-川崎戦の4点目の今ちゃんの様な抜け出し方から茨田はダイレクトに中央へクロス、綺麗な弧を描いたクロスは中央詰めていた畑田がシュート、一度弾かれたボールを再び押し込みゴラッソ完結。このゴールはとんでもなく美しかった!このゴールだけで見に来て良かったよ。

  • 個の浦和。パスワークの柏

1-3柏の勝利でFT。点差通りの完勝だった。
観戦していた浦和サポからは高橋・阪野が居なかったし仕方ないかな…な空気を感じたけど、タレント不在はこっちも同様で(「こっち」て笑)、そこに逃げ込む事は出来ない。それではもったいない。
正直なところ、自分はチームとしての浦和Yはあまり評価して無くて。ムダにダイレクトパスにこだわるし、そのせいでムダに精度が落ちて相手にボールを渡してしまう事が多いからだ。それぞれの個がかなり強いからこそ成立している場面も多くある、決勝の様にドハマリする事も有れば、準決勝のようなドハマリもしてしまう。あれだけ強い個があるんだから、それがもっとシンプルに活きる攻撃にしてしまっても良いと思うけど、簡単に原口に持たせてあげて「ハイ抜いて」で。もうちょいチームとして出来る事はある気がするけど…ただ主力のトップ帯同・代表招集で浦和Yとして過ごす時間がかなり少なかっただろう同情は忘れずにしておきたいところだけど。まぁ個の強さはさすが「この世代のためにクラブがユースを整備した」と言わしめるだけの、スゴイの一言しかないし。単騎の強さを持ち合わせた無双共が集まったチームなのは間違いなし。
そしてそれに完勝して見せた柏U18がやはり素晴らしい。柏のパスワークは当代イチと、早い時期から謳われたみたいだけど、もしかしたら彼らは「けどまだ何も成し遂げてはいない」と気付いたのかもしれない。ゴール意識の強さだけでなく、気迫というかメンタルの部分でも伝わるプレーを見せてくれたし、こちらも充実の様子。仙石のケガの様子も酒井の骨折も痛すぎる離脱だったが、代わりの両者は遜色ないプレーだったと思うし、特にアンカーの5橋本はよくやっていた。フクアリでの対ヴェルディ戦ではイマイチな内容で心配だったけどやはりこのチームは抜けている、浦和Y以上の優勝候補と言っていいでしょう。けど柏を追いかけている人から言わせれば、今日の柏の攻撃は不調だったらしい。まじかよ〜。
予定通りのグッドゲーム、両チームとも充実していた。あー面白かったわ。

  • どうでも良い余談を付けたがる性格。

帰りは武蔵野線新座駅の「ぜんや」にてチャーシューメンを。「現地組に負けずに美味いモノ喰っちゃる!精神」は結局昼メシにも。シンプルだけど奥深い、店主の誠実な人柄が出ている様なラーメンですげー美味かった!朝も早いさいスタ浦和Y-柏U18→東京競馬場にハシゴする、「やっぱ秋華賞より府中牝馬SだよねJK」って東スポ競馬欄読みながら武蔵野線で府中本町に行く様な方は是非途中下車して食べる事をオススメします。