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”和”と”積”に、勝つ者負ける者 J2第1節 東京1-0鳥栖

FC東京

チームビルディングを続けてきたプレシーズンからいよいよ、マッチデイを睨んだルーチンワークへの突入。その開幕ウィークは、これまでのプレシーズンからの流れを引き継いだものにはならなかった。


基準の4-4-2にスタメンをどう組み込むか?そこに何を求めるか?大熊監督にもスタメン選定の基準がある。スタメン11人の和もしくは積として、攻守の能力バランスを高く求めるという、いわばゲーム的ウイイレ的なノリできれいな六角形パラメータを求めるのは大熊監督のみならず、どの監督であろうとその攻守のバランスは普通に考えることであろう。しかもそれが開幕戦ならば尚更だ。

スタメン11人の”積”は、大熊東京の生命線である両サイドのメンバー構成に想像できる。SBとSMFの縦関係による、お互いの特徴を絡めた組み合わせもしくは攻守の能力の均衡を踏まえたスタメンチョイスが基準としてあるだろうと考えられる。

開幕スタメンを手にした阿部巧は、左MFが谷澤達也であったからこそチャンスが巡ってきたのだと今は考えている。ボールが持てて技巧もある谷澤は、爆発的なオーバーラップが持ち味の阿部巧とは相性がいい。かつ、プレシーズンからよく失点の原因となっていた阿部巧の裏をカバーできる運動量も谷澤は発揮してくれる。逆に例えば、シーズン始動時から好調であったペドロ・ジュニオールがそのまま順調に左MFの開幕スタメンを得ていれば、阿部巧はおそらく味の素スタジアムのピッチには立てていなかった。日本・Jリーグを既に深く理解し、即したプレーもこなせているペドロ・ジュニオールと言えども、阿部巧が空ける大きな裏をカバーできるほどの守備能力を期待するのは酷だろう(それは能力の問題というよりも、谷澤達也ペドロ・ジュニオールの攻撃スタイルの違い、それによる攻→守への切替時の両者のスタートポジションの違いによる、やむを得ない部分を原因として)。

ペドロ・ジュニオールが左MFに入る時は、恐らく単騎での守備力が非常に高い徳永悠平を左SBに回し、右SBに椋原健太を入れる選択をするのではないかと予想する。逆を言えば、ペドロ・ジュニオールが戻ってきた時でもスタメンの座を譲らない位の成長を示すことが、この日デビューした阿部巧の直近の目標となるだろう。


プレシーズンからの流れを乱すアクシデントとなったのは、ホベルトの負傷だ。今季から新加入のベテラン外国人は、今季の東京の中心を担う一人として誰もが納得するだけの充実ぶりをプレシーズンで示し、東京の未来であろう米本拓司から正当にポジションを奪う活躍をしてきた。それが開幕シーズン突入してからの内転筋の違和感により事態は急変。3.2味の素スタジアムでのトレーニングという機会でも、ホベルトは完全別メニューでボールを蹴ることすら出来なかった。

ホベルトの離脱により、11人の"和"の部分で犠牲になったと言えるのは大竹洋平だろう。ここまで絶好調、心身共に充実していた大竹がこのタイミングでスタメンの座を失ったのは、ホベルト離脱に絡めて大熊監督の思考を伺うのがベターだ。ホベルトはそのベテランらしい読みと潰しで、攻撃の際のリスクを減らしてくれる存在であった。それほど期待していたホベルトの守備力がチームから抜けた事で、しかも負けられない開幕戦で、大竹の守備力での不安が途端に顔を出し始めた。大竹と抜群の相性を見せ、大竹自身の良さも発揮させてくれる”相棒”ロベルト・せザーもスタメン起用が考えられなくなったところで、大竹より守備も強く、平山との相性も高い中村北斗が突如スタメン候補として浮上する。監督は11人の”和”を考えた時に大竹起用に踏ん切りが付かなくなったのだろう。その一連の流れは個人的には大きく納得した。

