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Climax Series レビュー -清水戦

シーズンも佳境を迎えて、いよいよ各所で迎えるクライマックス。人はそれを「天王山」だなんてフレーズで呼ぶが、そもそも天王山という言葉の意味を調べてみると…
例えば「天王山 意味」をgoogleで検索すると、ヒットした件数は約 53,300 件。その先頭で表示されたサイトによると、その意味は

天王山とは、勝負を決める大事な局面。勝敗の分岐点。天下分け目。

と表現される。天下分け目の部分をピックアップすると、個人的にはこのフレーズはてっぺんを争う大事な試合、特にJリーグに当てはめれば、それは個人的に1位を争う試合に対してあてはめられるフレーズだって印象があるが、この解説を見ると、その試合の勝敗の価値には依らず、大事な局面であればどれにもこのフレーズが当てはまるのかな?だなんて事を思った。
解釈の是非はさておき、しかし東京にとってこの試合は「天王山」というフレーズがピタリと当てはまる。側である「定義づけ」の面では、所詮は4位の清水との7位の東京の対戦だから、元々自分が想像する定義付けではこのフレーズはふさわしくないものだとイメージした。しかし、この試合は間違いなく天王山。我々が思う位置付けを考えれば、この試合はまさにこのフレーズがふさわしい舞台へと仕立てられていた。

それは間違いなく、モチベーターとしての優秀な仕事ぶり際立つ城福監督の成果。ナビスコカップのファイナリスト、その権利を手にしておきながら、対するリーグ戦ではその低迷と、挽回するための『持ち駒』への不安から「リーグは捨てる。ナビスコファイナルに集中」という共通認識が出来上がりつつあったところを、「リーグは捨てない。希望を持ち、己を高める。当然カップウィナーは欲するが、それは過程にすぎない。目指すは…」という定義付けを、クラブ・選手・何よりサポーターに共通認識として植えつけることに成功した。それは城福監督の持つ言葉の強さと、その実行ぶりに対する信頼感、またそこに行きつくまでに繰り返された、偶然という名の「悲劇」が脚本として編み込まれた事実も残念ながら考慮にすべきだろう。

かくして東京は結束した。「これでやれなきゃ男じゃない」くらいの意気込みを、一戦一戦ごとにぶつけるまでになった。そのモチベーションたるや、まさに天王山を奪取せんとする羽柴秀吉の気概に近いものではなかっただろうか?

このモチベーションの高さを、あるままそのままをぶつけてやろうとしたこの試合を、結局自分は自宅でのTV観戦で迎えた。その自身の体たらく、その説明はあまり読まれてはいないであろう前回エントリの記述に任せるとして、どうせならばこの機会、TVで念を送りながら、実況形式に近い形でリアルタイムでの感想をエントリに纏めてみる試みを、この試合では行ってみたいと思う。


1400頃。スタメン発表。
こちらのスタッツにある様に、かなり極端なメンバーとなった。トーチュウ既報通り、ベンチメンバーにDF登録を4枚入れたメンバー。攻撃的と言える選手は中村北斗のみ、北斗と同じく前節に強烈な叱咤激励を受けた大竹・田邉はベンチ入りすらならなかった。
城福監督始まったな。と思ったのと同時に、これは適切な判断でもあるな、ってのがファーストインプレッション。
個人的に、先日のパ・リーグクライマックスシリーズが思い浮かぶ。大事な局面8回裏での、先発田中将大の投球には自然と目を奪われた。1点差2死三塁で迎えるは稲葉篤紀。球界を代表する二人の、然るべき舞台での直接対決で、投げるマー君の気迫たるやそれは尋常でない代物だった。プロ3年目のペーペーとはもはや呼ばせない、日本を背負って立つに相応しい姿をマウンド上に見ることが出来た。
あぁ、こういうものかと。自分はこの名勝負を見ることで思い直すことが出来た。
前節柏戦での試合後、城福監督によるそのコメントは、事態を重く観たせいか非常に語気が強かった。それは

