締まった試合が出来なかったことの方が問題 U-22カタール戦

このチームって、責任の所在というか、ここが拙くてこうしないとダメだっていう部分が非常に見えにくいチームな気がします。なんで、著名な人を中心にどういう指摘になるのかなぁというのを観察した上で書こうかなと思い、このタイミングになりました。
この試合、必然な負けであることは間違いないと思うけど、ただ「2点目取れなかったからこうなるんだ」っていう試合ではなかったと思うし、点が取れないことが問題ではないでしょう。
確かに、決定機と呼べるものはあったしそこを決めていれば、という展開のアヤはあるかも知れないけど、元々この日の日本の攻撃陣は「1点を取るための布陣」であって「複数点を取るための布陣」ではなかったからです。柏木の運動量、高いポジションを取り戻して効果的な仕掛けドリブルが効いた本田圭、潰れる事を要求された李、与えられた役割それぞれと、そもそものかけられる攻撃の人数を思えば、複数点取ってやるというゲームプランでなかったのは明らか。そういう意味では、ノルマ通りしっかり1点を取ったわけで、攻撃陣は役割は果たしたかと。むしろ、柏木・本田圭の好調さのおかげで0点だったところを1点取れる流れにしてくれた、くらいの出来だったとすら。この日チームで唯一出来の良かった柏木・本田圭を2点目取れなかった敗戦の戦犯とするのはあまりにもかわいそうです。この2人と、それに少し劣るが役割はしっかり果たした李に文句を言うってのは自分には出来ないです。こういう部分では、反町はスカウティングと自身の様子を踏まえた戦術をしっかり選択し、成果はそこそこ出ていたと思います。
むしろ2点目、3点目を取れていても逆転される可能性はあったと思います。この日の日本はチームとして全く締まりがなかった。守備面に関しての反町の選択はほとんどが失敗だったと言っていい。
ボランチが全く機能しなかった。攻守にわたって、居るか居ないかくらいの存在感しか残せてない。攻撃なんてチームプランからもうボランチ省略を狙ったものだった(この部分を見ても攻撃陣は良くやったと)。そして左SBの伊野波。恐らく守備的な意識を踏まえての安田ではなく伊野波だったのだと思うが、それ以前の問題。ボランチのカバーが効かずに、常にサイドで数的不利に晒される。お陰で遅れたチャージが多くなり、不用意なファウルを相手に与えすぎた。そもそもFC東京を良く見ている身として、伊野波を最終ラインに入れることの恐ろしさは重々承知していて、あまり良いイメージはなかった(むしろその部分での伊野波への期待は諦めかけている、残念だけど)から、「案の定」という正直な気持ちを持った東京ファンは多かったのではないか?
他にも途中出場のデカモリシのファウルしてヘラヘラ笑ったプレーを見せつけられ、正直怒りが収まらなかったけど(だからといって代わりに平山出せ!というわけじゃあない。途中で平山が必要な流れは一切無かった。)、囲み取材で記者から気の緩みを指摘されていたのは、いわゆる「負けた途端の掌返し」ではない、感じるものがあったからだろう。「決定機を決められなかったから」という指摘は目に見えて分かりやすいから簡単にそこに落ち着きたがるけど、それでは済まない問題の根は深く、しかしハッキリとしたポイントは確定できなかったことが何より今後の不安だと思う。
替えのボランチの用意、チームの雰囲気、そして何よりこの日の結果について、責任の所在がトップである反町氏に向けられるのは当然だけど、それだけではない選手・協会の部分での問題の根は非常に深い匂いを感じます。選手については、デカモリシに代表されるあまりにも気持ちの入ってない所作。協会については工夫の感じられない今までのマッチメイク(本格的に首位が晒されないままこの敗戦を迎えてしまったのはブッカーの責任。アテネの時にはA代表とカードを組むなどの工夫があった)。
とはいえ、このタイミングでの負けはギリギリセーフ。分かりやすいプランで最終二戦を望める様になった。前回の短期間でのAサウジ戦Hカタール戦というHA連戦で、選手を日本に待機させるなどの「工夫」が出来なかった反町なので、アウェーに選手を連れてかないで休ませられるという戦略を、やむなくとはいえ取れるのは何げにプラス材料にもなりそう。出た結果に対してポジティブに取るしかない。そして後は、悔しさを乗り越えた伊野波、平山が「漢」になるのを期待するしかないだろう。