夏の扉を開けて〜 レビュー -清水戦

世の中、いろいろハシゴ観戦はございますが、本日は府中→国立のハシゴでござんした。もちろん府中はサッカーではなく…ヱヴァ「破」。オタクゴコロをどっぷり取り戻した反面、あまりにもな「破」のダメージでふらんふらんになりながらの国立到着に(笑)サッカーなんてもうどうでもいいや、ってくらいにね。
けど結果として、こんな不埒な自分をサッカーに引き込むくらいの、好ゲームだったと。スポーツ的な醍醐味もありながら、しかも勝つっていうね。エンタメ的にも何と素晴らしい(笑)


正直、清水を舐めてた部分もあったわけ。「岡崎・ヨンセンが戻ってくる本気の清水」なんて触れ込みで臨んだ試合だけど、そんな清水がナンボのもんじゃい!と。2週前の駒沢ではある程度の実力差を付けて勝ったと自分は思っているわけだし、そこから選手が戻ってきて清水が果たしてどんだけどうなるか?ってのが、まぁ不勉強ですから単純に知らなかった。

それが、両者が戻ってくる「効果」ってのを清水は示してきた。特にヨンセン。今季加入のこの選手をしっかり戦術として意識し使い込み、実際にこの試合で発揮して見せた。パサーはルックアップでまずヨンセンをしっかり見るし、受けるヨンセンもそこは確実に受け止め、叩き、空中戦も競り勝ちと絶大な存在感だった。こんなにヨンセンを戦術とした戦い方を清水が身につけているとは思わなかったから、コレは素直に驚いたし凄いと。

また、チームとしても東京対策を施してきた様に思えた。DFラインのいっちゃんケツからのビルドアップが今の東京の強み。それに対して清水は、プレスを強めるというよりかは人にしっかり付いて填めてこうみたいな、バスケのオールコートディフェンスみたいな展開。ボールを追いかける運動量というよりかはその以前で人を捕まえきる意識が高かった様に思う。この対策に慣れない東京は、前半の最初部分は、それはそれでシンプルに前線への長いボールを入れ、ここを確実な判断で「逃げた」。

この情勢でこの試合は、あぁ「いつもよりも手数をかけないやり方で攻撃の形を作りきらなければならないのかな?」ってのを問われる試合だと、見ながら感じていた。そしてこの形はこの形で、受ける2トップの信頼感と実績もあってそれなりにやれてはいた。PKという形で回答を示して見せたし、コレはコレで収穫としてクローズアップしておくべき部分だったのでは。


ただ、そのタスクが変わる瞬間ってのがこの直後に訪れて。つまり「手数をかけないやり方で攻撃の形を作る必要が無くなった」。前半のどっかのタイミングで、清水のオールコートディフェンスを初めてポゼッションでいなして見せた瞬間が生まれたんだよね。「あぁ出来るじゃん!」ってなったところから、いつも通りにどうパスを繋いで攻めきるかって課題に移行される。
この試合においては、この転換点をしっかり捉えておかないといけない。この試合で初めて相手をいなして見せた、「事情が変わった。続けて」のこの瞬間、選手の感覚の変化は是非選手に聞いてみたいところ。あそこでの手応えで、この試合は変わったと思う。

出来てしまった東京は、その後も出来続けた。今までの苦しみがあるから、今回もココをクローズアップして、評価してあげたくなる。でも、それも今日までにしよう。彼らの課題は確実に「次」に移ったから。
最後にそれを整理しておけば、とにかく彼らの動きに無駄が無くなったんだよね。これは90分通して、ピッチ全体を見ての話で。いわゆる「ココ、この瞬間で10m走ることをサボらないことで、次の瞬間に50m走らなければならなくなるのを回避する」という感覚。そういう、必要なタイミングでしっかりとサボらずに動く感覚が攻守で、特にビルドアップでの顔出しで何かはホント徹底されてきたと思う。
全体の戦術にもよりけりだけど、ミクロな感覚ではパスコースに顔を出すなんて事はどんなチームどんな試合でも必要な所作になる。今の東京は顔出す意識とその動きという点では日本でもかなり上位に位置しているはず。城福監督も12kmの質についてはコメントしていたけれど、その改善が確かに為された。自分達が目指すサッカー、その始点部分で無駄は無くなった。


