身体に染みる花散らしの雨 レビュー -清水戦

開始直前に大粒の雨が囂々と降り注ぎ、観戦者としては厳しい試合環境に。しかし、それは選手にとっても同じだった。前後半含めて、内容は清水優位。イヤなタイミングでの失点だったが、1-0という結果自体は妥当なもの。東京としては、負け試合をいかにして粘れるかが問われる試合となった。
内容の優劣は、中盤の優劣。あれだけの中、清水の中盤のパス回しは見事だった。スリッピーなはずのピッチの上でも、ピシッと止めて蹴る動作にブレが無いのには驚いた。それに対して東京はどうしても「雨仕様」のテクニックを出さざるを得なかった。その仕事ぶりの違いは、恐らく両者のプレッシャーの掛かり具合も影響があったか。意識高く早いタイミングで相手に寄せる清水に対して、東京はほぼ人が居ない状態。大竹がどちらかサイドに張り、その後ろにトレスボランチを布く形の様に見えたが、大竹はまだチェックが相手をディレイさせるまでにはさすがに行かず、さらにトレスボランチは全く機能しなかった。相手2トップや藤本などの有力選手に浅利・今野がついてしまい、そのままDFラインに吸収される。残った梶山ではその広大なスペースは埋められず。常にフリーなフェルナンジーニョが、バイタルエリアで悠々とパスをこぼれ球を待ちかまえていた。それでは、やっぱりダメ。システム上フェルナンジーニョが全ての攻撃を司る訳ではないが、ボールをキープし、粘り、粘り、結果有力なエリアにボールがこぼれてしまう。それでいい。ここは明らかな修正所だったが、
状況証拠はあるが、それでも梶山の出来は良くなかった。好不調の目安とする「ボールキープが取られる」も、特に前半は多かったし、何より守備時に、同情はあってもやはり危険箇所への嗅覚は低かったと言わざるを得ないものだった。ただ、3ボランチを布きながらフェルナンジーニョをフリーにし続けたのは、そもそもの構造上の欠陥であり、梶山と等しく浅利と今野が良くなかったということは明記しておく。(カジヤマニアとしての最後っ屁)
後は徳永。非常に出来が悪い。攻撃時の不用意なパスミスは今までも非常に多かった。そして今日もパスミスはあった訳だが、この日は孤立する形でボールを受けることが多かったので、確率の低いボールを蹴らざるを得ない状況があっただけに多くは言えない。しかし、守備。最近の徳永は、とにかく守備が酷い。裏を取られたのは致し方無しとしても、ならばその後のカバーにやり方があるはず。適切なカバーのポジ取り、行くべき所でのフィジカルの厳しさ。クリアボールを拾いに行くときの、セーフティのボールをフィフティーにしてしまうチンタラ走り。ここ最近のはとにかく耐えられないものがある。小平でのTMが良くないので代替に消極的になっているのかもしれないが、トップチームに混ざる形であれば良さは発揮できると思う。また、怪我人等の状況や過密日程などのタイミングを考えたら、アンタッチャブル化しつつある徳永は下ろし時な気がするが…
この日は、試合中に取り戻しようのない悪さが出てしまった試合だった。なので選手交代の狙いとしては「悪いなりに勝ち点を拾う」になる。こういう時の平山はそれなりに恐怖になる。事故が起こる匂いが途端にプンプンする。だから、結構良かったと思うが。サイドに流れるプレーに対する批判は多かったが、じゃあ他に誰が流れるかっていったら、カボレも赤嶺も(スタミナもあってか)流れる気は全くなかったから、押しくらまんじゅう的に平山が流れてしまったのは仕方ない気も。むしろ気になったのは「放り込んだボールをフリックオンで流さないでトラップしようとした」事。シンプルのために入れたロングボールを複雑にしているだけでしかないと思う。
GW連戦の頭でこの内容は多少ズッコケたが、なんやら言ってるウチにもう次の試合。切り替えれば良いだけですから。ラブリーに浮かれて頭がお花畑だった自分にとっては、良い「花散らしの雨」だったと捉えますよ。悔しいけど、次だ次。