世界中が絶望した コパ・アメリカ ブラジル×アルゼンチン

前半を見る限りだと、コレは伝説になる!と思って興奮してしまいましたが、後半はその思惑を覆す程の一方的なゲーム。意外な形での伝説となりました。
あのブラジルを見た世界中の人々はどう思ったでしょうか。オレは脅威としか言いようがないものを感じたんですが。決勝に勝ち上がるまでのブラジルは見てはいなかったけど、評判の悪さは何となしに聞いていました。しかしブラジルがこの日に見せたサッカーは凄まじいモノがありました。
まず、徹底的な鬼プレス。FWにもそれなりに守備への意識付けは感じたが、それ以上に猛烈なのが中盤にさしかかったときのプレススピード。判断の速さ・寄せの速さ・囲む速さがハンパ無い。アルゼンチンの攻撃の『全て』をシャットアウトしたと言っても何ら言いすぎではないその実効レベル。リケルメもメッシも前を向けなかった。想像して下さい、中盤にかかった途端にブラジル人4人が猛烈なフィジカルでボールを確実に奪う姿を。そして、その後の守から攻への切り替えの速さ。囲んだ直後からすでに選手を信じて攻撃に走ってないと成立しないだろと思うくらいの超高速カウンター。想像して下さい、ボールを奪った途端にあのブラジルのスピードとドリブル・ワンタッチパスで、人数と陣形の揃ってないDF陣に対し必ず数的優位で押し寄せる恐怖を。ラストパスやフィニッシュではブラジル人のテクニック精度のおかげで抜群の決定力を生む。その結果の3-0。正直もっと点が取られてしまう気すらするほどの圧倒差。とんでもないモノを見てしまった気がします。
ドゥンガはとんでもないチームを作り上げました。間違いなく完成型。間違いなく最高型。途端に名将への仲間入りです。ロナウジーニョ・カカなんて要らないという説得力としては抜群の内容でした。確かにドゥンガ構想がコレならば、カカはまだ良さそうだけどロナウジーニョなんて入る余地すらないわ。
そんなドゥンガセレソンを最高型と言い切ったのは、やはり今後のブラジル国内の世論がどうなるのか?という部分にチームが動かされてしまう心配から。言ってしまえばドゥンガのサッカーは「モウリーニョのソレ」であり、日本で例えれば「外人頼みの糞サッカー」的でした(笑)。それを世論が受け入れられるか。今は良くても、もっと規模の大きい大会、つまりはW杯が絡むときにそれでもロナウジーニョを切れるか。今のこのチームはドゥンガの理想が「純」に反映されている、しかしこれが大会の規模が大きくなる時に外野からの「不純」な要求にどう立ち向かうか?そこが楽しみではあるけど、個人的には「ブラジルがこのサッカーやったら世界はどう挑めばいいのよ」という気持ちでイッパイなので、これが多数の意見だとしたら、このまま上手くは進まないかなとは思ってます。あー東京で監督やってはいただけないだろうかい。
対するアルゼンチン。ボロボロ。全滅。しかしこうなったら逆に「古典的な王様サッカー路線」をこのまま邁進するのも逆にアリな気もしてきました。サッカースタイル的にはブラジルから見て、非常に組み易し、グーとチョキの関係だったと思います。このスタイル同士でぶつかり合えば、そりゃこの結果になると。しかしこの一回の敗戦で全てを方向転換してしまうのはあまりにももったいない、それくらいの準決勝までの内容だったと思います。しかし今回のブラジルのスタイルはある意味現代の世界標準のサッカースタイルと言えるわけで、それに対する対策は間違いなく今後必要でしょう。あとリケルメがダメな時にどうするのか?リケルメの代役を捜すのか、新しいオプションを用意するのか。アルヘンはチームの精度の高さと引き替えに、困った時の引き出しが少なく、最後はここに苦しめられたなと。

しかし何より、あのセレソンに完璧な組織をたたき込んだドゥンガの凄さが何より印象に残った試合。ドゥンガマジすげー。シャツの件さえ目をつぶれば、あれだけの組織が手に入ってしまうと思えば、日本人的な発想では非常に美味しい話だと思うんですが、どうですかブラジル国民の皆さん?