「僕は彼らの姿勢には非常に不満です。若い選手がああいうサッカーに対する姿勢で取り組んでいるのならこのチームは強くならない。非常に危機感を持っている。」

というこの言葉に滲み出たが、自分はこの時は、ここまで言わしめるほどに各選手のプレーが悪かったとは思えなかった。それなりにやれていたのでは?という思いの方が強かった。それは、もちろんナオの怪我の後で自分がまともに試合なんぞ見れなかった上での判断だ、っていう但し書きが付いた上での話だが。
けど、そうでないんだと。それよりももっと前提の部分。精神面での強さ、鬼気迫るほどの気迫がそれぞれには欲しかったんだと。それこそがプロスポーツに身を多く選手の根本じゃないかと。それはマー君から学ぶことで気付き直した大事なことである。
もちろん、限界の無い要求の類であることは間違いないかもしれない。しかし、若いからこそ、剥き出しの闘争心で。むしろ相手があるスポーツにおいて、相手を気迫で押し込む程の「発散」が必要とするならば。それはやはり、トップに立つ者として求めたい「もうひと押し」だったのではないだろうか?という気はしてならない。そしてそれは確かに、彼らには無かった箇所だったと。
この状況で、攻撃にかかるオプションはDFに控える今野・長友を上げた方がナンボもマシ。って判断は監督としては非情でもあるし、しかし確かなものであったと思う。勝ち点3という結果に向けて、城福監督は本気だなと。それは支持する判断だった。


1503キックオフ。
東京はウォームアップ中に長友が痛めた様子だったが、そのまま出場。結果、試合後に怪我が判明し病院に送られた。清水は、開始直後のロコロコに違和感を感じずにはいられない。


1506。前半開始3分のイキナリの時間帯、東京先制。右サイド徳永のクロスを中央フリーの鈴木達也が叩きつけた。
このゴールの価値を探すと、まずきっかけとして今野の裏へのロングフィードに達也がスピード飛ばして受けたプレーがあった。相手ゲインを押し進め、最深部で一発ボールを持つことで、そこから戻してからの左→右の展開の時点ですでに清水を押し込むことが出来ていた。右で受けた徳永はゆとりたっぷりにクロス。中で反応したのはファーに残っていた鈴木達也。スルリと中央ベスポジに侵入して、フリーでゴールに流し込むことが出来た。


1512。清水はすぐに追いつく。右CK、兵働の左足キックをファーで岡崎がフリーでヘッダー。
戻りながらのヘッダーながら、岡崎は強烈ミートで東京ゴールにねじ込んだ。東京はまたしてもCKからの失点。調べはしないけど、東京の失点の何割がセットプレーからの失点か?そしてマークが誰だったか?ここは根本的な解決が無ければ先には進めないくらいの重要課題だと思われる。


ワンプレーを切り取っての「つぶやき」ってのに、イマイチ慣れてなくて、既にこのパターンに限界を感じ始める自分(笑) 清水はヨンセンが目立たない。ウチがヨンセン自身を潰している様には見えないので、ヨンセンへの経路の遮断が効いているもしくは清水がヨンセンへのボールの狙いが足りない事態が考えられる。目立つのが岡崎なので、逆に流れるボールでの形が目立つが、ここはカバー無双今野が確実にカバーする。2トップとしての連携を潰せているのは良好。


1528、早いタイミングで長友→椋原の交代。
代表召集での膝の様子が悪かったのか、アップ中の肩の負傷が悪かったのかはこの時には分からなかったが、結果論で言えばプロフェッショナルな判断を周囲も長友自身も求めたかったところ。始まってからの交代では、もちろん限りある交代枠を消費することにもなるし。長友に関しては代表召集による疲労の蓄積を「いや、がんばる」と無理することが多かったが、しかしその際のプレーぶりは決して満足できるものではなかった。疲労から思考に雑さが芽生え、勢いよりもミスでボールを相手に渡してしまう様のが目立つ結果。代表とのやりくりをうまく進める術を思うならば、長友はその辺りもっとしっかりと考えるべきだろう。もちろん、直接彼を脅かす存在である椋原の出来の良さが、良い意味で長友に危機感を与えてもいるのだとは思うが。
交代で入る椋原の安心感は、目立たないがもっと賞賛されていい。日本代表レベルの選手が抜けても「椋原が居るから大丈夫」と、思わせるだけの質と成果は、そうそう簡単なハードルではない。柏戦2点目での粘りを見ても、初速のスピードと当たりに負けずに前を取るフィジカルの強さを併せ持ったプレーぶりは素晴らしかったし、練習試合では二本目組の中ではもはや別格のプレーぶりで、今や草民ばりのまたぎフェイントも悠々こなすゆとりぶりの椋原の凄さ、ってのは今評価しないでいつ評価するのか?と思わざるを得ない。


1536、赤嶺に対してイエローカードが提示。
この際のスカパー解説・福西崇史の解説が金言だったので残しておく。曰く「しょうがない部分はありますよ。クリアするために足を振りますし、止めるために足を出してるんで。」真理すぎる。皆さん福西イズムを心に留めておくように。


