豪雨で目立った「東京らしからぬ」プレーぶり FC東京U-18-桐光学園

梅雨前線を刺激したのは、誰だ?!とんでもない土砂降りの小平で、再開プリンスリーグ。厳しいコンディションながらも、なかなかの人出で賑わっていた小平グランド。
先週那須で関東第1代表の座を手にしてきた我らが東京U-18。聞けば相当な苦戦、那須で戦ったマリノスユース・柏ユース共に激強かったらしいが、それでも勝ちをかっさらった経験を少しでもピッチで見せることが出来れば。メンバーは山浦が出停で右には梅内(初先発?)左には阿部巧。左SBに久保田が入りボランチには江口が。2トップは岩淵・重松。桐光は何と言っても瀬沼。しかし最初2トップのどちらが瀬沼か分からなかったほどに相方の13番も高身長。ツインタワー。
豪雨の中でもさすがJ1クラブ所有の人工芝グラウンド、水はけは抜群で水溜まりが出来るということはなかった。しかし当然ボールコントロールは両者苦労する。
トラップに苦労していたのは東京の方だったと思う。昨今のユース教育のトレンドであろう「低くて早いショートパス」を実践している故でもあるのだろうが、トラップ際を桐光にかっさらわれることが多い。方やの桐光はトラップのミスは少なく、基礎技術の高さはさすがプリンス一部所属チームである。しかし、パスを回す、という面では東京のが断然良かった。トラップがあってのパスなわけで、これでは矛盾している様だが、そうなのだから仕方がない。何度もサイドを突いてはボランチに下げ、逆サイドに展開する場面は多かった。そしてダメならば徹底的にやり直す。これまた昨今のトレンドか。
総じて、雨中ながら遜色ないプレーぶりを東京は見せていたと思う。球際は激しく、左右サイドの心憎いアタックぶりとそれを演出するパスワークは健在だった。その根底をなす要素として、自分は「DFラインのパス回し」にそのカギを見た。
ピッチレベルのゴール裏での観戦を強制させられる小平多目的グラウンド。ゆえにピッチ全体を均等に見渡すにはかなりのコツを求められる。そんなコツなど持ち合わせてない自分にはどうしても手前で行われていることに意識が集中してしまう。前半、東京は手前から遠くへと攻撃する向き。だからこそ、「DFラインのパス回し」はよく見ることが出来た。
意識してユースを見始めた去年から、既に多少耳には入っていた「トップより上手い、DFラインでのパス回し」。東京の伝統を色濃く受け継ぐ東京U-18だが、唯一東京らしからぬ良さと言えば、この部分だろう。適切に素早いポジション取り、特にCB畑尾と藤原は適度な遠さをを保つ。判断とボールスピードは速く、両者の間で行われる頻繁なパス交換で相手を確実に揺さぶる。CBの両者がSBに近めの位置を取れているので、仕掛けの合図となるサイドへの展開も素早くピシッと気持ちの良いパスが通る。オールコートで桐光がガツガツ来たわけでもなかったが、来たら来たでボランチとのトライアングルでさらりといなす事も出来ていた。
これを近くで見れたことがこの日の収穫。このDFラインのパス回し技術の高さが、東京を落ち着かせ、荒れやすい天候の中で確実な「火消し」となっていた様に思う。これはトップには無い、東京U-18の「武器」。
試合は岩淵のハットトリックもあって4-0勝利。無事に高円宮杯出場を決めた。長く観戦してきた人からすれば感慨もひとしおだろう。とにかくまずは出ること。それが出来るのが嬉しい。そういうことである。
桐光の瀬沼は、確かに雰囲気系のFWだった。線は若干細めながら、ボディバランスの良さで簡単には倒れないし、ボール所持時に自分の間を発揮できる。個人的には「やる気のあるクラウチ系」と結論付けた(鵜呑みにしないで下さい笑)。確かに良いFWだったが、残念相手が悪かった。藤原がトラップ際を後ろからハードチャージ。2トップ共にガツガツ守備で勝負し、無失点の出来。いや、藤原が素晴らしい。プリンスをちょいちょい見始めてから、どうも藤原が気になる存在になりつつある。トップ昇格は何とも言えないが、大学経由で素晴らしいCBとしてお目にかかれそうな存在。畑尾との2CBは東京の誇れる軸である。
思えばこの時から始まっていた6/29佐原デー。出身の桐光学園とユースっ子が対戦し、味スタで本人が大立ち回りし、中村俊輔やべっちFCで締める佐原デー。俊輔がトリで締めるというのが何とも気にくわないが、まずは前座東京U-18が佐原デーに勢いを付け、メインイベンターにしっかりとバトンを渡した、といったところでしょうか(違います)。