一人旅 day1-2 ~甲子園には魔物がいたよ編~

15:00前後甲子園口着。駅の雰囲気だと、甲子園まではバスで行かなきゃいけない臭いので、甲子園に行きそうな客の後をついていきながらバスに乗り、降りる。「阪神甲子園」で降りると、阪神甲子園駅」、目の前には「阪神甲子園」こんなに近かったのね。不意打ち。球場周りにはとんでもない人、そして応援のブラバンがかすかに聞こえる。早く入りたいが「チケットは売り切れました」の放送。何とかならないんですか?と列誘導の人に問いつめると「外野席は無料で開放してるんでそちらに行ってください」と言われる。全然何とかなったよ。おみやげにグッズを少し買い外野席に移動。途中東北高校の応援団に遭遇。チアリーダーの子は軒並みかわいい。そして、東北高校のユニフォームを着た外人さんも一緒にいたけど、ダルビッシュ父?
甲子園の中はさすがにそれなりに広いが、サッカーの「総合競技場」に見慣れてる身としては全然狭い方。しかも客席の勾配かけっこうきついので近くによく見える。球場内は超満員。通路に座ってみる人であふれていたけど一人分の席は空いてたのでそこに強引に身体をねじ込む。
暑い。相当暑い。上半身裸のおっちゃんがいたけど気持ちは凄い分かる。この中で選手は大変だよ。けど、そんな中でもこれだけの人が集まっている。この中で野球が出来る選手達は幸せ者だ。みんながここを目指して必死に努力する理由も分かる。こんな晴れ舞台に立てる人なんてそうはいない。そりゃあ南ちゃんもあれだけ行きたがるわけだ。
第三試合熊本工ー明徳5回オモテからの観戦。なかなかの好カード。試合は2-1で熊本工リード。勝ってはいるものの膠着した試合が続く中、待望の追加点で3-1とする熊本工。この一点は大きいね、と隣のおっちゃん、うなずくオレ。コレで終わるかと思った八回裏から、とんでもないドラマを見る。
先頭打者をあっさりと四球。隣のおっちゃんもオレも、そして周りの人も一斉に「この四球は恐いな」。そしたら次の打者でエラーが出て、ノーアウト1,2塁。ここで二番がきっちりと送りバントで1アウト2,3塁。好打順。三番が犠牲フライ、一点返して2アウト3塁。二番、三番がきっちりと仕事をし、一打同点で四番へ。さすが名門。おっちゃんと最高に盛り上がる。その四番もセンター前タイムリーヒット。三塁側スタンド大盛り上がり。すげーすげーとこっちも勝手に盛り上がる。五番もヒットでまだまだつなぐ。2アウト1,2塁。一塁走者に代走。相当速そう。六番の時にワイルドピッチ、その後四球で2アウト満塁。とんでもない光景を見てる気がする。しかし7番をセカンドゴロに押さえて何とか同点でとどまる。凄い試合になってきた。隣のおっちゃんと八回裏の攻撃を振り返る。「かちわり」を持った右手にも力が入る。
大事な九回。ここで明徳は代走を出した関係で守備のポジションをチェンジ。しかしこの変わったポジションが何と背番号通りの美しいポジション配置。「これが一番の守備ポジなんだろうな。スタメンは攻撃的なオーダー。点を取ったら代走を送る事で本来の鉄壁な守備ポジションにスムーズに移行できるようになっとる。さすが名将やな明徳は」コレは凄い。この計算ずくの戦術に鳥肌が立つ。気付かせてくれたおっちゃんありがとう。ヒットを一本許すものの危なげなく九回表を乗り切る明徳。流れはまだ明徳に残っている。
九回裏。先頭バッター8番がしっかりとヒット、続く九番は送りバント成功。キチッキチッと仕事をこなす。ここで熊本工、守備交代。「こういうのは、何かイヤな感じだな、あるぞコレ」予言通り、二番が一塁強襲サヨナラヒット!!「キターー!!!」相当叫んだ。魔物を生で見ちゃったよ。興奮。
次が詰まってるから余韻に浸るまもなく挨拶。サイレン。そして校歌が流れる。はしゃぐ明徳の選手に拍手。負けて、泣いても、堂々と応援席に挨拶に来る熊本工にも惜しみない拍手。オレもかるくウルウル来てたなありゃ。あの短時間で明暗がこうもくっきり分かれちゃうんだから、残酷っちゃあ残酷。今までの努力とかも考えると特に。言っちゃえば他人なのに、ここまで心に来るものがあるってのは、それは甲子園中が野球が好きだという事、夢や希望、素直な感情にあふれているからだろう。小細工なんていらないんだよ、直球で来られる方が感動ってのは伝わるんだよ。そんな球児達の夢、プロ野球は今・・・プロ野球問題を思いながら激戦の余韻に浸る。
甲子園すげーわ。近くだったら毎日行ってただろうな。また機会があれば行こう。
そうそうダルビッシュ。時間の関係で一回裏の投球見ただけで帰りました。これだけで十分。第三試合で相当おなかいっぱいでした。ダルビッシュは相当速かった。147キロ。こりゃあモノがちげーや。東北高校ユニのダルビッシュを生で見た、って時点でもう満足。「狙い撃ち」を口ずさみながら急いで長居陸上競技場に向かう。
「おまえが打たなきゃ誰が打つ!」