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言いたくなり始めたらキリがないくらいイイ試合だったからもうなんも言えねぇ! レビュー -鹿島戦

FC東京

年に一度の味スタ劇場。『東京は止められな〜い』を再認識する記念日。こんな試合をされてしまうと、選手全員褒めたくなる。延々と語りたくなってしまう(ウザい)。なので、断腸の思いで3件だけ。

  • その1 このタイミングで初めて「完全復活」宣言 長友佑都

五輪以降の長友にはずーっと不満だった。「守備重視、機を見て上がる」のコンセプト変更に長友は明らかに苦戦していた。左サイドから中央梶山に入る、その直前には思い切りよく飛び出せていたのが、梶山が受けて首振った時に初めて飛び出す様な、そんなタイミングの逸しぶり。最終的にはスピードが持ち味なのにサイドの1vs1で相手DFと正対したがって案の定取られて、「お前はノリオか」と突っ込みたいほどに良くなかった。細かい判断でも不満は非常に多く、そんな五輪以降の長友は認めたくないパフォーマンスだった。上がりからのクロスでアシストもあったりしたが、期待しているのは一発必中の長友ではなく、「またしても」な長友だったから。
ただ、それを長友本人の不調一つに括っていい問題では実はなくて。前述通り城福東京での両SBの役割を明らかに変えてきたので、そのやり方に戸惑っている可能性もあったからだ。SBを守備ありきのセーフティにしたからこそ守備の安定・失点数の減少、おかげで勝ち点の取り方を思い出したのだがら無碍にそのやり方を否定するわけにはいかなかった。けど自分は先日遂にそれを「つまらない大人になった」と表現し、戻し時だろうと言ってみた。
そう言及しきれるだけの確信を手にしたのは代表戦。チームが変わって、役割が変わった長友が活き活きとピュンピュン飛び出していく姿を見れた時に、あぁこれは不調の域は脱し、チームのやり方に苦労しているだけなんだなと確信出来た。「あの」長友が今なら出来る、と。
鹿島戦。この試合、SBは役割を変えてきた。徳永・長友のサイドを変えただけではない役割変更。それは長友だけでなく徳永までもが爆裂的にサイドをオーバーラップに駆け抜けた事からも明らか。やはりこれである。「やんちゃな子供」の様に手が付けられないくらいの方が、見ていて心が『動かされる』。ナオが相変わらず徳永を使ってくれないので(笑)見せ場は少なかったが、それでも徳永が頑張ってムダ走りしてくれた前半は自分は忘れてないし、「みんな見てたぞ!次も頑張れ!!」と徳永にはエールを送ってあげたい。
けどこうなってより目立っちゃうのは徳永よりも長友。これは仕方がない。目立つ貢献と目立てない貢献の差でしかない。しかし長友、これである。
どうせ突っかけてからでも守備に戻れる。突っかける回数の異様な多さにトイメンの選手は必ず気圧される。ならば長友にはガンガンに突っかけて欲しいと思ってたし、居合い抜きの様に一太刀で決めようとしないでガキのケンカみたいにグルグルパンチ乱れ打ちみたいながむしゃらさでサイドを制して欲しかった。これがやっと東京で見る事が出来た。これだから長友である。
ここに長友佑都の完全復活を宣言する。俺が、勝手に。

  • その2 流れを「切らないための」城福采配

流れを変える交代も難しいが、流れを維持する交代はもっと難しい。それを感じさせる試合でもあった。
例えば勝ち試合を確実に締めるための采配も流れを維持するための采配の一つ。野球などでは中継ぎ→抑えのくだりを固め、「勝利の方程式」を確立させる事でその采配自体に意味を・神通力を持たせる事がままある。流れを維持するために、投入する選手の力だけでなく、采配、その所作自体に意味を持たせようとする辺り、流れを維持する難しさを痛感する。流れを維持したいのに選手を替えるというこの矛盾に、指揮者は悩まされるわけである。

大竹というとびきりのジョーカーを得た東京としては、流れを変える選手には事欠かない。これにさらにTPOで平山・赤嶺・エメ・ケガが治れば近藤と、それぞれ特徴が違いすぎるくらいのベンチメンバーを揃えているわけで、意図は違くても投入してしまえば自然とサッカーが変わってしまいかねない、そんなベンチメンバーが既に揃っている。しかしそれだけに、流れを維持する駒の不足は常々感じていた。投入してもピッチ上での良い流れを変える事のない選手。

この試合、後半早い段階でコーチがアップ中の大竹、そして鈴木達也を呼び寄せ入念な指示を逐一入れていた。指示と共に、いざ使う時のためのテンションコントロールを、かなり早い段階から両者には予告をしていた。そしてまず投入される鈴木達也

羽生の様な、石川の様な、しかしそれは確実に鈴木達也の「個性」。そんな達也はまさにこの日のために獲得した選手な様な気がしてならない。加入時に思った事書いた事を振り返ってみると、

「ナオ・羽生的な機動力を残しつつ得点力を期待したい時なんかは有効なカードになりそう。今までのFW交代は基本、攻撃スタイルも一緒にガラッと変わらざるを得ないカードばかりだから、重宝すると思います。」

