先を見据えた注目カード! プリンスリーグ関東1部第1節 マリノスY-湘南Y 三菱養和-市立船橋

相変わらずの酷い営業状態で申し訳ないですが、やれるところからやっていきます。

既に先週の話になりますが、トーチュウモバイルさんでの「ユース座談会」とやらに、隅っこのほうでこっそりと参加させていただきました。かなりボリューミィで読み応えもあって、東京サポだけでなく多くの育成年代サッカー好きなら非常に楽しめるモノに仕上げてもらいました。自分も影でボソッと、どうでもいい事ばかりつぶやかせて頂きましたが、それも美しい「演出」のおかげで(笑)楽しく仕上げてもらいました。有料サイトなのでハードル高いかも分かりませんが、東京サポならばそれだけでなくとも全体的に面白いと評判なので、東京オフィシャルサイトと併せて是非!東京サポでない方も読むためだけに一瞬だけでも登録するといいと思うよ!特にマリノスユースサポならオモシロイと思うんだけどなぁ…

それもこれも、全てはユースを、プリンスリーグを、そしてFC東京U-18も盛り上げて行こう!そのためなのです!!

ってことで開幕戦、日産フィールド小机に行ってきました。

えー。


深川でのFC東京U-18の開幕試合を欠席してまでもこちらを優先した理由、それは2試合見れるオトク感が全て…ではなくて!その対戦カードにあるわけで。

今年もプリンスリーグ開幕前のプレシーズンにいろんなチームを見ることが出来た(と言っても今年は新人戦・イギョラ・マリノス杯の3つ)その中で、今年の優勝候補の筆頭がマリノスYであろう点、タレントの豊富さから必然的に対抗に挙げられる三菱養和、この2チームの始動ぶりが見られること。加えてそれぞれの対戦相手である湘南Yと市立船橋が東京の第2節第3節の対戦相手である点。この会場で見られる4チームが全て、東京にとって重要な4チームである事が何より大きいのだよ!!

だから自分は泣く泣く、村松覚醒を観れない事を覚悟で、小机に足を運んだわけですよ。いや、勝手に行っただけなんですけどね。

でも、これで良かった。良いものが見れましたわ。

  • それぞれの強み それぞれの強さ マリノスY-湘南Y

だからと言って、これだけの理由で、我らが東京の開幕戦観戦を、「ムラー!調子にのるなよー」のシーンを逃す判断を出来るわけもなくて。個人的に今シーズンのプリンスリーグ観戦に宿題と言うか、非常に気になる事があった。それを確認したい気持ちがかなり大きかった。

今シーズンは高円宮杯出場枠6枠を争う闘いと共に、来シーズンから新設される「全国リーグ(東西リーグ)」の昇格枠5枠を争う闘いにもなる。プリンスリーグ改革控えるこの重要なシーズン、この枠をめぐるボーダーラインがキーであることは間違いない。

その枠を巡って。まず優勝を争うであろうチームがマリノスYに養和の第1グループ。一歩降りて、選手の学徒動員ぶりが気になるがチーム力という点で非常に好感持てる改革がされたヴェルディYに、3連覇を目指す東京の第2グループという図式が自分の中では描かれている。

ここに東京だなんて何事か?!と思われるかもしれないが、これは毎度のことなので仕方がない。基本、選手を固定する、いわゆる抜擢が余所ほどに激しくはない倉又監督の方針もあって、チームは毎年度ゼロからのリビルドになる。それに、今まであまり出場機会の無かった選手たちがどう応えるか?その伸び代で勝負するのが倉又東京である。むしろそれが、見る側にとっては抜群に楽しいわけだけどね。倉又イズムが仕込まれて、選手がみるみると「賢い選手」になっていく様が。その成長が。って、この話は後々しっかりとしないとですね。

で、このヴェルディ・東京の第2グループを争う、現実的なライバルがどこになるか?

