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不成 関東大学一部 流経-筑波

きょうはたつのこフィールド
ここ最近はベースとしても既に寒いのに、この日は分厚い雲に覆われて更に冷たい風も入り込んだ。本格的な冬支度が必要だと痛感するほどの寒さ。
我が国のサッカースケジュールは、寒さ残る早春にスタートし、ジメっぽい酷暑を経て、芯から冷える寒さを迎えるころにゴールを迎える。
肌で実感する寒さが、シーズンクライマックスを予告する。


関東大学リーグもこの試合を含めて残すところあと5試合だが、残りの日程・会場・対戦カード的に恐らく今シーズンの筑波を観れるラストだと思ったので、今回は総括的な見方で筑波を観るのが目的だった。さらには、そつなく首位をひた走り、前節・前々節と引き分けて「勝てなかった」もしくは「負けなかった」流経大の定点観測も含めて。

それを計る上で、茨城ダービーであるこのカードはこの上ない。応援では間違いなくナンバー1である筑波。もはや様式美な「スタメンチャント」に、軽快なビートを刻む太鼓の質もここ最近は何故か凄まじい。それに対抗心メラメラの流経大の太鼓担当も、いつもよりも手数の多い太鼓で盛り上げる。たつのこフィールドはスタンド部分はほぼ満員になった。


スタッツは公式レポート参照
まず何より目につくのは筑波の26不老祐介だろう。噂には聞いていたが、本当にそうだったとは。昨年広島ユースのエースとして活躍した不老は、筑波に進学し、シーズン当初から同じルーキー25瀬沼と共にFWとして出場機会を得ていた。それがここにきてまさかのCB起用。聞いて、そして見て、びっくらこいた。

ただ、風間筑波にとってはこの起用法は日常茶飯事。この日FW起用の11鈴木は前々節はDFとして出場してたし、13岩永も両方でよく起用されている。不老自身も9月の早稲田戦ではFW登録としてベンチ入りもされている。CB3作田の相方がハッキリと定まらないままシーズンここまで来てしまったが故とも観れるし、関東大学リーグを「育成の場」とハッキリ割り切り、結果にあまりこだわりを示してこなかった風間八宏らしい何か思惑もあるかもしれない。不老を最終的にどう見るつもりなのかは監督のココロのみぞ知るわけだが、FWとしてのためと思ったとして、その思惑を、相手として対峙するであろうCBを『良く観れる』ために…だなんて仮説も立ててみたり。この辺、ホント話を聞いてみたい。今日のU-17W杯の解説でポロっと話してほしいくらい。

しかしそのCB不老は、思ったよりも悪くない。
FWとして培ってきた、例えば空中戦の感覚や、攻めっ気を使ったニア取り勝負への執着心、また相手のココロを知ってるからこそ「これくらい削ったってどうってことないだろう」みたいなある種イケナイ心情も、CBのプレーにおいてなかなか有効に発揮された様。高さと後ろへのカバーで、要所を何度も封じて見せた。守備面でスタンドの声援を一番に受けたのは間違いなく不老。ここで不老のチャントが使われなかったのは、彼のチャントがFWっぽい乗りだからだろうか?

これを見るとFW→CBのコンバートってのは、そのまま引き継いで使えるテクが多いから案外簡単に行くのかもしれない。ただそれは恐らく不可逆なもの。CB→FWとして困るのは、何よりシュートテクニックの分野だと思われる。うん、サッカーの可能性は無限大であり、ゆえに難しい。

前半、風上に立った流経大は、11武藤が石川ナオばりのロングシュートを狙ってみたり、10金久保が持ち味生かして危険なポイントにボールを蹴り込んでみたりと優勢に展開。しかしそれを不老が中心になって何とか跳ね返す。筑波はたつのこのピッチに毎度の様に苦戦、パススピード不足で取られたりしてばっかだったが、25瀬沼の危険なチェイシングから高い位置でボールを取れた際には何とかシュートまで持ち込む。前半は0−0。


後半は逆に筑波が攻勢。
ミドルゾーンでかっさらわれてばかりだった筑波の攻撃が、風上に乗せてシンプルに瀬沼を使うボールが増え始めたことでアタッキングゾーンでの勝負が出来るようになった。しかし、正面を突くシュートもあれば、流経GK1増田の好守に阻まれる場面も。

劣勢だった流経は33保戸田に代えて18フランクを入れたことで流れをぐっと引き戻す。保戸田も意欲的な突破を試みたり、悪い意味で目立つ事はなかったが、この場面ではフランクの独特な感覚が冴えた。ただボールを入れるにも、トーキックで入れてみたりライナー性で入れてみたり、その発想が流経の攻撃にピリリとアクセントとなる。さらに投入された34征矢、そのファーストプレーで征矢が決勝ゴールを叩きこんでしまうんだから、さすが中野監督としか言い様がない。

