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FC東京を「卒業」したROOKIESたち 〜スー・タマ・ルーベン・ブッチの現在〜

FC東京

神戸にはさすがにいけなかった自分だが、ならばと土曜の日中は懐かしの選手の様子を見に行った。場所は明大八幡山グラウンド、Iリーグ第4節。
大学サッカーの2軍以降に当たる選手達に出場機会を与えようと、学生主体で行われているこのリーグ。関東大学リーグは現在中断期間中。リーグを彩るスター達はベオグラードユニバーシアードを戦っている。スター不在のこの時期の主役は、未来のスターを夢見るフレッシュな選手達。あわよくば後期にはチャンスを掴んでやろうと野心を抱きながら、ワイワイとサッカーに打ち込んでいる。
自分の目的は勿論、我らがFC東京U-18の卒業生達だ。


第一試合は専修大学Bと駒澤大学Bとの対戦。
駒澤にはスーこと須藤隆平が所属。U-18時代には、本職CBながらパワープレー要因として試合終盤に数多くのドラマを作った男である。技術も飛び抜けた高さもあったわけじゃないが、空中戦のポイントと何より「チャンスのポイント」を感覚で知る選手だった。彼が駒大を進路先として選んだ時には、CBとして勝負していくのか、もしくはいわゆる駒大系FWとして最前線でボールを競る選手として育つのか、どちらにしても彼に合った良い進路先を選んでくれたなと嬉しい気持ちだった。
この試合、後半途中から出場したスーはCBに入りプレーした。大学生の中に入ってしまえば、高さも身体の厚みもまだまだ足りない。それは「スーってこんなに小さな選手だったか?」とすら思ってしまうくらいに。しかしピッチに入ってしまえばその熱い気持ちが表に出るファイトぶりで、専修攻撃陣に体を張ってぶつかっていた。
U-18から駒大に進学した選手というとあまり思い浮かばず、スーとしてはあまり知り合いのいない中での大学生活を送っているかもしれない。しかし彼は彼らしく、ぜひチームに愛を、プレーに熱を込めてこの先も頑張ってほしい。
相手の専修には金子祐二が進学しているが、この試合には出場していたのだろうか?メンバー表をもらい損ね、かつユースをしっかり見始める様になる前の世代なので残念ながら気づくことが出来なかった。しかし少し調べるとチャンスはもらっているようで、近いうち関東大学リーグで見れる日が来るかもしれない。


第二試合は東京国際-明治大学
明治といえばまずは宮阪政樹。今シーズンからトップチームレギュラーのみならず、関東大学選抜にも選ばれる活躍。FC東京トップチームの練習にも参加するなど、関東大学でも注目を浴びる選手となりつつある。
しかし何といってもタマ・ブッチ・ルーベンの1年生トリオだろう。
創設以来最高の成績を残した昨年のFC東京U-18の中心選手達。ブッチこと岩渕良太は「東京の10番」として得点を量産。ルーベンこと山村佑樹はエースストライカーとして攻守に東京を引っ張るリードオフマン。そしてタマこと三田啓貴は、クラ選決勝で決勝ゴールを決め、大会MVPを獲得したことで記憶に残っているサポーターも多いはず。
この試合ではタマとルーベンが先発出場。タマは後半途中までを左MFとしてプレー。もっと多くボールを触りたいんだろうなぁとは心配しつつも、ボールを触ればつなぐところは確実に繋ぎ、仕掛けるところでの仕掛けはやはり一味違う切れ味。ゴールライン際でのスルスル侵入ドリブルやヒールでのトラップなどを随所に見せながら、しかし本人もまだまだな手ごたえだろう。1年ながらプレースキックを任せられる立場にはあるものの、周囲から来るパスはぶれたり、受けて叩く展開でも個人的な突破をしてしまう勝手な周囲との調和がまだまだ取れてないように思えた。「贔屓をするために見にきた」自分としては、「もっとタマにパスを!タマへのパスは意識高くぶれさすなよ!」と贔屓し倒したくもなった。
そしてルーベンは先発フル出場の2ゴール!
ルーベンというと怪我の匂いを残したまま卒業してしまったイメージが勝手に残っていたので、様子はどうかと少し心配にも思っていたが、そんなのどうでも良いくらいの絶好調!恐怖のチェイシングで守備を引っ張りながら、ボールを受けたら小さな身体でクルンと前を向き丁寧なパスゴコロを味方に配る。さらにチャンスではDFの間を強引にねじ開けてフィニッシュまで行ってしまうパワフルさも健在。ライン上を嗅覚優れる飛び出しで抜け出すと、確実に2ゴール。オレ達のルーベンが、明治でもルーベンとして活躍し、「ルーベン!」として明治大サッカー部の声援を受けている様子が見れたのが、一番嬉しかった。


