4-4-0 vs 4-4-0 レビュー -磐田戦

屋根の無ぇゴール裏でずぶ濡れ河童だった自分よりも、テレビで冷静に観ていた方の感想の方が恐らく正確でしょう。ハイになってたんだろうな。だって前半、「楽しかった」んだもん。コレは幻想だそうに違いねぇ。だって普通に風邪ひいてんもんオレ。あれは弱った状態で観た錯覚だったのかなぁ?

  • 理想のぶつかり合いには、なってたでしょ

楽しかった前半、お互いのやりたいことが良くやれてた気がする。
梶山・大竹の2列目、浅利はDFに降りて両翼上げての2バック。今となっては懐かしさすら感じる響きだけど、自分が観た水戸戦っぽいスタイルを、素直に普通にやれてた様に思う。厳密には「それ」はずっと取り組み続けてたんだろうけど、印象として、スッと、「あぁ水戸戦の続きだな」と思えたのは磐田戦が初めて。コレは理屈で説明出来なくて感覚です(だってずぶ濡れ河童だもん)。最後方の権田から、今ちゃんは逆を取りながら相手を振り、ボランチ→サイドへと、ショートパスで組み立てが出来てたかと。

対する磐田も、元々豊富にいたサイドプレーヤーをやっとまともに運用する気になったみたいで、4バックに変更し各所に丁寧に村井・太田・こまきちを配置。それでいて3-5-2時代を彷彿とさせる様な、流れる様にサイドに入り追い越してで、えぐりにえぐってきた。その植え付けのおかげか、次第に「えぐりきらないプレー」も混ざる様になり、より攻撃は効果的になってくる。あまりに無策だった昨年に比べればよっぽどサッカーをしていたので感心すらした。
ほら、こう思う人間ですよ?やりたいことのぶつかり合いって捉えたんだから、面白く感じるのも無理ないでしょ?
けど、そこに「得点の匂い」があったか?となると話は別。得点の匂いは、確かに皆無だったね。

  • これぞホントの「0トップ」?

前述の説明には、共にFWに関することが全く書かれてない。つまりはそういうことだったわけで、FWは試合に全く参加してなかった。カボレ・赤嶺・前田・ジウシーニョこの4人ともが。
ケツから2列目までの組み立てはそこそこ出来ていた東京。故に縦にも入れよう入れようって気持ちもあったし、実際そこそこ入ってもいた。けどその後。
まずピタッと収まらない。後ろからの圧力に順応しながらピタッと止めることが出来てない。ただ、これは東京恒例の「ピッチがスリッピー」ってのもあるかもしれないけど、この試合に関して言えばヤマハスタの水はけの素晴らしさのおかげで「ピッチがスリッピー」の影響は全体的にあまり無かった様に思える。そもそも今年一貫してあまり上手くなかったのは明らかだからね。「ピッチがスリッピー」とは別問題(いや大問題として残ってるけど)で、元々収まりは悪い。

収めたところで、その次の一手。そもそもファーストタッチがぶれてるんだから大した選択肢はないんだけど、しかし当てた後の攻撃パターンが一つしかないのが淋しすぎる。「クサビ受ける→ギリギリキープ→パスゴーの選手に返す」こればっか。返さずに反転突破とか、違う選手を観るだとか、ってのが全くない。芸が無いんよ。クサビを受けた後、ポストプレーのセンスが攻撃の彩りを増やす。そういう気配は現状無いね。フォローの問題も無くはないけど、あったところで使いこなせるか?センスの問題とも捉えている。アイデアがないのは観たまんまとして、どうして生まれないのか?ってところまで考えてみれば。

磐田もそう。多彩なサイドへの展開に、当然の様にオレの前田遼一は絡んでいるもんだと思ってたけど、どうにも。前田が全てだったはずの磐田で今、前田が輝けてないのは誤算というかやり方が合わないのか。合わないことはないと思うが…ヤンツーが嫌いなのか?ウチ来いよ。今なら使っちゃうよ。

そんなだから、楽しみながらも前半終了時にスコアレスドローを覚悟した。得点シーンは観れねぇだろうなと。結果、試合全体をを総括してみてもそれがふさわしいゲームだった。

  • 権田がグングンですよ奥さん!

とは言っても、シュートほぼ無しの東京に比べてビッグチャンス3度の磐田だったんだから、形勢は完全に磐田のモノ。0-3でもおかしくなかった。これは権田様々としか言いようがないね。不用意に飛び出すのではなく、シュートコースを全身で穴埋めする間合い感の賜物でしょ!さすが浜野コーチのブレ玉シュートをいつも受けてるだけあるわ。つかシュート蹴れるGKコーチすら少ない中でブレ玉シュートすら蹴れる浜野コーチの存在って、やっぱ東京随一の財産だよな。
自信と周囲からの信頼が着実に上がっている。おかげでパフォーマンスもぐいぐいと。結果的にはとうとう掴んだ「権田で勝った試合」に。痛めた箇所が軽傷であることを祈るばかり、今このタイミングで出れなくなるのはあまりにもったいない。つか権田の様子はどうなんしょ?今はガンガンに出場させたいね。