実は流経大ってのは、自分的に一番「どんなサッカーをしているのか?」ってのが説明しづらいチーム。チームとしてのスタイルはこれ!というのが見当たらなく、しかしタレント軍団であり入れ替わりも激しい流経大の選手たちの、個性を全く潰さずにチームとして何故かまとめ切ってしまう。だから、入る選手の個性によってチームもがらりと変わるし、しかし窮屈そうな選手がほとんどいない。

選手への自覚というか植えつけってのがしっかりしてる面も、ピッチ上では良く観られる。例えばこの日、12ミョンギのパスミスに対して選手内から「そこ丁寧にやるところ!」と叱責する声が出るチームってのは関東では流経大ぐらいだと思う。選手同士の関係から敢えて厳しい、チームを律する声が出るのが関東王者・流経大の強さの所以だと思う(「王者」の前に「関東」とついてしまうのが現在の流経大の問題でもあるんだけど)

ふと仮説的に思ったのは、中野監督はクラブチーム的なチーム作りではなく、選手の自主性を重んじる育成要素も残しながら「代表チーム的なチーム作り」をしているタイプなのかも、と。そういう意味でも、年代別代表の監督なんか、率いてみてほしいなぁなんて事は思った。まぁ去年もこのくらいの時期に「風間八宏を五輪監督に!」とか言っていたわけだが(笑)けど中野監督ってチョイスは現実的だし何より「不足を嘆く」事態には絶対ならない。中野監督が年代別代表を率いてもらうためにも「流経大ではもうやり尽くした」と言えるくらいの成績を、早く流経大には掴んでもらいたい(笑)


負けた筑波大。

1−0でリードした後に、8大塚がPA内で倒されてPKを得るチャンスもあったが、それを大塚本人が外してしまい、勝ち点1も取れない結果に。蹴る前から「こういうPKを決められないのが今年の筑波なんだよなぁ…」とか、思わなけりゃよかった。

交代カードを有効に使って勝利を手繰り寄せた中野監督とは好対照に、風間監督は0−0で迎えた後半30分の時点でベンチメンバーのアップを止めさせ、とうとう1枚も交代カードを使うことがなかった。まぁ負けてるわけだから「好」対照とはとても言えないが、元々風間監督はこれまたこういうタイプの監督なんで、何も言い様がない。

ただ、正直「代わりに足る選手が居なかった」というのも正直なところだろう。昨年なんかは監督のお眼鏡に適う選手「サッカーの出来る選手」が、最後のインカレ決勝で何とか12〜3人にはなったと言わしめたが、その大部分を占めた旧4年生が抜けて、今年はそれを埋める選手に苦労した印象。「これだけ技術面でブレがあるとサッカーにならない」など、今年風間監督が口にしてきたコメントからは手ごたえが滲み出る事はあまりなかった。

相手が分厚く守る密集の中に、いかにパスコースを見つけ、そこにいかに通すか?その視野と技術を植え付けるのが風間監督の方針。城福監督とは思考が似てる匂いがあるが、そのアプローチは真逆。城福監督がボールホルダーの周りの選手、オフの選手の動きの質でパスコースを多く作ってやる思考なのに対して、風間監督の思考はあくまでボールホルダー中心、ボールを持つ選手がどうパスコースを観ることが出来るかの方に重点を置いていると思われる。独特の匂いをプンプンと発する昨年の風間筑波に惚れた自分だが、今年はそんな良さが見られる回数は確かに少なかった。内容が示すように、今年はインカレ出場権のチャンスはもう無いはずだし、むしろ降格圏がちらつく。

その要因を、自分はまず25瀬沼に観ていた。相手から消える動きで膨らみながら裏を狙う姿はルーキーながら既に大学界でも一級品。ただ、それにこだわりがあるのか降りるプレーがほとんど無く、組み立てに関わることがほとんど無かった。思えば去年筑波攻撃陣を引っ張った西川優大なんかは、膨らむことをしながらも、降りて足元にボールを受けることを求めることも多くあった。筑波らしさの少なさはFWの組み立てへの参加の少なさのせいかという仮説。

しかし、それだけとも言い切れない気配。クサビ受けのポストプレイが足りないのは変わらずだがその分、例えば体格を活かした空中戦ならば流経大の看板3山村との争いでも負けることはないくらいに強いし、加えて力強さを残しながらのあのスピードも規格外で、瀬沼のチェイシングに目測を見誤るDFからボールをかっさらいチャンスにする様子も何度も観てきた。何よりプレーを見ていて、改めて彼はバケモノだと思うし、大学サッカー界でルーキーながら普通に通用している様を見ると彼を責めることが出来ない。この試合でも、シンプルに瀬沼を使っちゃった方が形になったし、形にしてみせたのは瀬沼のポテンシャルのおかげ。彼は高校時代より順調に成長しているし、それは風間監督も認めている