究極のテンションとパフォーマンスで、前半から素晴らしい内容を残してきたこの日の東京。それだけにそれを変える事のない、維持するための交代は非常に難しかったはず。そんな状況ながらも、ベンチに鈴木達也というカードを残せているありがたさ。彼はまさに、あの状況で流れを変えることなく、維持しながら投入出来る唯一のカードだった。タイミングとしても、ナオに疲労の色が見えたタイミングを見逃さずに投入して見せた(録画確認では見つけられなかったが、ヒザに手を当てる様な、明らかに疲れた的な仕草があって、それを見た直後に監督が達也を呼んでいた)。投入の意味、そのタイミングも良かったが、この采配は鈴木達也を獲得した時点で勝負アリな采配だった様に感じてならない。獲得した意味を見せつけた采配、もっと評価されて良い部分だと思う。
そして大竹投入。ここは事実確認をハッキリしておかねばいけない。「2-1になったけど、3点目を狙ってすかさず大竹投入」というニュアンスでの報道が多かったけど、長友のゴールが決まった直後のキックオフ時に選手交代を行ったのを見ても分かる様に、これは1-1の時点で用意されていた交代である。後半30分、クロスに対して羽生が右足をストンピングの様に投げ出す場面の後に足を伸ばす様な仕草を見せ、その直後に監督は大竹を呼んでいた。投入のタイミングを計りながら、羽生が疲労の所作を見せたのをきっかけに大竹投入を決断した。この点はナオと同様で、選手の疲労のシグナルを城福監督がしっかりと見逃さなかった点である。この時点で大竹が受けていた指示はスコア的に1-1の指示であり、その為の大竹投入だったはず。それが投入までのタイムラグの間に2-1と状況が変わってしまった。それを踏まえた選択肢として、与えた指示どころか大竹投入自体がぶれかねないシチュエーション変更だったはず。
そこで、それでも大竹投入を決断させたのは識者が言う様に「追加点を狙う」意識ではあったのは確か。けどその交代までの道筋、その起点の段階では全く違うシチュエーションだった事は抑えておきたいし、そのズレが起きても「攻めきる」と交代でそのまま押し切った城福監督のイケイケドンドンをしっかり評価してあげたい。そのおかげで、「うまい、うまい、うま〜い」であり「奇跡のタッチだね」(@金やん)な貴重な追加点が生まれたわけだから。攻めの気持ちを城福監督もぶれさせなかった、そんな交代だったと思う。

平山については丁度良いものがあったので、それを引用する。中の人が愛するマンガ『ファンタジスタ』の草場道輝が現在ビッグコミックスピリッツで連載している「LOST MAN」その今週号より。「エロみっともない」misonoが表紙なので、「もうしま」「お茶にごす」等々立ち読みしにコンビニに行く際には是非読んでみて貰いたい。その一節。

「前線で少なくとも5秒以上確実にボールをキープ出来るFWがいたならば、その間にDFラインは5メートルは上げられる。この5メートルは大きい…前線でマツモトが踏ん張り、中盤の底で守備に徹する者がいれば、中盤はよりコンパクトになる。
すなわち選手の距離が縮まれば、前にも増してパスが繋がりやすくなり、それは、あの四人がより大胆により攻撃的に動き回れるという事。
中盤を制する者は近代サッカーを制する。
あなた方のキープ力が雑である事が唯一このチームの不安材料でした。それをマツモト一人に任せればどうなるか…監督の理想に先んじマツモトを売り込むところはまさにそこです。先々を読むのはビジネスに置いても基本ですからね」

謎の日本人マツモトを黄金の中盤4人を擁するブラジルのビッグクラブに売り込むマツモトの代理人サカザキの台詞、これを余計な部分含めて結構長めに引用してみた。しかし、これに詰まっている事はたくさんあり、平山についてでこれを引用した意図は、説明せずとも分かってもらえると思う。
11点取っている事が決め手になりきれない赤嶺と、1点しか取ってないけどそれ以上の価値を見せつける平山。結果にこれだけの差がありながらもスタメンが入れ替わり、それぞれ定位置を奪取出来ないのにはそれぞれ理由がある。フレッシュさ、旬が過ぎれば交代し…の繰り返しに結局なってしまった今年は仕方がないと思うし、むしろ旬を見極めて上手く回してきた城福監督はエライと思う。
また両者共に、途中出場しても得点の気配が全くしないのが問題点だろう。特に赤嶺に関しては、シンゴ・インザーギとなるならばもっとテンションと嗅覚を研ぎ澄ませなければダメ。両者の争いはまだまだ続くし、その上で今日は平山たる所以を見せつけた試合だったと言える。岩政との空中戦では、実はあまり勝ててなかった平山だが、周囲への波及の面で良い仕事をしてくれた。やはり彼が入ると、人とボールがよく動く。


言いたい事はキリがないくらいに出てきてしまうこの試合。両者が良さを出し切り、そのぶつかり合いで東京が完勝して見せた試合。そう、今年の味スタ劇場は「大逆転劇」でもなければ「大勝」でもなく「完勝」だった。しかも相手は悪いところを感じさせなかった鹿島。これ以上何がある?!!風車の理論でキング・オブ・スポーツの良さを凝縮させた試合を全国に提供して見せた、そんなストロングスタイルなFC東京。その手応えが何よりも嬉しいぜ!