TPOをわきまえたプレーと意思統一が レビュー -柏戦

今更柏戦。ホントもう、記憶が薄れている。あぁ
柏がゲリラ雨の真っ最中だって伝えたら「ってことは泥んこ水溜まりサッカーですね」との返信が。イメージとして持っては居なかったけどそういえばそうか、覚えておこうとスタジアムに入ってみると予想以上の水浸しぶり。

サッカーになんてとてもならない様なピッチでの前半。浮かしたパス、裏にけり込んでボールが止まるところを狙うなど、泥んこサッカーのセオリーを繰り返す両者。改めて泥んこサッカーに遭遇してみると、かなり厳しいフィジカル勝負だって事がよく分かる。こういうピッチだと、いわゆる「パスミス」が限りなくゼロになる。裏に出たボールも、明らかにパスミスだったらそれはもう追わなくても良いのに、止まるかもしれないとなるとFWとしては全て追わざるを得なくなる。足元に来るはずのボールが手前で止まり、それを取りに戻らないといけない。浮いたボールは全て全力ジャンプで競っていかないと行けない。サッカーの質とは反比例してフィジカル・スタミナには限りなく厳しい状況が結局前半終わりまで続く。

こういう状況になると、プレーの気の利かせ方だとか基礎技術で差が出てくる。ピクシーがリフティングでドリブルしたのは最たる例で、実際にこの状況に遭遇してみるとあのプレーがいかに素晴らしい『選択』だったかとそれを実現しうる技術の素晴らしさを思い起こす。
一番気を利かせていたのは羽生。止める・蹴るを全て浮き球で処理して見せたり嫌らしいロビングを撃ってみたり。千葉時代はオフの動きくらいしかイメージがなかったが、東京の選手としてしっかり見続けてみるとその基礎技術の高さに今年は驚いてばかり。本当に素晴らしい選手である。梶山もそういった意図があったけど、実現しうる基礎技術を比較してみるとどうしても羽生には及ばない。何で代表に呼ばれないんだろう?あとこういう試合になると、リスクマネージ的には「浮き球を落としてはいけない」はず。跳ねるかもしれない、止まるかもしれないのリスクは最大限注意すべき部分で、「落とすなァ!」って声を自分も飛ばしまくってしまったんだけど、その辺で長友が非常に良くなかった事は付け加えておく。後述の後半で元気な姿を見せては居たけど、前半これらの判断ミスは許容できるものではない。早期の整理付けをまだまだ期待したいところ。

そんな後半。見返してみるとここで比較的パスを繋ごうと志向するサッカーに切り替わっている。確かにピッチの状況が変わっていて、ドリブルしててもボールが止まる、だとか直接的すぎる影響はなくなっていた。共に本来に近いスタイルを発揮し始めるが、そのスイッチをいち早く確実に切り替えていたのは東京だったと思う。この辺りの意思統一は素晴らしかった点の一つ。
試合後に城福監督が胸張って(意地はって?)「やっている事は今までとは変わらなかった」と述べたのは、事実そうだったと思う。ワイドに構えるカボレを有効に使いながらおなじみのパスサッカー。確かにこなれてきたし、浸透してきた様で後半は柏に対し優位に試合を進められていた。
逆を言えば、いつもと変わらなかったわけだから得点もいつも通り1得点のみ。またしても「2点目の壁」に泣かされた形。しかし今までと何より違うのは『勝ち点3』という成果。2点目の壁に泣かされてとは言っても、逆を言ってしまえば「1点は確実に取れる」とも言える。他にも例えば、DFラインでパス回ししていても、相手の強烈なプレスに「追いつめられている」と捉えてボーンとただ蹴るのか、「相手を追い込んだ」として余裕を持ってヒラリとかわしきってしまうか。調子の良い時期に大竹がケガしてしまい非常に残念だったけど、逆にそのお陰で一旦外から冷静に見つめるチャンスが生まれ怒濤の今シーズンを一旦整理でき、あぁ再開後の逆襲は堅いな多摩川クラシコではまた伝説しちゃうだろうなとも思える事が出来る。
そう、事実なんて表裏一体。事実なんてものは、どちらの方向から見るかによって大きく変わってしまうもの。そしてその方向を決めるのは自らの気の持ち様なのだ。
勿論その方向、そしてそれを決める精神状態にはあれやこれやの要素があるわけだけど、それは言わずもがな、でしょう。それを青赤の戦士達はしっかりと日立台から持ち帰れた。やはりアウェーでの勝利は格別。試合前にはしっかり『とみ田のつけ玉そば』もしばき(究極に美味いね、ヒャッホー!)文句なしの中断前で、それに浮かれてボケーッとしてたら、今日ですわ。すんません。