この日出場の無かったブッチ。ブッチは元々関東大学リーグでもちょくちょく出場機会を得ていて、今回は明治トップチームのスケジュールに帯同していたと思われる。その明治トップチームは日曜日に小平グランドでFC東京と対戦。

久し振りに実家に里帰りとなった卒業生達。先輩金森はラインズマンをこなして復活間近。宮阪も顔を出していたなんて話もちらっと聞いた。
そしてブッチは後半開始からボランチとして出場。独特の間合いでのボールタッチを見せつつも、その本領を発揮したのはその後に配置転換でトップに移動してからだった。2トップの相方は何とルーベン!昨日の大活躍を見て急遽呼んだらしい。

かくしてあの2トップが小平グランドで再現となった。良く知らない練習生が攻撃陣に入っていたFC東京よりも、この2トップの方がよっぽど東京であり、そこはもう堂々と応援してしまった。

タマとルーベンが2トップを組んでしまえば、どことなく明治のサッカーがあの時の東京U-18っぽく思えてしまえるから不思議だ。クラさんに徹底的にたたきこまれたチェイシング。ボールを持てば阿吽の呼吸でお互いがお互いを探す感覚。ブッチがパスを出せば、ルーベンは例え平松が相手であろうとも強引に身体をねじ込んでボールをキープしようとする。あの時のワクワクが蘇ってくる。

これが感慨深いと言えばそれも間違いないのだが、しかし実際問題として彼らは近い将来の明治をしょって立つべき人材なわけで、定着してしまえば感慨深くなることなんてこれが最初で最後になるかもしれない。遅くて来年、今年の後期からだって彼らのプレーが関東大学リーグで定期的に見られるようになってもおかしくはない。何故ならば他の大学では東京を卒業したROOKIESたちが既にトップチームで活躍し出している。


キャプテン畑尾大翔は早稲田でCBとして出場機会を定期的に得ている。早稲田CB陣は中川・岡根・小川などと大学屈指の層の厚さを誇るのでどうなるかと思っていただけに、そこにしっかり割り込んでいる嬉しい活躍。先日の早慶戦でもレギュラーとして出場した。鉄壁のCBコンビだった相方、藤原広太朗立命館大学で既にバリバリのレギュラー。神戸戦前にコウタローを観に関西大学リーグに足を運んだ方によれば、統率の中心として「君臨」した存在感らしい(しかしコウタロー→神戸→小平ハシゴした人が個人的に知ってるだけでも二人いるってんだから東京サポは恐ろしいのである)。ボランチの中心、大貫彰悟は流通経済大学にて、JFLにほぼスタメンで出場。過酷な遠征スケジュールをこなしながらたくましさを増している。遠くは鹿児島、鹿屋体育大学に進学したのは守護神・井上亮太にパブロこと山崎侑輝。一足先に進学した先輩・岡田翔平(サハラ杯優勝時の決勝ゴーラー)とともにレギュラーを勝ち取り、九州大学リーグで大暴れしているらしい。鴨池に遠征する際にはぜひ鹿屋大の様子を見に行ってあげて欲しい。


将来に向けた大事な何かを得るために。もしくはプロの道が開けなかった悔しさを胸に。
それぞれの気持ちを胸に抱きながらも、しかし彼らのプレーはあの時と何も変わっていなかった。サッカーを楽しみ、勝利に向けて妥協せず、そして何より「FC東京U-18らしい」彼らのプレー。それは「あの時代」がまだ現在進行形で続いているかのように、新しい驚きを今も観る者に与え続けている。
しかし、それもいつまで続くだろう?
変わらないところと、変わるところ。変わらない彼らに感慨を感じた一方で、大学に進学したからこそ変わる部分はこれから出てくるし、プレーヤーとしてもっと数段上に上がる為に、それらは今後むしろ出てこなければならない。チームを背負う責任感か、はたまた大学という社会で揉まれる経験か。それら一つ一つの経験が自身と混ざることで生まれるプレーヤーとしての変化、「進化」を彼らが遂げることに今度は期待しようと思う。「あの時の続き」ではない、新しいステージに足を踏み入れた彼らが今度は見たい。
そしてそれを観ることができた時、彼らは大学サッカー界のスターとして、リーグを彩る存在として、輝いているに違いない。