えぇまちがいなく天才ですよ、えぇ 高円宮杯 GL F組 G大阪Y-桐光

観た試合の感想を書くとなると、この週末で5試合分もの「宿題」が溜まってしまっているので、簡単なものになってしまうのをお許し頂きたい。
土曜日は西が丘→味スタハシゴ。まずはガンバユース-桐光から。
東京戦では4-4-2の左MFに配置された宇佐美、しかし攻撃時には極端に中央に絞らせる形を取らせ、変則的な4-1-2-3のCMF的な仕事を任されていた。それがこの試合では攻撃時でも4-4-2のまま、先日のクラ選のように宇佐美がサイドに張らせる形に戻してきた。結果、これがガンバ大勝の勝因と言える。
宇佐美始め右サイドの神門も、逆サイドにボールがあっても中央に絞らずに逆サイドフリーを保った。それが決まっているガンバは攻撃がやりやすそうに見え、いくら同サイドでチマチマとボールを回しても最後には逆サイドにフィードを入れれば良い訳で、おかげで同サイドでチマチマ組はケツか決まってるから、逆サイドの選手特に宇佐美はプレッシャーの緩い形でボールを受けれることが出来るから、両者共にやりやすそうだった。
宇佐美にとっては恐らくこちらの方が重要ということなのだろう。ゴールから、密集エリアから離れたサイドに陣取ろうとも、その視野とキック精度、射程範囲を思えば離れた位置にいることは些細なことでしかない。相手DFが数人しかいないようだったら、そのスピードと重心移動でサクッと抜いてシュートをぶちかませばいいだけなのである。恐らく、もっともらう位置を危険なところへ、といった配慮もあって中央にポジションを取らせた東京戦は、むしろそこまでボールが来ないままに終わってしまった印象。もらう位置よりの配慮よりも、いかにフリーで持たせてあげるか、もらい方の配慮が、この天才には必要なことなのかもしれない。
結果ハットトリックの宇佐美。圧巻は3点目。ペナ左カドからワンツーで侵入する宇佐美、しかしリターンパスは近距離ながらかなりの勢いのパスだった。それを飛びながら、これ以上ない柔らかさで右足トラップ、流れるように左足ボレーで押し込んだ。あのトラップで勝負有り、ベルカンプを思い起こすトラップがまさか、この西が丘で見れるとは。1stタッチフェチの自分としては、これは参った。
桐光としては、前回同様耐える展開に持ち込みたかった。しかし、広島戦のような気持ちがプレーにのることはとうとう無かった。リターンパスをことごとくミスし、それ以外にも全体的にミスが目立った。2点目を献上した時点で集中は途切れ、DFラインは統率の欠片もないものになってしまった。桐光としては、こうなってしまったら仕方がない。今日は桐光の日ではなかったということ。天才の存在が恨めしく感じたことだろう。

動かない、守備しないとは宇佐美を称する時に聞かれるフレーズで、それは実際何も間違っちゃいない。けど、彼がいないと何も始まらない。それ故に、名門ガンバユースの10番であり、『天才』なのである。
彼はもう高1だ。動け。守備しろ。そういった部分を教え込むチャンスはもう失っただろう。サッカーに関する性格・意識は強制されないまま、とうとう天才宇佐美貴史はいちサッカー選手として完成を迎えることになりそうだ。それは現代日本サッカーの正義を教え込まないまま、彼の我をそのまま手を加えずに育ちきってしまったということ。10年後の彼は一体どういったサッカー選手となっているだろうか?100かゼロかの、なかなか楽しい大博打が見守れそうだ。
一緒に見た友人は宇佐美のことが気に入ったようだ。天才なのは間違いないから、惹かれるモノを感じるのも納得だ。そして自分は、何かキライ。嫉妬混じりではあるけれど、自分は献身的に動いてくれた神門の方が好感を持てる。
「おめぇなんて東京じゃレギュラーなれんからな!倉又さんに矯正されてチャンチャンや!」と心につぶやいて、次の試合を迎える。
まぁこの辺は個人の好みですから。天才に向けられた、凡人の嫉妬ですから。