自分は、ここにレッズY、流経柏、そして湘南Yを挙げる。

レッズYと流経柏は、機会がある時に妄想を語るとして。それより今このタイミングで妄想を語るべきは湘南Yである。プリンス1部昇格組である湘南Yをいきなり第2グループに推しているその妄想を。

何よりまずは昨年、Jヴィレッジでクラ選準々決勝での対戦が印象深い。4-3という壮絶な打ち合いになったあの試合。スキルフルで力強さもある湘南Yは、そのパンチ力で東京から3点を奪った。トップ昇格した古林将太は「右タクミ」とも呼びたいくらいのカッ飛び小僧だったし、10番鶴見の霧隠れシュートだって、シチュエーションに即した正しい判断だった。

また当時も記したがとにかくその試合、決勝ゴールの際の1シーンが頭から離れない。山崎直之から、相手DFのギリギリヘッドで届かない絶妙パス。それを受けた三田尚央が豪快にネットを揺らしたあのシーン。数ミリが届かなかったことを悔やんだDFは悔しさからその場で膝をついてへたりこんでしまう。そんな味方の姿を観て、そのCBの相方CB、さらにGKが、その悔やむ選手を強引に立ち上がらせて「まだ時間はあるぞ!」と鼓舞して見せたあの姿。負けてなお強しを印象づけたあのシーン。二部ながら強さを植え付けられたあの試合でのインパクト。チームの芯の部分に、関東2部なんて肩書きは似つかわしくなかった。

そのインパクト通り、確実な強さで1年での1部復帰を決めた湘南Yは、見るとタレントが予想以上に充実している。早生まれで昨年のU-16トレセンリーグに出場、MVPに選ばれ、先日U-19日本代表にも招集された二種登録選手3遠藤航は昨年からCBの柱として出場していたはず。15大野は昨年のトレセンリーグ得点王であり、国体決勝ゴーラー。17見留もトレセンに選ばれた選手だ。昨年からコンスタントに出場機会を得ていた選手も3年生に多い。充実していると言っていい。

そんな彼らが、後はどんなサッカーをするか?である。この高いハードルの中での小机観戦。個人的には、かなり手応えを感じた。

あいだあいだに顔を出す、怖さに直結する動きに対して。速攻でまずボールを運ぼうとする選手に対して。出されるパスには丁寧さを感じ、それは動きを邪魔する様な精度ではない。勢いを維持しながら、不足なく仕掛け、ゴールを狙う。その中で、4-1-2-3の中央FWをこなす17見留が特に上手い。体格もスピードも飛び抜けたわけじゃないが、考えられたトラップと身のこなしで、納め叩くプレーもそつなくこなす。テクニックを感じる見留からの変化で、10関谷や8磯村が絡む攻撃は今の段階では良かったと思う。途中出場した13吉澤なんかもドリブラーとして目立っていた。

この日アンカーに入った遠藤は方や、いまいちしっくりいかない出来。反町湘南で既にベンチ入りを果たしている個の強さ、それをアンカーに置くことで期待される、バイタルでの強さスイープぶりはまだ試行錯誤の余地を感じた。もちろんトップ参加していたんだろうし、何よりマリノスYを相手にしているチームの「守備バイタルエリア」にもう一声を期待するのは酷ではあるけど。その遠藤を含めた、8磯村9忠地のトリデンテはまだ煮詰める余地あり=伸びシロありを感じた。

それらを含めて、個人的には少なくともプリンスでは第2グループに入る余地ありって判断をしてみた。前述の様な期待の大きさから入っているから、正しいジャッジはたぶん出来ていないのだろうけども。でも、あそこからチームが濃くなって、決める感覚が成果をきっかけに増してくれば…昇格組としてはかなり面白い結果を残せると。自分は今年の湘南Yは楽しみに見守ろうと決めた。

だからこそ、その湘南を3-0で下してみせたマリノスYもまた、強さを感じたわけで。

湘南の攻撃を受け、そこからカウンターに行くマリノスの、そのキレは毎度おなじみの鋭さ。本来の形で言えばそれに加えて中央でのボール支配も欲しかったのだろうけども、そのキレだけでも十分に湘南に対して脅威を植え付けられるレベル。実際に既に10小野裕二のゴールで、マリノスY的には不満もありながらもリードで前半を終えることが出来ている。

後半は湘南がさらなる積極交代策をもってマリノスを追い詰めた。一年生である27河野に代えて3年生の11金子を交代させている点を見ても、湘南の狙いが伺える。対するマリノスは27喜田拓也や38高野遼など、期待の1年生の投入が目立った。交代策にはスタンスの違いがあった。

