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歴史に勝った達成感  1/3広島皆実-作陽 1/5四日市中央工-広島皆実

U-18

駒沢開催な組合せの関係で、広島皆実のカードを2試合連続観戦。印象はまとめてで。
作陽との試合はかなり期待していたカード。作陽はやはり高円宮杯準決勝のレッズY戦の印象が良くて。かっきりと守り、賢く点を奪うスタイルは異色と言えばそうだけど、何というか全国大会に向けた練習量みたいなのをこのベクトルで感じられてスゴイ感心した記憶が残っている。何つーか、仮装大賞的な感心の仕方というか。
そして皆実。中国プリンスで広島ユースを抑えて優勝し、高円宮では予選Gで柏U18を撃破したりと近年の地力の強さを継続。こちらは初観戦なので新発見を楽しみに。
そんな試合は1-0で皆実の勝ち。作陽がああいうチームだっただけに、ある程度劣勢を続けてても「何かある」「何か企んでいる」と期待したりもしたが、結局そのまま押し切られ、皆実が完勝した試合になった。
皆実はまず守備。囲みにかける人数がしっかりし、そのテンションが落ちる事はない。体格はそこまで大きいわけではないけど、CBの2人中心に高さ勝負も頑張れる。それをフルタイム通しながら、攻撃。最終ラインの数歩手前にクサビ+起点でワンアクション、そこから逆サイドなり切り返しで相手かわすなりで相手ゴールに迫る。そこで11佐藤と9金島の画に描いたような凸凹2トップのコンビネーションが良好。距離感が良く、お互いの動きを知り尽くしている感のあるパスワークはなかなか見事で、この2人だけでもある程度の脅威は与えられそうなクオリティ。モチロンそこに絡む周囲のスキルだってなかなかのもの。
特に目立つのが11佐藤。小柄なテクニシャン。切り返しの鋭さで、中央の密集地帯でクサビを受けてもしっかりと攻撃を展開しきる。そのアイデアはゴール前でももちろん発揮され、その様は地元Jクラブに君臨する大エースと被る。
対する作陽は、結局何も出来なかったって事になっちゃうなぁ。元々人数かけて攻撃してくるチームじゃないから、その点で皆実との分の悪さはそもそもあったとは思うけど。ただ終了直前でも4バックが全く崩れずに自チームの攻撃を傍観する姿には少し恐ろしさも。浦和Y戦で見せたパーフェクトなCKなど、セットプレーにもっと活路を見いだす戦いぶりをすべきだったかと。


そして次の相手は四中工。三重の名門。この試合も作陽戦同様な展開で0-2で皆実が進出。
直前の國學院久我山がハード日程によるコンディション低下が観られたのに比べて、皆実はそんな事はなく作陽戦で観られた良さがそのまま出た。フレッシュに完勝しきった。
四中工について。うーんちょっと残念な出来だったかも。
システムは4-1-3-2。アンカー8が底を締め、攻撃の中心らしい14をトップ下に置くスタイル。その使い方もだし、本人もだし。まずチームとして配置で4-1-3-2が全く崩れない。きっかりとその距離感も角度も守りながらサッカーをする、いわゆる「ゾーンオフェンス」。ただそのせいで頼みの14には全くボールは集まらないし、いざ持っても雑なプレーに終わってしまう。本人14もこの日はイマイチで、どうもポジショニングに不満が残る。トップ下、中央に配置されてるのにボールサイドに寄らない、ゴール前の攻防に関与しないポジ取りでまともにボールに触りに行かない姿勢には疑問が残った。正直に申せば、チームとしてはゾーンオフェンスなあまりに、チームにダイナミックさが無くなり、そこにはさすがに古さも感じた。実際に皆実としては守るのは楽だったのではないだろうか?四中工「栄光のエースナンバー17」を背負った榎も、見たところ単体での打開力があるわけでは無さそうなのでコレでは厳しかった。


二戦通じて、皆実は正当に勝ち進んできたし、それに見あう実力も持ち合わせていた。守備意識の高さが大きく触れられがちだが攻撃もなかなかにスキルフル。高円宮時点での広島Yとの比較になってしまうが、皆実が中国を制したのも納得がいく強さだった。そんな皆実も、四中工戦の勝利が決まったときにはベンチの選手も飛び出しての大騒ぎに。近年躍進してきたこのチームもベスト4は初めてだったらしく、その壁を突き破った喜びにピッチは溢れかえった。
有象無象ひしめき合う冬の選手権もベスト8にまで絞り込まれるとなかなかのメンバーが揃ってくる。しかしベスト4となるとその格はさらにグンと高まる。今年は違うけど、夢の国立の切符を掴む為のこの関門は、常に厳しく、夢みる高校生達の壁として立ちはだかり続けた。今回の選手権を多少は見続けて、そして多少の数のチームを観てきはしたが、皆実は間違いなくベスト4にふさわしいグッドチームである。関門は関門として、選別は正常に機能した。
選手権の在り方については諸説ある。どちらかというとJユースを観る自分としては、文句やら不満やら羨望の眼差しやら、複雑な感情がこの「煌びやかすぎる舞台」に注いでしまっている事を隠すつもりはない。そもそも高ぇんだよ1500円って。チケットがオガサだし。つかチケットがカラーだし。そもそもチケットがあるし。カメラの数もハンパ無い。ベンチを移すためだけにカメラを用意するのが信じられない。「うおー今日カメラあるじゃん!J's GOALかなぁ?ダイジェスト観られるかなぁ」とたった1台のカメラが深川グランドに置かれただけでも興奮していた12月幾日の自分が情けなくなる。それは間違いなく『嫉妬』だろう。
しかしこの日彼等の喜びから見えたのは、未だ夢の舞台であり続ける聖地・国立競技場の威厳であり、ベスト4のメンツから見えたのは、国立へ向けての関門が正常に、厳しく働いているという正しい「大会の威厳」であった。
改善の余地多い大会であろう事は間違いないが、その威厳は今も高く保たれている。そしてその威厳は憧れとして、多くのサッカー少年達の夢として今もあり続けている。それは一つ、大切な事だし、その威厳はいつまでも美しく、在り続けてほしい。今大会の選手権観戦は恐らくこれでラストだったが、多少なりとも観戦してきてその大事な部分に触れられた事は自分にとって本当に良かった事だと思った。