この前提、順序をもってして、初めて次の課題つまり「終点部分」に移れる。始点で使う必要の無くなった無駄。その無駄を、今度は終点で使いたい。
ただ、この辺はこの試合まではまだとやかく言うつもりもなくて、次回以降で。無駄を終点付近でどうばらまくか?ってのはたぶん選手・監督もこの試合の手応えを受けて、次の試合で考え始め、実行すると思うし、つか自分の見方がそうなだけなんだけど(笑)自分の見る部分が次に進むのは嬉しいし、神戸戦はそこを注目してみようと思う。


「この良い内容で、強い相手に挑みたい」とは柏戦後に言ったことだけど、なんのナンノ清水はそれに足る強いチームだったと素直に感じれた。だからこそ、この相手にしっかりと勝てたのは嬉しかった。イイ試合だったし、個人的には主審のレフェリングも悪くなかったと思うんだけどね。一見さん多かろうこの国立で、抜群のアピールになった素晴らしい試合でした。


問題点をいくつか。
まず一つは選手交代。もっと早い段階でカボレを下げるべきだったと思う。
ガス欠でスイッチがオフられたカボレを引っ張る必要が果たしてあったのか?究極にヤバイ時にはカボレも走ってクリアとかもしていたけれど、後半も終盤にはもうそれだけの選手に成り下がっていたわけだし。加えてヒザの不安もある中で、交代枠も余裕がある中で、カボレを後半40分まで引っ張る必要は無かったはず。
また、後半に大事な1vs1を外したこと。あれでこの日全体のカボレの出来を責めるつもりはないし、あーいう外し方をするカボレがいつものことなのは重々承知。しかし、流れが明確に行ったり来たりしていたこの試合において、あの失敗は清水に試合の流れを、もっと言えば勝ち点を渡しかねない転換点に成りかねなかったわけだ。あのワンプレーは重く見るべきであり、それでカボレの交代が早まることはあっても引っ張る判断にはならない。
ムックン締めが効いたのは間違いないけれど、そのタイミングまでカボレが居る必要は無かった。枠は2つ残されていたのだから、ムックン投入前にカボレを下げる采配があって良かった。城福監督としては諸々が事前に用意されていたプランだったのかも。相変わらずのスカウティング能力の高さだとは思うが、それと同時に、自分が常々求めている「アドリブ性」を発揮した采配ではなかったのだろうなと。


もう一つはベストメンバーが崩れた際の対策。
上記での課題とも関連しているけれど、「コレが東京のベストメンバーだ!」と中も外も印象強くなってきたところで、選手采配では交代が難しい位の完成度を積み上げつつある。
しかし、このベストメンバーでずっと試合が出来るわけでは、当然無い。ケガ等のアクシデントもさることながら、イエローカードの累積による出場停止をそろそろ考え始めなければならない。梶山の「サイレントdis」(東京U-18の伝統か?)や権田の遅延によるカードなど、要らないカードを含めてこの試合でも4枚のカードを受けた。これにより現在、徳永が3枚、長友・今野・梶山・羽生・米本が2枚と、段々と出場停止のやりくりが求められる時期になってきた。
ナビスコ予選による若手の台頭は確かにこの問題に対して頼もしい話題ではあるが、先日の柏戦での草民を見ても、「ナビスコとリーグ戦は別物」なのだと改めて示された格好だった。
ベストメンバーが固まってきたところで、今度はそれを崩す勇気、選手が替わってどうクオリティを維持するかといった問題が、コレから出てくる。そこのやりくりと、代わりの選手の本格的な台頭。この試合のというよりもコレからの課題としての話だけど。
でも、誰が抜けたら今のサッカーにダメージが大きいのか?=誰が今のmoving footballのキープレーヤーとなっているのか?を探るって思えば、観る側としても興味はある展開なんだけど。けどこれを期待する発言ってのはサポあるまじき発言だな(笑)個人的には米本っぽい気がするけど大マジで。



6月全勝。星も5分に戻して借金返済!…と言いたいところだけど、得失点差マイナス3が利子として残ってる。何だかイヤーンな感じです。神戸戦で利子もキッチリ耳揃えて完済して、やってやるぜ反撃の夏。東京の夏が始まるぜ!
フレッシュ・フレッシュ・フレーーーッシュ!夏の扉を開け〜て〜…


それじゃあバイバイ深田恭子でした〜