そこから追加点を取り、突き放してみせたところに見る、マリノスYの強さである。決めたのは7松本翔と10小野裕二。特に、松本翔である。

昨年の関原凌河のゴールゲットぶりを、今年はプラチナ世代10小野裕二に託したいと、恐らく松橋力蔵監督は考えたはず。サイドアタッカーだった小野裕二を4-2-3-1の1トップに据えたのには、昨年の関原凌河1トップコンバートがダブって見える。そして確かにこの試合、小野裕二は2得点と結果を残し期待に応えた。しかしその2得点はどちらも嗅覚系なゴールだった。それはそれで結果なんだけど、方や松本翔のあのゴールを観てしまうと…関原凌河の正統後継はむしろ松本翔なのかもしれない、そう思わされてしまう。スピード、キレ、そして道筋を思わせるシュート精度。あれは簡単には止められない。マリノス杯でも大暴れしたこの選手だが、昨年に比べてホント成長したし、これが本物であれば全国レベルのクラッキになったと言えると思う。

好印象だった湘南Yに強く勝ってしまったマリノスYは、なお強し。力蔵イズムの浸透も早く、継続の利もあるだろう。優勝候補は優勝候補らしく、堂々の開幕勝利で抜群のスタートを切った。

昨シーズン、育成年代で熱いチームの一つだったのが三菱養和である。東京、そしてヴェルディに次ぐ「東京第3勢力」とはもはや呼べない。国体東京選抜等でも大量の選手を供給し、タレントだけではウチはもう勝てないかもしれないと思うくらいに充実している。名だけでなく実でも素晴らしいサッカーを披露した。丁寧なトライアングルが絶えず形成されて生まれるショートパスは確かに、美しさに強さも加わったものだった。Jユース杯2回戦での東京との「深川決戦」は昨年のベストバウトと呼ぶに相応しく、ここでの対戦があまりにももったいないと思わせるエンタテイメントだった。

高円宮杯ベスト4という成績ですら、彼らには物足りなさを思わせたくらいの、偉大な昨シーズン。上級生が去り、さらにジュニア年代まで含めた「養和ファミリー」を完璧に束ねていた斉藤和夫総監督はジェフ千葉のヘッドコーチ就任によりチームを去った。タレントはいくらでも下から突き上げがあるとは言えども、リスタートの'10シーズンであると言える。

対する市立船橋は言わずと知れた名門チーム。時代の流れから名門チームと呼ばれるところはどこも苦労が見られるが、その苦労を乗り越えて、改めて「名門」が基本に立ち返り復活する様子が目につき始めたように思う。国見は九州プリンス1部に戻ってきたし、帝京が着々と整えている「反撃体制」は一昨年からずっと注目し続けている程に自分の目には魅力的に映る。市船も然り。全国最激戦区である千葉の中で、そのどの強豪とも被らない「市船スタイル」を確立し、総体では最高の成績を残し、全国最強の関東プリンスリーグの1部に戻ってきた。

優勝候補と昇格チームの対戦の構図は第1試合と変わりはない。しかし第2試合はそれが素直に試合展開に反映する流れ。地力勝る養和が市船をかなり押し込む展開であった。

しかし、回数少ない市船の攻撃を見ると、それが悪いものだとは自分には映らなかった。フィジカルアスリートがファーストチョイスとしてクラブユースに流れる昨今の流れの中で、第2第3の選手を取らざるを得ない場合が多い高体連名門チームが生き抜くためには、そんな彼らを「正しく鍛え抜く」事が必要になる。身長のある選手を獲得することが難しいのはどの名門も同じ。市船も背だけを見ると小さい選手が前線で起用されていた。しかし、4-2-3-1の最前線で起用された12本田や縦関係の11川村、そして左サイドの9石原の仕掛けっぷりを見ると、非常に正しい。小さいがスピードある選手が、どうドリブルコースを取り、どう前を向き仕掛け、どう相手に驚異と成り得るか?その突っ掛ける姿勢は意気込みも技術的にもよく知った代物だった。結果21今瀬のPKによる一点しか取ることは出来なかったが、それに至るまでの流れ、ツッカケ意識をチラつかせながらの無回転ミドル→GK弾いたところに詰める選手が倒されてのPKゲットは素晴らしい攻撃だった。

