キングは誰だ?!! プリンスリーグ第3節 -鹿島学園

日曜日に観たプリンスの試合について、木曜日に書くという低級ブログへようこそ!土曜日の気分を引きずり小平に行ってしまったので、第2試合の國學院久我山-日本航空は観戦を止めて、荒んだ気持ちにピッタリな「お馬さんパーク」に行ってしまったよ。ちなみに皐月賞は「アタマ軸は出遅れ(?)ながらも2着に来ましたよ、けどダービーでは当然追いかけませんよ。NHKマイルだったら考えるかもだけど〜」って感じでした。素直に3強に馬連で流しときゃ良かった(笑)


昨年の選手権ベスト4の鹿島学園は、さすがに強豪校と思わせる箇所が随所に散らばっている。トータルバランス高い10三橋+スピード一発14姫野のFWコンビに、前もプレー出来る9請川11兼子の両翼、ボランチコンビ6田口7宮内は豊富な運動量でセカンドの競り合いを厭わないし、4バックのDFラインはピッチリと統率。特に驚いたのは最後のDFラインの部分。4人が等間隔を崩さないままに、前後だけでなく左右にも細かくラインコントロールをし続けていた。こういった機微の効く組織が叩き込まれている部分、さすがの名門校というか昨年の実績校というか。
そんなチームをおちょくるんだから東京も大したものというか「図太すぎるやろ(笑)」というか。
一応立ち上げの埼玉カップ初戦から見続けてるけども、随分とプレーに自信が乗っかってきた。堂々と攻めるし、守備でも冷静にカバーし合う。まぁ元々DFラインは元々平出・松藤・廣木と「オッサンか!」っていうぐらいのメンツだったから、非常に老練ではあったんだけど(だからよっちのピチピチ感が際だつのか)。
となると変化はやっぱり攻撃部分か。無理な攻撃は格段に減って、体勢有利・時間いっぱいになったところで堂々と攻める様になった。これは人によっては「舐めた攻め」とも言うだろうし、自分としては「冷静に自信を持って攻めた」と捉える。
まず、両翼が上手く体勢有利のための時間稼ぎ、逃げ道として使えている。11梅内と7星は突っかけるぞ!っていう意思表示で相手を上手く牽制しながらボールを保持出来ていた。それでいていざ両翼を今度は「攻撃の槍」として突破を試みてもらおうとすれば、両者は途端に気持ちの良い槍になってくれる。さらに4廣木は梅内の外を、13武藤は星の内を大胆に攻め上がって選択肢も増やす。攻にも守にも、両翼が上手く仕事をしてくれることが東京をワンランク上げている。まぁこれはFW起用で調子を上げ始めてきた梅内の良さもあるし、「オッサンズ」星の気の利かせ方がさすがという感じ。

それでいて後半は交代で14三田3阿部巧になるんだから。ぶっ壊しにかかるヒサオに、土俵際の粘り腰がとんでもない巧とこれはもう卑怯というか相手からしたら絶望モノでしょう(笑)

第2節も出なかった三田、U-18帰りの巧、第2節に久しぶりの出場となった重松と大部分の主力候補をこの日先発させなかった倉又監督。そこには現在の東京の状況、相手・鹿島学園をどう捉えていたか、またその三田と巧を後半から使ってきたところに試合展開をどう捉えたかが透けて見えたかもしれない。だからといって先発の選手が見劣りしていたかと言ったらそんなことは全くなくて、選手のやる気、チャンスを掴もうとする意気込みはハンパ無い。
特に重松のいない攻撃陣。「キング」の居ぬ間に「オレがキングになってやる!」なんて下克上的な意気込みはビシバシに感じる。プリンス開幕前には三田が奮闘し、開幕後には9山口が台頭してきた。特に9山口なんかは18山崎の失敗したPKがやり直しになった際に山崎の代わりにキッカーを務めて、ふてぶてしく普通に決めて見せた。山口がキングに台頭し始めたところで巧が途中投入されて「ジュン、スローインやって」とひょいとボールを手渡されてしまう。ここでまた大将逆転。あぁ分かったよ、やっぱオマエがキングですわ巧サン(笑)って感じもあったりで。「鬼の居ぬ間のキング争い」が今は面白いし、それでもやっぱり「キング・オブ・むさしは伊達じゃない」なんて台本も期待出来たりで、この辺は勝手に妄想してるくらいがちょうど楽しいね。