大熊東京のダブルボランチは、攻撃の際にボックス内に入り直接の得点機会も伺う攻撃的ボランチと、それだけ攻撃に人数をかけた状況でも後方に控え、オーバーラップしたSBを抜いたDF3枚+DMF1枚でしっかりと相手のカウンターに備えることの出来る守備的ボランチと、はっきりと役割が分担されている。それは羽生に言わせれば「ダイヤモンド型と形容していい」くらいの、攻撃的ボランチはトップ下に近い役割が期待されるほど。それ故に、羽生のボランチ起用にも城福監督時代とは違うポジティブな期待が生まれるし、今週も大竹洋平が「ホベルトがいないのならばじゃあ攻撃的ボランチとして」の起用を大熊監督も本格的に試す。これらがチーム構成として認められるのが今の大熊東京の形だ。そして、それぞれの役割与えられたポジション”1枠ずつ”を巡って、数選手が争う。

守備的ボランチ現状の1stチョイスであるホベルトが負傷離脱し、2ndチョイスの米本拓司が開幕戦出場停止なことから、この日は3rdチョイス高橋秀人が守備的ボランチとしてスタメン出場を果たすことになった。

これが、大事な開幕戦に臨む、大事なスターティングイレブンが決まるまでの一部始終であったろうと自分は推測した。


守備的ボランチとして高橋秀人が入れば、まだまだああいう形になってしまう。

高橋はサイドへの長いボールで展開が効くが、ブロックの中で受けてもリターンパスが多いし、前が向けない。前を向き、サイドにスムーズに叩くことが出来ればチャンスになるし、リターンで返せば鳥栖のチェイシングの餌食になると分かりやすい流れだった。ブロック内で受けることに技術と冷静さがもっと必要だろう。そのせいか、羽生とどちらがブロックの中で、どちらがDFライン上まで降りてきて捌くのか?のやりとりはバラバラだった。もちろん連携の面は1週間での急造でもあるので、羽生とのやりとりは時間を追うごとに、ってレベルだったし、仕方がない部分も多かったが。

ただ、それ以上に改善が必要に感じたのは守備面での部分。

35分の巧の裏を突かれるカウンターを潰した点は評価高いが、それ以外では大事なところをちゃんと潰せている場面が非常に少ない。例えると、悪い時の伊野波ボランチの様な印象が強い。

つまりどういう事かと言うと、いまの自分の守備にとって一番危険なところ、それは場合によってエリアだったり人だったりするが、そこに強度を持って強く行けない。前半のポストに当てた豊田ミドルのシーンで言えば、あのエリアで簡単に高橋はかわされすぎ。味方との関わりで”見”に構えるのはいいが、構えたままに何も出来ずに相手にチャンスを与えてしまっているだけでしかない。読みに対して次に行動、そしてその行動に強さが効いていないのは、守備的ボランチとして大きな問題だ。

56分の、鳥栖の攻撃場面を参考にとれば、あの場面は高橋がサイドにヘルプで回った後に中央の危険に気づいてなかった。あれが2ndチョイスの米本ならば気づき、行動が出来ただろうが、そこに強度を持たせられたかは微妙。そしてホベルトだったら気づき、行動し、強度を持って潰しにかかれた場面だと思う。

高橋にもいい部分がある。見に構えた上で積極的な指示出しが出来るのは強みだし、何より鳥栖豊田陽平に対して森重・今野ではなくボランチの高橋の部分でも空中戦を競りに行けるのは大きな武器だし、この試合でも強く貢献した。あの位置としての独特な強みをもっと活かせられれば、選手としての高橋秀人の価値をいくらでも上げられる。