ホームの清水に対して、アウェーの東京の応援がマイク的に負けてないのが心強い。清水はロコロコの使用頻度が多いのが気になる。
突如登場したロコロコチャントは、念仏チックな仕組みと「ロコロコ」って言葉のチョイスの妙によって、一気に他サポに広まったものだが、本場はブラジル・サンパウロFC。そこで本場のロコロコを見るとあれ、清水のロコロコに対する印象とは随分と違う。楽しそうなのはもちろんのこと、単純にかっこいい。ロコロコに込めたサンバ魂の爆発がyoutube越しに見事に伝わる。そして見ると分かることだが、ロコロコのカッコよさのキモは、ロコロコロコロコ〜の後の「independente!」の合いの手をハッキリと強く言うことによって生まれるものだと思われる。清水サポは是非この合いの手の部分を怠らずにハッキリと、何より恥ずかしがらずに、ロコロコに勤しんでもらいたいものである。


1540、ボール奪ってから細かくパスを回し、羽生が裏へのパスを。受けた赤嶺は集ををくみ取ったトラップで簡単に相手を外し、ゴールに流し込むだけだったがオフサイドに。
この場面、まず一つに前節から好調な羽生のミドルパス精度の高さが発揮された。もらう2手前に羽生はルックアップ、前方を確認したうえでダイレクトのミドルパスは、お手本と言っていい一連。また受ける赤嶺も、平山との位置関係もさることながら、裏への意識の高さがここでは形にして見せた。東京の好調を示す良い展開。相手GK山本の対応・位置関係は悪かった。


1543、前半39分に東京追加点。左サイドに移った徳永からのクロスを太田がクリアしそこなってオウンゴールとなる。
一連は梶山から。ここ最近の梶山無双は世界の匂いを感じるレベルだってのを共通認識として、この日はドリブルの急加速で前方に一気に相手を剥がすオンプレーが目立った。中央を脅かし切ってからのサイド平山への展開。平山も最近はもたつき感を残しながらも、結果サイドへ叩き、自らはゴール前にポジ取りをし直すプレーが出来ていた。徳永へのパス前の切り返しの素早さなんかは何気に注目の逸品。そしてまたしても徳永。平山が受ける前に「ここだ!」と徳永がパス地点を要求した仕草がまず注目。それとは多少ずれたポイントに入るものの、冷静に危険な個所へボールを放り込んだその質。それは岡田ジャパンイズムと通じるものもあるが、1点目の達也へのアシストとも共通するところとして、落ち着いて冷静にクロスを入れることが出来た徳永の「ゆとり」が決め手となった。それは代表での経験で得たものなのか、それがあくまで促進剤程度として、本来あったクロスゴコロをより飛躍させたものなのか。恐らく後者だと期待したいが、この2本のクロスは「さすが代表サマ!」と言わせるに十分な逸品だった。期せずして対面となった市川とのマッチアップ的にも結果を残した。
しかし、高木に青山、岩下に今度の太田と、清水DFは東京にどんだけ優しいんだ…


HT。後半へ。
立ち上がりは清水か?長谷川監督のHTコメント「良くやっている、でいいのか?そこから脱却せねば」と檄を入れる。まさにそこ、確かにそこが清水の問題点であり、突き抜けれない所以。そこの部分への意識付けは必要だったし立派。しかし対する東京、特に梶山のスーペルぶりがとにかくもうね。更にそれを一番近くで見つめることでのヨネの成長…たまらん。


1616、右SB椋原は受けるとカットイン、赤嶺へスルーパス出すがオフサイドに。先ほども椋原はスゴイと言ったばかりなんで、重複は避けるけど…ほんとJ1で不動のスタメンを取ってもおかしくないレベルにあると、心から思う。


1618、CK崩れからのスローイン、粘りながら中央、またサイドへ。平山のクロスをニア赤嶺合わせようとするもGK山本がキャッチ。
先日の日本代表戦でも行われた様な、蹴り手主導のクロス。つまり、蹴り手の意識に中で合わせる選手が気を効かせろと言わんばかりの代物。けど、本来はそういうものだと思う。
例えば椋原がクロスする。腰高程度のクロスはボックスを横切って、味方も相手も触れなくて逆サイドへ抜けてしまったとする。それは、果たして椋原が悪いのか?椋原としてはその狙いによって、結果相手に触られる事無く横切るクロスを上げることが出来た。それは相手のいないエリアにクロスを通す(もしくは落とす)事が出来たという事。つまり味方がいれば、ゴールになる。それを例えば中で待ち受ける選手が見つけられなくて、結果触れなかった事が果たして「出し手のクロス精度の問題」と本当に言えるのか?
クロスの精度というのは出し手の精度と共に、受け手がどう合わせるかの動作も大事になる。変な話、精度の悪さを受け手が帳尻合わせてやる事だって必要だし、それが実際ゴールにもなりうる。その手掛かりとして、出し手と受け手との「狙いを合わせる」という事。ニアなのかファーなのか。突っ込むのか止まるのか。
日本代表の代物は、チームオーダーでその狙いを統一させたもの。出し手には低く早いクロスを求めるだけで済むわけで、そこに精度はあまり求めずに済む。受け手がどう合わせてくれるか?それも一つの狙い。
赤嶺・平山の関係がどんどん良くなってるなぁと思うのは、その狙いがバチンと合ってることで、出し手受け手の関係がどう変わろうが、また人数がたとえ少なかろうが、危険なチャンスをしっかり作り切れている事から窺える。


