moving movingって言うけれど、「城福サッカー」って何かね? -ヴェルディ戦 より

東京ダービーの日テレ(笑)録画も(そんでsakusakuトップランナーの「Perfume↑×Perfume↓」(ハシゴ視聴を勝手に命名)も)やっと観れたので、東京ダービーのことでも。
とは言っても、相変わらずの出遅れ癖で、有益なレビューのおかげでゲーム自体で指摘しとくべき事も、既に出尽くしてる感もあります。レビューなんて、あの場に居た人だったら間違いなくまともに試合内容なんて観れてないはずなのに、いつも以上に熱のこもった細かいレビューを既に多く拝読しました。有名どころさんでも、堀池さんからは『巧』なプレーとして、一点目の大竹が釣ったプレーもしっかりと解説してくれたし、日々野真理タンさんのレポートなんて、ものすごい熱に満ちてたから。恐らくみんな、家帰ってソッコー録画観たんだろうな(笑)って感じで。
なんで、少し捻った(捻くれた)ことでも。とは言っても全体も細部も、その辺りの感想系はほとんど同意なんだけど。ただそれとは別に、試合が終わって実は全く思いもしない方角からフッと思う事があって。東京ダービーのこの試合、

  • 『城福サッカーの一つの完成型をみた』

そんな気が少しよぎりました。
もちろん、「味スタ劇場の空気に感化されて過大にイイ試合に見えた」ワケでもなければ、いわゆる「燃え尽き症候群」的に捉えたワケでも無し。何というか、城福サッカーの真骨頂がどこにあるのか?向いているベクトルを捉え損ねているかも、という感覚か。
moving footballを掲げた城福東京を開幕前からずっとファンとして追いかけてて、開幕前に城福監督の志向について考えていた妄想ベクトルに対して、Jも開幕して城福監督の実際のパーソナルな部分とかも透けて見えるようになってきたことで、城福監督の「実際のベクトル」も、おぼろげながら見えてきたような気がします。

自分は開幕前の妄想ベクトルを「=アーセナル」と向けてました。「人もボールも動くサッカーでラブリーなmoving football」の看板が大きく掲げられて、その理想の具体例に、イングランドで花開いた「ヤングガナーズ」に重ねていた人は、決して自分だけではないと思います。あれ、オレだけ?まぁ話を進めますが、ベクトルの向きとして「千葉オシム」や、遅攻ポゼッションの匂いから「西野ガンバ」なども重ねていた人が居たかもしれません。また、妄想ベクトルの向きを決める要因として、オフシーズン一発目の、徹底的にパスを回せ!なTMの印象の強さも、個人的にはあるかもしれない。多くの選択肢を作りながら、それをチョイスしていくサッカーを90分こなし続けるには、プレー中に「考える」事が多く要求され、さらにそれを周囲と共有するまでをこなさなければならない。

  • 故に、時間がかかると

確かに、この妄想ベクトルに乗せて今季展望を考えたので、やりたいサッカーには時間がかかると、残留できればいいと言い続けてきた。けど、実際の現実ベクトルが段々と、見え始めてもきた。それは、妄想ベクトルとの向きのズレも。

  • 現実ベクトル→勝ち点主義のリアリスト?

開幕から見続けてきた城福監督は、理想よりも現実を取る、結構なリアリストぶりが目立ちます。徹底した相手のスカウティングと、それに即した相手の良さを潰すタクティクス。または、自身のコンディションを見た上でのスタメン調節。「小平で結果を」路線もありながら、例えば大竹なんかはスタメン・ベンチスタートの使い分けを、コンディションに即して結構無茶せずにコントロールしているなと感じる(公式に「疲労が溜まっている」と公言している大竹のコントロールは、今後さらにシビアになってくるが)。

  • 妄想ベクトルと現実ベクトルの摺り合わせをし続けないと

今までの、今年のFC東京の試合の見方として、方や見え始めた城福監督の本来のパーソナル、現実ベクトルがあったはずなのに、それを置いて妄想ベクトルのみを物差しに試合を考えていたような気がする。何だか、妄想ベクトルを引きづったまま思考停止している自分を可能性として感じてしまい、「あ、これはヤバイかも」と思った次第。現実ベクトルも見え始めたのに、妄想ベクトルだけを物差しに東京を語るのは非常に危うい。
必要なのは、「摺り合わせ」。この摺り合わせをしてみると、城福サッカーの完成に時間がかかると思っている自分は、「時間がかかると思いきっている」だけでしかないかもしれない。妄想ベクトルに即して考えてると確かに、今のサッカーはまだまだ通過点であり、この先はまだ長いなぁ、である。しかし現実ベクトルに即して考えてみると、今の東京はチーム城福のスカウティングが導き出したタクティクスを、所属選手「31人」が気持ちを乗せてこなしてくれている。欲しいのは、リアリスティックに、勝ち点3。そして東京ダービーでは、選手それぞれのコメント通り、意思統一をチーム全体としてプレーしきった。非常に、城福監督の「実際のベクトル」に即した結果をこの東京ダービーは掴んだのではないだろうか。
変な話、城福監督自身には妄想ベクトルも現実ベクトルも、それぞれ持ち合わせてはいるでしょう。もっと言えば、どの監督にも?ただただ現状が、石川・エメが居ないことが響いている「だけ」かもしれないし、今だけのやむない措置なのかもしれない。けど、例えこの2人が居ようとも、勝つためには容赦なく、リアリスティックな決断を平気で優先する監督では、恐らくあると思う。これが「妄想」と「現実」って差を付けている部分。自分はそう捉えています。

現実ベクトルでみれば、東京ダービーはなかなかの絶対値。「城福サッカーの真骨頂」であった。選択肢として、これも「城福サッカーの完成型に近い」かも、というのは頭に入れといた方が良いのかもしれません。
ちょっとまとまりきらず、ボリューム不足の所もあるままですが、ひとまずここまで。続きはいつか。