プレスラインをハッキリ低く設定し、ブロックを作る守備スタイルが、結果相手に主導権を「与えすぎた」部分はあったと思う。一か八かの勝利を狙うならば玉砕覚悟のプレス合戦で泥仕合に持ち込むことも選択肢の一つだった。それがまだ造り甘い養和を結果、楽にさせすぎてしまった事実は実際あったと思う。しかし、ブロックに侵入してきた養和ドリブラーに正しくフィジカルコンタクト勝負に持ち込む姿には、熱い気持ちを感じたし、そこに、この形でもまだ伸び代があろうことは期待できた。それにあのスピード活かした攻撃で相手を混乱に陥れるスタイルを確立出来れば、総体では十分に好成績を期待できるのでは?と自分には思えたが。

第1試合と同じく3得点を奪っての勝利。第1試合の優勝候補は強さを見せての勝利だったが、第2試合はそこも同じとはいかなくて。養和は所詮まだまだの出来。

生方修司新監督就任の養和は、しかし目指すスタイルは変わらない。魔法陣と形容された美しい4-1-4-1パススタイルを引き続き構築する狙い。これをどのレベルと考えるかは人それぞれだが、この時期なのだから「まだまだ」と言うのが正解だろう。

実際に、物足りなかった。ベンチの生方監督からはしきりに「アングル!」という声が飛ぶ。味方と味方の位置関係にどう角度をつけることで、顔を出し、ショートパスのコースを無限に生み出すか?養和マジカルスタイルの根底であろうこの意識は当然チームとしてまだ足りない。近すぎたり、遠すぎたりするイビツな距離感を正しくセットするキーワードの一つである「アングル」は監督から見ても当然、不満は多い。

また、今シーズンの養和のスタートラインとして「テルキング」10田中輝希1トップ起用も注目すべきトピックだろう。あのガチムチ体型の強さ、ボールを保持しながら入れ替われるスキルと強さが活きた時は確かに強い。しかし、どうしてもオフの動きを求めたがる日本人脳な自分にはそれが物足りなく感じるし、いやいやテルキングにそれを求めるオレがいけないんだよと改まってしまう。新人戦では15田鍋を1トップに起用し、持ち味を消してしまう結果になった問題の箇所。テルキング抜擢が現状の解決策なんだろうし、こここそがテルキングの安住のポジションだ!と信頼する方も大絶賛されていたけど…

テルキング最大の強みは、強烈なキックに精度が伴っていることだと思う。先制点はテルキングのCKがパンチングに向かったGKの片手を弾いてゴールに吸い込まれた形。あまりに強烈で、現地ではニアに誰かがヘッドで入り込んだものとばかり思っていたが、実際はあのヘッダーの様なインパクトは、ただGKの手を弾いてただけだなんて、マンガじゃないか!そんな強烈キックは、テルキングがサイドにいれば、そのレンジも加味すれば強烈な武器になる。実際にサイドに流れたテルキングからは危険なクロスボールが多く入っていた。これが中央にいることで活きないってのは非常にもったいなく感じてしまう…

それでもテルキング自身がサッカー選手として、成長のために与える壁だと思えば、1トップ起用によってそびえる壁は高く、険しく、そしてスタープレーヤーに向けて必要な壁であることも間違いない。

テルキングのの1トップとしての成長。そしてマジコ形成のキーと思える7佐藤聖と、中垣内・玉城を手本に捌きを求められるアンカー13番、さらに「バレリーナフットボーラー加藤大」の匂いをどことなく感じた6番の熟成(選手名が分からない…)、それまでは全国屈指のアタッカーである8近藤貴司と15田鍋陵太が結果を残しながら勝ち点を拾っていく。これが養和の現状だろう。

まだまだ未完成。それだけに伸び代も大きい。全国に向けて、養和がいつ完成するのか?最終節の深川決戦が非常に楽しみで仕方がない!


ってことで、プリンスリーグ開幕してます。日本サッカーの未来に対して見方はいろいろ出てきている現状ですが、改めて見つめるべきサッカーの本質ってのは、欧州トップリーグにではなく、近所のグラウンドに落ちています。それらご近所が、ロンドンへ、ブラジルへ、世界に直結しているわけです。

今年も、時間とタイミングとやる気がたまたま重なった際は是非、プリンスリーグに足を運んで頂きたいです。

第2節、FC東京U-18は湘南Yとの対戦。個人的に注目度高い湘南Yとの対戦は非常に楽しみ!脳の片隅で気にして頂いて、もしピクニック気分で行ってみようかしら?と思ってくれた方は是非、現地で共に熱く青赤の仲間たちを見守っていきましょう!