1625頃、東京はいなしながらポゼッションを深める。
城福東京当初の問題点として、自らも休む、落ち着いて整えるポゼッションが出来ない、なんて話があった。しかしそんな話は遠い昔で忘れてしまっていた。それくらいに、今はポゼッションが様になってるし、少なくとも2歩3歩のポゼッションの質はかなり上がった。それをやりながら、相手を心的カウンターで仕留めるのがネクストステージか。


1629、清水は兵働・山本に代えて原・藤本を投入。1634、東京は達也に代えて平松。平松はそのまま右MFに入る。1636には、怪我の児玉に代えて高木。
FW原一樹の左MF投入にしろ、岡崎が左にスライドする形にしろ、攻撃色を強化してきた清水に対して、東京はそこに平松を置く。清水のこの攻撃シフトは、岡崎を左に置く形で随分とやってきていたので、想定としては簡単だったはず。ただ、そこで誰を当てるか?という駒が無かったのが初期の東京。しかし、今は少なくとも用意されている。藤山にしろ今回の平松にしろ、適性はさておき本人の心積もり・チームとしての可能性の認識ってのをウィークデイに小平でしっかり準備するようになった。そのやりくりは、バリエーションとして、東京として打つ手の広さを生むことになった。その辺りの城福監督のスキルの信頼はかなり高い。ちなみに当の平松本人だが、実はサイドライン背負った状態でのドリブルが上手いんだぜ!中を窺いながら縦を突破してしまう、DFとの駆け引きの上でのドリブル。チャンスがあれば見てほしい、平松の良さの一つ。


残り5分。羽生に代わって藤山投入。平松に近いタスクを与えられる藤山。
前節に引き続き、起点としてのボール射出に精度高かった羽生は、攻撃を司る選手の一人として十分の活躍。
そして藤山。
自分は選手の出入りに関してはあまり発言しないタイプだが、藤山に関しては言わざるを得ない。あぁ冷静に考えれば、これでリーグ2試合目の出場の藤山が、判断としてそうなってしまうのは止むを得ないさ。本人が願っていた200試合出場も、本人が足りなかった点だってあったはずさ。
しかし、やっぱり藤山。ミスター東京。
ファンサとかでその雰囲気に触れれば分かるんだよね、ベテランらしい飄々とした藤山という「人」そのものがチームにどれだけ好影響を与えてきたのか?ってのがね。その貢献。クラブを象徴する選手。彼が居なくなるのは当然悲しい。
この試合を見てもハッキリ分かる様に、彼はまだやれる。来季も当たり前のようにプロ生活を続けるはず。それを精一杯、今まで通り応援するし、その後は…


ロスタイム3分。活動量が落ちない東京はゲームコントロールは悪くない。勝利を確信。そして、タイムアップ。

総括的に、全体的に言えるポイントを挙げると、セカンドボールの奪取が東京は非常に多かった。特に、東京主導でこぼれるボールというか、権田のゴールキック、ブルーノの放り込みなどから発生するセカンドボールは東京が拾うことが多かった。それは明確なターゲットマン平山が空中戦を勝つにしろ負けるにしろ、そこからこぼれる球をどう拾うか?って意識が東京側はハッキリしている分準備が良かった。米本が、梶山が、狙い、拾う。セカンドを拾えると全体の主導権をなかなか失わずに済む。この点でのミドルゾーンでの優位が東京の根底であり、この日も勝敗を決めた。


ぶつ切りの、新しい書き方でどうにもまとめ方に困るが(笑)まぁ内容良く、天王山と考える大事な試合を勝つことが出来たのはこの上ない事。苦しみがひっきりなしに来る事を嘆くのは、前節で既に止めた。改めて、信じれるのは青赤だけ。顔は高く上げておけ。やれることをやれさえすれば、掴み獲れる。奪い取れる。
自分を信じていれば、勝利はついてくる。
さァ、決戦へ向けて、準備を始めますか。