  • 「大竹前」と「大竹後」。「ナオ・タツヤ前」と「ナオ・タツヤ後」

後半も形勢は変わらずに淡々だったが、大竹交代の前後での変化にはしっかり注目しておきたい。大竹個人で観れば確かにあまり出来が良かった訳じゃない。けど居なくなった途端の「作れなさっぷり」ったら無かった。個人で輝けなくても、チームの構成員として「居ること」でチームとしての出来が良かったって証拠では?
開幕から東京の攻撃は「梶山しか居ない事」が最大の問題だった。で、じゃあ誰がいる?となるとその候補は本当に限られてきて、それは某浪人サッカー選手待望論まで出てくるくらいの問題ぶり(個人的にはこれはこれでアリ。金銭面が全てだけど)。それを考えれば現状大竹は「替えが効かない」レベルの選手だと思うし、それこそ権田の様に、例え出来がダメでも監督が大竹を使い続けたとしても、自分は何も不思議じゃないと思ってる。ギャンブルだけどさ。

また、ナオ・タツヤ投入プラス赤嶺ゴールでラストは相当イイ感じにやってたっぽいけど、あれは点を取ったことで変わったタスクと、それで生まれたゆとりの影響を過大に踏まえて観とかないと痛い目みると思う。長友の飛び出しがいきなり良くなったけど、あれはゴールを狙って飛び出したんじゃなくて「コーナーキープをするために」飛び出したんだからさ。
つーか「ゴール目指して」よりも「コーナーキープ目指して」の方がすげぇMovingするってのはどうなんでしょ(笑)


  • シンゴ・インザーギになってまうと言及することが無いわ

んで赤嶺。今日も順調にインザーギ。「触らない」というボールタッチで華麗に反転、瞬間生まれた1vs1で、冷静に遠藤のコロコロPK理論で逆を取れるってのはやはりそうそう出来るもんじゃない。何げに凄いシュートを観たよ。けどねー、っていつもの論調に。とにかく希望は「赤嶺と平山を足して2で割らないFW」に、共に早くなっとくれよと。究極こんな選手が出てきてくれんと、一生理想は完成しないからね。あぁ遠い…

  • 勝っちゃった。

そんな試合。
前述の様にスコアレスドローが妥当だったかな。例え磐田のそれがビッグチャンスだったとしても、権田の大当たりで助かった立場だとしても、やはり磐田も磐田でFWがあれだけ絡めないサッカーならばスコアレスでやむ無しなのでは?ジウシーニョって深いところでチームから信頼得てないっぽいし、前田も前田でチームオーダーでないだろうチェイシングを1人でやってみたりと、FW2人だけがチームでない。それじゃあ点は取れないよ。まぁウチもだけどさ。
けどその点、赤嶺なんかインザーギで定着しちゃったから、チャラだもんね。危険な納得だけど、勝ち点3取って帰れた大きさを考えたらしょうがない、「納得」だから。
問題はカボレだよ。何か触れづらかったけど、最近は「カボレにセンターは無理や!」って思い始めてます。つか日立台のゴール裏で思いっきり叫んでもうたが(笑)単純に調子自体も良くないっぽいし、まだ性質の問題にはしたくないんだけど、とりあえずカボレをサイドにしませんか?今ちゃんがCBでリハビリしてるみたいにさ(笑)ナオがトップで良いじゃない?


内容の悪さは当然の周知として、磐田というチームの「形」との相性も合っただろう事も忘れてはいけない。今の東京はとにかくゾーンの相手に強くて、プレスの相手に弱い。出来なんかどうでも良いレベルで、とりあえず東京DFの所からチョンチョンと追いかけ回せば、それが「追いかけたつもり」レベルでも、結構な頻度で東京は焦るしミスる。この日の磐田がそういったチームでなかったことが、「勝っちゃった」結果の最大の要因なのかも。相手が「普段はゾーン敷いてるけど、今日は相手が東京だからプレスっちゃって」なんてスカウティングから言われて実行されたら、今の東京は結構ヤバイ。それは出来の程度の問題でもあるし、またもっと単純なところでの相性の問題も。

そんな相性の問題があるって事は逆を言えば、東京はスゴイ特殊な「色」を纏おうとしているってこと。「産みの苦しみ」って言葉が流行ってるけど、確かに特殊なことはしようとしているんだろうね。ただその理想がパーフェクトなわけはないし、現に守備は意識の上下で強さも緩さも出ている様な現状(サカダイか何かで柱谷兄が「城福監督の守備組織構築は微妙」ってバラされちゃったし(笑))どんな物事でもそうだけど、過信しすぎるのは良くないし、何事にも疑ってかかる位のが新しい視点を見つけて結果も好転しそうなもんだけどね。


調子も悪いんでこんな感じにダラダラユルユルで終了さんです。