1stチョイスのホベルトは、この日途中出場ながら87分のロベルト・セザー独走シュート後のカウンターを潰すなどさすがの働きを見せてくれた(あのプレーは個人的にこの試合全体でのベストプレーだった)。高橋自身がどう考えてるかは分からないが、個人的にはボランチで生きていく方が良い選手だと思う。ホベルトのあのプレーを手本として、戦況を読み、危険を察知したら、そこに強度を持って潰しにかかれる選手になれるようにより成長を期待したい。そうすればベンチメンバーとしても、クローザーとして試合を締める形で出場機会ももっと増えていくだろう。同じく3rdチョイス候補の平出涼が富山では1st候補として出場機会を重ねそうな状況を見るに、今年は高橋にとって勝負の年になる。


試合全体としては、正直に「我が意を得たり」の内容だった。内容に物足りなさを感じようが、勝敗の要素を分けるものがあるということ。先週あげたエントリの内容を再確認できるものだった。

スタジアムではポカーンと受け入れてしまったあのゴールだが(笑)、その真実を紐解けばいろいろと面白い要素が散らばっている。

ゴールスコアラーとして名を刻んだ谷澤達也は、これまでのTMでは平山相太の落としに得点嗅覚を全く発揮してこなかった選手。ロングボールに対しファーで待つ平山の、さらにファーで待ち構えてたりと鈍感な姿勢がTVダイジェストでも目についた。それがあの場面では、落ちるとは思えないシチュエーションでも待ち構えて、想定し準備していた。谷澤の準備がなければ生まれなかったゴールだった。

その一手前に遡れば、阿部巧のアバウトなクロスに競る平山という構図も、HT中に平山の高さを活かすファーへのロビングボールを阿部巧に要求し、確認しあった上でのあのシーンだったと両者がコメントしている。これも前回エントリのセットプレーの項で求めていたことを流れの中でも求め合い、実践した形だ。こういったやりとりが、連携の、いやもっと直接的に、得点の種になる。これを重ねていけば、どんどんと内容に関わらずに負けないチームになってくる。


チームとして、年スパンでの右肩上がりで年初の目標を植えつけていこうとし始めた中で、他方その進捗度に関わらず、3月でも11月でも求められるのはJ1昇格のための勝ち点3に変わりはない。そのギャップが一番大きい時期は当然、開幕日3.5だった。しかも、対するは昨年から実質的に指揮していた尹晶煥率いるサガン鳥栖。チームの出来が違うのは”当たり前”だ。絶対的に見ても相対的に見ても、実はかなり難しい開幕戦だったことに今になって気づけた。しかもこういった状況・立場は今後も当分続くだろう。

それでも目標であるJ1復帰のために。それこそ応援による数の圧力だろうが、個の力の差だって、悪びれることなく存分に押し出してでも、そのギャップと相反する結果を掴まねばならないということ。そこに徹するだけの覚悟が全員に問われる。もちろん、応援する我々も。

J2は甘くない、そう言っている人ほどこの試合に圧勝を求めていた様に思う。ここに矛盾があるように自分は思ってしまうのだが。

甘えも舐めた感情も生まれる要素が微塵もないこのウノ・ゼロ勝利は、ある意味最高の結果だったのかもしれない。


  • 近況的な追記

岡山も岐阜も行けないんで、スカパー様観戦になります。味スタに戻ってきての、いろんな意味で面白そげな栃木戦も所用あって行けず。そう、実は今年結構試合観に行けないんですね。J2遠征に全部付き合えるカネなんぞねぇ!って財布事情もあるんですが。次に生観戦出来るのは1ヶ月後のギラヴァンツ北九州戦か?遠いな…その分他の試合を見にいければ一番いいんですが。

ただ今年はJ2な東京なもんで、少しでも露出を、検索に引っかかるようにと(笑)、今年こそはなるたけ更新したいなぁとか思っては、思ってはいるんです。これでもね!

なので、TV観戦ならTV観戦なりに少しでもエントリを書くことが出来ればとかは目論んでいます。J2の露出度に埋もれないように、『発信!!』が今年の目標だとか考えたりしてるのよ、これでもね!今年ものんびりよろしくお願い致します。

あけましておめでとう!今年も俺のJリーグが始まりましたよっと。