終盤までにキッチリとリードを奪っておき、最後は大人も身震いするほどのコーナーキープ。巧・山口・8年森によるキープの鬼っぷりったら無かった。オレが対戦相手だったら泣くね。帰りのバスで文句を言いまくるわ。相手サポだったら可愛げがねぇとしょんぼりする。それぐらいに今のU-18はゲームコントロールに長けている。大人のサッカーをホントやっていると感じる。

この全く同じパターンで結果3連勝の単独首位。この勝利の方程式が崩れた時のリバウンド力、あとは選手自らのカードコントロールが今後問われてくるだろうか。自信を得た過程が、個人的には「短すぎるやろ」とも思っているけど(笑)、自信ベースでやり続ければそこには当然、伸びしろがまた生まれる。
課題と成果を見つめながら、彼等のシーズンは始まったばかりである。
そして日曜日は東京ダービー三菱様和戦。恐らく東京よりもタレント集団、1年から3年まで、本当に上手い選手ばかりな養和だし、先日U-20日本代表に飛び級で選出された7加藤大も出場見込み。養和側のファンも多数来場されるだろうし、プリンス前半戦の大一番にふさわしい面白さが予想されます。
大分に行けない方なんかはその分の観戦候補として是非ご一考を。We are tokyo!We are tokyo!!

  • Pick up player 18山崎直之

昨年の段階から既にAチーム・サテライトにちょくちょく出場していた山崎直之、通称ナオ。
そのプレーぶりはまさにブッチ、昨年のエース10岩渕に似た独特の間合いと身体の使い方でしなやかにボールキープ出来る選手だった。このプレーぶりを観て来年(つまり今年)の東京U-18に思いを馳せた時に、シーズン立ち上げの際にブッチをFWやらボランチやらとフレキシブルに起用しながらチームの骨格を作っていった様に、来年はナオをブッチ的に使いながらチームを作っていくのかなぁなんて考えたりしていた。
そして今年、重松不在もあって早速スタメンで出場していたがどうにも上手くいかない。

自分はよく、持ってる技術を「凌ぐために」使うか「決めるために」使うかを気にして観戦する。プレッシャーかけてくる相手を綺麗にかわす、相手の間合いをずらしてパスを出す、そんな技術の使い方。せっかくの技術もCBにバックパスするためだけに使う様だったら試合では何の役にも立たない。技術の持ち腐れもいいとこだ。その技術をチャンスに直結させてこそ、ゴールを決めるために使えてこその技術なのに。その些細な違いが、選手の価値を変える。小さい様で、大きな違い。しかし現状、技術は高くても「凌ぐために」しか使えない選手が非常に多かったりもする。
そして、ナオもそんな選手の1人だった。トップ下の位置でキープしても、結果パスを出す相手はボランチであり、SBだった。プレーに自信が乗らず、結果「軽いプレー」になってしまい、チームはピンチ、倉又監督の檄が飛ぶ。しかしそれでも外されずに使われ続けて…その繰り返しがプリンス開幕までだった。
それが些細なきっかけで確変を起こすのだから面白い。3月の彼と今の彼は全く違う。SBにパスを出していたのが、ウイングに出す様になった。トップに出す様になった。パスと見せかけて、ミドルを打つ様になった。凌ぐためだけに使われていた才能が、「決めるために」使われる様になってきた。
きっかけは恐らく、プリンスリーグ第1節での逆転ゴール。左サイド深い位置で、パスと見せかけて縦にドリブル突破、相手GKとの1vs1を冷静に決めきったあのスーパープレー。恐らく公式戦初得点であろうあの一発が、彼の視界を変えたはず。
その次の週にはトップチームのTMに出場し、豪快なミドルをぶち込んだ(それはFC東京ホットラインで放送されるほどのゴラッソだった)そしてこの試合でも積極的にミドルを放ち、体力的にバテてきた後半にウラへの抜け出し殊勲のPKを獲得した。
変わり始めると、こうも変わるのか…本人はそれを今、体験し始めたところ。一回の結果、それで得た小さな自信が、新しい大きな世界を生み出す。ナオは今、新しい発見ばかりでサッカーが楽しいんじゃないかな?
ユースにもナオはいる。背番号18の成長が始まった。多くの人に是非、見守ってもらいたいなぁ。