屍を越えてゆけ プレビュー -甲府戦

最終戦。
思えばビッグクラブを宣言して始まり、ビッグクラブ(笑)で終わってしまったFC東京だけれども、そのスタンス・目標は当然の設定だったし、そうでなければいけない立場であると思っている。何故ならば、「ここが東京だから」。
東京にクラブがある。「FC東京」というクラブ名を名乗っている。これだけで、責任は生まれてきてしまうものだ。いや、ウチらそんなつもりさらさらねーから、勝手に言わないでくれる?っていう逃れは通用しない。それだけ重いんだよ「東京」っていうのは。
外国の大会で日本人記者に取材パスが渡される時、大概最初に渡されるのは「TOKYO SPORTS」所属記者だ、という事は良くある事らしい。そう、「東スポ」。あの、「東スポ」。しかし、あの「東スポ」なのは東京近郊に住んでいる我々だけで、外国人からすれば「TOKYO SPORTS」であるだけで、これはまず一番最初にお配りしなければとなるらしい。毎回東スポ記者の方々は、日本の名だたる(笑)サッカージャーナリストより先に、申し訳なさそうにパスを受け取る。TOKYOである、それだけで世界からの見る目はこうなってしまう一つの例である。しかし、世界における東京の大きさを感じずには居られないエピソードでもある。
東京にクラブがあるというだけで、その恩恵は他者と大きな差がある。単純に対象人口が違う。平均観客動員数NO1のイングランドでさえ、地方都市の人口減少問題が観客動員に影響を与え始めてきているのでは?と言われ始めている。人口20万ちょいで毎回5万人を集めるニューカッスル・セントジェームズパークは異常なだけである。その点東京は人口約1300万人。人口問題とは無縁である。「東京にはその分競合する娯楽が多いから」と言ったのは原博実だが、そもそも食い合うパイは大きいに越した事がないし、サッカーが他のちょいとした娯楽になんて負ける訳がないと確信もしている(これはいわゆるサッカー派の自惚れでもあるが、現状として、数駅隣にある最大の娯楽場「東京競馬場」でG1が開催されている真裏で、万単位の動員を集める興行が開催できているわけだから)。そもそも「世界最大の都市圏」である事実を思えば、そんなのは湿気た言い訳にしか聞こえない。
東京は「東京」なんだ。F.C.TOKYOは「TOKYO」なんだ。アホみたいな話をしているけど、オレはそうだと思う。東京である以上、そこから逃げる事は出来ない。しかし現状、その覚悟、ってのはクラブも選手もサポも、自分も、まだまだ足りてない。
FC東京は、ビッグクラブを目指さなければならない。正直、趣旨から非常に脱線したが、今季が終わる前に、そこをハッキリさせたかった。

甲府は既にJ2降格が決定しているクラブ。J1残留を願いながら、まずは一旦後退を余儀なくされたクラブ。そんな甲府のJ1への未練を断ち切り、キッチリと引導を渡す。そのための心構え、ふさわしいものが東京には求められる。恨み妬まれながらも、屍を越えていき、東京は成長していかなければならない。成長していくしかない。それが東京だから。
喰うモンは喰う。ほうとうはしっかりシバく。その上で、勝たなければならない。来季に向けて。来週に向けて。何故ならばFC東京だから。東京のクラブだから。
それが東京。それが東京。東京ロックンロール!
変なプレビューになっちまった。あぁ。