ここまで時間がかかってのレビューってのには、あまり意味はありません。自分はいわゆる「演説」を聞かずに出て行ってしまったので、怒りだとかも感じなかったし、というかそもそも最近は東京の試合を見ても試合後の余韻というか良くも悪くもすら気持ちが動かされないんで(←重傷)。
この日違ったのはとにかくボール奪取でしょう。ボールホルダーに対する意識とチェックがなかなか高いレベルであり、結構気持ちの見える球際を見せてたと思います。カウンターの際にそれは特に発揮され、カウンターを遅らせるだとか、そこからすぐに再奪取といった場面は非常に多く見られたと思います。
その結果生まれた事実は「高い位置でボールを奪えた事」です。前回の試合に比べたら、印象レベルですが自陣でボールを奪わずに済む機会が非常に増えた。中盤でのチェックの段階でボールを奪う機会が非常に多かった。これは前節に比べて変わった一番重要な部分です。
ただ、よかったのはまぁ、それだけでしょう。ボール奪取が高い位置だったおかげで攻撃もそれなりに格好ついたかの様にも見えるけど、フィニッシュ・ラストパスのレベルはあまり高くはなかったしその結果0得点ですから。前線のチェイシングも(絶対に必要とは言わないけど)あったのは川口が居たからというだけ。それでも一番の懸念事項である中盤守備が良かっただけ良いと思うべきでしょう。
考えるべき事は、「なぜこの日の改善が見られたか?」という事です。準備期間の短さと今までの事を考えたら戦術的改善を施したなんて事はないでしょう。考えられる事は心的要因もしくは人的要因。この日の試合に向けた気持ちの入り方が違っていたのか、茂庭が居なかったから、藤山が居たからなのか。ここで自分は「浅利が居たから」と考えます。むしろ要因はこれだけとすら思っています。大事な時にボールを追ってくれていたのはことごとく浅利だったし、浅利の守備での効きっぷりはさすがと唸らされる出来だったと思います。しかし結局今年の試合を見てるとその範囲内での良い部分を発揮したに過ぎなく、前に聞いた様な同じ問題はまた出てくるでしょう。
そこで思うのは「ボランチの組合せ」。東京のサッカーの出来が「ダブルボランチ」にかなり依存されている事は昔からの周知ですが、ここに来てやはりこの問題が浮上してくるのです。部分部分を抜き出すと、05シーズンよく見られた「今野・梶山」というのは終盤の猛攻を見ても非常にフィットしていた。「浅利・梶山」はこの日も含め結構出来の良いコンビであると言えると思う。そして「伊野波・梶山」のコンビは・・・。ちょっとこれは別で話す時があればします。今回はそこまで賄い切れません。
良い試合を見せたとは思います。自分は試合後は拍手で選手達を迎えたし(ここで「甘い」と指摘できる石井さんはさすがだと思う、センスのないブーイングしかできない輩とは大きく違う)前節までの流れを考えればそりゃあね。けど、気持ちは見せた、重要部分を改善した、しかしその結果残った事実は「勝ち点0」。しかも良かったと言えどもそれはどん底の前節との比較であり、所詮最悪の今シーズンの中で見せた範囲内での良さ。どうせこれを続けてもまた藤山の個人力の問題が出て来て、浅利のコンディションが垂れてきて、さらに五輪(平山・伊野波・梶山)と累積(茂庭・浅利・ルーカス・ノリオ・徳永・福西が現在累積3枚)でメンバーは今後どんどんと崩壊していく。確実に。多少は良いなと思ったから次だ次、とか最初は思ってたけど、3月末と比べても間違いなく酷い出来だったこの日の柏との試合は、思い返した時に「ここで勝ち点3取れていれば」という試合であった、となる可能性はほぼ間違いないと自分は見ています。次良くなればいいですが、実はコレがピーク、限界だとも言えると思うし、自分はそれを確信レベルで思っています。
あまりネガティブになる事はそりゃあ言いたくないですが、とにかく今後は残留をかけた総力戦。拾えるところで確実に勝ち点を拾う。調子の良い選手(今で言えば赤嶺・平山・浅利か)(累積を逆手に取りフレッシュなチャレンジをするなど)で日替わりヒーローを生み出し、上手い事やりくりしていくしかないでしょう。そしてせめてこの日の様にボールに対して執念を見せて、味スタから「笑顔で帰ろ〜!」ってなればいいのですが。
今年に関しては結果も内容も改善する手だてはもうないでしょう。もはや監督を変えても劇的な変化は望めない(残留のために、という条件付きならば別かもしれないが)。来季賢い構成を作り上げるために、その前提条件となるJ1残留を死守する事が今年の全てとなるでしょう。何度も言いますが、浦和だとか柏とかを見て「J2に落ちるのも・・・」なんて思っては絶対ダメ。東京のあらゆる性質を考えたら、J2に落ちたところでそれは改善できませんから。
何でこーなっちゃったのかなぁ?ホントサッカーは難しい。