また、クサビ受けのポストプレイ不足が原因だとすれば、この日瀬沼の相方として起用された11鈴木は、その不足を補う衛星的な動きを代わりに(もしくは共に)してくれたし、何よりボールが持ててパスも出せる「筑波の看板」10小澤司をトップ起用していた時期に結果を残せていたはず。そこで結果を残せなかったのは、小澤自身が適応しきれなかったから、というのもあるけれど…

この試合を見ると、ミドルゾーンでのパスミスで取られる場面が多かった。パスが弱かったり、たつのこフィールドの多少凹凸のあるピッチで技術がブレたり。膨らむ瀬沼の動きに向けて浮き玉パスを狙っても3山村を超えることが出来ず…なんて場面も多く。それを、スター大好きスポーツ新聞様は「やっぱり山村!超えさせないぜ」と取り上げるだろうけど、自分がこの試合で思ったのは出し手である9森谷のミス。この日の森谷はとにかくパスミスが多かった。

この日思った仮説は、やっぱりボランチの技量不足。展開が弱く、見つけたパスコースも通す技術も、甘い。

ボールを横にスライドすることで、相手は動くし、角度も変わる。その移ろいの中で、パスコースという名の選択肢は、何度も顔を出し、そして消える。その刹那のパスコースを見つけるために…

必要なのは『相手を感じる』事だと思う。コンマ何秒先に生まれるパスコースを予測するために、今の相手の動きを正確にとらえてヒントにするということ。不老の項でも書いたことだけど、ちょっと違うニュアンスとして、しかし同じことをMFにも求められる。

それを実際にこなすことで、昨年の筑波でも主力として活躍し、今年の2枚看板にまでなったのが8大塚と10小澤。両者はその意識のおかげで、パスだけでなくドリブルでもキレを増すようになった。密集でスライド幅が制限された中でも、相手を感じながら逆を取り続け、細かいタッチでボールをキープし続ける。この日8大塚がPKを得たプレーはそんな大塚のドリブル突破が生んだもの。

6古山9森谷14八反田なんかだって、昨年から出場機会を得ていた選手。2須藤は昨年も出ていただろうけれど、個人的には今年から目立つようになった選手。須藤は守備でガツガツやってくれる選手なのでその部分で貢献してくれてるんだけど、やっぱりこの日の森谷は物足りなかったと思う。山村を超えない浮き玉パスも、迷いに迷って時間をかけてからのものだったし、同じ瀬沼への浮き玉パスも、小澤司は通していた。9番を背負わせた期待ってのはあったと思うし、それは昨年の森谷を見た自分もまた然り。

相手を見る、って要素は調べてみると重要な要素として風間監督も口にしていた。9月16日の対明大戦、曰く

「中盤の変なミスがなければ、もう少しチャンスをつくれたと思うけど、確実によくなってきている。あとはもう少し相手を見てプレーできれば、ミスも減るし楽しいと思う。」

見える、ってフレーズは風間監督が良く使うものだし、やはり風間監督の指導の上で重要な要素なのだろう。そしてこれに続いて

「中盤の真ん中の古山と森谷がいい関係を築いていて、あそこにムラがないから、チームがペースダウンしても短い時間でパフォーマンスが戻るようになってきている」

とも。やはり彼らにかける期待は大きいはずで、それならば、やはり今日の森谷のプレーではダメだと思うし、代わって出ることすらできなかった古山と八反田は尚更だろう。

自分主導の打開の出来る選手になるために、求められるのは『相手を感じる』こと。城福イズムで周囲が2歩3歩の動き直しでパスコースに顔を出してやることも手ではあるが、そこにまで手を出し始めるのでは、何とも筑波らしくない。相手を感じられるように、そして楽しくサッカーをするために。残り数試合でも「成果」と「筑波らしさ」を出してほしいと強く願う。


帰る頃には小雨もぱらつき始めて。自分が観たかった試合を見て満足できて、さァあしたの清水戦だ!とチケを買いに行ったら…そうなんです完売御礼。日本平で超満員札止めだなんて…自分完全に舐めてました。友人と「俺たち間抜けすぎじゃね?」と大爆笑orz さて、いきなり暇になったあしたはどうしてくれよう、恐らく誰もいないだろうからユースを応援した方がいいか…

何かもう、いわゆる「サーセンww」って気分ですわ。